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【謹賀新年 2025 乙巳】「乙」「巳」の語源と字源を言語と文字と実物の多方面から探究してまいりました。本年もKF-ScholaとKF-Ars Sinicaを何とぞ宜しくお願い申し上げます。

皆さま、明けましておめでとうございます。本年もお楽しみくださりましたら幸いです。素敵な一年となりますようにお祈り申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。

KF-Schola:https://www.youtube.com/channel/UCFO5…
KF-Ars Sinica:https://www.youtube.com/channel/UCVcC…

※日本語の字幕を表示するスクリプトをご用意しました。
 専門用語や細かい訂正などは字幕でご確認下さいませ。

各位親愛的朋友們:恭賀新禧!謝謝您一直以來的照顧。謹祝闔家萬事如意、健康長壽、天倫永享、後福無疆。今後也請您支持一下。希望您與闔家能度過開開心心的一年🙏

Happy New Year ! Thank you for your kind attention. Hoping that you will be looking forward to them, then also hoping that it will be a wonderful year.🙏

Bonne année ! Merci pour votre aide chaleureuse. En espérant que vous les attendez avec impatience, et aussi en espérant que ça sera une merveilleuse année.🙏

¡Feliz Año Nuevo! Gracias por su cálida ayuda. Esperamos que los esté esperando, y también esperamos que sea un año maravilloso.🙏

Felice anno nuovo! Speriamo che li attendi con impazienza, anche speriamo che per voi possa essere un'anno meraviglioso.🙏

2025年1月1日

0:00:03.800,0:00:06.774
皆さま、明けましておめでとうございます。

0:00:06.774,0:00:11.238
本年も何とぞ宜しくお願い申し上げます。

0:00:11.238,0:00:14.883
またまた一年ごぶさたしてしまいましたけれども、

0:00:14.883,0:00:19.192
今までにこちらのKF-Ars Sinicaと

0:00:19.192,0:00:23.040
もう一つのKF-Scholaのチャンネルにて、

0:00:23.050,0:00:34.615
一次資料に基づいて事実を探究する実事求是の姿勢で貫かれる動画の貯蓄が沢山ございますからお楽しみ下さいましたら幸いです。

0:00:34.615,0:00:40.780
さて、毎年恒例の今年の干支シリーズですけれども、

0:00:40.780,0:00:46.963
今年はこちらの「乙巳(いっし、きのとみ)」でございまして、

0:00:46.963,0:00:49.268
秦代の小篆、

0:00:49.268,0:00:51.263
秦代の隷書、

0:00:51.263,0:00:54.507
前漢の隷書、

0:00:54.507,0:00:55.692
後漢の隷書、

0:00:55.692,0:00:58.325
北魏の楷書、

0:00:58.325,0:01:00.420
隋の楷書、

0:01:00.420,0:01:01.608
唐の楷書、

0:01:01.608,0:01:03.834
こちらは顔真卿ですね。

0:01:03.834,0:01:07.531
そして、草書が見えてございますけれども、

0:01:07.531,0:01:13.334
シンプルな字形でそれほど時代において大きな変化がないことが分かります。

0:01:13.334,0:01:22.642
そして、こちら、小篆よりも古い時代の甲骨金文、

0:01:22.642,0:01:24.001
こちらは殷代、

0:01:24.001,0:01:26.086
それに戦国楚簡、

0:01:26.086,0:01:29.849
秦漢篆隷、

0:01:29.849,0:01:32.760
北魏楷書がございますけれども、

0:01:32.760,0:01:35.839
これらが何を象っているのか、

0:01:35.839,0:01:37.735
今回、見てまいりたいと思います。

0:01:37.735,0:01:46.449
先ずこちら、最も古い漢字の祖先の形が分かる甲骨文から見てまいりますけれども、

0:01:46.449,0:01:57.800
当時は日付として、干支の「乙巳(いっし、きのと)」が見えてございますけれども、

0:01:57.800,0:02:04.131
右(《甲骨文合集》1107)は、通常文と否定文になっております。

0:02:04.131,0:02:20.724
左(《甲骨文合集》33696)は、日食に関する記事で乙巳日食は紀元前1161年10月31日の朝に現れた日食とされておりまして、
(馮時:《殷卜辭乙巳日食的初步研究》,
《自然科學史研究》第11卷第2期上,1992年)

0:02:20.724,0:02:28.238
こちらに「乙巳」と「日蝕有り(日又(有)戠)」とございますけれども、

0:02:28.238,0:02:40.696
今から3186年前の殷代の日食の記録がピンポイントで分かるのは天文学と合わせて考古学がすごいですね。

0:02:40.696,0:02:45.716
そういった形で甲骨文が見えましたけれども、

0:02:45.716,0:02:52.021
次に金文をご覧に入れましょうということで、

0:02:52.021,0:02:57.945
両方とも「乙巳」は日付に用いられておりまして、

0:02:57.945,0:03:05.516
右(《殷周金文集成》5417)は殷代の貴重な長い銘文で結構な文字数がございまして、

0:03:05.516,0:03:10.789
ここで面白いのは「子」に踊り点「=」がございまして、

0:03:10.789,0:03:17.077
一つ目の文字が干支の「乙巳」の「巳」、

0:03:17.077,0:03:24.829
二つ目の文字が「子令」の「子」と、

0:03:24.829,0:03:26.810
最初の方は「巳」という字ですね。

0:03:26.810,0:03:30.204
そして、二つ目の文字が「子」という字で読まれていることなんです。

0:03:30.204,0:03:36.293
左(《殷周金文集成》10281)は西周よりも後の春秋の時代の金文でして、

0:03:36.293,0:03:42.971
「乙子」という干支はないですから、

0:03:42.971,0:03:48.874
「乙巳(いっし、きのとみ)」と今年の干支、

0:03:48.874,0:03:49.374
こちらは日付で使われておりますけれども。

0:03:49.374,0:03:51.461
それで読むべきことが分かりまして、

0:03:51.461,0:04:00.013
春秋でも「子」を「巳」と読む古い書き方があったことが分かります。

0:04:00.013,0:04:10.113
そして、次に本丸のこちらの「乙巳(いっし、きのとみ)」、

0:04:10.113,0:04:12.551
言語学や文字学の方面から考えてまいりましょう。

0:04:12.551,0:04:22.347
KF-Ars Sinicaでは一貫して、言語と文字、漢語と漢字のデュアリティや関わり合いを主題としてまいりました。

0:04:22.347,0:04:32.429
ですから、そもそも、「乙」と「巳」は何を象りました文字でどのような言葉であるか、

0:04:32.429,0:04:37.883
即ち、字源と語源を知るためにこうした資料をご用意いたしました。

0:04:37.883,0:04:43.614
先ず「乙」ですが、これは何を象っているのか、

0:04:43.614,0:04:49.670
そういう時は、先ずは皆の意見をとにかく集めて調べることから始めます。

0:04:49.670,0:04:54.847
《說文·乙部》では、草木が伸びた形(「象春艸木冤曲而出」)、

0:04:54.847,0:05:03.333
《釋名·釋天》では、軋轢の軋の軋んで飛び出すとか(「自抽軋而出也。」)、

0:05:03.333,0:05:05.276
《爾雅·釋魚》では、魚の腸を謂うとか(「魚腸謂之乙」)、

0:05:05.276,0:05:16.318
《禮記·內則》の鄭玄注では、魚の骨の形が篆書の乙に似ているとか(「乙,魚體中害人者名也,今東海容魚有骨名乙在,目旁,狀如篆乙,食之鯁人,不可出。」)、書かれておりまして、

0:05:16.318,0:05:22.487
もう少し最近の人、明義士(James Mellon Menzies)さん(《殷虛卜辭》)や李孝定さん(《甲骨文字集釋》)は、

0:05:22.487,0:05:27.682
《說文》の「川」に《書経·虞書》:「濬𡿨巜,距川。」を引いて、

0:05:27.682,0:05:36.852
水流の形「𡿨」「巜」「𤰝」「甽」「畎」ということで考えておりましたり、

0:05:36.852,0:05:41.557
董蓮池さん(《說文解字考正》)という文字学者は、

0:05:41.557,0:05:46.121
糸や紐が乱れたり巻かれた形(絲紐亂卷)と考えているわけですけれども。

0:05:46.121,0:05:58.029
混乱の「亂」や紛糾の「糺」などにも、「乙/乚」が意符として含まれていますから、この説は可能性が高いです。

0:05:58.029,0:06:01.782
「乙/𡿨(おつ)」*qriɡ, *qrət > 'itと

0:06:01.782,0:06:07.403
結わい付ける意味の「扎/紮(さつ)」*sqriːd, *[s-qˤrət] > tsreat、

0:06:07.403,0:06:13.419
それと縄の意味の「繘(きつ)」*[kʷid], *[s.kʷit] > kjwitの音も近いです。

0:06:13.419,0:06:22.013
語源は「糸」を意味する漢蔵祖語*r-s-kyat(#5850 PTB *r-s-kut ⪤ *r-s-kyat THREAD)、

0:06:22.013,0:06:27.092
もしくは「捻れる」を意味する漢蔵祖語*wyat(#3257 PTB *wyat TWIST / TURN)と考えられて、

0:06:27.092,0:06:35.549
「捻じれる」(纏繞)や「縄を結わいつける」を意味するタニ祖語*rjat¹ (#6564 PTani *rjat¹ TWIST (STRANDS OF ROPE))や

0:06:35.549,0:06:41.132
「捻じれる」を意味するタンクル語*rej(#7017 PTk *rej TWIST)と関わりがあるのではないかと!

0:06:41.132,0:06:53.113
また、結う「結」*kiːd, *kˤi[t] > ketや髪の毛を束ねたもとどり「髻」*kiːds, *kˤi[t]-s > kejHと同じく、

0:06:53.113,0:07:01.990
語源が「結わう」「束ねる」を意味する漢蔵祖語*(g/k)(y)i(t/k)(#180 PTB *(g/k)(y)i(t/k) TIE / BIND)とも考えられたり、

0:07:01.990,0:07:18.257
そこから分化したチベット語འཁྱིག་པ 'khyig pa、ビルマ語ကျပ် kja'、クキ=チン祖語*khit-I, khiʔ-IIなどと関わりがあるかもしれないと考えられるんですね。

0:07:18.257,0:07:25.649
そして、裘錫圭さん(《文字學概要》)は、「乙」を記号として、

0:07:25.649,0:07:36.227
まあ、昨年の「甲」とか「甲乙」などは、「+」や「S」の符号そのものでした可能性が高いともされます。

0:07:36.227,0:07:38.907
字形を見てまいりますと、

0:07:38.907,0:07:44.474
先ずは見出しに楷書と小篆が書かれておりまして、

0:07:44.474,0:07:52.609
殷代の甲骨、金文、西周の金文、春秋時代、

0:07:52.609,0:08:00.162
そして、戦国時代の有名な曾侯乙(紀元前477-433年)の墓から出ました曾国の金文です。

0:08:00.162,0:08:06.903
そして、齊文字の陶文(《陶文彙編》3.271・《陶文圖錄》2.137.3)、燕文字はございませんが、

0:08:06.903,0:08:08.866
楚文字の竹簡(《包山楚簡》7)、

0:08:08.866,0:08:13.626
三晋文字の盟書(《侯馬盟書》156.25)や古鉨(《古璽彙編》0886)、

0:08:13.626,0:08:17.980
秦文字の木簡(《雲夢秦簡》日乙31)の文字なども見えますけれども、

0:08:17.980,0:08:21.544
字形は殆ど差がございませんが、

0:08:21.544,0:08:23.974
ここで気づきまして、

0:08:23.974,0:08:29.289
《京房易傳》「乙,屈也。」と見えまして、

0:08:29.289,0:08:37.851
「乙/𡿨(おつ)」*qriɡ, *qrət > 'itと「屈(む)」*kʰlud, *[kʰ]ut > khjut、音が近いですし、

0:08:37.851,0:08:42.181
見たまま曲がっている形を象ったとも考えられるんです。

0:08:42.181,0:08:52.111
昔に何度か数字の「九」の字源を考えた動画が作りましたことが懐かしんでおりますけれども、

0:08:52.111,0:08:55.844
「己/紀(おのれ)」*kɯʔ, *k(r)əʔ > kiX、

0:08:55.844,0:08:59.174
「曲(がる)」*kʰoɡ, *kʰ(r)ok > khjowk、

0:08:59.174,0:09:03.280
もう一つ「局(まがる)/跼(ひざまづく)」*ɡog, *N-kʰ(r)ok > gjowk、

0:09:03.280,0:09:09.248
そして、「勾(まがる)/鉤(かぎ)」*koː, *[k]ˤ(r)o > kuwと音が近いわけです。

0:09:09.248,0:09:21.580
こちらの語源は「曲がる」を意味する漢蔵祖語*(k/ʔ)uk(#2252 PTB *(k/ʔ)uk BEND / CROOKED / RETURN / BACK / YEAR)で彝緬祖語*gukᴸと関わりがあります。

0:09:21.580,0:09:28.170
また、「膝」「角」を意味する漢蔵祖語*m-kuː(k/ŋ)(#1251 PTB *m-kuː(k/ŋ) KNEE / ANGLE)は、

0:09:28.170,0:09:30.461
クキ=チン祖語*kuup ⪤ khuup ⪤ khuuk、

0:09:30.461,0:09:32.833
ナガ祖語*m-khuk、

0:09:32.833,0:09:37.108
タンクル祖語*kʰukとも関わりがございます。

0:09:37.108,0:09:43.828
言語と文字、語源と字源の両方から考証してまいりまして、

0:09:43.828,0:09:51.867
曲がった形というのが、音韻対応からも、字形からも可能性が高いのではないかと!

0:09:51.867,0:09:54.812
今は新しい考え方を示しておりますけれども。

0:09:54.812,0:10:03.770
符号として曲がった形で曲がったという言葉が与えられたということが考えられます。

0:10:03.770,0:10:12.260
また、「乙」と「己」の二つの干支の文字と関係もみられるんです。

0:10:12.260,0:10:17.151
次に「巳」に行ってみたいと思いますが、

0:10:17.151,0:10:23.085
《說文》では「巳,已也」とございまして、

0:10:23.085,0:10:31.391
こちらに蛇(蛇虫)の形と考えられておりますけれども、

0:10:31.391,0:10:36.214
それは後に字形が似ていて混同がなされまして、

0:10:36.214,0:10:44.776
最も古い甲骨金文では、明らかに子供の形で髪の毛まで生えておりまして、

0:10:44.776,0:10:50.285
もう一つ、この胎児の形も現れておりまして、

0:10:50.285,0:10:54.401
西周の初期までは併存しておりましたけれども。

0:10:54.401,0:11:00.575
春秋戦国になってまいりましたら、

0:11:00.575,0:11:04.723
もうかなり(「巳」に関して)胎児の形が優勢になりまして、

0:11:04.723,0:11:09.613
先ほどの金文(《殷周金文集成》10281)では、「子」で「巳」を書いておりましたけれども、

0:11:09.613,0:11:12.954
斉文字、燕文字がございませんけれども、

0:11:12.954,0:11:25.123
楚文字、三晋文字、 秦文字と時代順に地域別に並んでおります。

0:11:25.123,0:11:38.188
秦漢以降の小篆では「包/胞」の中と同じ形で胎児の形になって、

0:11:38.188,0:11:46.529
そして、干支の「子/𢀇」と「巳/㜽」が置き換わってしまいました。

0:11:46.529,0:11:55.351
また、完了の「了」*reːwʔ, *[rˁewʔ] > lewXとも、字形がよく似ていて混同されました。

0:11:55.351,0:11:58.310
現代漢語にまで引き継がれておりまして、

0:11:58.310,0:12:03.579
「了」*reːwʔ, *[rˁewʔ] > lewXは、現代語(白話)で多用されまして、

0:12:03.579,0:12:07.459
官話で普通はleと発音されますけれども、

0:12:07.459,0:12:14.196
京劇や昆劇など古い発音ではliǎoと発音されます。

0:12:14.196,0:12:21.484
《說文》に「巳,已也」とありますから、

0:12:21.484,0:12:29.061
已(すで)にの「已」*lɯʔ, *ɢ(r)əʔ > yiHに仮借して使われました。

0:12:29.061,0:12:37.446
古典語(文言)で「矣(い)」*ɢlɯʔ, *qəʔ > hiX、語尾によく置かれますけれども、

0:12:37.446,0:12:40.153
「訖(おわる)」*kɯd, *qʰə[t]-s > kj+t、

0:12:40.153,0:12:46.398
「既(つきる)」*kɯds, [k]ə[t]-s > kj+jHなどと関わりがありまして、

0:12:46.398,0:12:53.286
クキ=チン祖語*reʔは「止まる」「終わる」を意味します。

0:12:53.286,0:12:58.762
こちらは「已に」「既に」とか、「訖(おわる)」(「既(つきる)」)の方で話が膨らみましたけれども、

0:12:58.762,0:13:06.095
「巳/㜽(み)」*ljɯʔ, *s-[ɢ]əʔ > ziXの語源ですけれども、

0:13:06.095,0:13:19.264
《釋名》(「子,孳也。」)には、子供の「子/𢀇(こ)」*ʔslɯʔ, *tsəʔ > tsiXや「孳(うむ)」「滋(そだてる)」*ʔsɯ, *[tsə] > tsiの言葉が関係させられておりますけれども、

0:13:19.264,0:13:21.629
「子/𢀇(こ)」*ʔslɯʔ, *tsəʔ > tsiX、

0:13:21.629,0:13:24.784
「孳(うむ)」「滋(そだてる)」*ʔsɯ, *[tsə] > tsiで

0:13:24.784,0:13:30.129
最後に声門閉鎖音(glottal stop)「ʔ」が付いているか、付いていないかだけの違いでございまして、

0:13:30.129,0:13:37.328
《玉篇》(「巳,嗣也」)によれば、「嗣(つぐ)」*ljɯs, *sə.lə-s > ziHという言葉、

0:13:37.328,0:13:42.592
「襲(おそう)」*ljɯb, *sə-l[ə]p > zipも「継ぐ」という意味ですけれども、

0:13:42.592,0:13:46.710
更に「胤(たね)」*lins, *[ɢ]ə[n]-s > yinH、

0:13:46.710,0:13:49.479
胎児の「胎(はらむ)」*l̥ʰɯː, *l̥ˤə > thoj、

0:13:49.479,0:13:55.428
西夏語tạ、彝語ꌺ zɯ³³も関わりがあるかもしれません。

0:13:55.428,0:14:03.759
語源は「子供」を意味する漢蔵祖語の*tsa-n ⪤ *za-n(#428 PTB *tsa-n ⪤ *za-n CHILD / SON / RELATIVES)と考えられまして、

0:14:03.759,0:14:11.157
チベット語བཙའ btsaやビルマ語သား sa:とも関わりがございまして、

0:14:11.157,0:14:17.086
このもともと象ったものが、子供(や胎児)という単語があって、

0:14:17.086,0:14:19.749
それにこの文字を当てたという意味でして、

0:14:19.749,0:14:25.397
言語と文字の対応付けが最初になされた。

0:14:25.397,0:14:28.098
何を象ったのかという字源を意味しておりますけれども。

0:14:28.098,0:14:32.718
干支の語源ということ自体が、実は変な話でして、

0:14:32.718,0:14:42.303
干支に使われている文字が、もともと象りました形を指している言葉の語源を考えてまいりました。

0:14:42.303,0:14:47.219
そこは混乱しないように強調しておきますけれども。

0:14:47.219,0:14:52.780
ちなみに祭祀の「祀」*ljɯʔ, *s-[ɢ]əʔ > ziXは、

0:14:52.780,0:15:03.575
《爾雅》:「載,歲也。夏曰歲,商曰祀,周曰年,唐虞曰載。」に夏、商、周、唐虞と古い時代の違う王朝で違う言葉で年/歳/載を意味していたという説明ですけれども、

0:15:03.575,0:15:06.699
一年という意味で終わることから、

0:15:06.699,0:15:13.661
先ほどの「已」*lɯʔ, *ɢ(r)əʔ > yiHの方から派生した言葉で語源が同じ可能性があります。

0:15:13.661,0:15:20.391
まあ、そうした形で語源と字源を探究してまいりましたが、

0:15:20.391,0:15:25.223
とにかく同じ声符を持つ諧声系列や

0:15:25.223,0:15:31.790
同じ発音もしくは同じような発音を持ち、意味が近い言葉を書いた文字があるか、

0:15:31.790,0:15:41.277
古代の辞書をローラー作戦で漢語内部での言語と文字のネットワークの絡み合いをたどり手がかりを探りますけれども。

0:15:41.277,0:15:47.251
同時に漢蔵祖語からどのような言語たちに派生しているのかという、

0:15:47.251,0:15:51.953
発音と意味を手がかりに探り当ててゆきます。

0:15:51.953,0:15:59.189
こうして、6000年前に漢蔵祖語から分かれた上から下に下がる方法と

0:15:59.189,0:16:06.584
漢語内部で現代漢語から中古看護や上古漢語へと下から上に上がる方向で

0:16:06.584,0:16:08.925
多方面から探究をいたしました。

0:16:08.925,0:16:14.113
結論は「乙/𡿨」*qriɡ, *qrət > 'itは、

0:16:14.113,0:16:20.262
糸や紐が曲がった形を象るというよりも、

0:16:20.262,0:16:24.392
曲がった形そのものから名づけられて、

0:16:24.392,0:16:31.410
「己/紀」*kɯʔ, *k(r)əʔ > kiXと「乙/𡿨」*qriɡ, *qrət > 'itの音が近くて、

0:16:31.410,0:16:34.641
二つの干支「乙」「己」の関係も見られました。

0:16:34.641,0:16:41.656
語源は「糸」を意味する漢蔵祖語*r-s-kut ⪤ *r-s-kyatというよりも、

0:16:41.656,0:16:47.762
「曲がる」を意味する漢蔵祖語*(k/ʔ)ukではないのかと!

0:16:47.762,0:16:54.164
「巳/㜽」*ljɯʔ, *s-[ɢ]əʔ > ziXは子供の形を象りまして、

0:16:54.164,0:17:01.781
もう既に甲骨金文の段階でも、 両方とも見られまして、

0:17:01.781,0:17:11.612
そこから、「子/𢀇」*ʔslɯʔ, *tsəʔ > tsiXの方に「子」の方の文字が行ってしまったが故に置き換わってしまって、

0:17:11.612,0:17:24.950
この胎児の形「巳」だけが、この後にも専ら「巳」という字で使われるようになったと時系列に分かるということでございました。

0:17:24.950,0:17:28.798
やはり、二つの干支「巳」「子」の関係が見られました。

0:17:28.798,0:17:36.205
語源は「子供」を意味する漢蔵祖語*tsa-n ⪤ *za-nです。

0:17:36.205,0:17:42.640
こうして、漢語と漢字、語源と字源を探るとき、

0:17:42.640,0:17:47.536
お互いにどのような関わり合いがあるかを調べることが大切であるという原則に従いまして、

0:17:47.536,0:17:51.631
本年も精密に探究してまいれました。

0:17:51.631,0:17:57.994
最後にこちら(《甲骨文合集》27661)にも、「伊尹」がございましたり、

0:17:57.994,0:18:04.879
帝乙(九祀九月)の軍事行動に関する甲骨文(《甲骨文合集》36518+《甲骨続存補編》5.146.1)がございまして、

0:18:04.879,0:18:08.941
これらにも乙巳が(日付として)見えます。

0:18:08.941,0:18:16.760
こうした殷代に刻まれて、そのまま出土した一次資料(primary sources)に基づいて、事実を探究するとき、

0:18:16.760,0:18:24.182
実際に言語を文字が書いている

0:18:24.182,0:18:24.682
言語の方が先にあって、

0:18:24.682,0:18:28.819
文字が当てられたということですね。平たく言えば。

0:18:28.819,0:18:34.516
そういう観点から内容を正確に読み解くことができます。

0:18:34.516,0:18:38.757
今の漢字の使い方と全く違って、

0:18:38.757,0:18:55.868
音が近いから、違う文字で当てられて、違う声符で当てられて、書かれていたということも、甲骨金文、また戦国文字も、秦漢で言語と文字の書き方が統一される前には、かなりございましたり、

0:18:55.868,0:19:03.327
そうした発想が必要ではないかということでずっと色んな動画を作ってまいりましたけれども、

0:19:03.327,0:19:10.273
今回もまたそのような状態であったということが分かりました。

0:19:10.273,0:19:13.905
こちらに戻りまして、

0:19:13.905,0:19:21.079
本年もどうか皆さまお身体をおいといの上、

0:19:21.079,0:19:23.478
素敵な一年をお過ごし下さりますよう、

0:19:23.478,0:19:28.659
お祈り申し上げまして、新年の動画を締めたいと思います。

0:19:28.659,0:19:33.711
ご視聴くださりまして、ありがとうございました。

0:19:33.711,0:19:40.240
それでは失礼をいたします。

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