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【謹賀新年 2026 丙午】「丙」「午」の語源と字源を言語と文字と実物の多方面から探究してまいりました。本年もKF-ScholaとKF-Ars Sinicaを何とぞ宜しくお願い申し上げます。

皆さま、明けましておめでとうございます。本年もお楽しみくださりましたら幸いです。素敵な一年となりますようにお祈り申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。

KF-Schola:https://www.youtube.com/channel/UCFO5…
KF-Ars Sinica:https://www.youtube.com/channel/UCVcC…

※日本語の字幕を表示するスクリプトをご用意しました。
 専門用語や細かい訂正などは字幕でご確認下さいませ。

各位親愛的朋友們:恭賀新禧!謝謝您一直以來的照顧。謹祝闔家萬事如意、健康長壽、天倫永享、後福無疆。今後也請您支持一下。希望您與闔家能度過開開心心的一年🙏

Happy New Year ! Thank you for your kind attention. Hoping that you will be looking forward to them, then also hoping that it will be a wonderful year.🙏

Bonne année ! Merci pour votre aide chaleureuse. En espérant que vous les attendez avec impatience, et aussi en espérant que ça sera une merveilleuse année.🙏

¡Feliz Año Nuevo! Gracias por su cálida ayuda. Esperamos que los esté esperando, y también esperamos que sea un año maravilloso.🙏

Felice anno nuovo! Speriamo che li attendi con impazienza, anche speriamo che per voi possa essere un'anno meraviglioso.🙏

2025年1月1日

0:00:04.640,0:00:08.322
皆さま、明けましておめでとうございます。

0:00:08.322,0:00:11.746
本年も何とぞ宜しくお願い申し上げます。

0:00:11.746,0:00:17.875
またまた、一年ごぶさたしてしまいましたけれども、

0:00:17.875,0:00:22.160
今までのこちらのKF-Ars Sinicaと

0:00:22.199,0:00:25.040
もう一つのKF-Scholaのチャンネルにて、

0:00:25.073,0:00:31.084
実事求是の姿勢で一次資料に基づいて、事実を探究する動画たちも、

0:00:31.084,0:00:32.924
沢山出してまいりましたので、

0:00:32.924,0:00:36.237
お楽しみ下さいましたら幸いです。

0:00:36.237,0:00:39.747
特に数年前の金印シリーズなど、

0:00:39.747,0:00:44.522
継続してご視聴くださる方が多くいらして感謝申し上げます。

0:00:44.522,0:00:51.800
さて、毎年恒例の今年の干支シリーズですけれども、

0:00:51.800,0:00:57.923
今年はこちらの「丙午(へいご、ひのえうま)」でございまして、

0:00:57.923,0:01:00.076
秦代の小篆

0:01:00.076,0:01:02.508
秦代の隷書

0:01:02.508,0:01:05.423
前漢の隷書

0:01:05.423,0:01:07.400
木簡もございます。

0:01:07.421,0:01:09.619
後漢の隷書

0:01:09.619,0:01:11.451
北魏の楷書

0:01:11.451,0:01:13.906
隋の楷書

0:01:13.906,0:01:15.840
智永も

0:01:15.871,0:01:17.309
唐の楷書

0:01:17.309,0:01:21.458
褚遂良や顔真卿も

0:01:21.458,0:01:23.489
唐の草書

0:01:23.489,0:01:26.804
懐素もございますけれども、

0:01:26.804,0:01:31.760
それほど時代において、大きな変化がございませんね。

0:01:31.760,0:01:37.316
そして、こちら、

0:01:37.316,0:01:39.925
小篆よりも古い時代の甲骨金文

0:01:39.925,0:01:41.397
殷代の甲骨文

0:01:41.397,0:01:43.392
周代の金文

0:01:43.392,0:01:45.175
戦国の楚簡

0:01:45.175,0:01:47.406
秦代の小篆

0:01:47.406,0:01:49.279
漢代の隷書

0:01:49.279,0:01:53.401
北魏の楷書がございますけれども、

0:01:53.401,0:01:58.881
先ず、これらが何を象られているか、

0:01:58.881,0:02:01.765
今回も見てまいりたいと思います。

0:02:01.765,0:02:04.559
こちら!

0:02:04.559,0:02:10.978
最も古い漢字の祖先の形が分かる

0:02:10.978,0:02:12.994
甲骨文から見てまいりますけれども、

0:02:12.994,0:02:16.105
当時は日付として、

0:02:16.105,0:02:23.480
干支の「丙午(へいご、ひのえうま)」が見えてございますけれども、

0:02:23.480,0:02:25.914
右(《甲骨文合集》12628)は、

0:02:25.914,0:02:29.711
雹が降るか降らないか、

0:02:29.711,0:02:33.191
通常文と否定文が書かれております。

0:02:33.191,0:02:34.717
左(《甲骨文合集》495)は、

0:02:34.717,0:02:41.354
徵さんが羌を捕らえることについて、

0:02:41.354,0:02:44.626
こちらに書かれております。

0:02:44.626,0:02:49.168
そういった形で甲骨文を見てまいりましたけれども、

0:02:49.168,0:02:54.032
次に金文をご覧に入れましょうということで、

0:02:54.032,0:03:00.673
こちらも両方とも、日付に用いられておりまして、

0:03:00.673,0:03:11.143
右(《殷周金文集成》2708)は、殷代の貴重な長い銘文で有名な〈戍嗣子鼎〉ですが、

0:03:11.143,0:03:24.678
王さまが戍嗣子さんに貝二十房を賜りましたので記念に鼎を作りましたという内容です。

0:03:24.678,0:03:30.958
左(《殷周金文集成》2674)は、西周早期の〈征人鼎〉ですが、

0:03:30.958,0:03:34.758
ずんぐりとして古朴な感じが致します。

0:03:34.758,0:03:38.996
こちらの文字「𫀡」ですが、

0:03:38.996,0:03:47.249
示編「礻」に「自」「幺」「又」の4つの部品から成ります文字ですが、

0:03:47.249,0:03:52.471
UNICODEの文字を出すのがとても大変でした。

0:03:52.471,0:04:05.058
右と同じく、こちらも、天君が貝を賜りましたので記念に鼎を作りましたという内容です。

0:04:05.058,0:04:11.389
次にこちらの「丙午(へいご、ひのえうま)」、

0:04:11.389,0:04:16.412
言語学や文字学の方面から、

0:04:16.412,0:04:19.052
語源と字源を考えてまいりましょう。

0:04:19.052,0:04:23.413
もう毎年「干支シリーズ」を続けてまいりまして、

0:04:23.413,0:04:26.812
データシートのテンプレートができ上がりました!

0:04:26.812,0:04:29.748
KF-Ars Sinicaでは、

0:04:29.748,0:04:35.947
言語と文字、漢語と漢字のデュアリティを主題としてまいりましたが、

0:04:35.947,0:04:43.938
「丙」と「午」は、何を象りました文字で、どのような言葉であるか、

0:04:43.938,0:04:50.006
字源と語源を知るためにこうした資料をご用意いたしました。

0:04:50.006,0:04:52.110
先ず「丙」ですが、

0:04:52.110,0:04:56.018
昨年の「乙」でも登場しましたが、

0:04:56.018,0:05:01.381
《說文》は「甲」が人の頭、

0:05:01.381,0:05:03.511
「乙」が人の頸、

0:05:03.511,0:05:08.825
「丙」が人の肩を象るとしますが、

0:05:08.825,0:05:18.422
《爾雅·釋魚》に「乙」は魚の腸を謂う(「魚腸謂之乙」)と書かれております。

0:05:18.422,0:05:27.509
そして、「丙」は魚の尾を謂う(「魚尾謂之丙」)と書かれております。

0:05:27.509,0:05:32.985
しかも、十干の「甲」「乙」「丙」「丁」のうち、

0:05:32.985,0:05:36.901
三つ「乙」「丙」「丁」がセットで現れておりまして、

0:05:36.901,0:05:41.429
昨年はこの説をサッと紹介しながら、

0:05:41.429,0:05:47.454
「乙」は符号の可能性が高いといたしましたが、

0:05:47.454,0:05:54.190
「乙」は魚の腸を象りましたかは、さておきまして、

0:05:54.190,0:06:01.931
確かに「丙」は魚の尾鰭を象りましたと考えられます。

0:06:01.931,0:06:05.238
字源を探究するとき、

0:06:05.238,0:06:11.565
最も古い殷周の甲骨金文を調べますが、

0:06:11.565,0:06:14.652
その文字だけではなく、

0:06:14.652,0:06:19.199
その文字が部品として含まれている文字も集めます。

0:06:19.199,0:06:25.851
こちらにお魚さんが可愛らしく並んでおりますけれども、

0:06:25.851,0:06:30.182
「冓/遘」*koːs, *kˤ(r)o-s > kuwH、

0:06:30.182,0:06:31.321
「再」*ʔsɯːs, *[ts]ˤə(ʔ)-s > tsojH、

0:06:31.321,0:06:33.505
「爯/稱」*tʰjɯŋ, *tʰəŋ > tsyhingなど、

0:06:33.505,0:06:37.255
特に古い時代の甲骨金文には、

0:06:37.255,0:06:42.360
同じ部品が含まれているということが分かります。

0:06:42.360,0:06:51.647
「冓/遘」は魚が二匹出会うような様を象りましたし、

0:06:51.647,0:06:57.719
「再」や「爯/稱」の下部にも、魚がおりまして、

0:06:57.719,0:07:05.065
特に尾鰭の部分で似た部品を持っているということが、

0:07:05.065,0:07:08.960
見れば一目瞭然ではないかということですね!

0:07:08.974,0:07:15.845
ですから、魚の尾鰭を象りました可能性が高いです。

0:07:15.845,0:07:21.774
次に「丙」*pqraŋʔ, *praŋʔ > pjaengXの語源ですが、

0:07:21.774,0:07:30.996
「臀部」を意味する漢蔵祖語*(p/b)waŋと考えられます。

0:07:30.996,0:07:34.903
「腰部」を意味するレプチャ語pán̊

0:07:34.903,0:07:40.426
「尾部」を意味するトゥチャ語phoŋ³⁵

0:07:40.426,0:07:45.941
「腿部」を意味するビルマ語ပေါင် paung

0:07:45.941,0:07:47.368
と関わりがございます。

0:07:47.368,0:07:55.168
全て尻、腰、尾、腿など、

0:07:55.168,0:07:59.917
体の下部を意味する言葉で発音も似ておりますから、

0:07:59.917,0:08:09.267
同じ語源、漢蔵祖語*(p/b)waŋから分かれたと考えられます。

0:08:09.267,0:08:17.325
というよりも、これらの子孫の言語たちから、漢蔵祖語が再構されているわけです。

0:08:17.325,0:08:23.219
そして、「午」に行ってみたいと思いますが、

0:08:23.219,0:08:28.619
これは見たまんま「杵」を象りました!

0:08:28.619,0:08:32.328
《說文》「杵,舂杵也」「舂,擣粟也。从廾持杵臨臼上。午,杵省也。」を見ましたら、

0:08:32.328,0:08:36.774
「杵」「舂」

0:08:36.774,0:08:41.828
杵を両手「廾」で持って、臼の上に臨むと書かれています(「从廾持杵臨臼上」)。

0:08:41.828,0:08:49.799
そして、「午」は「杵」を略している(「午,杵省也」)!

0:08:49.799,0:08:51.521
この分析は正しいです。

0:08:51.521,0:08:55.250
実際に甲骨金文を見てみましたら、

0:08:55.250,0:08:58.167
このような形でございます。

0:08:58.167,0:09:02.736
更に「秦/𥢮」*zin, *[dz]i[n] > dzin > qínや「舂」*hljoŋ, *s-toŋ > syowng > chōngなどは、

0:09:02.736,0:09:12.840
「禾」や「臼」の上で「午(杵)」を両手「廾」で動かして脱穀している様子が象られております。

0:09:12.840,0:09:21.210
次に「杵」*ŋ̊ʰjaʔ, *t.qʰaʔ > tsyhoXの語源ですが、

0:09:21.210,0:09:24.768
漢蔵祖語が再構されておりませんでしたが、

0:09:24.768,0:09:33.675
ジェイムズ・マティソフ(James Matisoff, 1937-)教授のSTEDTのデータベースで漢蔵語族の言語たちの「杵」を探しました。

0:09:33.675,0:09:37.436
チン祖語*suk

0:09:37.436,0:09:43.482
チン語族のムカン語(M’kaang)sʰukʰaːⁱ

0:09:43.482,0:09:46.695
タンクル祖語*kow

0:09:46.695,0:09:52.279
タンクル語族のトゥソム語(Tusom)tʰɯə̃-kʰõ

0:09:52.279,0:09:56.155
ボド語tura

0:09:56.155,0:09:59.722
ガロ語suʔ-a

0:09:59.722,0:10:03.686
史興語tɕɛ⁵³ kuɛ³³

0:10:03.686,0:10:07.924
土家語soŋ³⁵ ka⁵⁵

0:10:07.924,0:10:10.755
などと関わりがあると考えられます。

0:10:10.755,0:10:15.428
更に今年は午年(馬年)ですけれども、

0:10:15.428,0:10:20.035
道具の「杵」にどうして動物の「馬」が結びつけられたかに関して、

0:10:20.035,0:10:23.347
ジェリー・ノーマン(Jerry Lee Norman, 1936-2012)さん(A Note on the Origin of the Chinese Duodenary Cycle)や

0:10:23.347,0:10:25.811
ミシェル・フェルリュス(Michel Ferlus, 1935-2024)さん(The sexagesimal cycle, from China to Southeast Asia)らは、

0:10:25.811,0:10:34.020
特に漢語の干支とオーストロアジア語族やタイ=カダイ語族との関係を示唆しました。

0:10:34.020,0:10:41.667
「午」*ŋaːʔ, *[m].qʰˤaʔ > nguXは、

0:10:41.667,0:10:49.569
ベト=ムオン祖語*m-ŋəːʔやベトナム語「馭」ngựa、

0:10:49.569,0:10:57.153
タイ=カダイ祖語ŋja Cやリー祖語hŋaːʔ

0:10:57.153,0:11:01.858
などとも借用かもしれませんが関係がございます。

0:11:01.858,0:11:04.457
以上をまとめましたら、

0:11:04.457,0:11:11.834
「丙」の字源は、魚の「鰭」「尾鰭」

0:11:11.834,0:11:21.838
語源は「臀部」を意味する漢蔵祖語*(p/b)waŋ

0:11:21.838,0:11:26.443
「午」の字源は、「杵」でして、

0:11:26.443,0:11:29.286
漢蔵祖語は再構されておりませんでしたが、

0:11:29.286,0:11:31.926
関係する言語を見てまいれました。

0:11:31.926,0:11:35.181
また、干支の「馬」としては、

0:11:35.181,0:11:43.981
ベト=ムオン祖語m-ŋəːʔやタイ=カダイ祖語ŋja Cと関係がありました。

0:11:43.981,0:11:50.760
今回も漢蔵祖語から派生言語へ下がり、

0:11:50.760,0:11:56.408
漢語内部で現代から中古や上古へ上がり、

0:11:56.408,0:12:00.047
サンドウィッチのように挟み撃ちいたしまして、

0:12:00.047,0:12:03.071
語源と字源を探究してまいりましたが、

0:12:03.071,0:12:07.115
とにかく同じ声符を持つ諧声系列や

0:12:07.115,0:12:11.499
同じ発音もしくは同じような発音を持ち、

0:12:11.499,0:12:14.903
意味が似たような言葉を書いた文字を探り当て、

0:12:14.903,0:12:20.355
漢語内部での言語と文字のネットワークの絡み合いをたどり

0:12:20.355,0:12:22.239
手がかりを探ってまいりました。

0:12:22.239,0:12:28.703
同時に漢蔵祖語と派生原語の発音と意味を手がかりに

0:12:28.703,0:12:31.200
究極の語源を探究いたしました。

0:12:31.200,0:12:36.158
一次資料(primary sources)に基づいて、事実を探究するとき、

0:12:36.158,0:12:38.421
何度も強調してまいりましたが、

0:12:38.421,0:12:41.181
言語を文字が書いている。

0:12:41.181,0:12:46.960
言語の方が先にあって、文字が当てられました。

0:12:46.960,0:12:53.616
という大原則から、古代人がどのように文字を運用して、

0:12:53.616,0:12:56.206
言語を表記したかを探究できました。

0:12:56.206,0:13:02.711
今年もこういった形でサクッと見てまいれましたが、

0:13:02.711,0:13:05.502
こちらに戻りまして、

0:13:05.502,0:13:12.077
本年もどうか皆さまお身体をおいといの上、

0:13:12.077,0:13:17.522
素敵な一年をお過ごし下さりますよう、 お祈り申し上げまして、

0:13:17.522,0:13:20.494
新年の動画を締め括りたいと思います。

0:13:20.494,0:13:23.254
ご視聴くださりまして、

0:13:23.254,0:13:25.773
ありがとうございました。

0:13:25.773,0:13:31.040
それでは失礼をいたします。

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