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【謹賀新年 2024 甲辰】「甲」「辰」の語源と字源を言語と文字と実物の多方面から探究してまいりました。本年もKF-ScholaとKF-Ars Sinicaを何とぞ宜しくお願い申し上げます。

皆さま、明けましておめでとうございます。本年もお楽しみくださりましたら幸いです。素敵な一年となりますようにお祈り申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。

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KF-Ars Sinica:https://www.youtube.com/channel/UCVcC…

※日本語の字幕を表示するスクリプトをご用意しました。
 専門用語や細かい訂正などは字幕でご確認下さいませ。

各位親愛的朋友們:恭賀新禧!謝謝您一直以來的照顧。謹祝闔家萬事如意、健康長壽、天倫永享、後福無疆。今後也請您支持一下。希望您與闔家能度過開開心心的一年🙏

Happy New Year ! Thank you for your kind attention. Hoping that you will be looking forward to them, then also hoping that it will be a wonderful year.🙏

Bonne année ! Merci pour votre aide chaleureuse. En espérant que vous les attendez avec impatience, et aussi en espérant que ça sera une merveilleuse année.🙏

¡Feliz Año Nuevo! Gracias por su cálida ayuda. Esperamos que los esté esperando, y también esperamos que sea un año maravilloso.🙏

Felice anno nuovo! Speriamo che li attendi con impazienza, anche speriamo che per voi possa essere un'anno meraviglioso.🙏

2024年1月1日

皆さま、明けましておめでとうございます。

本年も何とぞ宜しくお願い申し上げます。

とは 言いましても、

昨年の元旦のご挨拶から一年間もずっと更新できておりませんでした。

今まで投稿した沢山の動画がございますから、

どうか貯金の方で何とか宜しくお願い申し上げます。

特に金印のシリーズは、昨年に飛躍的に再生数が伸びておりまして、

本当にありがとうございます。

一次資料に基づいて事実を探究する実事求是の姿勢で貫かれておりますのでお楽しみ下さればと存じます。

さて、毎年恒例の今年の干支シリーズですけれども、

今年はこちらの「甲辰(こうしん、きのえたつ)」でございまして、

秦代の小篆から、漢代の隷書、

六朝の楷書、唐代の楷書、

智永の草書が見えておりますけれども、

一つエクスキューズしておかなければならないことは、

褚遂良の楷書がなくてですね。

行書の枯樹賦から持ってきたことです。

そして、小篆より古い時代の甲骨金文、戦国文字の楚簡、こちらにございますけれども、

これらが何が象られているのか、

今回、見てまいりたいと思います。

先ずこちらを見てまいりましょう。

これは今から3000年以上前の本物の亀甲に刻された甲骨文ですけれども、

河南安陽殷墟(YH127坑)から出土した欠損のない完璧な亀甲です。

ここに灼という熱した鏝を当てて、ひび割れを作りまして、占いがなされておりますけれども、

もうここに出てますね。

実は当時にはひび割れやすいように加工したり、

ちょっとズルをしていまして、まあ、それはよいといたしまして、

こちらの文には日にちとして、今年の干支が使われておりまして、

よく見てみましたら、「甲辰卜」とこの実際のひび割れの形「卜」をしている字ですね。

(それ)に「㱿鼎(貞)」と書かれておりまして、

こちらに楷書化した今の漢字に直した文が出ておりますけれども、

この部分ですね。

まあ、別の部分にも色々と書かれておりますけれども、

まあ、こうして、干支が使われた実例を見まして、

それではこの「甲辰」、言語学や文字学の方面から考えてみましょうということになりまして、

KF-Ars Sinicaでは、今まで一貫して、言語と文字、漢語と漢字のデュアリティや関わり合いを主題としてまいりましたけれども、

そもそも、「甲」と「辰」は何を象りました文字でどのような言葉であるか、

即ち、字源と語源を知りたいということですから、

こうした資料をご用意いたしました。

いきなり答えから行きますけれども、

この「甲」は鎧を被る人の頭を象っているんじゃないかと考えられます。

特に古い字形、殷代の甲骨金文は原形を留めておりますけれども、

特に更に写実的な族徽(殷代の一族のシンボル)を見ましたら、

本当にこの同じ形の人の頭が見えております。

ですから、《説文解字》の説明は正しくて、

金文でも〈杜虎符〉(《殷周金文集成》12109)というところに「被甲(甲を被る)」と書いてありますね。

そして《説文解字》の方でも、「鎧,甲也(鎧が甲である)とあります。

そして、《禮記·曲禮》「獻甲者執胄」の方でも、甲の鎧が出てますしね。

《戰國策·齊策》「齊國寡甲兵」でも「甲兵」、

《孫子兵法·作戰》「甲冑矢弩」でも、甲冑という言葉が見えております。

まあ、戦国時代の文献にも「甲冑」や「甲兵」が見えていると、

まあ、字源はこれでよいとして、

次に語源を考えるわけですよ。

それは漢語の中で遡れる限り、遡り切りました上古漢語から旅が始まるわけです。

「甲/𠇚」で言うと*kraːb, *[k]ˤr[a]pですね。

Baxter-Sagartの上古漢語の再構音、

更に漢蔵語族の色んな言語にまで広げてみようということで、

いつものアラン・マティソフ教授(Professor James Alan Matisoff)のSTEDT(Sino-Tibetan Etymological Dictionary and Thesaurus)のデータベースに当たりましたら、

まあ、いきなり答えから行きますけれども、

漢蔵祖語(*(g/k)wap)、これは「覆う」「被せる」「卵を温める」「孵化させる」(#1233)という意味でして、

タニ祖語*gup、

クキ=チン祖語*khup、

ジンポー語gàp、

タマン祖語*ᴬgapなどから再構されております。

漢蔵祖語レベルでも、派生語彙(allofams)が生じていまして、

漢蔵祖語(*klup)は「覆う」「包む」(#2321)という意味でして、

ナガ祖語*a-hl[a/ə]p、

ボド語khlop、

ジンポー語grup、

チベット語ཀླུབ klubなどから再構されております。

漢蔵祖語(*ʔup)は「覆う」「孵化させる」(#2767)という意味でして、

カルビ語up、

ジンポー語úp ⪤ wúp、

タマン祖語*ᴬu、

リス語ūʼ³、

ビルマ語အုပ် up /ʔoʊʔ/の「覆う」、

カレン語u̱ʔ⁵⁵の「孵化する」などから再構されております。

漢蔵祖語(*kwap)は「肌」「唇」「鱗」「貝殻」(#783)という意味でして、

ナガ祖語*kəp、

コニャック祖語*kʰoːpの「肌」、

*goːpの「貝殻」などから再構されております。

漢蔵祖語(*krap)は「貝殻」「盾」(#5516)という意味でして、

チベット語ཁྲབ khrabは「鎧」と今調べている上古漢語「甲/𠇚」*kraːb, *[k]ˤr[a]p、

まあ、中古漢語ですとkaep、

まあ、日本語に入るとですね。

漢音「かふ(kapu > kafu > kō)」になりましたけれども、

そうした音(中古漢語、上古漢語、チベット語など)から(漢蔵祖語が)再構されております。

これらをまとめてみましたら、

「覆う」「被せる」から、

「包む」「卵を温める」「孵化させる」、

「肌」「唇」「鱗」「貝殻」「盾」「鎧」などの言葉が、

漢蔵語族の言語に広くみられますから、

6000年前の漢蔵祖語の段階で既に派生語(allofams)を生じていましたことが分かります。

しかも、漢語の中でも、

例えば、「蓋/盍(ふた)」*kaːbs, *[k]ˤap-s > kajH、

「合(あう)」*ɡuːb, *m-kˤop > hop、

「蛤(はまぐり)」*kuːb, *[kˤop] > kop、

「鞈(なめし皮)」*kruːb, *[kˤəp] > keapがありまして、

見事に対応していまして、もう感動しました!

更にですよ。それらは字源からすれば、ちょっと怪しいですから、ここには書きませんでしたが、

驚くべきことに《説文解字》「从木戴孚甲之象」でも、

戦国時代に訛りました字形、

特に古文「𠇚」を「孵化」の「孵」の旁の「孚甲」を象るとされていまして、

「草木の頭を覆う形」であると解釈されていまして、

あまりの一致に絶句しておりましたけれども、

まあ、しかしながら、殷代の甲骨金文など古い字形では、

やはり、甲冑を象ると考えられます。

そういうことですから、漢語だけではなく、

漢蔵語族の言語まで広げてまいりましたら、

語源と字源が正確に分かりまして、

多角的に調べてゆくことができましたね。

中には「蓋/盍(がふ gapu > gafu > gō/gai)」、

「合(がふ gapu > gafu > gō)」、

「甲(かふ kapu > kafu > kō)」、

それらは全く異なる声符で音を書いたため、

同じ語源と気づきにくいものがありますけれども、

当たり前ですが音はよく似ていますね。

もともとあった言葉は同じ語源から来ているわけですから。

この調子で次の「辰/𠨷」*djɯn, *[d]ərに行ってみましょう!

中古漢語ではdzyin、

ここから日本語に入りまして、漢音「しん(shin)」となりましたけれども、

こちらは三年前の年賀で特集した覚えがありますから、

そちらの動画もご覧下さればと存じますけれども、

先ず字形からまいりましたら、

「石」がここについておりまして、

柄がついているわけですから、

石製の農具で「耨(くわ)」を象ることが分かるんですね。

それでこちらに(山東)陶寺遺址で出土した骨でできた耜(くわ)に骨耜刻文(IIM26:4)がございまして、

「辰」で「耨(くわ)」と書かれておりますから、

実物と照らし合わせて間違えないんじゃないかと!

更に殷墟小屯南地で出土した甲骨文(128)

ここ「叀辱(耨)散」に「耨(くわ)」が見えますね。

この字「辱(耨)」です。

そして、白黒反転させてきれいにいたしました。

この字「辱(耨)」ですけれども。

農業に関係するということが、文脈「叀辱(耨)散」の中で分かりまして、

「農」という字も、この「辰」を部品に含んでいるわけですね。

昔は石製の農具を紐でつるして、

石磬という楽器がございまして、

こうして石の形「石」に撥「殳」で叩いている。

しかも、手「又」もありますね。

こうして同じ部品を持つ文字を調べることによりまして、

相互に字源を特定することができます。

先ほどの「甲」もそうでしたけれども、

「辰」もめちゃめちゃに字形が訛りまして、

《説文解字》や《淮南子·氾論》には、

「蜃を磨いて耨に使うんだ(摩蜃而耨)」ということが書かれているんですよ。

ですから、「蜃」と「耨」を結びつけているんですけれども、

明らかにそれは誤りです。

それは、最も古い殷代の甲骨金文の字形を見て分かるわけですね。

次は語源を考えてまいりますけれども、

道具や動植物の名前というのは、やはり、使い方や特徴などから付けられておりまして、

「耨(くわ)」で草を刈るときにこの農具を「振る」わけですよね。

「振/震」*tjɯns, *tər-s > tsyinHが語源ではないのかと考えられます。

漢蔵祖語(*dar ⪤ *d(u/i)r)は「振るう」「震える」(#5570)という意味でして、

チベット語འདར 'dar、

ビルマ語တုန် tun、

タマン祖語*ᴬdar、

タニ祖語*danから再構されております。

漢語でも声符は異なりますが、

「顫」*tjans, *[tan-s] > tsyenH、

「憚」*daːns, *[dˤar-s] > danH、

「彈」*daːns, *[d]ˤar-s > danH、

「戰」*tjans, *tar-s > tsyenH

なども同じ語源と考えられます。

先ほどの蜃気楼の「蜃/蜄」のハマグリですけれども語源は異なりまして、

漢蔵祖語(*m-ts(y)ul)は「口」「唇」(#442)という意味でして、

チベット語 མཆུ mchu、

西夏語tśi̯u²、

カルビ語tùr、

レプチャ語a-dulは「唇」、

ネワール語mhutu、

コニャック祖語*N-thuːrは「口」から再構されております。

漢語でも声符は異なりますが、

「觜/嘴」*ʔseʔ, *[s-N-tse(j)] > tsjeXも同じ語源と考えられます。

ですから、こちらの「脣/唇」*ɦljun, *sə.dur > zywinにdurがあります。

「蜃/蜄」*djɯnʔ, *[d]ərʔ > dzyinXも貝殻から舌のように身が出る特徴から名づけられたのではないかと考えることができます。

そして、三年前の特集動画で《國語·楚語下》「十日十二辰」、

《史記·律書》「十母十二子」、

《黃帝内經·素問·本病論》「十干十二支」と見えますとお話しましたけれども、

《淮南子·天文訓》「月從左行十二辰」や《黃帝内經·靈樞經·衛氣行》「歲有十二月,日有十二辰」でも、

やはり、「辰」は「時」「時間」という意味の言葉を書く時にも使われておりまして、

《詩經·大雅·桑柔》「我生不辰」でも、

鄭玄箋で「辰,時也」とありまして、

《爾雅·釋訓》「不辰,不時也」とありますけれども、

この「時/旹」*djɯ, *[d]ə > dzyiから、「晨/曟」*djɯn, *[d]ər > dzyinが派生してくると考えられます。

それは言語の中で(語彙が形態素の付加により派生語を生むということ)ですね。

声符も異なりますし。

これらの語源は漢蔵祖語が再構されておりませんでしたけれども、

STEDTのデーターベースを総当たりで調べましたら、

チベット語དུས dus、

西夏語dzjɨj、

チン祖語*trum、

ジンポー語ten、

タンクル語təm、

姜語tiæ̀N、

彝緬祖語*ta²、

白語tsɛ̃²¹などと関係がありそうではないかと見つけてまいりました!

こうして、以上をまとめましたら、

「甲/𠇚」*kraːb, *[k]ˤr[a]p > kaepの字源は甲冑で鎧を被った人の頭でして、

語源は漢蔵祖語(*(g/k)wap)で「覆う」「被せる」(#1233)でした。

そして、「辰/𠨷」*djɯn, *[d]ər > dzyinの字源は耨(くわ)で石に柄がついた農具でして、

語源は「振/震」*tjɯns, *tər-s > tsyinH、漢蔵祖語(*dar ⪤ *d(u/i)r)で「振るう」「震える」(#5570)でした。

干支に使われた文字というのは、

ほぼ全て道具や器具でした。

ですから、今回もその原則に従っているんじゃないかと!

しかも、おもしろいのは、

「甲/𠇚」の方は漢蔵祖語の段階でかなり言葉が分化して、

派生語(allofams)を生じておりまして、

それぞれの言語でも同じような意味を持っておりましたけれども、

漢語の内部で文字を当てて書いたとき、

まあ、戦国時代ですから上古漢語でも古い時代ですね。

複数の声符で書かれておりました。

逆に「辰/𠨷」の方は、別々の語源、

即ち、別の漢蔵祖語の言葉が、漢語に引き継がれて、

そこで異なる語源の全く違う言葉の近しい発音の言葉を同一の声符でこの部品を使って書かれておりました。

これは逆のパターンでした。

こうして、漢語と漢字、語源と字源を探るとき、

言語と文字のデュアリティでお互いにどのような関わりがあるかを調べることが大切であるという原則に従いまして、

今回も精密に探究してまいれたのではないかと思います。

本年もどうか皆さまお身体をおいといの上、

素敵な一年をお過ごし下さりますよう、

お祈り申し上げまして、

新年の動画を締めたいと思います。

ご視聴くださりまして、ありがとうございました。

それでは失礼をいたします。

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