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【中:漢語と漢字の系譜】新しいプロジェクトが始まりました!漢語と漢字の歴史を一文字ずつたどります。Glottogenealogy of Chinese languages and characters

新たなシリーズ【漢語と漢字の系譜】が始まりました!漢字の構造を字形、字義、字音から、漢語の系譜を起源から、一文字ずつたどります!字幕もぜひご覧くださいませ!暖かいお言葉かけを下さりましたら、SNSでシェアー下さりましたら、今後の制作の励みになります。KF-Ars Sinica、KF-Scholaと併せて、何卒よろしくお願い申し上げます。

各位親愛的朋友們大家好:感謝您一直以來的照顧。【漢語與漢字的譜系】系列剛開始了!我們希望繼續這個頻道(KF-Ars Sinica)與姊妹頻道(KF-Schola),分享感到興趣的所有領域話題。如果注冊頻道的話就太好了!我們把您的支持作為激勵而努力!日文字幕自動翻譯成中文字幕!歡迎大家前來收看指教😊

Here we start a novel project "Glottogenealogy of Chinese languages and characters 漢語與漢字的譜系系列" so as to look into the unique system of Chinese characters 漢字 in three ways: character form 字形 (paleography 文字學), word meaning 字義 (lexicology 訓詁學), phonetic value 字音 (phonology 音韻學)! We solely use Japanese, but we also have subtitles, so that you can use an automatic translation, so you can enjoy in your mother tongue ! We are looking forward to further exciting activities. Please subscribe to our channel ! Thank you. 🙏

Nous lançons un nouveau projet ≪ Glottogénéalogie des langues et des caractères chinois 漢語與漢字的譜系系列 ≫ d'examiner le système unique de caractères chinois 漢字 avec trois manières : la forme des caractères 字形 (paléographie 文字學), la signification des mots 字義 (lexicologie 訓詁學), la valeur phonétique 字音 (phonologie 音韻學). Nous seulement parlons japonais, mais nous avons aussi des sous-titres, donc vous puissiez utiliser une traduction automatique pour le profiter dans la langue de Molière ! Veuillez vous abonner à notre chaîne ! Nous attendons avec impatience d'autres activités passionnantes. Merci à vous. 🙏

¡Estamos lanzando un nuevo proyecto ≪ Glottogenealogía de idiomas y caracteres chinos 漢語與漢字的譜系系列 ≫ para analizar el sistema único de caracteres chinos 漢字 con tres maneras: forma de caracteres 字形 (paleografía 文字學), significado de palabras 字義 (lexicología 訓詁學), valor fonético 字音 (fonología 音韻學). Solo hablamos japonés, pero también tenemos subtítulos, así que con una traducción automática puedas disfrutar en su lengua materna! ¡Por favor suscríbete a nuestro canal! Esperamos nuevas actividades interesantes. Muchas gracias. 🙏

Stiamo lanciando un nuovo progetto "Glottogenealogia delle lingue e dei caratteri cinesi 漢語與漢字的譜系系列" per analizzareil sistema unico dei caratteri cinesi 漢字 in tre modi: forma dei caratteri 字形 (paleografia 文字學), significato delle parole 字義 (lessicologia 訓詁學), valore fonetico 字音 (fonologia 音韻學). Parliamo solo giapponese, ma abbiamo anche sottotitoli, così con una traduzione automatica puoi godertela nella sua lingua madre! Per favore iscriviti al nostro canale! Attendiamo con impazienza nuove attività entusiasmanti. Grazie mille. 🙏

2021年12月24日

皆さま、こんにちは。

KF-Ars Sinicaにおいて、

漢字、漢語を一つずつ、見てゆきましょうという、

新しいプロジェクト「漢語と漢字の系譜」シリーズが始まりました。

KF-Scholaでは、「実事求是」を大切にしておりまして、

一次資料(primary source)に基づいた事実の探究が炸裂いたしますけれども。

KF-Ars Sinicaにおいて、漢語と漢字を探究するとき、

こちら!

実際にどのように言語や文字が伝えられてきたかを探究することになるんですけれども。

言語と文字のデュアリティ、

漢語と漢字の双対性というテーゼがございましてね。

できる限り、手を尽くして、

関係する資料を集めて、

考察を深めて、

事実に迫りたいというあくなき探究をすることなんですよね。

そこで大切な観点がございまして、

人類の言語、文化、社会の構造は、重層的でありまして、

その時、その時の型に新しいアイディアが積み重なりまして、受け継がれてきたんですね。

ある言葉、ある文字の歴史にしても、

継承されて変遷してきた総体として、

あらゆる時代やあらゆる地域で発展をしてきた系譜を探究することができまして、

言語系譜学(glottogenealogia)の発想を閃きまして、

今、申し上げましたことは、

真ん中に大きく書かれておりますけれども。

漢語と漢字の関わり合いを細かく分けましたら、

どんな形で書かれていたか、

字形、

どんな意味で用いられたか、

字義、

どんな音で話されたか、

字音が結びついておりまして、

こちら、

漢字は字形、字義、字音に分かたれまして、

文字学、訓詁学、音韻学が、

相互に関わり合いまして、

考証学として探究されてきまして、

中国の伝統的な「小学」と言いますけれども、

西洋の科学的な言語学(linguistics)や文献学(philology)に相当する、学術領域に現在は統合されまして、

伝統の小学と西洋の科学が融合されて、探究が続けられておりますけれども。

そうした先人たちが探究をして解明されてきました。

われわれが日常で使っております。

漢語と漢字の面白さを親しみやすい形によりまして、

わくわくしながら、

中学生でも分かるように語ることができないかという挑戦を続けてまいりたく存じます。

そういうことで、このシリーズは、

字形、字義、字音の三本立てで構成されておりまして、

先ず、最初に字形から見てまいりたいと思いますけれども。

こちらに殷周、

春秋、

戦国、

秦漢と、

様々な媒体で伝えられてきた、文字の経歴のINDEXがございまして、

「中」(ちゅう、なか)がずらりと勢ぞろいしておりますけれども。

秦漢で漢字の字形や用法が、かなり整備されておりまして、

篆隷が生まれまして、

われわれの楷書がございますけれども、

こうした全体の見取り図、

チャートによりまして、

文字の変わり方の大きな流れを先ずは捉えてみましょうというチャレンジでして、

実は我々が用いる楷書の正しい形は、篆書ということになっていまして、

公式の場面において、

例えば、碑文の題額や書籍の題箋(タイトル)、

日本国の旅券(パスポート)や契約書の印鑑で使われておりまして、

まあ、中身は隷書(楷書)で書きましても、

大事な所だけ篆書が用いられて名残りがあるんですよね。

実は楷書、更にその古い形の隷書は、早書きされた略体でして、

まあ、秦漢のとき、篆書から隷書に行くとき、

隷変といいまして、字形は大きく変わりましたけれども、

秦漢の小篆以降の文字は、小篆の子孫で字形の骨格が受け継がれておりまして、

われわれは字形と用法が整理されて、規範化された後に生きておりますけれども。

それ以前の文字は、言葉に対する文字の使われ方、当て方が、今とは大きく異なりまして、

正しく釈読するには、文字学、訓詁学、音韻学など、専門の知見が必要ですけれども。

今回はその文字の世界を旅をしてみようという趣向でして、

先ず、こちら!

甲骨文は、玳瑁、亀の甲羅や骨片に刀で刻まれていまして、

直線的で本当に肥えた痩せた線があるんですよね、

巧みに形が表されていて見事なんですよね。

ここに占いのひび割れ「卜」の字形そのものがありますけれども、

こちらの拓本では、文字が浮かび上がっているんですよね。

それですごく見やすくなっております。

こちら!

甲骨文の中は、見ての通り、

丸の真ん中に棒がありまして、指示字なんですよね。

こちらも、三本ある真ん中が長くなって、

そして、こちら、棒に吹き流しが付いていまして、

実は甲骨文には結構、異体字、異なる形の文字がございまして、

下に出典が書いてございますけれども。

無名組など、時期によりまして、甲骨文は分別されておりまして、

こちらも、旗と吹き流しを描いた象形字ともいえるんですね。

更に吹き流しや竿の感じが出ていて、旗らしく見えますけれども。

実は甲骨文を字書から取り出してきても、

これは「中」だと、直ぐには確定できませんでして、

私は実際に元の甲骨文の文章を確認してみたんですよ!

そうしましたら、吹き流しがない形「中」は、地名で使われていたり、

殷王の廟号「中丁」など、名前で使われていたりして、

それは意符「人」を加えた「仲」と後の史書で伝えられていますけれども、

吹き流しがない「中」でもともと書かれていたり、

また、持ち手「又」を付けた歴史の「史」と読まれていたり、

もしくは、そこに意符「人」を付けた「使」と読まれたり、

結構、文字学者により釈読が異なりまして、

字形が類似していても、

実は同一の字であるとは限らず、

文章の中で釈読されて初めて、

古(いにしえ)のこの文字は、今のこの文字と読めまして、

隷定すると言いますけれども、

隷書にする。

まあ、今で言う楷書に当たると認められること、

即ち、この言葉この意味で書いていることが分かることを声を大にして強調したいですけれども。

やはり、旗の吹き流しが付いている形「𠁩」が「中」として使われました。

ですから、甲骨金文で似た字形であったとしても、

別字が混ざり合い、合流した可能性もありまして、

実はこんなにシンプルで誰しもが、直ぐにこの文字だと考えてしまう所なんですけれども。

文字学や訓詁学や音韻学の観点から、

ちょっと待ったと考える余地が結構ありまして、

意外な落とし穴が多くございまして、

文字の世界は奥が深くて探究のしがいがありまして、

前はこう読まれていたけれども、いや、違うんじゃないかということも、結構あるんですよね。

ですから、究極の出所、

一次資料まで遡り調べましたら、

今まで気づかれてこなかった、新しい発見が結構あるんじゃないかと、

楽しい感じになってまいりましたけれども。

私も字書に乗せられた文字をそのまま信じず、

全て元の使われた場所(一次資料)を見に行きまして、

まあ、断片が多くて、判定しずらい部分もありますが考えてまいりました。

これは本当に文字を釈読する上で本当の基本原則ですから、

もう、熱を込めて語ってしまいましたけれども。

次に陶文がございまして、

これは右にございますように、陶土にスタンプのように押したり、

左にございますように箆で掻いたりされまして、

焼き固められました陶器は残りやすくて、

古い文字が伝えられてきて、ものすごい貴重な資料なんですよ!

そして、こちらは殷代の陶文ですけれども。

実は殷代の文字は、甲骨金文以外にも、

陶文や甲骨や玉器に書かれた文字などが少しだけ知られているんですよね!

こちらは、もう吹き流しがあるんですよね!

そして、こちら、金文がございますけれども。

特に金属に鋳込まれた文字は残されやすくて、

こうした立派な青銅器が多数出土しておりまして、

今から3000年以上前からのかなりの数の文字が伝えられているんですよ!

青銅器の内部とか、比較的、平らなところに文字が鋳込まれてへっこんでありますから、

そこに紙を張って、こういう拓を採れるんですよね。

そうすると文字の部分が白く浮き上がっていると!

拓本! 金文を研究する上で大事ですということで行ってみたいと思います。

こちらは吹き流ししかない「中」もあるんですよね!

これは殷です!

そして、吹き流しと〇が中にある「中」で面白い!

これは西周初期!

そして、更に西周中期でも、吹き流しだけのタイプもありまして、

しかも、逆を向いておりますということで天邪鬼みたい「中」(笑)

また、我々の(篆書・隷書・楷書の)「中」に近い!

丸「〇」に棒「|」が立ってる「中」!

これも西周中期にあります。

色んなバリエーションを集めてまいりましたけれども。

下の吹き流しが略されちゃった!

真ん中が三角形なってるという字形まで(戦国中期に)ありまして、

基本としては、ある形の動画を残して、

もしくはどこかを無くしていて、

多彩なヴァージョンの字形が用いられたことが分かりますね。

それは裏返しますと、

もともと何を象っていたのかっていうのは分かるから、

その象り方のその切り口が違うという、見方が違うような形で字形のバラエティーが生じていると!

どれが受け継がれていくかということで字形が変化してきているということが分かってくるんですよね!

次は貨幣ですけれども。

最初は殷周には宝貝(タカラガイ)の貝貨でしたけれども、

戦国時代になりますと、貨幣の種類も増えまして、

西周の銅貝から、楚の蟻鼻銭に受け継がれたり、

まあ、楚では、郢爯(えいしょう)、

もしくは、古くは郢爰(えいえん)と読まれてましたけれども、

金貨がありまして、

チョコレートみたいにポキポキ割ってブロックにして使われました。

そして、刀を模した刀幣、

耜を模した布幣、

璧を模した円銭などがありまして、

まあ、秦代以降はこの形で銭ということで、

この系統の方が使われてまいりましたけれども。

こちら、燕という国で使われた刀幣では、

丸と上の旗だけになってしまいまして、

真ん中の棒が消えまして、

ここまで略されているんですよね。

これもすごい!

ここまでになっちゃう!

やはり、貨幣はかなり極端に字形がデフォルメされている字形がおもしろいんですよ!

これも昔を読めなかったんですよ!

最近は色んな角度から研究が進んできて、

これは「中」と読めるようになったんですけれども。

そして、次は、鉨印ですけれども、

戦国時代から璽印がものすごい数の印章が使われまして、

特に古鉨と言いまして、

こちらの字「璽」でして、

更に古い形では「鉨」でして、

金偏に「尓(爾)」でして、

この場合「璽」は「玉」が付いていまして、

意符が違いますよね。「玉」なのか、「金」なのか、

そして、声符はこの両方「鉨(璽)」*smlelʔ, *s.[n]e[r]ʔ > siᴇXとも「尓(爾)」*njelʔ, *n[ə][r]ʔ > ȵiᴇXです。という形でして、

こちらの「鉨」は中国語で元素の「鉨(nihonium / Nh)」なんですよね。

日本人が発見(合成)した新元素ですけれども。

本来の意味は、まあ、故宮博物院に所蔵された古鉨たちですけれども。

戦国時代の印式、古鉨のスタイルやもしくは使われている文字は地域により、

字形や用法が大きく異なりまして、

もう見ただけで、こちらは「平陰都司徒」と読めますけれども。

これは燕系古鉨だと!

そして、こちらは「右遂文𡭴(㣎)信鉨」と読めまして、

これは齊系古鉨ですよ!

両方とも北の方かな!

それでこの面白い!丸くなっている!

これは「尃室之鉨」と読めまして、

これは楚系古鉨なんですよ!

これを分域と言いまして、

地域を分けられるんですよ!

そして、こちら。

「中」は縦の棒が略されて、

真ん中に点があるだけですよね!

ここまでいっちゃうのかと!

やはり、貨幣と印章は、

本当に究極的まで、もう、ロゴマークみたいになっちゃうという、

そこまで文字の字形が省略されるということで面白いじゃないかと出してまいりました。

そして、石刻とありますけれども、

石に刻まれた文字もございまして、

まあ、戦国時代以前には、意外と少ないんですけれども。

最も有名なのは、戦国時代の秦国の文字、

大篆、籀文とも言われましたけれども。

やはり、石鼓文ですね。

こうした石のボウリング球みたいな形の表面に刻まれてまして、

拓が取られていて、

やはり、これもなかなか貴重なもので、

もう、宋の時代に今から1000年くらい前に採られたんですけども。

こちら、秦国の戦国時代の文字は、

きちんとした字形が見られるということで、

大篆、これは小篆のご先祖様だということで見てまいりました。

また、こちらですけれども、

今度は玉板に書かれた文字でして、

こうした盟書と言いますけれども。

玉のしかも、これは、頭が尖がっていますから、圭と言いますけれども。

玉の板に誓いの内容を書いて、

土に埋められまして残されまして、

載書とも言われますけれども、

温県盟書は墨で書かれていますけれども。

侯馬盟書は朱で書かれておりまして、

更に見やすくするために、赤外線で写真を撮りまして、

拓みたいに見えるということでありますけれども。

(今までは紛らわしいことに晋国の文字でしたが、)そして、秦国の祭祀に用いられた玉板と摹本、

模写もありまして、見やすくなっておりますけれども。

実は木や竹や絹や布の上にも書かれたんですけれども。

殆どそれらは朽ちてしまって残りませんでしたけれども。

甲骨や玉片に書かれた肉質の書は、

殷周にも少ないですけどありまして、

戦国春秋時代の今こちらに出ておりますような肉筆が大量に出てきたことは、ものすごいことなんですよ!

字形に行ってみますよ!

侯馬盟書は真ん中に横線が入っているんですよね!

あとは見てきた形です!

温県盟書は吹き流しがつながっていまして、

やはり、筆で書くのに適してますね!

早く書けてシュワーンと二本でピンピンじゃないということでありますけれども。

そして、簡牘もそうなんですけれども、

冊の形に組みひもで結わえて、

巻物にして、今でも、書籍を一冊とか、一巻と数えますけれども。

竹簡や木簡、

竹や木をパカーンと割りまして、

そして、木牘、木の板ベラですよね。

そして、簡だと簾のような感じで、書籍の形で出土してるんですよ!

これは、ものすごい文字の資料でして、

今までの資料は、やはり甲骨金文は断片や定型の文章であるとか、

実際に長い文章を書いている例は少ないですけれども、

簡牘は書籍や書簡ですから、

言語の実体、

文章の中での文字の使い方や読み方が分かりまして、

ものすごく貴重なんですよね。

そして、一番左は楚簡で《易》の筮法(占いの方法)について書かれていまして、

そして、右端は里耶秦簡でして、

篆隷で書かれた行政文書でしたり、

真ん中は居延漢簡でして、

草書で書かれた行政文書なんですよ!

まあ、時代は、戦国時代の楚、秦漢まで来ていますけれども、

木牘や巻冊の形状をよく伝えてくれていて、

紐まで残されているという、

素晴らしい保存状態ですから出しました。

そして、戦国時代の包山楚簡でも、

ちゃんと旗を継いでいまして、

でも、人間が書いてるから、非常にハンドフリー感はある!

そして、郭店楚簡では、

上だけピンとついているんですね。

一番上は点ですけれども。

どうも、楚簡では上に点や棒が付け足される字形が多くて、

更に屋根「宀」が付いた字形もありましたけれども(それは意符「衣」を伴う「衷」である可能性があり、「忠」として使われる傾向があります)。

「中」の下の丸に棒というのは継いでいて、

旗も名残が残っているってことでありました。

そして、こちらの後漢の許慎さんが編纂した《説文解字》の宋本を出しましたけれども。

大徐本と言いまして、

宋の徐鉉さんが校訂したものですけれども。

戦国時代の古文「𠁧」・籀文「𠁩」に加えて、

《説文解字》では、この篆文「中」を見出しとしておりますけれども。

この三系統を実際に見ていきましょう!

先ず、古文ですけれども。

基本的に戦国時代の秦国以外の字形が、

六国古文「𠁧」として伝えられたんですけれども。

宋代の郭忠恕さんの《汗簡》などでも、伝承古文として、

字形がかなり訛りましても、後々まで伝えられて、

先ほどの楚簡が出土したとき、

釈読に役立てられたんですけれども。

そして、こちら、籀文「𠁩」は、

戦国時代の秦国の文字で大篆と言いますけれども。

石鼓文で先ほど見てきたものに似ているということでして、

この子孫が、こちら、

小篆でありますけれども、

大小で来て、この小篆が《説文解字》の見出しの親字として使われてまして、

かなり、小篆はモダンな書体ですけれども。

まだ、紀元前ですけれども。

まあ、2300年ほど前に秦の始皇帝が天下を取りまして、

それで文字統一、各国で使われていた、もう色んな文字を統一しまして、

字形だけでなくて、用法、言葉との対応も整理されて、固定されて、規範化されましたけれども。

秦代には、ものすごい数の行政文書を作らなくてはならなくて、

早書きをしてゆきましたら、

こちら、秦隷という、篆書と隷書の間、ハイブリッドな書体(篆隷)でして、

これを隷化と言いますけれども。

隷書っぽくなってきた!

また、草書ぽくなってきて、草化と言いますけれども。

まあ、この睡虎地秦簡では、真ん中の穴も丸みを帯びていますけれども、

漢代まで来ちゃうと居延漢簡では、

もう一画ずつ、ポキポキ、歯切れよく書いていますよね。

真ん中の丸も、もう四角くなっちゃっているという感じでして、

しかもですよ。

簡牘に沢山の文字を詰め詰めして書くために、字形が扁平になりました。

そして、更にここまで来ちゃいますと、

もう、魏晋、

鍾繇とか、王羲之ですね。

今こちら王羲之の小楷と言いますけれども、

小さい楷書、もう、これは楷書を確立してますね!

我々が毎日使っております、見慣れた文字になりましたよね!

本当にめでたし、めでたし、ということですけれども。

ここで思ったわけですよ!

そもそも、今まで見てまいりましたような文字が、実際にどう使われて、

どう読まれているのか。

これは字義や訓詁ですけれども。

それを見てみたいということで、

こちら!

義に入ってまいりましたけれども、

今度は文章の中でこの文字がどう使われて、

どういう意味を持ちえるのかということを見てゆきたいということでして、

先ず、甲骨からですけれども。

「中」は風向きを測る旗を意味していたんじゃないかと!

その象形字じゃないかということでありながら、

真ん中に丸がありまして、

棒が突き刺さっていまして、

指示字でもありということでしたけれども、

甲骨の文例を見てみましたら、

これ、「中を立てる」とありまして、

しかも、鳳凰の「鳳」*bums, *[bəm-s] > bɨuŋH、これは「風」*plum, *prəm > pɨuŋと音が近くて、

結局、「中」と「風」が出てきて、

文脈から、明らかにこれは吹き流し、

旗だと分かるんですよね!

文字の意味とこれは本義といいますよね。

もともとの文字の意味、何を飾られたのかと、

それが一致しておりまして、なかなか面白いんですけれども。

逆に言うと、 この中というのが、

真ん中に立ってるから、真ん中で中だっていうだけでなくて、

この旗自体の言葉が{中}でむしろ真ん中という意味で仮借されたという可能性も考えられなくはないんですよ!

ということも、色々とこういった文章の中で使われ方で分かってきたりですね。

そして、こちらは「何尊」の金文ですけれども。

先ほど金属器が出てましたけれども。

その拓を白黒で反転させて、

文字が見やすく出ておりますけれども。

「中」を発見しましたけれども。

「中或(國)」という言葉が、

初めて出てきまして、

まあ、これは真ん中の国ですけれども。

それですごいことが、

周の武王が、殷「大邑商」を討ったと!

更にすごいのが、まあ、「余」は私はと言ってますけれども。

この中国を統治するんだということを天に告げたという部分ですけれども。

この「中」は、真ん中という意味で実際に使われているということで、

それは文脈の中で分かる。

しかも、単語で分かるということで非常にこれ面白い!

更にここに「成周」という言葉もでてきちゃうという、

極めて歴史的に重要な西周初期の金文でした!

そして、こちら、楚簡ですけれども、

私こちらの郭店楚簡の《老子》を全て片っ端から臨書をしましたけれども。

これも、文字を読もうとしたら、

最初のこの文字から、文字学者たちの諸説が紛糾していまして、

これは「囗」に「右」もしくは「厷(ひじ)」みたいに見えますけれども、

私は意符「囗」に声符「又」に飾符「口」と見まして、

まあ、最初に裘錫圭さんは、初めに「國」と読んだけれども、

後に「囿」じゃないかと改めたり、

漢代の帛書では「國」*kʷɯːɡ, *[C.q]ʷˤəkになっていて、

王弼注(宋本)の老子では「域」*ɢʷrɯɡ, *[ɢ]ʷrəkですけれども、

そして、楚簡は「囿」*ɢʷɯ, *[ɢ]ʷəkに落ち着きましたけれども。

実は三つとも音がよく似ているんですよ!

しかもですよ!

今文では「居」*kas, *k(r)a-sになっているところも、

当時は「凥(處)」*kʰljas, *t.qʰaʔ-sではないかと、

今の字に直しましたら、そうであったりとか、

しかも、これは「安」*qaːn, *[ʔ]ˤa[n]という字が、もしくは「女」*naʔ, *nraʔ > ɳɨʌXになっていますけれども。

これは「焉」*qan, *ʔa[n]という、語気助詞の最後につける字ではないかということでして、

音が近くて通仮されていたりしていますけれども。

まあ、この《老子》は、ものすごい面白い書物でして、

戦国時代のこの楚簡も出ていて、

漢代の帛書も出ていて、

もしくは、簡牘に書かれたものも出ていて、

それでかつ、宋本、王弼本など、

今伝わっているテキストもあるということで、

かなり色んな時代の状態が定点観測ができるということでして、

ぴったんこじゃないかということでして持ってきたんですけども。

そういった状態を全部まとめ合わせると、

まあ、この文章は、

こちらに釈文を置いておきましたよう、

まあ、「この世の中(内)には四つの大きなことがある。そして、王はその一つにある」という意味でして、

まあ、《老子》の中でも、なかなか良い所でハイライトでして、

そして、この文章の中では、「域中」では、「世の中」という意味であって、その「中(なか)」ですよね。

「内(うち)」という意味ですよね。

だから、「山中」で「山の中」と同じ使い方なんですよね。

今度は古籍、伝世文献、

特に秦より前の先秦文献の《戦国策》でして、

「秦の計略が中(あた)る」「齊燕の経略が外れた」と対比して書かれていますから、

間違えなく、これは「ぴったんこ」「中(あた)る」と動詞で使われていますよね。

この「中」は訓読みでも、

「中(あた)る」と送り仮名して、そういうふうに訓詁されますけれども。

今、見てまいりましたのは、文脈の中で「中」という文字が、どのような言葉を書いていて、

どのような意味で使われているかを考えながら読むことができましたけれども、

実は「中」という文字が、どのような意味で使われているかではなくて、

どのような言葉を書いていてという所が大切でして、

実は文字そのものに意味があるのではなくて、

言葉、その音声を書いていることを声を大にして言いたいんですね。

先ほどの楚簡では、

特に音が近いから違う字で書いていた通假をものすごい激しくしていました。

伝統的な小学では、

ある文字とある文字が、音韻の上でも関わりがあるなど、

訓詁をするとき、考証学者たちが気づいてまして、

直音や反切という形で漢字を使いまして、漢字の音を説明されてきましたけれども、

やはり、漢字は音節単位、形態素くらい、一単語くらいを書いていて、

反切では、その半分まで行きましたけれども。

そこより、先に行けなくて、

また、具体的な発音が分からなくて、

漢字の音節の中は、ブラックボックスだったんですけれども。

こちら、ごく最近に比較言語学の手法を漢語音韻学に取り入れて、

更に細かくアルファベット(国際音声記号)まで分析して、

形態音韻論(morphonology)と言いますけれども。

議論できるようになりまして、

現代漢語の方言たち、

この下のクリーム色である部分ですけれども。

もしくは、中古漢語の反切たち、真ん中の所。

更に時代を遡りまして、上古漢語の再構がなされてきて、

時代をどんどん、どんどん、遡りまして、

また、左上にものすごい数の漢蔵語族の言語たちがございますけれども、

また、それらを比較再構して、

今から約6000年ほど前に分かれたんじゃないかという、

祖先の形、漢蔵祖語が姿を現してきまして、

そこから時代を下り、

まあ、今から3000年ほど前の上古漢語をですね。

中古漢語は今から1500年くらい前ですけれども。

下から上がる、上から下がるということで、上古漢語は理解できるじゃないかという「サンドウィッチ作戦」と名付けましたけれども、

本当に挟んであります!

そうした全体のイメージがチャートになって、

なかなか、これをまとめるのは、大変でしたけれども。

先ずは、漢蔵祖語 (t/d)uŋ ⪤ (t/d)waŋ ⪤ ts(y)uːŋでは、

これらは、「真ん中」という意味に加えて、「おへそ」という意味もありまして、

具体的な事物「おへそ」から、体の真ん中にありますから、

抽象的な概念「真ん中」に入った可能性がありまして、

基本として、具体的な事物で抽象的な事物に譬えて、なぞらえて、意味が広がることは、

言葉の変化としては自然ですよね。

漢蔵祖語は、これらの言語を比較再構していますけれども。

古典チベット語གཞུང gzhung /gʑuŋ/と(北部)ナガ祖語dzuːŋでは有声でして、

ビルマ語တွင်း twang: /twɪ́ɴ/、クキ=チン祖語*tshuŋは無声でして、

ボド語siŋは二重調音ではないです。

上古漢語でも、今度はこちらに行きましたら、鄭張尚芳さんの再構*tuŋは、漢蔵祖語と同じ形になっていますけれども、

Baxter-Sagartさんたちの再構*truŋでは、

中古漢語trjuwng /ʈɨuŋ/との接続から、

[r]が挿入されていておりまして、

まあ、これで見ましたら、

漢蔵祖語ts(y)uːŋのy [j]ですけれども、[r]は近しい子音でありますけれども。

だから、語根の一部かもしれませんけれども。

* infixの可能性もあります。

また、名詞から動詞にするとき、

先ほどにありました「真ん中」から「当たる」というような、

動詞になった時に接尾辞*-s suffixが加えられていまして、

truŋに対してtruŋ-sで接尾辞*-s suffixが付加されていまして、

それが中古漢語trjuwngH/ʈɨuŋH/で去声Hに行くんですよね。

そして、ここでは、《切韻》と《広韻》の反切を両方を書きまして、

両方を合わせて「反切」となりますけれども。

更に上古漢語では、名詞、動詞、形容詞ときまして、

基本的に自動詞化や形容詞化をするとき、

*N- prefix前置詞が付加されていまして、

[n]は有声音ですから、

*N-tがくっ付いて合成されて、

無声[t]ですけども、有声[d]になると!

まあ、これは鄭張尚芳さんの再構duŋsよりも、Baxter-Sagartさんたちの再構N-truŋ-sでは、より分析的になっているということで再構されたわけですけれども。

ちなみにこれは、中古漢語drjuwngH /ɖɨuŋH/では、有声の方に行って、対応していますね。

これは本当に音声学的な発想ですけれども。

今、言ったことは、[t]と[d]の関係は、無声と有声ですけれども、

この[n]が合成されちゃったことによって、[t]に[n]の有声的な成分がくっついて、

[t]が[d]に変化したということでありますけれども、

そして、中古漢語drjuwngH /ɖɨuŋH/に入っても、それがもうくっついて音が変わってることでして、

しかも、ちゃんと最後の *-s は去声-Hで引き継がれていますけれども。

介音/ɨ/が間に入っているんですよね!

上古漢語のrは介音の/ɨ/に/r/→/j/→/ɨ/で行くというようなことも考えられるということですね。

この中古漢語から、現代漢語の沢山の方言たち、

まあ、この閩語だけは、上古漢語から直で入ったんじゃないかという考え方がありますから、

このように線を引っ張っておいたんですけれども。

この中古漢語から、更に外国(日本、朝鮮、越南)の漢字の音まで分かれまして、

というよりも、 むしろ、

中古漢語はそれらの全ての音を比較して、再構されていますから、

日本語の呉音では「ヂュウ」になっていまして、

今お話した[d]の濁りが入っています!

やはり、呉語はzでも、/zoŋ/で有声だときちんと保持していますけれども、

面白いのが、贛語では、有気音/t͡sʰ/に変えていますね。

客語でもそうなんですよ!

今度は、湘語の長益片(長沙話)を持って参りましたけれども。

私が調べましたら、婁邵片(雙峰話)という、

更に古い形を引き継いでいる湘語がありまして、

その中では、まだ、濁音(有声)d͡zをまだ保存していたんですよね。

しかも、無声/有声は、声帯が震えないか、震えるかですけれども、

伝統的な音韻学では、清音/濁音と言いまして、

清いか濁るかで区別されていまして、

日本語(呉音)でも同じですよね。「チュウ」と「ヂュウ」で濁っていまして、

実はこの清濁の情報は、声調に引き継がれていきまして、

チャートにするとき、きちんとこの三つの音は、どうなるかを見やすく配置を致しましたけれども、

よく見ると微妙に異なっているんですよ。

特に注目すべきは、

南方の閩語と粤語は、

この中で全て同じ音になってるんですね。

ところがよく見てみましたら、

清濁の情報が声調にきちんと引き継がれて違うんですよね!

まあ、同じ去声でも、清音は陰去と言いまして、

濁音は陽去と言いまして、

ちょっと声調が違っていまして、調値が違うということでして、

北方の官話と晋語では、同じになっちゃっておりますけれども。

また、南方の湘語や客語では、同じになっちゃって、

やはり、もう区別がなくて失われているんですよね。

日本の漢音とか、呉音でも、あと朝鮮語も声調が完全に失われて同じになっちゃっていますけれども。

越南語では、もう、声調が全部違っているんですよ!

ですから、ちゃんと受け継がれているということでして、

また、湘語に老派と新派がありますけれども、

ここでは、老派を取りまして、古風な方を取りました。

北方の官話にも、反り舌の音がありますけれども、zhōng /ʈ͡ʂʊŋ⁵⁵/でして、

湘語zhong1 /ʈ͡ʂʊŋ³³/でして、

まあ、逆に言うとこちらで言いましたら、 閩語tiong /tiɔŋ⁴⁴/や贛語zung1 /t͡suŋ⁴²/など、反り舌ではないです!

こちらには、反り自音が残ってまして、

呉語では一世紀前までありましたけれども、

もう消えてしまったんですけれども。

今はもうなくなってるっていうことでありますけれども。

やはり、中古漢語trjuwng /ʈɨuŋ/, trjuwngH /ʈɨuŋH/, drjuwngH /ɖɨuŋH/にはあるんですよ!

/t/ではなくて、/ʈ/なんですよね!

反り舌で少し奥に舌を巻いているということでして、

それはどうしてかと言いましたら、

上古漢語*tr, *N-trが、*N-t の部分が、中古漢語 d /d/に行っちゃいまして、dr /ɖ/になるわけですけれども。

それがあって、ここに行っているということでして、

まあ、Baxterさんの中古漢語の拼音だとIPAよりも音より分かりやすいですけれども。

中古漢語trjuwng /ʈɨuŋ/, trjuwngH /ʈɨuŋH/, drjuwngH /ɖɨuŋH/の/ʈ/という音を/t͡s/や/t/に変えたわけですよね。

だけれども、どうも閩語は、中古漢語から入ってないなと!

上古漢語から直に来たともされていて、

ものすごい沢山の方言に分かれていて、

閩祖語が内的再構できまして、貴重な方言ですけれども、

閩南語の厦門話を書きましたけれども。

この中にも、白話音と文語音がありまして、

こちらは、白話音と普通の会話で使う音を書いておきましたけれども。

今、生きている漢語は、言葉がどんどん変わりまして、

声調は、特に中古漢語の声調と清濁から引き継がれていまして、

それらが混ざったりしたとしても、

基本としては、同じ言語の中では、同じ声調であることが多いんですね。

ところが、この方言それぞれには、代表的なものだけを挙げておきましたけれども。

皆ものすごい数の方言がありまして、

場所によりましても、時代によりましても、

特に声調の調値、下に書いてある数字が、これらが全部、違いまして、

もうと、とんでもないことになっておりますけれども。

まあ、声調の調値が違いましても、

中古漢語から来た時に合流が起きていなければ、混ざり合ってなければ、

中古漢語からきちんと受け継がれて、

中古漢語の声調で言いましたら、平声、去声、去声とありまして、上声は今ありませんけれども、

平声の場合はない。

去声-Hの場合は*-s suffixから来ている!

そして、上声-Xは声門閉鎖音*-ʔが最後に付くというわけですけれども!

もう、中古漢語の声調と清濁で現代漢語の様々な方言の声調は予測できますけれども、

まあ、大体はどこかが合流して、交ざり合っちゃって、一緒になっちゃうんですけれども。

でも、実は声調には、子音の情報、接辞の情報が受け継がれていると、今お話してきたようにずっと来てるんだとありましたけれども。

それらが言葉の意味と対応付けられて、

今きたようにちゃんと名詞から、動詞化する*-sとか、

*N-は形容詞化しているんじゃないかとか、

そうした機能がありますから、

語根に接辞がついて、人類の言語豊かになって機能していることが分かりますけれども。

こうして、大量の実例に接してまいりまして、

それらを帰納しましたら、

言語と文字、漢語と漢字の関係は、

このように要約されるんじゃないかと!

漢字という表記体系において、

先ず、声符(音符)で音を書きましたけれども、

同じ声符でものすごい数の近い発音の言葉に当てて書いたため、

(同じ声符で書かれた言葉の)区別がつかなくなっちゃったということで、

意符(義符)を付けて、意味を限定して、

今こちらでございますように「中」に対して、

意符「人」を付けて「仲」と書き分けられたり、

あとは意符「衣」が付いたというより、

字形上、その「衣」の中に「中」が入って、

衷心の「衷」になりましたり、

「心から」という「衷心」でありますけれども、

更に「中」の下に「心」が付いたりして、

忠義の「忠」になったり、

まあ、平たく言えば、偏旁(へんとつくり)が生まれまして、

大量の諧声系列と言いますよね。

同じ声符を持つ漢字のグループが生まれましたけれども、

更に飾符(羨符)と言いますけれども、

「口」や「隹」など、意味には関係しないけれども付けて、

繁化、更に画数を増やしたり、

または細かく字形を変化させるなどして、

言葉を書き分けるように分化しまして、

分化字(後起字)とも言いますけれども、

むしろ、こういう考え方も取れるんですよ。

元の形の初文(本字)は、声符だけあって、

意符がない、「ゼロ意符」とも、レトロスペクティブに見れるかもしれませんけれども。

そうした形で漢字の体系が複雑化してゆきまして、

沢山の言葉を書いて、当てて、書き分けてということになってますよね。

すごいことに、もう一個気づいたことがあるんですよ!

漢字は語根を書いているんじゃないかと!

つまり、どういうことかと言いましたら、

上古漢語で見ても、中古漢語で見ても、

ここまでIPA(国際音声記号)でアルファベット(表音文字)で分析されていましたら、

このtruŋ の部分にN-が最初についたり、

*-sが後についたりしたとしても、

この部分(語根)*truŋに「中」という文字が当てられてんじゃないかということなんですよ。

即ち、漢字は語根を書いているんじゃないかと!

接辞は無視して、全部同じ形で当てられているわけですから。

ですから、今でも、古文(文言文)でも、口語(白話文)でも、

漢字の並び方によりまして、

先ほど、義ところで字義のところで見てまいりましたように、

どの位置で使われているかによって、

品詞を分別して、

そして、読み方が異なるということなんですね。

「中」「仲」でも、三つもありました!

しかも、この人偏が付いた「仲」は、小篆くらいから後であって(確かに戦国古鉨の吉語「善仲」《古璽彙編》3379にもありますけれども、この「仲」は{忠}を書いていまして、厳密には{仲}ではなく)、

金文では皆、この人偏が付いていない、

文字学的に言えば、意符「人」が付いていない、

この声符(音符)「中」、音で書いている部分でありましたけれども、

特に諧声系列の同じ声符を持つ文字のグループを見ましたら、

接辞の有無とか、あとは、有声/無声とか、

有気/無気などの有無にかかわらず、

もしくは、音声学的に見れば、近い調音位置や調音方法、

そういったものに同じ字を当てて、

共用していることが分かるんですよ!

今見ているのは、音から見て、それは言葉から見て、

それに文字がどう関わり合っているのかということを触れてまいれて、面白くなってきたんですよね。

こうして、漢語と漢字のデュアリティ、言語と文字の関わり合い方を探究してまいれましたけれども、

言語においても、文字においても、

時間的発展など階層的構造がありまして、

系譜言語学(glottogenealogia)という、新しいアスペクトで漢字や漢語を探究する一端を披露できてまいれたんじゃないかと、

今ここに出ております表自体も、これ全部、本当に系譜ですよね!

面白いチャートが誕生しましたっていうことでして、

今見ているこの世界が、漢語の歴史を物語ってるんじゃないかと!

これこそが、言語と文字、漢語と漢字の系譜を探究することでありまして、

大切にしてまいりましたのは、 一次資料(primary source)としてのデータが画面に出ていまして、

それらをどう理解するか、それらをどう解釈するかを語れてまいれたと思うんですよね。

今後とも、このようなスタイルで、

もう、全ての漢語の語源と漢字の字源を知りたいという、

好奇心、探究心の炸裂によって、

言語と文字の双方向から、

デュアリティを探究し続けてまいりたく存じます。

ここまでお聴きくださいまして、

ありがとうございました。

今後とも漢語と漢字のユニークさの探究シリーズ、

何とぞ宜しくお願い申し上げます。

失礼をいたします。

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