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ヨハン・ゼバスティアン・バッハの音楽探究方法

ヨハン・ゼバスティアン・バッハは大家の実作から優れた技法を会得して、作曲で実践しました。アグリーコラ(Johann Friedrich Agricola, 1720-1774)によると、純粋な四声コラールで通奏低音に声部を書き、バスに伴うアルトとテノールを濁らない和声進行で考えて、透明な和声進行を生みました。キルンベルガー(Johann Philipp Kirnberger, 1721-1783)によると、初歩から難度を上げて指導しました。

長男フリーデマンや次男エマヌエールによると、親指の打鍵から始め、〈運指練習曲〉(BWV 994)から《小前奏曲》(BWV 924-943)に進み、ゲルバー(Heinrich Nikolaus Gerber, 1702-1775)によると、《インヴェンションとシンフォニア》(BWV 772-801)、《フランス組曲》(BWV 812-817)、《イギリス組曲》(BWV 806-811)、《パルティータ》(BWV 825-830)、《平均律クラヴィーア曲集》(BWV 846-93)に進みました。

大バッハは大家たち、パレストリーナ[1742年]、ペランダ[1709年]、ケルル[1747年]、バール[1714/17年]、バッサーニ[1735年]、ペーツ[1715/17/24年]、ロッティ[1732/35年]、ヴィルデラー[1731年]、J.L.バッハ[1727年]、ドゥランテ[1727/32年]のミサ曲など、晩年にカルダーラの作品やフックスの著書で古様式(stile antico)を研究しました。技法の伝承の系譜から音楽の構造が捉えられます。

詳細版

ヨハン・ゼバスティアン・バッハはザクセン選帝候領テューリンゲン地方アイゼナハで1685年の3月21日に生まれ、1692年に教会付属ラテン語学校の聖歌隊に入り、1694年に父、1695年に母が亡くなり、オールドルフの兄ヨハン・クリストフの家に移り、パッフェルベルに学んだ兄に教わり、フローベルガーやケルルの作品を月明りで写した逸話が伝わり、音楽への強く関心を持ちました。1700年にリューネブルクで聖ミカエル教会付属学校に入り、ゲオルグ・ベームに学び、1701年にハンブルクでベームの師ラインケンと会い、《音楽の園(Hortus musicus)》(1688年)を鍵盤楽曲(BWV 954)に編曲、北ドイツのシュトルンク・ブルーンス・フィッシャー、フランスのグリニー・ボワヴァン・デュマージュのオルガン音楽を研究、ツェレでリュリやクープランなど、フランス宮廷音楽を聴きました。1703年にヴァイマールでヨハン・エルンスト公子に仕え、アルンシュタットのオルガニストに転職、スウェーデンの宮廷に移る兄ヨハン・ヤコブの旅立ちに〈カプリッチョ〉(BWV 992)を作り、1705年に街で乱闘になり、諍いを起こしました。リュベックにブクステフーデを訪ね、四週間の休暇を勝手に四カ月に延ばし、北ドイツ・オルガン楽派に傾倒、前衛的な不協和音と装飾音を演奏、女性の歌手に演奏させ、1706年に市参事会と悶着を起こし、1707年にミュールハウゼンに移り、従姉マリア・バルバラと結婚、1708年にカンタータ(BWV 4)を作り、親族の葬儀でカンタータ(BWV 106)を上演しました。

ヴァイマールでザクセン=ヴァイマール大公の宮廷音楽家になり、テレマンやヴァルターと会い、1713年にヴァイセンフェルスでカンタータ(BWV 208)やアリア(BWV 1127)を作り、ユトレヒト大学からヨハン・エルンスト公子が戻り、アムステルダムで協奏曲のオルガン演奏が流行している聞き、オルガン協奏曲(BWV 592-596)と鍵盤協奏曲(BWV 972-987)に編曲、イタリア音楽(レグレンツィー・コレルリ・トレッリ・ヴィヴァルディ)を編曲してリトルネッロ形式を学び、〈ブランデンブルク協奏曲第3番〉(BWV 1048)を構想しました。ハレの聖母教会でヘンデルの師ツァッホウの後任に推薦されましたが、1714年にヴァイマールで宮廷楽師長に昇進して、毎月カンタータを上演、BWV 54はレチタティーヴォとアリア、BWV 61はフランス風序曲によりました。フレスコバルディの《音楽の華(Fioli musicali)》(1635年)を研究、1716年にハレでオルガンを試奏してクーナウと会い、《オルガン小曲集》(BWV 599-644)が成り、1717年にドレスデン選帝候フリードリヒ・アウグストの宮廷へヴォリュミエに招かれ、ハイニヒェンやヴェラチーニと会い、ボローニャでトレッリに学んだピゼンデルからイタリア音楽を見せられ、フランスのマルシャンが競演前に逃げました。ヴァイマールで政争に巻き込まれ、アンハルト=ケーテン侯レオポルドの宮廷に転職するとき、一時牢獄に拘禁されました。

1718年にはレオポルド侯とカールスバートに保養、カンタータ(BWV 66aを作り、1719年にヘンデルを訪ね、ハレに向かいましたが、会えませんでした。1720年に妻が亡くなり、ハンブルクでラインケンの前で〈コラール前奏曲〉(BWV 653)を即興して称賛されましたが、資金を用意できず、就任を断念しました。宮廷歌手アンナ・マグダレーナと再婚、長男の音楽帳を作り、〈無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ〉(BWV 1001-1006)や〈無伴奏チェロ組曲〉(BWV 1007-1012)、1721年に〈ブランデンブルク協奏曲〉(BWV 1046-1051)を作り、第5番はCembalo solo senza stromentiと指示されたカデンツァ付きのチェンバロ協奏曲です。1722年に愛妻の音楽帳を作り、〈平均律クラヴィーア曲集 第一巻〉(BWV 846-869)を完成、1723年に〈インヴェンションとシンフォニア〉(BWV 772-801)を清書、〈祝賀カンタータ〉(BWV173a)を作曲しました。侯が妻を迎えて音楽の情熱が薄れて、ライプツィヒに移ることになりました。

ライプツィヒのトマス教会カントルでクーナウの後任となり、トマス教会でカンタータ、ニコライ教会でモテット、マタイ教会で多声音楽、ペテロ教会で単旋律コラールを演奏しました。〈二重合唱モテット〉(BWV 227)や〈マニフィカト〉(BWV 243a)を作りました。1724年にニコライ教会で〈ヨハネ受難曲〉(BWV 245)を初演して、〈コラール・カンタータ〉(BWV 78)を作り、1725年に愛妻の音楽帳を用意しました。ヴァイセンフェルスで公爵の誕生祝に〈祝賀カンタータ〉(BWV 249a)を上演して、〈復活節オラトリオ〉(BWV 249)の原型となりました。ライプツィヒのパウロ教会の問題をドレスデン選帝候に直訴して市参事会と対立して、〈降誕節のカンタータ〉(BWV 110)は〈管弦組曲四番〉(BWV 1069)になりました。1726年に〈独唱カンタータ〉(BWV 56)を作り、レオポルド侯の子息誕生に〈パルティータ第1番〉(BWV 825)を献呈、1727年に〈マタイ受難曲〉(BWV 244)を上演して、ザクセン選帝候妃の〈追悼カンタータ〉(BWV 198)を作り、〈マルコ受難曲〉(BWV 247)の原型となりました。1728年に聖ニコライ教会で古いコラールを使用し市参事会と対立して、1729年にヴァイセンフェルス公の誕生祝賀で宮廷楽長になり、テレマンのCollegium musicumを継承して、ケーテン時代の協奏曲をチェンバロ協奏曲に編曲して披露したり、〈音楽劇〉(BWV 201)などを上演しました。

1731年に《クラヴィーア練習曲集》第1部として〈パルティータ〉(BWV 825-830)を出版しました。ドレスデン宮廷楽長ハッセのオペラを長男と観て、ゼレンカやハッセらと会いました。1733年にドレスデン選帝候に〈小ミサ〉(〈ミサ曲 ロ短調)BWV 232のKyrieとGloriaの部分)を献呈、〈祝賀カンタータ〉(BWV 213 & 214)、1734年に〈降誕節オラトリオ〉(BWV 248)、〈祝賀カンタータ〉(BWV 215)、〈世俗カンタータ〉(BWV 211)を上演、1735年に《クラヴィーア練習曲集》第2部で〈イタリア協奏曲〉(BWV 971)や〈フランス風序曲〉(BWV 831)を出版、三男がミュールハウゼンに就職してオルガンを試奏、1736年にザクセン選帝候の宮廷音楽家の称号を得て、ドレスデン聖母教会のオルガンを弾き、1738年にドレスデンを訪れ、1739年に《クラヴィーア練習曲集》第3部を出版、1740年代からパレストリーナなど古様式を研究して、〈フーガの技法〉(BWV 1080)を編纂しましたが、ヴィヴァルディのリトルネッロ型式やペルゴレージの前期古典派様式も研究しました。1741年に次男をベルリンに訪ね、1742年に《クラヴィーア練習曲》集第4部で〈ゴルトベルク変奏曲〉(BWV 988)を出版、〈平均律クラヴィーア曲集第二巻〉(BWV 870-893)が成り、1747年に長男とベルリンとポツダムを訪ね、フリードリヒ大王の御前で六声フーガを演奏、フォルテピアノを試奏、〈音楽の捧げ物〉(BWV 1079)を献呈、グラウン兄弟とベンダ兄弟やクヴァンツと会いました。ミツラーの音楽学術交流協会に〈カノン変奏曲〉(BWV 769)、〈六声三重カノン〉(BWV 1076)を提出、〈ゴールドベルク変奏曲〉(BWV 988)の低音主題による〈カノン〉(BWV 1087)の一つとなりました。《シュープラー・コラール集》(BWV 645-650)を編纂、1749年に〈ミサ曲 ロ短調〉(BWV 232)、〈コラール集〉(BWV 651-667)を改訂してBWV 668を作り、1750年7月28日に亡くなりました。

実作で極意を門人に伝授しました。通奏低音の基礎に優雅な旋律と和声に配慮しました。着想(inventio)を得て、構成(dispositio)を決め、工夫(elaboratio)を重ね、表現(elocutio)を磨き、装飾(decoratio)を施し、発話(pronuntatio)に至る、文章の設計を応用しました。〈インヴェンションとシンフォニア〉(1723年・BWV 772-801)では、二声部にオブリガード声部により、楽想(invenzione)を展開しました。自作品を絶えず改訂して、優れた作品を体験して、優れた技法を会得しました。通奏低音をリアリゼーションすることは、和声原理を実践して作曲方法を訓練することです。〈無伴奏チェロ組曲〉(1720年・BWV 1007-1012)では、低音楽器を大胆に用いて意外な楽想が繊細に歌い、究極では一本の旋律線に集約され、フォルケル:《バッハ伝》第7章(1802年)で純粋な四声の通奏低音に声部を書き入れ、濁らない和声進行を重んじ、コラールでバスに伴うアルトとテノールを考え、透明な和声と自然な進行を配慮したと記されます。

音楽家の見識は音楽史の造詣によります。大バッハの作品はあらゆる可能性を内包します。アンブロジウス(350年)から大バッハ(1750年)まで音楽語法の発見と伝承の観点から系譜を辿ることから、西洋音楽へ深い理解が得られます。大バッハは、イギリスの堅実な和声、フランスの典雅な風情、イタリアの明朗な旋律、北ドイツの峻厳な抒情、南ドイツの温和な楽想など、欧州全土の音楽を洗練した極致だからこそ、西洋音楽の規範となりました。生前から古風と見なされながら、大家の実作を創作で活用しました。個性はあらゆる文化に精通して、見識で取捨選択され養成されます。文化は人類のあくなき精緻な探求の賜物であり、芸術を学ぶことは、人間を学ぶことです。大バッハはブクステフーデらの峻厳な幻想性、パッフェルベルらの温厚性を調和、ドイツのコラール、フランスの宮廷音楽、イタリアの最新書法も加味して、人間の感情へ直接に作用する音楽を完成しました。晩年まで、自らのルーツを探すよう、音楽史を実作で独学して、自らの個性へと昇華しました。系譜を大切にして、門弟を育成して、多大な影響を与えました。

大バッハはミサ通常文の意味に即して技法を使い分け、大作に様々なアイディアを盛り込みました。先行する大家たち―パレストリーナ[1742年]、ペランダ[1709年]、ケルル[1747年]、バール[1714/17年]、バッサーニ[1735年]、ペーツ[1715/17/24年]、ロッティ[1732/35年]、ヴィルデラー[1731年]、ヨハン・ルートヴィヒ・バッハ[1727年]、ドゥランテ[1727/32年]のミサ曲を研究して、晩年にカルダーラの作品やフックスの著書で古様式(stile antico)を研究して、ドレスデンでカトリックの作曲家ゼレンカと親交して、ルター派のミサ曲をカトリックの通常文に拡大する契機としました。ケルルはヴェネツィア楽派のガブリエーリの門人ヴァレンティーニ、ローマ楽派のカリッシミに学びました。バッサーニ・ロッティ・ヴィルデラーもヴェネツィア楽派のレグレンツィ、ペーツはボローニャ楽派のコレッリ、ドゥランテはナポリ楽派のアレッサンドロ・スカルラッティに学びました。大バッハは、ローマ・ヴェネツィア・ボローニャ・ナポリ楽派から、ルネサンス=バロック音楽の基礎を学びました。また、ベルンハルトやシュミートを通じてシュッツの影響も受けました。技法の伝承の系譜から音楽の構造が捉えられます。

〈ミサ曲 ロ短調〉(1749年・BWV 232)の構成

第1部 ルター派ミサ Missa(1733年)

1. Kyrieや2. Christeは二重唱でヴィルデラーのミサ曲により、3. Kyrieは古様式の四声フーガです。4. Gloriaと5. Et in terraはフランスの序曲の華麗さと荘重さで天地が対比されます。

6. Laudamusはソプラノのアリア、7. GratiasはモテットでBWV 29/2(1729年)の転用、8. Domine Deusは二重唱、9. Qui tollisは四声モテットでBWV 46/1(1723年)の転用です。

10. Qui sedesと11. Quoniamはアルト・バス・器楽の対話です。12. Cum Sancto Spiritoは降誕節オラトリオ(BWV 248/43)のようなポリフォニーとホモフォニーの対比によります。

第2部 ニカイア信条 Symbolum Nicenum(1749年)

13. Credo(1742年)はミクソリディア旋法の聖歌により、パレストリーナの四声ミサ曲やカルダーラのマニフィカト ニ長調などのポリフォニーにより、古様式の五声フーガが展開されます。

14. PatremはBWV 171/1(1729年)の転用、15. Et in unumは二重唱でBWV 213/11(1733年)の転用、16. Et incarnatusはホモフォニーでペルゴレージの様式によります。

17. Crucifixusは嘆きの音型のパッサカリアでBWV 12/2(1714年)の転用でロッティの管弦楽法、18. Et resurrexitはホモフォニー、19. Et in Spiritumはオブリガートが主体です。

20. Confiteorは五声の二重フーガと通奏低音、後半で静謐に和声展開して、21. Et expectoは復活の喜びが管楽器と打楽器で表現され、BWV 120a/1(1729年)の転用です。

第3部 ザンクトゥス Sanctus(1724年)

22. Sanctusは三位一体を象徴する完全分割による荘厳な序曲から、23. Pleni sunt coeliの快速なフーガに移行します。

第4部 ミサ曲終結部 Osanna, Benedictus, Agnus Dei, Dona nobis pacem(1749年)

24. Osannaは壮麗でBWV Anh. 11/1(1732年)の転用、25. Benedictusはテノールのアリア、26. Agnus Deiはアルトのアリアで情感がこもり、27. Dona nobisは第7曲と同じです。

ヨハン・ゼバスティアン・バッハは大家の実作から優れた技法を会得して、作曲で実践しました。アグリーコラ(Johann Friedrich Agricola, 1720-1774)によると、純粋な四声コラールで通奏低音に声部を書き、バスに伴うアルトとテノールを濁らない和声進行で考えて、透明な和声進行を生みました。キルンベルガー(Johann Philipp Kirnberger, 1721-1783)によると、初歩から難度を上げて指導しました。

長男フリーデマンや次男エマヌエールによると、親指の打鍵から始め、運指練習曲(BWV 994)から小前奏曲(BWV 924-943)に進み、ゲルバー(Heinrich Nikolaus Gerber, 1702-1775)によると、インヴェンションとシンフォニア(BWV 772-801)、フランス組曲(BWV 812-817)、イギリス組曲(BWV 806-811)、パルティータ(BWV 825-830)、平均律クラヴィーア曲集(BWV 846-93)と進みました。

〈二重合唱モテット〉(1726-27年・BWV 225)
〈マニフィカト ニ長調〉(1723/33年・BWV 243)

バッサーニの〈ミサ曲 ヘ長調〉クレド(1747-48年・BWV 1081)
カルダーラの〈マニフィカト ハ長調〉第3曲(1739-42年・BWV 1082) 
ペルゴレージの〈スタバート・マーテル〉(1746-47年・BWV 1083)
グラウンの〈受難曲[パスティッチョ]〉(GraunWV B:VII:4)(1745年頃・BWV 1088)

《ウィルヘルム・フリーデマン・バッハの楽譜帳》の〈小さな前奏曲〉(1720年・BWV 924)

基礎となる作曲には、基礎となる発想が含まれて興味深いです。バッハが音程や調性を基礎として作曲をしたことが感じられます。モーツァルトの《ナンネルの楽譜帖》との基礎となる発想の違いが分かり面白いです。

〈運指練習曲(Applicatio)〉(1720年・BWV 994)

Klavierbüchlein für Wilhelm Friedemann Bach(US-NHub Music Deposit 31・1720年)

〈ペダル練習曲(Pedal-Exercitium)〉(1735年・BWV 598)

2016年10月6日

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの《平均律クラヴィーア曲集》第1巻(1722年・BWV846-869)

サムイル・フェインベルクの演奏は、豊かな和声感覚やリズム感で静謐な響きの中に内声が浮かび上がります。1958年・Мелодия Д-05106-11

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの《平均律クラヴィーア曲集》第2巻(1742年・BWV 870-893)

サムイル・フェインベルクの演奏は、速度と強弱の変化が自由に結合して、自然に流れ音楽が紡ぎ出されます。1961年・Мелодия Д-05268-73

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1958/61年・Мелодия 05106-11・05268-73

ヨハン・カスパール・フェルディナンド・フィッシャーの《音楽のアリアドネ(Ariadne musica)》(1702年)

20の別の調による前奏曲が含まれていまして原型となりました。

ジョン・ルイスの遊び心にあふれた《平均律クラヴィーア曲集》第1巻の〈前奏曲 第1番〉(BWV 846・1722年)

彼はビバップの時代にチャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー、マイルス・デイヴィスと共演して、モダンジャズ・カルテットを主宰したジャズ・ピアニストでした。

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの《インベンション》(1723年・BWV 772-786)

ヴァルター・ギーゼキングの演奏です。両手を独立して各々の声部を歌うよう弾きこなせるように配慮されます。先唱(dux)に答唱(comes)が応じて主題が展開するようモデル化されます。第1番は設計法、第2番は八度カノン、第6番はシンコペーション、第7番は八度の下降、第10番はジーグ、第14番は転回形などが特徴です。1950年・Heliodor 2548-732

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの《シンフォニア》(1723年・BWV 787-801)

アルド・チッコリーニの演奏です。オブリガート声部が増え、内声が豊かになります。バッハは通奏低音の基礎に優雅な旋律を和声の進行を考慮しながら配置して作曲しました。第1番は三声のフーガ、第5番はデュエット、第8番はトッカータ、第9番は半音階下行、第11番は協奏曲、第14番はカデンツなどが特徴です。1963年・Columbia FCX-978

2016年10月7日

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの《フーガの技法》(1742年・BWV 1080)

1740年頃からバッハは古様式の対位法に関心を深めました。音符の配置や旋律の操作を抽象化して、14種類(12種類のフーガと2種類のカノン)が提示され、それぞれ技法の印象や特徴を味わえます。

ブルゴーニュ→フランドル→ローマ楽派の伝統からツァルリーノ:《和声論》(1558年)やスウェーリンク:《作曲の規則》(1573年)が出版されました。晩年のバッハはパレストリーナの実作やフックス:《パルナス山への階段》(1725年)などにより、古様式(stile antico)の厳格対位法を研究しました。

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの《14のカノン》(1748年・BWV 1087)

《ゴールドベルク変奏曲》(1742年・BWV 988)の低音主題を展開した二声から五声の単純・二重・三重カノンです。音楽学術交流協会に提出された13番目が肖像画に描かれました。

音楽は、音の高さ、長さ、並びに帰着します。バッハは旋律とリズムの組み合わせに美を見い出しました。対位法にはカノンとフーガの分類があり、正置・転回、正像・鏡像、反行・逆行、単純・多重、拡大・縮小の操作、ストレット・ゼクエンツの技法によります。

無限カノン Canon triplex à 6(1746年・BWV 1076

当時はカノンを記念帖に書いたり、肖像画に描いたり、名刺代わりに使いました!

Canon triplex à 6 Voc: per J. S. Bach(A-Wn MS 64460・1747年)
Johann Sebastian Bach (1746) Elias Gottlob Haussmann

2016年12月7日

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの《種々の楽器のための6つの協奏曲(Six Concerts avec plusieurs instruments)》(1721年・BWV 1046-51・《ブランデンブルク協奏曲集(Brandenburgische-Konzerten》)は、1718年にカールスバートに保養したケーテン侯(Leopold von Anhalt-Köthen, 1694-1728)、もしくは、1719年にチェンバロを購入したベルリンで面会したブランデンブルク辺境伯(Christian Ludwig zu Brandenburg-Schwedt, 1677-1734)へ、1721年に献呈されました。

第1・3・6番は1713-14年にヴァイマールで書かれ、合奏協奏曲にシンフォニア・トリオソナタが導入され、第2・4・5番は1717-19年にケーテンで作られ、ヴァイオリンやチェンバロの独奏協奏曲に発展しました。

第5番(BWV 1050)はConcerto 5to à une Traversiere, une Violino principale, une Violino è una Viola in ripieno, Violoncello, Violone è Cembalo concertato.と題され、チェンバロはコンチェルティーノでオブリガート声部、リピエーノで通奏低音を演奏します。第139小節からチェンバロとフルートとヴァイオリンが対話して、第154小節から独奏(Cembalo solo senza stromenti)になり、合奏協奏曲に鍵盤楽器の独奏を導入した画期的な作品です。

異稿(BWV 1050a)は独奏がトッカータのような半音進行で短いです。第2楽章はルイ・マルシャン(Louis Marchand, 1669-1732)の主題(1729年・《オルガン曲集》第5巻のフーガ主題)を借り、独奏楽器(チェンバロ・フルート・ヴァイオリン)がトリオソナタをなします。第3楽章は軽快なジーグでフーガをなします。

Louis Marchand: Pièces d'orgue. Cinquième Livre. Fugue(1729年)
Gustav Leonhardt(1968年・Chronik Der Anna Magdalena Bach)

ブランデンブルク辺境伯への献辞 (D-B Am.B 78)

D-B Am.B 78

Comme j’eus il y a une couple d’années, le bonheur de me faire entendre à Votre Alteße Royalle, en vertu de ses ordres, & que je remarquai alors, qu’Elle prennoit quelque plaisir aux petits talents que le Ciel m’a donnés pour la Musique, & qu’en prennant Conge de Votre Alteße Royalle, Elle voulut bien me faire l’honneur de me commander de Lui envoyer quelques pieces de ma Composition :

数年前、陛下の思し召しでお聴かせする光栄に浴しまして、天が私に恵んだささやかな楽才になにがしかの喜びを感じて下さりましたことを感じまして、また、陛下にお別れのご挨拶をしたとき、それまで作曲した幾つかを御前にお届けするよう、私に誇り高き命を下されました。


j’ai donc selon ses tres gracieux ordres, pris la liberté de rendre mes tres-humbles devoirs à Votre Alteße Royalle, pour les presents Concerts, que j’ai accommodés à plusieurs Instruments ;

私はこうしていとも寛大なご下命に従い、陛下のお望みに様々の異なる楽器のために作られたこれらの協奏曲により、恭しくお応え申し上げます。


La priant tres humblement de ne vouloir pas juger leur imperfection, à la rigueur du gout [sic] fin et delicat, que tout le monde sçait qu’Elle a pour les piéces musicales ; mais de tirer plutot en Benigne consideration, le profonde [sic] respect, & la tres-humble obeissance que je tache à Lui temoigner par là.

陛下の世に知られた類まれな高貴で繊細なご趣味により、不備を厳しく非難なさることなく、私がこれらの音楽作品で陛下に示そうとする大いなる崇敬と恭順の真意を汲んで下さりますよう、恭しくお願い申し上げます。


Pour le reste, Monseigneur, je supplie tres humblement Votre Alteße Royalle, d’avoir la bonté de continüër ses bonnes graces envers moi, et d’être persuadèe que je n’ai rien tant à cœur, que de pouvoir être employé en des occasions plus dignes d’Elle et de son service, moi qui suis avec un zele sans pareil

結びに、陛下、今後とも末永くご下恩を私に賜りますよう、また、陛下のこうしたご所望に再びお応えするより他の心はないとご承知くださりますよう、並ぶなき熱意により、恭しくお願い申し上げ奉ります。

Monseigneur
De Votre Altesse Royalle
Le tres humble et tres obeissant serviteur
Jean Sebastien Bach. Coethen, d. 24 mar. 1721

陛下の謙虚かつ恭順なるしもべ
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
ケーテンにて、1721年3月24日

• Malcolm Boyd (1993). Bach: The Brandenburg Concertos, Cambridge: Cambridge University Press.

2017年1月7日

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの〈ソナタ イ長調〉(1740年・BWV 1025) Courante

ヴァイスの〈ソナタ イ長調〉(WeissSW 47)の編曲です。自筆譜(1746年頃・D-B Mus. ms. Bach P 226, Faszikel 8)で伝わります。ヴァイオリンの旋律とチェンバロのオブリガート声部と通奏低音(三段譜表)で書かれます。

従弟ヨハン・エリアス・バッハ(Johann Elias Bach, 1705-1755)は1739年8月11日書簡でライプツィヒに四週間も長男フリーデマンを伴いヴァイスと門人ヨハン・クロップガンス(Johann Kropfgans, 1708-1771)が滞在して、大バッハとヴァイオリンとリュートで即興を楽しんだと伝えます。

Fantasia – Courante – Entrée – Rondeau – Sarabande – Menuet – Allegroからなりますが、Entrée – Sarabande – Allegroの抜粋です。

WeissSW 47
D-B Mus. ms. Bach P 226, Faszikel 8(1746年頃・Johann Sebastian Bach)
D-B Mus. ms. Bach St 462(1749年・Carl Philip Emanuel Bach)
• Karl-Ernst Schroder (1995). Zum Trio A-Dur BWV 1025, Bach-Jahrhuch 81: 47-60.

ジルヴィウス・レオポルト・ヴァイスのリュートとフラウト・トラヴェルソの〈二重奏曲 変ロ長調・ヘ長調・ト短調・ニ短調(Duos (Concerts) d'un luth avec une flûte travesière)〉(1715-23年頃・WeissSW 8, 9, 14, 20)

ロンドン手稿譜(GB-Lbl Add. MS 30387, 33v; 36r; 61v; 96v)で伝わります。1715年にドレスデンを訪問したフランスのフルート名手ピエール=ガブリエル・ビュファルダン(Pierre Gabriel Buffardin, 1690-1768)、1723年にプラハを訪問してビュファルダンの弟子ヨハン・ヨアヒム・クヴァンツ(Johann Joachim Quantz, 1697-1773)と共演したと記録されます。

• Michel Cardin (2008). Silvius Leopold Weiss: 5 Duo Suites for Flute and Lute, Lübeck: Tree Edition.

2017年1月8日

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの〈フランス組曲 第4番 変ロ長調〉(1722年・BWV 815)は自筆(D-B Mus. ms. Bach P 418)と異稿(D-B Mus. ms. Bach P 289, Faszikel 13)などで伝わります。異稿ではアルペジオの前奏曲で始まり、ガヴォットIIが続き、メヌエットやジーグがありません。

アルマンドはブリゼ様式により分散音型です。クーラントはイタリア型(corrente)に近く快活です。サラバンドとドゥーブル(変奏)は古い演奏習慣により聴きものです。〈イギリス組曲 第1番・第6番〉などにはドゥーブルが書き残されましたが、当時の習慣で任意に演奏する際に即興されました。

Præludium* (BWV 815a) – Allemande – Courante – Sarabande & Double* – Gavotte – Air – Menuet – Gigue

Præludium* – Allemande – Courante – SarabandeGavotte I – Gavotte II* – Menuet – Air – Gigue

Præludium* (BWV 815a) チェンバロ
Præludium* (BWV 815a) モダンピアノ

• Günther Oberst (1928). J. S. Bachs Französische und Englische Suiten, Halle an der Saale: Blume.

フランス組曲はレッスンで使われたり、改訂されたり、特に異稿が多いです。大バッハが書いたか、真偽を判定するには、伝承経路と様式分析の二つの側面があります。

次男カール・フィリップ・エマヌエルとハンブルクで関係したミッヒェル(Johann Heinrich Michel, 1739-1810)の筆写譜(D-B Mus. ms. Bach P 289, Faszikel 13)、大バッハの弟子のキッテル(Johann Christian Kittel, 1732-1809)に師事したリンク(Johann Christian Rinck, 1770-1846)の筆写譜(US-NH LM 5024)と信頼性が高いです。

アンナ・マグダレーナが筆写した〈平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第3番 嬰ハ長調〉(BWV 872)の初期稿の〈前奏曲 ハ長調〉(BWV 872a・D-B Mus. ms. Bach P 226, Faszikel 3)にも似て、大バッハが好んだ和声進行と音型変化が見られ、これ以上は資料がなく、断定は難しいですが、可能性は高いです。

ジルヴィウス・レオポルト・ヴァイスの〈リュート組曲 第4番 ト長調〉(WeissSW 5・Prélude – Allemande – Courante – Bourrée – Sarabande – Menuet – Gigue)の前奏曲はバッハの〈無伴奏チェロ組曲 第1番〉(1720年・BWV 1007)に似ており、ブーレでヘンデルの《調子の良い鍛冶屋》(1720年・HWV 430,4)の主題が使われます。

〈リュート組曲 第5番 ハ短調〉(WeissSW 7・Allemande – Courante – Gavotte – Sarabande – Menuet – Gigue)は初期作です。〈リュート組曲 第6番 変ロ長調〉(WeissSW 10・Prélude – Allemande – Courante – Bourrée – Sarabande – Menuet – Chaconne)など、後期作ではクーラントの後にギャラントリーを入れることが多いです。

Michel Cardin, The London Manuscript Unveiled

2017年1月9日

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの〈イギリス組曲 第6番〉(1725年・BWV 811)

バッハの高弟アグリコラ(Johann Friedrich Agricola, 1720–1774)とキルンベルガー(Johann Philipp Kirnberger, 1721–1783)が筆写した写本(1738-40年・D-B Am.B 489)などで伝わります。

Prelude – Allemande – Courante – Sarabande & Double – Gavotte I/II – Gigueで構成され、前奏曲とフーガはフランス序曲の符点リズムではなく、アルペジャント様式により、アルマンドには対斜や減音程が使われ厳しく響きます、ジーグは無窮動にシンメトリーに模倣されます。

ゲンリフ・ネイガウスの高弟アナトリー・ヴェデルニコフのピアノです。サラバンドのドゥーブルがヘミオラのように聞こえて浮遊感が生じて美しいです。イギリス組曲(Μелодия СМ-11629; 11641; 13281)とパルティータ(Μелодия СМ-03639; 03703; 03939)をメロディアで録音しました。

D-B Am.B 489 (1738-40, Johann Friedrich Agricola; Johann Philipp Kirnberger)
D-B Mus. ms. Bach P 1072, Faszikel 2 (1724-25, Bernhard Christian Kayser)
D-B Mus. ms. Bach P 803, Faszikel 24 (1725, Johann Tobias Krebs)
D-B N. Mus. ms. 365, Faszikel 5 (1740-59, Johann Nathanael Bammler)
• David Schulenberg (1977). The Keyboard Music of J. S. Bach, New York: Schirmer.

ジルヴィウス・レオポルト・ヴァイスの〈リュート組曲 第13番 ト長調〉(1719年・WeissSW 18)

Angloiseが楽しく、Passagailleが美しいです。〈リュート組曲 第14番 ヘ長調〉(WeissSW 19)のメヌエットはバッハと似ております。〈リュート組曲 第15番 ヘ短調〉(WeissSW 21)は和声進行が流れて絶えずに展開します。

大バッハとヴァイスは1717年にドレスデンで知る機会があり、鍵盤組曲や無伴奏チェロ組曲などは、ヴァイスのリュート組曲に本質から影響を受けていると感じられます。大バッハの〈フランス組曲 第5番〉(1723年・BWV 816)のアルマンドではリュートの弦を切り替える趣きがあるずれまで鍵盤楽曲で再現しているようです。

Michel Cardin, Ornamentation principles

2017年1月10日

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの〈パルティータ 第4番〉(1728年・《クラヴィーア練習曲集》第1部・D-Dl Mus.2405-T-46・BWV 828)

フランス様式の序曲(管弦楽や室内楽)により、付点リズムやティラータやシュライファー音型(32分音符の走句)による荘重なalla breveと急速なフーガの9/8が交替します。

アルマンドは牧歌のようなアリオーソで型破りです。クーラントには装飾(figura cortaやappoggiatura)などが導入されます。次にギャラントリー(アリア)が置かれることは、ヴァイスの組曲と似ております。サラバンドはソナタ形式に近いです。メヌエットとジーグで緩急が対照されます。

構成はOuvertüre – Allemande – Courante – Aria – Sarabande – Menuet – Gigueです。ロザリン・テューレックのモノラル録音(1958年・HMV ALP-1714)です。Allegro盤(1949-51年)・HMV盤(1956-60年)にモノラル、VAI盤(1984-89年)にステレオで全曲を録音しました。

• Rosalyn Tureck (1960). An Introduction to the Performance of Bach, Oxford: Oxford University Press.

グレン・グールド(ブルーノ・モンサンジョン制作) 後半

〈フランス様式による序曲〉(1735年・《クラヴィーア練習曲集》第2部・BWV 831)

〈ゴールドベルク変奏曲〉(1741年・《クラヴィーア練習曲集》第4部・BWV 988)の第16変奏も序曲で後半部を始めます。ジェームズ・フリスキン(1954年・Vanguard BG-558)

2017年1月11日

ジルヴィウス・レオポルト・ヴァイスの〈リュート組曲 第18番 ハ長調〉(WeissSW 24・Overture – Bourrée – Aria – Menuet & Trio – Gigue)

フランス様式の序曲がヘンデルらしく、メヌエットはトリオ付きです。ヴァイスや大バッハは後期に舞曲の様式や組曲の配列もより自由になりました。

〈リュート組曲 第19番 ト短調〉(WeissSW 25・Andante – Passepîed – Bourrée – Sarabande – La Babilieuse en menuet – Gigue)でも、アルマンドがアンダンテと速度表記になりソナタ形式に近づき、クーラントはパサピエに置き換わり、メヌエットには《おしゃべり箱》という表題が付けられます。

〈リュート組曲 第20番 ニ長調〉(WeissSW 26・Prélude – Marche – Gavotte –Aria –Manuet – Musette – Rondeau en écho – Comment sçavez Vous?)は前奏曲で始まり、行進曲が続き、ミュゼットでバグパイプが模され、ロンドでは強弱でこだまして、《汝はどう知るか?》はリトルネッロ型式です。

2017年1月12日

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの〈無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番〉(1720年・BWV 1004)

ケーテンで妻を亡くした年にまとめた清書譜(D-B Mus. ms. Bach P 967)で伝わります。また、アンナ・マグダレーナの筆写譜(D-B Mus. ms. Bach P 268)も伝わります。

無伴奏ヴァイオリンの伝統は、ビーバー(Heinrich Biber, 1644-1704)、ヴァルター(Johann Jakob Walther, 1650-1717)、ウェストホーフ(Johann Paul von Westhoff, 1656-1705)、ヴォリュミエ(Jean-Baptiste Volumier, c.1670-1728)らにより生み出されてきました。

大バッハはピゼンデル(Johann Georg Pisendel, 1687-1755)と親交して高度な技巧によりました。シャコンヌはリュートでメッサンジョー、老ゴーティエ、デュフォー、ガロら、鍵盤楽器でフレスコバルディ、シャンボニエール、ルイ・クープラン、ダングルベールらが書きました。

アルマンドは簡潔な書法で古雅な印象を受け、クーラントは滑らかに上昇して、細切れに下降する旋律が絶妙です。サラバンドでリュートらしい単旋律と重奏音により心地よい流れが生まれ、ジーグは三連符で始まり、細かな走句による装飾で埋められて濃淡が生まれます。

シャコンヌはパッサカリアやラ・フォリアと同じく、ルネサンス後期に流行した固執低音(オスティナート・バス)による変奏による舞曲です。新大陸起源で快活な舞曲でしたが、イベリアやイタリアを経由して、フランスやイギリスに移入され、緩急を伴う情緒豊かで優雅な舞曲になりました。

パルティータはAllemanda – Corrente – Sarabanda – Giga – Ciacconaで構成され、自筆譜でイタリア語名で舞曲が書かれます。フランスのリュートやクラヴサン楽派で組曲(アルマンド・クーラント・サラバンド・ジーグ)の最後にシャコンヌやパッサカリアが弾くことが多いです。

• Georges Enesco(1949年・Continental CLP-154~56)
• Johanna Martzy(1954-55年・Columbia 33CX-1286~88)
• Josef Szigeti(1955-56年・Vanguard BG-627~29)
• Jean Champeil(1959年・Véga C-30-S-208)
• Bronisław Gimpel(1962~64年・Dover HCR-5212/28/29)
• Devy Erlih(1969年・Disques Adès 13.054~56)
• Susanne Lautenbacher(1972-73年・Vox SVBX-526)
• Oscar Shumsky(1975年・MHS 4032~34/ASV ALHV-306)

• Pauline H. Nobes (2000). A Catalogue of Unaccompanied Solo Violin Repertory before ca. 1750, Ipswich: Rhapsody Ensemble Editions.

ユリアン・シトコヴェツキー(1954年・Мелодия Д-2848/49)

Vieux Gaultier: Chaconne en ut majeur(F-B ms. 279152 dit. Vaudry de Saizenay I, 20)
François Dufault: Chaconne en ut majeur(A-Wn Mus. Hs. 17706, 2v)
Jacques Gallot: Chaconne. La Comète en ut majeur(D-Lem ms. II.6.14)
Robert de Visée: Chaconne en sol majeur(F-B ms. 279152 dit. Vaudry de Saizenay I, 288)
Girolamo Frescobaldi: Balletto e ciaccona(1615年・Toccate e partite d'intavolatura, Libro primo)
Louis Couperin: Chaconne en fa majeur(1658年・Manuscrit Bauyn 80)
Leopold Silvius Weiss: Chaconne en sol mineur(1725年・WeissSW 10/7)

2017年1月14日

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの〈無伴奏チェロ組曲 第3番〉(1720年・BWV 1009)もケーテンで妻が亡くなりました年に無伴奏ヴァイオリンの作品と共にまとめられました。アーベル(Christian Ferdinand Abel, 1682-1791)に影響されたといわれます。

大バッハの自筆譜は失われましたが、アンナ・マグダレーナの精密な筆写譜(1727-32年・D-B Mus. ms. Bach P 269)、また、ケルナー(Johann Peter Kellner, 1705-1772)の筆写譜(1726年・D-B Mus. ms. Bach P 804, Faszikel 40)などで伝わります。

〈無伴奏チェロ組曲 第5番〉(BWV 1011)はリュート組曲(1731年頃・BWV 995)に編曲され、スコルダトゥーラ(特殊な調弦)により、調弦を変更するリュートに近いです。ヴァイスのリュート組曲や同時期のイギリス組曲(BWV 806-811)の構成とほとんど同じです。

前奏曲は筆写譜ではスラーが細かく異なり、アーティキュレーションに違いが生じます。特に大バッハは細かなニュアンスも書き入れ、スラーでつながれた音符をまとまりと捉えます。ペダル低音が鳴り、分散和音による反復音型で緩急や疎密を生じます。

アルマンドは細かな走句が流麗です。クーラントは急激な跳躍進行と優雅な順次進行が混ざり、サラバンドはリュートの断続様式(style brisé)により、七の音が揺れ動きます。ブーレのトリオは同主調のハ短調です。ジーグは単声と二声が替わり変化が生まれます。

組曲はPrélude – Allemande – Courante – Sarabande – Bourrée I/II – Gigueで構成されます。無伴奏チェロのための六つの組曲は、同じ構成で統一されます。ギャラントリーにMenuett(第1・2番)・Bourrée(第3・4番)・Gavotte(第5・6番)が置かれます。

• Richard R. Efrati (1979). Versuch einer Anleitung zur Ausführung und zur Interpretation der Sonaten und Partiten für Violine solo und der Suiten für Violoncello solo von Johann Sebastian Bach, Zürich: Atlantis.

• Pablo Casals(1936-39年・His Master’s Voice DB-3671/73; 3399/01; 3402/04; 6538/40; 6541/44; 3674/77)
• Gaspar Cassadó(1957年・Vox VBX-15)
• Henri Honegger(1959年・Valois MB-922~24)
• Paul Tortelier(1960年・La Voix de son Maître ASDF-217~19)
• André Levy(1962年・Lumen LD-3.447~49)
• Daniil Shafran(1969-74年・Мелодия С-01935-36/05416~20)
• Esther Nyffenegger(1971年・Armida EN-115~17)
• André Navarra(1977年・Calliope CAL-1641~43)

Enrico Mainardi
• Decca AX 434-36 (I) [1948-09-28]
• Decca AK 2155-57 / London LA-131 (II) [1949-09-30]
• Decca LX-3069 / London LLP-403 (III) [1950-01-20]
• Decca LXT-2673 / London LLP-404 (IV) [1950-01-23]
• Archiv 14029 (I/II); 14044 (III/IV); 13034 (V); 14061 (VI) [1954-55]
• Orfeo 360 941 B (I-III) [1957-07-31]
• Eurodisc 76 069 XK [1963-64]

Pablo Casals(1955年・IMPS-1011)

Annlies Schmidt de Neveu(1957-58年・Ducretet-Thomson 300-C-043~45)
André Levy(1962年・Lumen LD-3.448)

2017年1月17日

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの〈無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調〉(1723年・BWV 1013)

ケーテン時代の門人カイザー(Bernhard Christian Kayser, 1705-1758)の筆写譜(1731年頃・D-B Mus. ms. Bach P 968, Faszikel 2)で一曲のみが伝わります。

アルマンドは分散和音により、旋律の移高や転調を繰り返し、息継ぎがなく16分音符と細かな装飾が連なり前奏曲のようです。クーラントはペダル低音が使われ、跳躍音型でリズムを生み出し、弦楽器のbariolageを模した音型が現れて、長音価の小休止が時どき置かれます。

サラバンドは八分音符六つの連句と長音価が緩急を生み、一音ずつ上下して音型を反復します。第19・29小節の#、第22・24小節の♭は上がり切る音に付けられ情感を高めます。イングランド風ブーレでは、半音階進行やエコー効果など、イタリアの古い技法が見られます。

パルティータはAllemande – Corrente – Sarabande – Bourrée anglaiseで構成されます。無伴奏ヴァイオリンとチェロの続編とされ、ライプツィヒ時代の作ともされ、テレマンの《無伴奏フルートのための12のファンタジア》(1732-33年出版・TWV 40:2-13)とも関係します。

• Poul Birkelund(1950年・Metronome MCEP-3017)
• Jean-Pierre Rampal(1954-55年・Ducretet-Thomson 320-C-027)
• Fernand Caratgé(1957年・Le Chant du Monde LDX-A-8172)
• Karl Bobzien(1953年・Archiv 198-413)
• Michel Debost(1963年・Véga C-30-A-399)
• Alain Marion(1970年・Mondiodis MD-10001~02)

• Yoshitake Kobayashi (1991). Noch einmal zu J.S. Bachs Solo pour la flûte traversière BWV 1013, Magazin für Freunde alter und neuer Bläsermusik 16(1): 379-382.

Georg Philipp Telemann: Fantasia 8(TWV 40:9)
Georg Philipp Telemann: Fantasia 11(TWV 40:12)

2017年1月18日

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの〈パルティータ ハ短調〉(1739年・BWV 997)

アグリーコラ(Johann Friedrich Agricola, 1720-1774)の筆写譜(D-B Mus. ms. Bach P 650)やキルンベルガー(Johann Philipp Kirnberger, 1721-1783)の筆写譜(D-B Mus. ms. Bach P 218, Faszikel 3)で伝わります。二段譜表で書かれ、鍵盤組曲で弾けます。ヴェイラウフ(Johann Christian Weyrauch, 1694-1771)はフランス式奏法譜(D-LEm III.11.5)でFantasia – Sarabande – Gigaが伝わります。情緒あるプレリュード(ファンタジア)とフーガに加えて、静謐なサラバンドとジーグが作られました。

1739年夏に訪れたヴァイスと門人ヨハン・クロップガンスに影響を受けました。ジーグに対するドゥーブルは珍しくて、リュートらしい分散和音によります。モノディ様式の主旋律と通奏低音の二段譜表により、トリオソナタ、クラヴィーア、リュート独奏や二台の合奏としても演奏できます。

長大なフーガは《フーガの技法》(BWV 1080)に近く、半音階主題が用いられ、増減音程で転調をして厳めしいです。鍵盤付きリュート(Lautenwerck)で弾くために書かれたともされます。パルティータはPrelude [Fantasia] – Fuga – Sarabande – Gigue – Doubleで構成されます。

フランス式リュート奏法譜(D-LEm III.11.5)
クラヴィーア用二段譜表(D-B Mus. ms. Bach P 650)

ヨハン・セバスティアン・バッハの〈プレリュードフーガアレグロ 変ホ長調〉(1735年頃・BWV 998)

クリストフ・グラウプナーの〈パルティータ イ短調〉(1722年・GWV 118・Monatliche Clavier Früchte)

2017年1月19日

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの〈組曲 イ短調〉(BWV 818)

〈イギリス組曲〉の峻厳な響きと〈フランス組曲〉の優美な流れを兼ねた作です。カイザー(Bernhard Christian Kayser, 1705-1758)の筆写譜(1722年頃・ D-B Mus. ms. Bach P 418)で〈フランス組曲〉短調3曲に続きます。

ゲルバー(Heinrich Nikolaus Gerber, 1702-1775)の筆写譜(1725年頃・D-LEb Go. S. 9)も伝わります。組曲の基本配列により、アルマンドは大クープランのLa Couperin(1730年出版・《クラヴサン曲集》第4巻 第21オルドル)から主題を借り、和声が美しく流れて、情感を紡ぎます。

クーラントの角があるリズムで対比を生み、サラバンドは下降音型が和音へ沈み、ドゥブールが付き、ジーグはパルスの連続により軽快さ、低音の助奏により重厚さを兼ねます。ウィリアム・カペルのRCA録音(1947年1月7日)です。メルボルン演奏会(1953年10月1日)もあります。

François Couperin: La Couperin. Vingt-et-unième Ordre. Quatrième livre

2017年1月21日

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの〈組曲(パルティータ) イ長調〉(BWV 832)

メラー手稿譜(D-B Mus. ms. 40644)で前半が伝わり、ショルツ(Leonhard Scholz, 1720-1798)の筆写譜(D-LEb Rara Ib, 55)でAllemande – Air – Sarabande – Bourrée – Gigueが完全に伝わります。

アルマンドは左右の旋律をストレッタで連ね、クーラントの代りにトランペットやポストホルンの音型を模倣したエール(Aire pour les Trompettes)が置かれます。ギャラントリーのブーレは、四分音符・八分音符の主題音型を繰り返し、ジーグは三連符と長短の音型でリズムと旋律を併せます。

〈第三旋法による前奏曲とパルティータ ヘ長調〉(BWV 833)

メラー手稿譜で伝わります。Präludium – Allmande – Courante – Sarabande –Double – Airで構成され、アルマンドとクーラントが組をなします。サラバンドにドゥーブルが付き、ジーグの代りにエールが置かれて組をなします。

プレリュードはアンダンテですが、サラバンドのドゥーブルからアレグロになり、ヴァイオリンの音型を模倣して、エールは声楽を模倣して、イタリアのアリアより、フランスのロンド様式によります。リトルネッロで数字付き低音によりモノディ様式で書かれ、和声を補完して演奏されます。

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの〈ソナタ ニ長調〉(1704年頃・BWV 963)

メンペル(Johann Nikolaus Mempell, 1713-1747)の筆写譜(D-B Mus. ms. Bach P 804, Faszikel 10)で伝わります。

トッカータで有節様式により拍子や調性を変え、即興性とフーガを含めて楽想が移ろいゆきます。ソナタ(トッカータ)はAllegro maestoso – Grave – Fugato – Adagio – Fugaで構成され、最終楽章はThema all'imitatio Gallina Cuccuと雌鶏の鳴き声が描写されます。〈トッカータ ニ長調〉(BWV 912)に近く、パルティータや鍵盤ソナタを出版していた、クーナウの鍵盤楽曲を模範としています。

ヨハン・クーナウは1660年にザクセン地方ガイジングで生まれ、ドレスデンやツィッタウに移り、1682年にライプツィヒ大学で学び、1684年にトーマス教会のオルガニスト、1701年にシェレ(Johann Schelle, 1648-1701)の後任にトマス・カントルになり、1722年にライプツィヒで亡くなりました。

ハイニヒェン(Johann David Heinichen, 1683-1729)、グラウプナー(Christoph Graupner, 1683-1760)、ファッシュ(Johann Friedrich Fasch, 1688-1758)と大家を育て、ライプツィヒでコレギウム・ムジクムを結成したテレマン(Georg Philipp Telemann, 1681-1767)に影響を与えました。

Johann Kuhnau: Sonata Nr. 6 in Es-dur(1696年・Frische Clavier-Früchte)
Johann Sebastian Bach: Toccata in D-dur(1710年頃・BWV 912)

2017年1月23日

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの〈ソナタ イ短調〉(1707年頃・BWV 965)

ヴァルター(Johann Gottfried Walther, 1684-1748)の筆写譜(1712年頃・D-B Mus. ms. Bach P 803, Faszikel 25)とケルナー(Johann Peter Kellner, 1705-1772)の筆写譜(1726年頃・ D-B Mus. ms. Bach P 804, Faszikel 20)で伝わります。

ラインケンの《音楽の庭(Hortus musicus)》(1687年)の〈ソナタ 第1番〉の編曲です。Adagio – Fuga – Adagio – Presto – Allemande – Courante – Sarabande – Gigueで構成され、イタリア様式の教会ソナタ(緩急緩急)を前奏曲としてフランス様式の組曲(四つの舞曲)を後続させます。

アダージョは付点リズムやティラータなど装飾で華やかです。フーガはヴェックマンらしく主題(Dux)・応答(Comes)・対位主題(Cp.)が現れます。アダージョ・プレストは下声部が簡素です。組曲はトリオ・ソナタにより、主旋律と通奏低音にオブリガート声部が付いた三声です。

大バッハはゲオルグ・ベームを通じてラインケンの孫弟子です。1700年にリューネブルクでベームに師事、ラインケンのコラール幻想曲〈バビロン川のほとりに(An Wasserflüssen Babylon)〉を筆写、1720年にハンブルクの聖ヤコブ教会にてラインケンの前で〈幻想曲とフーガ〉(BWV 542)を演奏しました。

〈三声フーガ 変ロ長調〉(1703年・BWV 954)はラインケンの《音楽の庭(Hortus musicus)》にある〈ソナタ 第6番〉のアレグロの編曲です。

Johann Adam Reincken: An Wasseflüssen Babylon
Johann Sebastian Bach: An Wasseflüssen Babylon

2017年1月24日

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの〈イタリア様式によるアリアと変奏(Aria variata alla maniera italiana)〉(1714年・BWV 989)

クレーブスの筆写譜(1710-17年頃・ D-B Mus. ms. Bach P 801, Faszikel 23)やケルナーの筆写譜(1725年頃・D-B Mus. ms. Bach P 804, Faszikel 21)で最終部の数変奏を欠いて伝わります。

兄ヨハン・クリストフ(Johann Christoph, 1671-1721)が筆写したアンドレアス・バッハ本(1705-13年頃・D-LEm III.8.4)で完全に伝わり、コラール・パルティータのように低音主題により、フラスコバルディやパスクイーニの技法です。〈ゴールドベルク変奏曲〉の先駆となる作です。

パッヘルベル(Johann Pachelbel, 1653-1706)の《アポロンのヘクサコルド(Hexachordum Apollinis)》(1699年)に影響されながら、スウェーリンク(Jan Pieterszoon Sweelinck, 1562-1621)やザムエル・シャイト(Samuel Scheidt, 1587-1653)らが用いた装飾(Corta-Figur)を伴う主題によります。

サムイル・フェインベルクは1890年にオデッサで生まれ、1894年にモスクワに移り、パブストの門下ゴリデンヴェイゼルに学び、1962年に亡くなりました。優美に声部を歌いしなやかです。平均律クラヴィーア曲集やコラール編曲を好み、現代音楽まで弾き、作品も多く残しました。

• Gunnar Johansen(1951年・Artist-Direct Album-13)
• Rosalyn Tureck(1951年・Allegro AL-117)
• Isolde Ahlgrimm(1954年・Philips A-00267-L)
• Ruggero Gerlin(1954年・L’Oiseau-Lyre OL-50097)
• Bruno Seidlhofer(1954年・Supraphon LPM-77)
• Ralph Kirkpatrick(1960年・Archiv 198-183)
• Samuel Feinberg(1961年・Melodiya Д-08543-44)
• Luciano Sgrizzi(1965年頃・Alpha CM-12)

Partita 1 in Es-Dur(1731年・BWV 825)
Chromatische Fantasie und Fuge(1717年・BWV 903)
Allein Gott in der Höh' sei Ehr(1723年・BWV 663)
Präludium und Fuge e-moll(1728年・BWV 548)

2017年1月26日

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの〈サラバンドと変奏(Sarabanda con Partite)〉(BWV 990)

レオンハルド・ショルツ(Leonhard Scholz, 1720-1798)の筆写譜(D-LEb Rara Ib, 89)で伝わり、イタリア様式によるアリアと変奏ではなく、フランス様式によるシャコンヌやパッサカリアのような趣きです。

主題は主題はリュリのオペラ〈ベレロフォン(Bellérophon)〉(1679年)の序曲により、フランスの断続様式(stile brisé)や下降する音型などの特徴、サラバンドはダ・カーポで北ドイツ・オルガン楽派の書法がみられます。第12変奏はアルマンド、第13変奏はクーラント、第16変奏は小ジーグ(L'ultima partita o giguetta)です。

18世紀のドイツ・バロックはイタリアの技法とフランスの様式が折衷され、ネーデルランド=北ドイツのオルガン楽派から、増減音程による転調や半音進行による装飾など、峻厳な要素が加味されました。大バッハの初期鍵盤音楽を調べると巨匠たちの音楽を通じて吸収した過程が分かります。

マリヤ・グリンベルクは1908年にオデッサに生まれ、オデッサ音楽院でフェリックス・ブルーメンフェルト、モスクワ音楽院でコンスタンチン・イグームノフに学び、ドイツの古典を溌剌と演奏して、1970年にベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲の録音を発表して、1978年にタリンで亡くなりました。

Girolamo Frescobaldi: Aria detta la Frescobalda(1627年・Toccate e partite d'intavolatura, Libro 2. 32・F 3.32)
Bernardo Pasquini: Partite di Bergamasca
Dietrich Buxtehude: Partita auf meinen lieben Gott(BuxWV 179)
Johann Sebastian Bach: Partite diverse sopra: O Gott, du frommer Gott(BWV 767)

2017年1月29日

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの〈アリアと種々の変奏(Aria mit verschiedenen Veränderungen)[通称「ゴールドベルク変奏曲(Goldberg-Variationen)」]〉(1742年・BWV 988)

《クラヴィーア練習曲集》第4巻として出版されました。主題のアリアは《アンナ・マグダレーナの楽譜帳》第2巻(1725年・D-B Mus. ms. Bach P 225)によります。

低音主題に対して旋律音型や分散和音を変更して、序曲や舞曲など様式を用い、フーガやカノンを構成して変化を与え、作曲の技法の標本のようです。また、同じ低音主題により《17のカノン》(1746年・BWV 1087)を展開した自家版(F-Pn Ms. 17669)がストラスブールで発見されました。

グレン・グールドは、1954年にカナダ放送協会録音(CBC PSCD2007)、1955年にモノラル録音(Columbia ML-5060)、1958年にバンクーバー音楽祭(WHRA 6038)、1959年にザルツブルク音楽祭(Music & Arts CD-677)、1964年にカノンを抜粋した映像(Sony SLV48416)、1981年に映像(SLV48424)と録音(Columbia IM-37779)を残しました。

• Rudolf Serkin(1928年・Welte-Mignon 4184~86[第6-8変奏欠])
• Wanda Landowska(1933年・HMV DB-4908~13、1945年・Victor ‎DM 1022 / RCA LM-1080)
• Gunnar Johansen(1950-51年・Artist Direct Album-1)
• Ralph Kirkpatrick(1952年・Haydn Society HSLP-9035、1958年・Archiv 198 020)
• Jörg Demus(1955年・Westminster XWN-18227)
• Glenn Gould(1955年・Columbia ML-5060)
• James Friskin(1956年・Vanguard BG-558)
• Rosalyn Tureck(1957年・HMV ALP-1548-49)
• Isolde Ahlgrimm(1965年・Belvédère ELY-06107)
• Gustav Leonhardt(1965年・Telefunken SAWT-9474)
• Maria Yudina(1968年・Melodiya Д-23881-84)
• Wilhelm Kempff(1969年・Deutsche Grammophon 139-455)

Blandine Verlet(1993年・Astrée E 8745)

2017年1月30日

第16変奏は序曲で始まり、三の倍数に置かれるカノンは模倣する音程が同度から9度まで増え、第30変奏でクオドリベットで少なくとも6つの民謡の旋律が現れます。

第10・22変奏はフーガで中央から対称に置かれます。第7変奏はジーグです。アリアはヨハン・クリストフ・バッハ(Johann Christoph Bach, 1642-1703)のサラバンドに似て、低音主題が数字付き和音の再現のように変奏され、オルガンのカノン変奏曲〈高き天よりわれは来たれり(Vom Himmel hoch, da komm ich her)〉(1747年・BWV 769)に近いです。

グスタフ・レオンハルトは、1953年録音(Vanguard BG-536)、1965年録音(Telefunken SAWT-9474-A / 6.41198 AW)、1976年録音(Deutsche Harmonia Mundi 1C 065-99 710)で全曲が残し、1988年録音(Philips 426 352-2)でアリアのみ残しました。

a+30+a'
Discographie J-S. Bach Variations Goldberg

Jörg Demus(1955年・Westminster XWN-18227)

Dietrich Buxtehude: 32 Variationen über Bergamasca „La Capricciosa“(1680年頃・BuxWV 250)

Johann Sebastian Bach: Kanonische Veränderungen über „Vom Himmel hoch“(1747年・BWV 769)

Westminster XWN-18227

2017年12月25日

時どき、コメント欄で楽譜や音楽により補足いたします。管絃楽曲が四声体を基礎として書かれるお話ですが、最初期のシンフォニアの実例でも、クリストフ・グラウプナーの〈シンフォニア ヘ長調〉(1752年・GWV 571)は、自筆譜(D-DS Mus. 3074/108)に「Sinfonia a 2 Corni, 2 Hautbois, 2 Violini, Viola e Cembalo.」と書かれ、六つのパートがありますが、四声の弦楽(2 Violini, Viola e Cembalo)に対してホルン(2 Corni)とオーボエ(2 Hautbois)が彩どりを添えていることが分かります。また、グラウプナーの特徴として、何度も繰り返しをすると予想外のところで強弱表現のエコー効果や短調が見事で面白いですね。

2017年12月30日

ジャン=バティスト・リュリのGeorge Dandin(1668年・LWV 38)の序曲(Ouverture)

定石通り、五声体(Dessus, Haute-contre, Taille, Quinte, Basse-taille)で書かれています。

ルイ14世の宮廷楽団には24人の弦楽奏者(Les Vingt-quatre Violons du Roi:6 Dessus, 4 Haute-contres, 4 Tailles, 4 Quintes, 6 Basses)がおり、外声が6人、内声が4人ずつでした。

四声に五声目(Quintes)を加え、外声を作曲してから、内声を充填して書いたとき、上声と下声のバランスを考え、ウエスト(Tailles)に対して、上下対称になるようにしたと思われます。

ジャン=フィリップ・ラモーのLes Indes Galantes(1735年・RCT 44)の序曲(Ouverture)

四声(Hautbois/Violons・Hautes-contre・Tailles・Bassons/Basses)からなります。

五つの楽器(Hautbois, Bassons, Cors en sol, Violons, Basse continue)のときは、バソン(Bassons)が通奏低音(Basse continue)を概ねなぞりながら、全体を下から支えてゆきます。

ルイ14世の宮廷楽団の弦楽合奏(Les Vingt-quatre Violons du Roi)による五声体(Dessus, Haute-contre, Taille, Quinte, Basse-taille)から、五声目(Quinte)を縮小した構成です。

バッハ作品
○ Bach-Gesellschaft Leipzig (1851-99). Johann Sebastian Bachs Werke 1-61, Leipzig: Breitkopf & Härtel.
○ Johann-Sebastian-Bach-Institut Göttingen; Bach-Archiv Leipzig (1954-2007). Johann Sebastian Bach: Neue Ausgabe sämtlicher Werke; (1963-72). Bach-Dokumente, Kassel: Bärenreiter.

バッハ文献
• Johann Philipp Kirnberger (1771-79). Die Kunst des reinen Satzes in der Musik 1-3, Berlin: J. G. Decker & G. L. Hartung. [東川清一:《純正作曲の技法》(東京:春秋社,2007年)]
• Johann Nikolaus Forkel (1802). Über Johann Sebastian Bachs Leben, Kunst und Kunstwerke, Leipzig: Hoffmeister & Kühnel. [柴田治三郎:《バッハの生涯と芸術》(東京:岩波書店,1988年)]
• Hans T. David; Arthur Mendel; Christoph Wolff (1945/98). The Bach Reader, New York: W. W. Norton.
• Robert L. Marshall (1972). The Compositional Process of J. S. Bach, Princeton: Princeton University Press.
• Hans-Joachim Schulze (1975). Johann Sebastian Bach: Leben und Werk in Dokumenten, München: Deutscher Taschenbuch-Verlag. [角倉一朗、酒田健一:《バッハ叢書 10:バッハ資料集》(東京:白水社,1983年)].
• Kirsten Beißwenger (1992). Johann Sebastian Bachs Notenbibliothek, Kassel: Bärenreiter.

声楽合唱曲
・教会カンタータ(BWV 1-200)
・世俗カンタータ(BWV 201-224)

・モテット(BWV225‐231)
・通作ミサ曲(BWV232‐236)
・ミサ曲断章(BWV 237-242)
・マニフィカト(BWV 243)

・受難曲(BWV 244-247)
・オラトリオ(BWV 248-249)
・四声コラール(BWV250‐438)
・歌曲と重唱(BWV439‐524)

オルガン曲
・ソナタ(BWV525‐530)
・前奏曲[トッカータ・ファンタジア]とフーガ[模倣曲](BWV531-581)
・変奏曲[パッサカリア]とフーガ(BWV 582)
・トリオ(BWV 583-586)

・アリア(BWV 587)
・カンツォーナ(BWV 588)
・アラブレーヴェ(BWV 589)
・パストラーレ(BWV 590)
・小さな和声の迷宮(BWV 591)

・協奏曲(BWV 592-597)
・ペダル練習曲(BWV 598)

・オルガン小曲集(BWV 599-644)
・シュープラー・コラール(BWV 645-650)
・18のコラール(BWV 651-668)
・21のコラール前奏曲(BWV 669-689)
・キルンベルガー・コラール(BWV 690-713)
・27のコラール編曲(BWV 714-740)
・25のコラール編曲(BWV 741-765)
・コラール変奏曲[パルティータ](BWV 766-771)

鍵盤楽曲
・2声のインヴェンション(BWV 772-786)
・3声のシンフォニア(BWV 787-801)
・デュエット(BWV 802-805)

・イギリス組曲(BWV 806-811)
・フランス組曲(BWV 812-817)
・組曲[序曲](BWV 818-824)
・パルティータ(BWV 825-830)
・フランス様式の序曲(BWV 831)
・組曲(BWV 832)
・前奏曲とパルティータ(BWV 833)
・舞曲(BWV 834-845)

・平均律クラヴィーア曲集第1巻(BWV 846-869)
・平均律クラヴィーア曲集第2巻(BWV 870-893)
・前奏曲とフーガ[フゲッタ](BWV 894-902)
・半音階的幻想曲とフーガ(BWV 903)
・幻想曲とフーガ[フゲッタ](BWV 904-908)
・協奏曲とフーガ(BWV 909)
・トッカータ(BWV 910-916)
・幻想曲・前奏曲(BWV 917-923)
・小さな前奏曲[フリーデマン](BWV 924-932)
・小さな前奏曲[キッテル](BWV 933-938)
・小さな前奏曲[ケルナー](BWV 939-943)
・フーガ[フゲッタ](BWV 944-961)
・ソナタ(BWV 963-967)
・ソナタ楽章(BWV 968-970)

・イタリア協奏曲(BWV 971)
・協奏曲(BWV 972-987)
・ゴールドベルク変奏曲(BWV 988)
・アリア・サラバンドと変奏(BWV 989-991)

・カプリッチョ(BWV 992-993)
・運指練習曲(BWV 994)

室内楽曲
・リュート組曲[パルティータ](BWV 995-997)
・リュートのための前奏曲、フーガとアレグロ(BWV 998)
・リュートのための前奏曲(BWV 999)
・リュートのためのフーガ(BWV 1000)

・無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(BWV 1001-1006)
・無伴奏チェロ組曲(BWV 1007-1012)
・無伴奏フルートのためのパルティータ(BWV 1013)

・ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ(BWV 1014-1019)
・ヴァイオリン[フルート]とオブリガートのためのソナタ(BWV 1020)
・ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ(BWV 1021-1024)
・ヴァイオリンとオブリガートのための組曲 (BWV 1025)
・ヴァイオリンとチェンバロのためのフーガ(BWV 1026)

・ヴィオラ・ダ・ガンバとオブリガートのためのソナタ(BWV 1027-1029)
・フルートとオブリガートのためのソナタ(BWV 1030-1032)
・フルートと通奏低音のためのソナタ(BWV 1033-1035)
・トリオ・ソナタ(BWV 1036-1040)

管弦楽曲
・ヴァイオリン協奏曲(BWV 1041-1042)
・二重協奏曲(BWV 1043)
・三重協奏曲(BWV 1044)
・シンフォニア(BWV 1045)
・ブランデンブルク協奏曲(BWV 1046-1051)
・チェンバロ協奏曲(BWV 1052-1059)
・二~四台のチェンバロ協奏曲(BWV 1060-1065)

・管弦楽組曲(BWV 1066-1070)
・シンフォニア(BWV 1071)

対位法作品
・カノン(BWV 1072-1078)
・音楽の捧げ物(BWV 1079)
・フーガの技法(BWV 1080)

新発見作品
・編曲作品[バッサーニ・カルダーラ・ペルゴレージ・グラウン](BWV 1081-1083 & 1088)
・四声コラール(BWV 1084 & 1089)
・コラール編曲(BWV 1085)
・カノン(BWV 1086)
・14のカノン[ゴールドベルク変奏曲のアリア主題](BWV 1087)
・ノイマイスター・コラール集(BWV 1090-1120)

2017年9月25日

バッハ家所蔵音楽文庫(Bachs Notenbibliothek)


・パレストリーナ(Giovanni Pierluigi da Palestrina, 1525-1594)
・アンマーバッハ(Elias Ammerbach, c.1530-1597)
・リッチオ (Teodoro Riccio, c.1540-1601)
・フレスコバルディ(Girolamo Frescobaldi, 1583-1643)
・ミケランジェロ・ロッシ(Michelangelo Rossi, 1601-1656)
・フローベルガー(Johann Jakob Froberger, 1616-1667)
・ローゼンミュラー(Johann Rosenmüller, 1619-1684)
・エーデルマン(Moritz Edelmann, c.1620-1680)
・ペランダ(Marco Giuseppe Peranda, c.1625-1675)
・フロー(Christian Flor, 1626-1697)
・レグレンツィ(Giovanni Legrenzi, 1626-1690)
・ペーター(Christoph Peter, 1626-1689)
・ケルル(Johann Caspar Kerll, 1627-1693)
・クリストフ・ベルンハルト(Christoph Bernhard, 1628-1692)
・ダングルベール(Jean-Henri d'Anglebert, 1629-1691)
・アンジェロ・ペラルディ(Angelo Peraldi, c.1630-1694)
・ニコラ・ルベーグ(Nicolas Lebègue, 1631-1702)
・リュリ(Jean-Baptiste Lully, 1632-1687)
・ファブリツィウス (Werner Fabricius, 1633-1679)
・クニュプファー(Sebastian Knüpfer, 1633-1676)
・ブクステフーデ(Dietrich Buxtehude, 1637-1707)
・パスクィーニ(Bernardo Pasquini, 1637-1710)
・レゾン(André Raison, c.1640-1719)
・ゲオルク・クリストフ・バッハ(Georg Christoph Bach, 1642-1697)
・ヨハン・クリストフ・バッハ(Johann Christoph Bach, 1642-1703)
・ラインケン(Johann Adam Reincken, 1643-1722)
・クリスチャン・リッター(Christian Ritter, c.1645-1727)
・ヨハン・ミヒャエル・バッハ(Johann Michael Bach, 1648-1694)
・コベルク(Johann Anton Coberg, c.1650-1708)
・ボワヴァン(Jacques Boyvin, c. 1650-1706)
・コレッリ(Arcangelo Corelli, 1653-1713)
・パッヘルベル(Johann Pachelbel, 1653-1706)
・ポラローロ(Carlo Francesco Pollarolo, 1653-1723)
・クヒェンタール(Johann Georg Kuchenthal, 1654–1711)
・ペステル(Gottfried Ernst Pestel, 1654-1732)
・マラン・マレ(Marin Marais, 1656-1728)
・バール(Johann Baal, 1657-1701)
・バッサーニ(Giovanni Battista Bassani, 1657-1716)
・ダニエル・フェッター(Daniel Vetter, 1657-1721)
・トレッリ(Giuseppe Torelli, 1658-1709)
・フックス(Johann Joseph Fux, 1660-1741)
・ゲオルク・ベーム(Georg Böhm, 1661-1733)
・ムルシュハウザー(Franz Xaver Murschhauser, 1663-1738)
・ツァッホウ(Friedrich Wilhelm Zachow, 1663-1712)
・ペーツ(Johann Christoph Pez, 1664-1716)
・シュミート(Johann Christoph Schmidt, 1664-1728)
・ニコラウス・ブルーンス(Nicolaus Bruhns, 1665-1697)
・ブットシュテット(Johann Heinrich Buttstett, 1666-1727)
・ヴィット(Christian Friedrich Witt, 1666-1717)
・デュパール(Charles Dieupart, 1667-1740)
・ロッティ(Antonio Lotti, 1667-1740)
・大クープラン(François Couperin, 1668-1733)
・マルシャン(Louis Marchand, 1669-1732)
・アレッサンドロ・マルチェルロ(Alessandro Marcello, 1669-1747)
・カルダーラ(Antonio Caldara, c.1670-1736)
・フィッシャー(Johann Caspar Ferdinand Fischer, c. 1670-1746)
・アルビノーニ (Tomaso Albinoni, 1671-1751)
・ヴィルデラー(Johann Hugo von Wilderer, 1671-1724)
・ボンポルティ(Francesco Antonio Bonporti, 1672-1749)
・ニコラ・ド・グリニー(Nicolas de Grigny, 1672-1703)
・ピエール・デュ・マージュ(Pierre du Mage, 1674-1751)
・カイザー(Reinhard Keiser, 1674-1739)
・ニート (Friedrich Erhard Niedt, 1674-1717)
・ヨハン・ベルンハルト・バッハ(Johann Bernhard Bach, 1676-1749)
・ヨハン・ルートヴィヒ・バッハ(Johann Ludwig Bach, 1677-1731)
・ペツォールト(Christian Petzold, 1677-1733)
・ヴィヴァルディ(Antonio Vivaldi, 1678-1741)
・ホフマン(Melchior Hoffmann, 1679-1715)
・ゼレンカ(Jan Dismas Zelenka, 1679-1745)
・コンティ(Francesco Bartolomeo Conti, 1681-1732)
・テレマン(Georg Philipp Telemann, 1681-1767)
・クリスティアン・フェルディナンド・アーベル(Christian Ferdinand Abel, 1682-1761)
・グラウプナー(Christoph Graupner, 1683-1760)
・ハイニヒェン(Johann David Heinichen, 1683-1729)
・ドゥランテ(Francesco Durante, 1684-1755)
・アゴスティーノ・ステッファーニ(Agostino Steffani, 1653-1728)
・ヴァルター(Johann Gottfried Walther, 1684-1748)
・ヘンデル(Georg Friedrich Händel, 1685-1759)
・キルヒホフ(Gottfried Kirchhoff, 1685-1746)
・ベネデット・マルチェルロ(Benedetto Marcello, 1686-1739)
・ヴァイス(Sylvius Leopold Weiss, 1687-1750)
・ピゼンデル(Johann Georg Pisendel, 1687-1755)
・ファッシュ(Johann Friedrich Fasch, 1688-1758)
・ヨハン・クリスティアン・リヒター(Johann Christian Richter, 1689-1744)
・シュテルツェル(Gottfried Heinrich Stölzel, 1690-1749)
・フルレブッシュ(Conrad Friedrich Hurlebusch, 1691-1765)
・ロカテルリ(Pietro Antonio Locatelli, 1695-1764)
・ヨハン・エルンスト公子(Johann Ernst IV von Sachsen-Weimar, 1696-1715)
・ヴォグラー(Johann Caspar Vogler, 1696-1763)
・ドレッツェル(Cornelius Heinrich Dretzel, 1697-1775)
・ヴァーグナー(Georg Gottfried Wagner, 1698-1756)
・ハッセ(Johann Adolph Hasse, 1699-1783)
・ヨハン・ゴットリープ・グラウン(Johann Gottlieb Graun, 1703-1771)
・エルセリウス(Johann Christoph Erselius, 1703-1772)
・ゾルゲ(Georg Andreas Sorge, 1703-1778)
・カルロ・ズッカリ(Carlo Zuccari, 1703-1792)
・カール・ハインリヒ・グラウン(Carl Heinrich Graun, 1704-1759)
・ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ(Wilhelm Friedemann Bach, 1710-1784)
・ペルゴレージ(Giovanni Battista Pergolesi, 1710-1736)
・ミツラー(Lorenz Christoph Mizler von Kolof, 1711-1778)
・クレープス(Johann Ludwig Krebs, 1713-1780)
・カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ (Carl Philipp Emanuel Bach, 1714-1788)
・ホミリウス(Gottfried August Homilius, 1714-1785)
・アルトニコル(Johann Christoph Altnickol, 1720-1759)
・カール・フリードリヒ・アーベル(Carl Friedrich Abel, 1723-1787)
・ゴールドベルク(Johann Gottlieb Goldberg, 1727-1756)

• Max Schneider (1935). Altbachisches Archiv, Leipzig: Breitkopf & Härtel.
• Bach-Archiv Leipzig (1963-). Bach-Dokumente, Kassel: Bärenreiter.
• Kirsten Beißwenger (1992). Johann Sebastian Bachs Notenbibliothek, Kassel: Bärenreiter.
• Walter Kolneder (1994). Lübbes Bach Lexikon, Lübbe: Bergisch Gladbach.
• John Butt (1997). The Cambridge Companion to Bach, Cambridge: Cambridge University Press.
• Hans T. David, Arthur Mendel, Christoph Wolff (1998). The New Bach Reader, New York: Norton.
• David Yearsley (2002). Bach and the Meanings of Counterpoint, Cambridge: Cambridge University Press.
• Richard Douglas Jones (2006/13/15). The Creative Development of Johann Sebastian Bach. Volume I: 1695-1717; Volume II: 1717-1750; Music to Delight the Spirit, Oxford: Oxford University Press.
• Axel Fischer; Matthias Kornemann (2009). The Archive of the Sing-Akademie zu Berlin, Berlin: De Gruyter.
• Robert L. Marshall; Traute M. Marshall (2016). Exploring the World of J. S. Bach, University of Illinois Press.

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