Press "Enter" to skip to content

ドメニコ・スカルラッティ

ドメニコ・スカルラッティの教会音楽(ミサ曲、モテット、マニフィカト、アンティフォナなど)は、ローマ楽派のカリッシミ(Giacomo Carissimi, 1605-1674)やパスクィーニ(Bernardo Pasquini, 1637-1710)、ヴェネツィア楽派のレグレンツィ(Giovanni Legrenzi, 1626-1690)やロッティ(Antonio Lotti, 1667-1740)、オペラやカンタータはナポリ楽派のフランチェスコ・プロヴェンツァーレ(Francesco Provenzale, 1624-1704)やガエターノ・グレコ(Gaetano Greco, 1657-1728)、アレッサンドロ・スカルラッティ(Alessandro Scarlatti, 1660-1725)やガエタノ・ヴェネツィアーノ(Gaetano Veneziano, 1665-1716)の系譜に連なります。

Cibavit nos Dominumはパレストリーナ様式です。Magnificatは無伴奏合唱により、転調で緊張と緩和を生み出します。Miserere(ホ短調・ト短調)は無伴奏の複合唱、1715年頃のStabat Materは十声の複合唱に通奏低音を伴い、1721年のTe DeumやTe gloriosusは複合唱に通奏低音を伴います。Iste confessorやLaetatus sumは独唱と合唱に通奏低音、Salve Regina(イ短調)はデュエットに通奏低音、1756年のSalve Regina(イ長調)はソプラノとチェロとオルガンの通奏低音によります。カンタータやオラトリオ、アリアやセレナータも作りました。オペラの序曲を抜粋した三楽章制のシンフォニアも伝わります。

鍵盤ソナタでは、基本三和音I, V, IVと転回形、長短調の関係調を用い、一時的な転調で移ろいながら、短三和音IV から長三和音V へ進み、和音を拡張・縮小して陰影を生みます。掛留音と連打音、変化音と経過音を用い、和音の省略と重合して、転調前後で連続して和声進行する即興を重んじました。属七の和音を同音に解決したり、解決を引き延ばしたり、解決しないこともあります。小音符による前打音、上接音から始まるトリル、モルデント・ターン・スライド・分散和音などの装飾音を用います。内声と外声、左手と右手を自在に交替しました。高音部が流麗で開放弦らしい連続音でリズムの流れを生みます。

スカルラッティはイタリアやイベリア半島の歌謡や舞踊など、音高と拍節と音量と時間へ抽象化して、即興で楽想を断片化して構築しました。代理和音により内部転調をして、即興伴奏(ヴァンプ)により、旋律線やリズムを自由に構成しました。オーケストラの独奏の交替、伴奏の色彩、楽器の交替まで応用しました。鍵盤ソナタは二部形式で前半は主調で始まり、終止形で複縦線に到り、後半は主調から離れ、臨時記号♯や♭を増減しながら、主調に戻ります。同調か関係調の数曲が組をなす対構成もあり、トッカータ・カプリッチョ・フーガ・ロンド・変奏曲・協奏曲・室内楽の多楽章・オルガン用ヴォランタリーの様式も存在します。

100番台までは創意に溢れ、200番台から旋律線やリズムの対話が模索され、300番台から簡素な書法で味わい深くなり、400番台から叙情的な旋律で流麗な書法になり、豊かなリズムと和声法で感情を語り、500番台から昔を懐かしむような自然な流れになり、安定した書法で素朴な作風になりました。スカルラッティはイタリアを離れ、ポルトガルやスペインに長く暮らして、王室の庇護の下で研鑽を重ね、七十歳を超えても追求を続け、古典音楽に加え、民族音楽に接し、独創を発揮して、個性をなしました。自然で温雅な感情を語り、喜びや悲しみや驚きや親しみが現れ、音楽でユーモアとウィットを静かに語りました。

詳細版

ドメニコ・スカルラッティは1685年10月26日にナポリで生まれました。父アレッサンドロや同僚でチェスティ門下パスクィーニやコレルリ門下ガスパリーニにも学び、1701年にナポリ王室礼拝堂オルガニストになり、1702年に歌劇〈玉座に帰ったオッターヴィア(L'Ottavia restituita al trono)〉を作り、1705年に父がローマに呼び、ヴェネツィアでガスパリーニに学び、1708年にローマでオットボーニ枢機卿の御前でヘンデルと競演して、1709年にローマでマリア・カジミェラの礼拝堂楽長になり、1710年にヴェネツィアでロージングレイブと会い、歌劇〈シルヴィア(Silvia)〉、1711年に〈トロメオとアレッサンドロ(Tolomeo et Alessandro)〉、〈オルランド(L’Orlando)〉、1712年に〈シーロのテティーデ(Tetide in Sciro)〉、〈ミサ・ラ・ステラ(Missa La Stella)〉、〈元后あわれみの母(Salve Regina)〉、〈主は我らを養いたもう(Cibavit nos Dominum)〉、〈主でなかりせば(Nisi quia Dominus)〉を作り、1713年にヴァチカンのジュリア礼拝堂の副楽長になり、歌劇〈アウリスのイフィゲニア(Ifigenia in Aulide)〉、〈タウリスのイフィゲニア(Ifigenia in Tauri)〉を作り、1714年にポルトガル大使デ・フォンテス侯爵の礼拝堂楽長、ジュリア礼拝堂の楽長になり、歌劇オペラ〈影の恋とそよ風の嫉妬(Amor d'un'ombra e gelosia d'un'aura)〉、〈降誕節オラトリオ(Cantata per la Notte de Natale)〉、1715年に歌劇〈アンブレト(Ambleto)〉、間奏〈ディリンディーナ(La Dirindina)〉、〈悲しみの聖母(Stabat Mater)〉、〈この主の証聖者(Iste confessor)〉、〈我は喜びに満てり(Laetatus sum)〉や無伴奏合唱曲〈主を崇めん(Magnificat)〉、〈我を憐み給え(Miserere)〉、1718年に歌劇〈ベレニーチェ(Berenice)〉を作り、1719年9月にロンドン、11月にリスボンに到り、ポルトガル国王ジョアン五世の宮廷礼拝堂楽長になり、9歳の王女マリア・バルバラを教え、クリストフォリのフォルテピアノを入れ、1720年にコインブラのセイシャスも教え、1721年に〈神を讃えん(Te Deum)〉、〈栄光ある汝を(Te gloriosus)〉を作り、1724年にローマに帰省、クヴァンツに会い、パリを訪問、1725年にナポリに帰省、ハッセと会い、パリを訪問、1727年にローマに帰省、1728年に結婚しました。1729年にスペイン王子と結婚した王女に随い、セビリアに移り、地中海沿岸シエラス・グラナダ・カディスで過ごし、1733年に皇太子はマドリッドに移り、宮廷はアランフェス、ラ・グランハ、エル・エスコリアルで過ごし、1735年にマドリッドに移り、1738年にポルトガル王ジョアン五世からサンディアゴ騎士勲章と爵位を授けられ、《チェンバロのための練習曲集(Essercizi per Gravicembalo)》(K. 1-30)をロンドンで出版、ロージングレイブが十二曲(K. 31-42)を増補して、《四十二のクラヴサン組曲(XLII suites de pièces)》を出版、1742年に妻を亡くして、スペイン女性と再婚、1746年にフェルナンド六世が即位しました。1754年に〈四声ミサ曲(Missa quatuor vocum)〉、1756年に〈元后あわれみの母(Salve Regina)〉を作り、1757年7月23日にマドリッドで亡くなりました。

ナポリは地中海に臨む青い空に白い家が映える美しい街です。リスボンの下町では民謡(fado)が盛んでしみじみと哀愁が移ろい、スカルラッティのソナタに調性を確立しない浮遊する情感に現れ、また、灼熱の乾燥した大地に陽が照りつけるアンダルシアとカスティーリャの激しい情熱を帯びたリズムも現れます。イタリア南部のtarantella(K. 142, 172, 262, 269, 278, 413)、ヴェネツィアのbarcarola(K. 429)、ポルトガルのoytabado(K. 249, 255)・fandango(K. 252, Fandango del SigR Escarlate)、アラゴンのjota(K. 54, 56, 209)、カスティーリャのbulería(K. 334, 525)、アンダルシアのseguidilla(K. 239, 454)・saeta(K. 414, 420, 443, 470, 472)などの舞踏リズムに影響しました。また、アンダルシアのsaeta(K. 490)・seguidilla(K. 491)・bulería(K. 492)を組曲にしました。

スカルラッティの声楽作品は多声書法により、ローマ楽派のパレストリーナ・カリッシミ・パスクィーニやヴェネツィア楽派のガブリエーリ・レグレンツィ・ロッティの系譜に連なります。ナポリ・ヴェネツィア・ローマ・リスボン時代は、声楽作品が多いです。1712年頃の〈ミサ・ラ・ステラ(Missa La Stella)〉は四声とオルガン伴奏による実用的なミサ曲、〈元后あわれみの母(Salve Regina)〉はソプラノとアルトがオルガン伴奏に合わせて歌うアリア形式、〈主は我らを養いたもう(Cibavit nos Dominum)〉、〈主を崇めん(Magnificat)〉は無伴奏合唱で和声の衝突を避けて清楚です。1715年頃の〈悲しみの聖母(Stabat Mater)〉は十声の複合唱に通奏低音を伴います。〈この主の証聖者(Iste confessor)〉、はオルガン伴奏のアリア形式でソプラノ独唱と合唱が交替します。〈我は喜びに満てり(Laetatus sum)〉はソプラノ・アルト・合唱に通奏低音を伴い颯爽とします。〈主を崇めん(Magnificat)〉は無伴奏合唱曲ですが、転調で緊張と緩和を繰り返します。〈我を憐み給え(Miserere)〉二曲(ホ短調・ト短調)は無伴奏の複合唱です。1721年の〈神を讃えん(Te Deum)〉、〈栄光ある汝を(Te gloriosus)〉は複合唱にオルガンの通奏低音を伴います。1754年の〈四声のミサ(Missa quatuor vocum)〉は陰影が付けられ劇的です。1756年の〈元后あわれみの母(Salve Regina)〉はソプラノとチェロとオルガンの通奏低音により慎ましやかです。オペラアリア、カンタータ、シンフォニアも作りました。

スカルラッティの鍵盤ソナタは、基本三和音I, V, IVと転回形、長短調の関係調に掛留音と連打音、変化音と経過音、一時的な転調、和音の省略と重合、前打音と装飾音が多く、和音や調性をよく変え、長調と短調を行き来します。短三和音IV から長三和音V へ進み、和音を拡張・縮小して陰影を生み、掛留音や前打音で和声を重ねて、転調前後の和音を連結させる手段で複雑な和音を生みました。前打音は小音符で示され、上接音から始まる短いトリルに置き換えられます。モルデント・ターン・スライド・分散和音も多く、長調と短調の和音を用いました。属七の和音を同音に解決したり、解決を引き延ばしたり、別の声部で解決したり、解決しないこともあり、また、和音の根音を提示して和声を想像させます。声部を幾つも使わず、和音を簡素にして、内声と外声を区別せず、小節線でリズムを分断せず、左右を自在に交替して、係留を利用しました。高音部が流麗でギターの開放弦に由来する連続音でリズムの流れを生みました。

スカルラッティは音楽で思考して音楽で実践しました。即興をしながら自然に作曲の定石を破り、楽想を抽象化・断片化して構築して、一つの小品に多要素を導入しました。スカルラッティもイタリア・ポルトガル・スペイン各地など、民族音楽の歌謡や複雑な舞踏を抽象化して、完全に自己の語法として摂取しました。音高と拍節と音量と時間へ抽象化して、楽想を断片化して全く起源・拍節・楽想・調性の異なる楽句を組み立て、旋律線やリズムを自由に構成しました。天才は異質な要素の共通をアナロジーで発見して構築します。ルネサンス期のモラーレスやコルトレーン・マトリックスのよう、代理和音により内部転調をして、調性から自由になりました。ドリア旋法・フリギア旋法による地中海沿岸の民族音楽を包含して、マイルスのモードジャズに近く、伴奏音型は即興的伴奏(vamp)によります。スカルラッティやジャズメンは即興で新鮮な音楽を生み出しました。K. 119, 175に混濁した不協和音は、バルトークのパーカッシブな不協和音に近く、K. 203, 521, 532, 537にヘミオラが登場します。スカルラッティの鍵盤ソナタは「音楽史の宝石箱」です。

スカルラッティはチェンバロ上でオーケストラの独奏の交替、伴奏の色彩、楽器の交替まで、音色や音量で表現しました。K. 287・288はイングランドのヴォランタリーです。K. 328はオルガン(Orgo)からフルート(Fluo)へ音栓の指示があり、K. 254・255もオルガン用です。スカルラッティは和声を整理して、楽想を圧縮して、抑揚を強調して、構造を明瞭にして、音の増減や長短により、重音を駆使して、濃淡で陰影を表現して、レジスターや二段鍵盤によらない新鮮な効果を開発しました。ヘンデルの〈合奏協奏曲〉(Opus 6/1)の最終楽章(K. 2)、〈合奏協奏曲〉(Opus 6/5)の第五楽章(K. 23)、ヴィヴァルディの〈合奏協奏曲〉の独奏soloと合奏tutti(K. 37・265)、ヴァイオリン(K. 61)、トランペット(K. 69・488・491)、狩りのホルン(K. 477・494・519)、フルート・オーボエ・ファゴットのディヴェルティメント(K. 238)、足音(K. 406)、大砲(K. 427・525)、羊飼いの歌〈パストラーレ〉(K. 513)、マンドリン(K. 211)・ギター(K. 141)が模倣され、カスタネット(K. 435)にトランペット(K. 436)で応えます。

ウィーン古典派のソナタは三部形式ですが、スカルラッティのソナタは二部形式により、前半は基本調で始まり、終止形で複縦線に到り、後半は終止形の主調から離れ、転調を繰り返し、基本調に帰ります。チャーミングな前奏で幕を開け、主題が奏されると楽想を振り撒き、主題を思い出して右手と左手の役割(旋律と伴奏)を交替しながら複縦線へ至ります。後半は転調を繰り返して楽想を盛り上げますが、主題を変形して、主調に帰還して、主題を再現するか終止します。前後の調性・和声・拍節・楽想は対照で前半でどんな楽想が現れるか、後半でどんな転調か楽しめます。フーガ(K. 30, 41, 58, 93, 417)・変奏曲(K. 61)・ロンド(K. 265, 284, 351)・多楽章(K. 82, 85とK. 81, 88, 89, 90, 91)やオルガン曲(K. 287, 288)は例外です。調色を使い分け、前後の関係で同じ調や音も全く異なる意を与え、臨時記号♯や♭により導音化した旋律を構成して、豊かな感情に溢れ、気品に満ちながら、情愛を振りまき、喜びや哀しみを語ります。

スカルラッティは「才気に溢れる芸術の戯れ(lo scherzo ingegnoso dell’Arte)」を重視しました。初期(K. 97以前)は伝統書法により、スウェーリンクの変奏曲形式(K. 61)、マルチェッロの多楽章(K. 78, 82, 85, 94)、パスクィーニの半音階トッカータ(K. 31)、父アレッサンドロのメヌエット(K. 32, 34, 40, 42)、ハッセのカプリッチョ(K. 63)、ヘンデルのガヴォッタ(K. 64)、レグレンツィのアルマンド(K. 35)、フレスコバルディのフーガ(K. 41, 58, 93)、コレッリ(K. 88)、ヨハン・クリスティアン・バッハ(K. 91)のトリオ・ソナタなどの様式も存在します。

100番台から民族音楽らしいリズムで外向的になり、200番台からリズムを整理して、旋律線やリズムの対話で多様な感情を語るように模索され、300番台から劇的な作風から温雅な作風へ移り、色彩が豊かで創意に溢れ、簡素な書法で味わい深さが増し、旋律と伴奏が対話します。400番台からイタリアの叙情的な旋律が多く、故郷に思いを馳せるようです。断片化した要素を構築する発想から、簡素で流麗な書法になります。洗練された旋律が丸みを帯び豊かに歌います。通奏低音から発達した伴奏音型は優雅になり、豊かなリズム感と和声感覚で感情のさざなみが語られ、和声と転調を変えながら進みます。500番台から即興性が影を潜め、昔を懐かしみ安定性が重視され、突然の転調も減り、自然な流れで味わい深い珠玉の傑作が生まれました。イタリアの伝統、ポルトガルの民謡、スペインの舞踏を摂取して、素朴な作風になりました。旋律部分と通奏低音のモノディ様式、合奏(tutti)と独奏(solo)、総奏(ripieno)と独奏(concertino)のコンチェルタート様式、イベリア半島(ポルトガル・スペイン)の民族舞踊に影響され、温雅で情感が溢れる書法になりました。

スカルラッティは深刻で晦渋な芸術ではなく、簡明に自然な感情を語り、音楽の職人から作家となりました。王室の庇護の下で研鑽を重ね、高い水準を追求でき、イタリアを離れて、ポルトガルやスペインに暮らし、音楽性や人生観で独創を発揮して、強烈なパーソナリティをなしました。芸術家としての自負も無く、作曲の技巧が影を潜め、感情を語りかけ、思い出を懐かしむよう、喜びや悲しみや驚きや親しみが現れます。多様な要素を体験して個性に摂取して、珠玉の名曲を生みました。音楽でユーモアとウィットを静かに語ります。古典音楽に加え、民族音楽に接し、七十歳を超えても音楽性を向上させ、簡潔な書法で多様な人生経験を語りました。学芸は知りたい衝動や伝えたい情動から創造された蓄積により形成されました。系譜は事物を個別に理解するより、事物が成立する根本の意義をそれらの関連を追跡して解明します。一つの事物を全ての事物を照らして意義を考え、多くの面で観られるようになり、旧知の事物に新規の観点を与えます。

スカルラッティのソナタ集2巻(1742-49 年)・13巻(1752-57年)がバルバラ女王からファリネッリに遺贈され、ボローニャに里帰りして、ヴェネツィアのマルチアーナ図書館(496曲)、パルマのアリゴ・ボイト音楽院(465曲)、その他、ミュンスター大学(349曲)、ウィーン楽友協会(308曲)に伝わり、コインブラ手稿(1742年・4曲)、ウォーガン手稿(1748-52年・44曲)、フィッツウィリアム手稿(1736/46年・24曲)、チェンバロ練習曲集(1738年・30曲)、ロージングレイブ版本(1739年・12曲)、ボアヴァン版本(1746年頃・3曲)で伝わります。

近年に発見されたトリノ手稿(1720年代・6曲)、ボローニャ手稿(1720年代・12曲)、リスボン手稿(1751-52年・61曲)、サラゴサ手稿(1752-56年・189曲)、マドリッド手稿(1754年・30曲)、ウィーン手稿(1760-90年頃・189曲)、バルセロナ手稿(24曲)、ヴァリャドリッド手稿(3曲)、モンセラート手稿(1767-91年・14曲)、ウェスレイ手稿(1778-80年・1曲[偽作])、イェール大学手稿(2曲[ソレール])、モルガン手稿(1756年・1曲)、テレリフェ音楽帳(1770-91年・偽作1曲[セイシャス]とエスカルラーテ氏のファンダンゴ)も伝わります。

スカルラッティの鍵盤楽器ソナタは一級資料です。あらゆる楽想を記録して、あらゆる楽器を模倣して、あらゆる様式を経験して、あらゆる要素を包含して、チェンバリズムがチャーミングに炸裂した変遷が分かります。音楽の作品は作者の分身であり、壮年に技巧の追及や書法の開発から始まり、晩年に自身の感情を余すところなく書きつけました。

楽譜とファクシミリ
○ Alessandro Longo (1906-10). Domenico Scarlatti: Opera Compete per Clavicembalo, Milano: Ricordi.
○ Emilia Fadini (1968-). Domenico Scarlatti Sonate per Clavicembalo, Milano: Ricordi.
○ Keneth Gilbert (1971-84). Domenico Scarlatti: Sonates, Paris: Heugel.
○ Laurett Goldberg (1999). Domenico Scarlatti Thematic Index According to Ralph Kirkpatrick and Emilia Fadini, Berlekey: Music Sources.

スカルラッティ文献
• Walter Gerstenberg (1933). Die Klavierkompositionen Domenico Scarlattis, Berlin: Bosse.
• Ulderico Rolandi (1935). Per una bio-bibliografia di D. Scarlatti, Roma: La Speranza.
• Sachevarell Sitwell (1935). A Background for Domenico Scarlatti, London: Faber & Faber.
• Cesare Valabrega (1937). Domenico Scarlatti: Il suo secolo, la sua opera, Modena: Guanda.
• Sebastiano Luciani (1939). Domenico Scarlatti. Firenze: Le Monnier.
• Ralph Kirkpatrick (1953). Domenico Scarlatti, Princeton: Princeton University Press.
• Massimo Bogianckino (1956). L'arte clavicembalistica di Domenico Scarlatti, Roma: Edizioni de Santis.
• Hermann Keller (1957). Domenico Scarlatti. Ein Meister des Klaviers, Leipzig: Peters.
• Giorgio Pestelli (1967). Le Sonate di Domenico Scarlatti, Torino: Giappichelli.
• Malcolm Boyd (1986). Domenico Scarlatti, London: Weidenfeld & Nicolson.
• Alain de Chambure; Scott Ross (1988). Catalogue analytique de l’œuvre pour clavier de Domenico Scarlattti, Paris: Editions Costallat.
• Dean Sutcliffe (2003). The Keyboard Sonatas of Domenico Scarlatti and Eighteenth-Century Musical Style, Cambridge: Cambridge University Press.

Domingo Antonio Velasco (1738) 71 x 58 cm [Instituição José Relvas, Alpiarça, Portugal]

2016年12月9日

ポルトガル国王ジョアン5世に献呈された《チェンバロの練習曲集(Essercizi per gravicembalo)》(1738年4月21日・London)序文

Lettore, Non aspettarti, o Dilettante o Professor che tu sia, in questi Componimenti il profondo Intendimento,
読者諸氏、あなたが素人でも玄人でも、これらの作品に深遠な学問を期待されませんよう、

ma bensi lo scherzo ingegnoso dell’Arte, per addrestrarti alla Franchezza sul Gravicembalo.
しかし、チェンバロの熟達へと導く、才気に溢れる芸術の戯れをご期待ください。

Nè Viste d’Interesse, nè Mire d’Ambizione, ma Ubidienza mossemi a publicarti.
利益を計ること、野心を叶えることではなく、誠心のみから、この上梓を思い立ちました。

Forse ti saranno aggradevoli, e più volentieri allora ubidirò ad altri Comandi di compiacerti in più facile e variato stile:
これらはあなた方を喜ばせるでしょう。そうして私は平易で変化に富んだ様式により、皆を喜ばせなさいという命に喜んで従います。

Mostrati dunque più umano, che critico; e sì accrescerai le proprie Dillettazioni.
従いまして、あなたも、批判よりも、人間らしく、そうして自らの楽しみを深められますよう。

Per accennarti la disposizione delle mani, avvisoti che della D vien indicata la Dritta, e dalla M la Manca: Vivi felice
手の位置を示すために、Dは右、Mは左を表していると、心得られますよう。ごきげんよう。

《四十二のクラヴサン組曲(XLII suites de pièces)》(1739年・London)表紙

I think the following Pieces for their Delicacy of Stile, and Masterly Composition, worthy the Attentions of the Curious,
優美な様式と熟達した構成によるこれらの作品は、愛好家の関心を集めるに値すると考えます。

Which I have Carefully revised & corrected from the Errors of the Press.
私(Thomas Roseingrave, 1691-1766)は出版楽譜の誤植を細やかに校訂・訂正しました。

Thomas Roseingrave (1739). XLII Suites de Pièces pour le Clavecin, London: Printed for and sold by B: Cooke.

〈ソナタ ホ長調〉(1738年・3/8・Presto・K.28/L.373/P.84)
〈ソナタ ニ長調〉(1738年・C・Presto・K.29/L.461/P.85)

〈トリオソナタ ト長調〉(1742年・Venezia XIV・K.91/L.176/P.11)

〈シンフォニア 第13番 変ロ長調〉(1720年頃・F-Pn Rés 2634, 82)
〈マニフィカート ニ短調(Magnificat à 4 [e continuo])〉(1714-19年頃・D-Müs Santini Hs. 3959)
〈テ・デウム ハ長調(Te Deum alla romana à 8)〉(1721年・P-Lf Ms. 198/3)
〈スターバト・マーテル ハ短調(Stabat Mater à 10)〉(1717年・I-Bc KK 92)
〈サルヴェ・レジーナ イ長調(Salve Regina per soprano, archi e basso continuo)〉(1756年・I-Nc 22-4-2; I-Bc Kk 95; D-B Mus.ms. Winterfeld 13)

イタリア南部のtarantella(変ロ長調・1752年・Venezia I・K.172/L.S40/P.313) Arturo Benedetti Michelangeli
ヴェネツィアのbarcarola(イ長調・1755年・Venezia X・K.429/L.132/P.132) Gleb Akselrod
ポルトガルのoytabado(ハ長調・1753年・Venezia IV・K.255/L.439/P.226) Pieter-Jan Belder
ポルトガルのfandango(変ホ長調・1753年・Venezia IV・K.252/L.159/P.203) Carlo Grante
アラゴンのjota(イ長調・1753年・Venezia III・K.209/L.428/P.209) Scott Ross
カスティーリャのbulería(ヘ長調・1757年・Venezia XIII・K.525/L.188/P.529) Wilhelm Backhaus
アンダルシアのseguidilla(ト長調・1755年・Venezia XI・K.454/L.184/P.423)Maria Tipo
アンダルシアのsaeta(変ロ長調・1756年・Venezia XI・K.472/L.99/P.475) Alexandre Tharaud

短前打音acciaccaturaと不協和音のvamp(ニ長調・1749年・Venezia XV・K.119/L.415/P.217)
二オクターブの跳躍(ハ長調・1757年・Venezia XIII・K.515/L.255/P.417) Clara Haskil
パストラーレ(ハ長調・1756年・Venezia XII・K.513/L.S3/P.176) András Schiff
ヘミオラ(イ長調・1757年・Venezia XIII・K.537/L.293/P.541) Béla Bartók
協奏曲(ハ短調・1739年・Roseingrave・K.37/L.406/P.2) Scott Ross
変奏曲(イ短調・1742年・Venezia XIV・K.61/L.136/P.16) François Guerrier
ロンド(ト長調・1753年・Venezia V・K.284/L.90/P.169) Maria Tipo
フーガ(ニ短調・1754年・Venezia IX・K.417/L.462/P.40) Anthony di Bonaventura

大砲の音(ト長調・1755年・K.427/L.286/P.286)
Scott Ross – Béla Bartók – Walter Gieseking – Maria Tipo
カオス(イ短調・1752年・K.175/L.429/P.136)

Ralph Kirkpatrick(1939年・Musicraft 1087)

2016年9月27日

ドメニコ・スカルラッティ(1985年・BBC制作)前半です。ナポリで1685年にアレッサンドロの下に生まれ、ヴェネツィアやローマで学び、ジュリア礼拝堂楽長を務め、イングランドのポルトガルのリスボンに渡り、スペインのマドリッドで1757年に没しました。
イタリアのパレストリーナ様式やバロック音楽から前期古典派へ過渡期の音楽、イベリア半島の民族舞踊を取り込み、創意工夫に溢れた音楽を最期まで創造した愛すべき作曲家の一人です。

ラファエル・プヤーナの演奏
K.513/L.S3/P.176 (1756) C
K.240/L.S29/P.368 (1753) G
K.33/L.424/P.130 (1739) D
K.208/L.238/P.315 (1753) A
K.209/L.428/P.209 (1753) A
K.443/L.418/P.376 (1755) D
K.492/L.14/P.443 (1756) D
K.380/L.23/P.483 (1754) E

ドメニコ・スカルラッティ(1985年・BBC制作)後半です。18世紀にナポリ王国、ヴェネツィア共和国、ローマ教皇領、イングランド王国ロンドン、ポルトガル王国リスボン、スペイン王国セビリア・マドリードで活動して、ナポリ派の声楽、ヴェネツィアの前期古典派、ローマのパレストリーナ様式、ポルトガルの民俗歌謡、アンダルシアの民族舞踏、マドリードのフランス風な宮廷音楽など、欧州全土の音楽様式を個性に入れました。

ヴェネツィアでスコットランド人トマス・ロージングレイヴに会い、イングランドに伝わり、ローマでザクセン人ヘンデルと会い、イタリアを旅して、北ドイツ・オルガン楽派の伝統的なフーガや前衛的な半音階も学びました。

スペイン宮廷の同僚ファリネッリは、スカルラッティの作品をイタリアに里帰りさせ、音楽愛好家の侍医は、神聖ローマ帝国ウィーンに移り、ハイドンらの初期ピアノ・ソナタ(二楽章の対構成)に影響を与えたようであり、スペインに滞在したフランスの外交官も本国に宮廷事情を伝え、イングランド領アメリカ植民地のフィラデルフィアにまで運ばれ、相当な影響を欧米に与えました。文化の接触と伝承を追跡する上でも面白いです。

ラファエル・プヤーナの演奏
K.175/L.429/P.136 (1752) a
K.241/L.180/P.431 (1753) G
K.519/L.475/P.445 (1757) f
K.87/L.33/P.43 (1742) h
K.92/L.362/P.44 (1742) C
K.119/L.415/P.217 (1749) D
K.120/L.215/P.146 (1749) D
K.205/L.S23/P.171 (1752) F
K.381/L.225/P.323 (1754) E

エレーナ・ベクマン=シチェルビナによるスカルラッティ

パブストやズヴェーレフに学び、イグムノフにも薫陶を受け、チャイコフスキーから可愛がられました。高貴でかつ透明な音色により、柔軟な強弱や速度の変化を生み、独特な風情を細やかに現しました。愛聴盤の一つです。

K.446/L.433/P.177 (1755) F
K.11/L.352/P.67 (1738) c
K.477/L.290/P.419 (1756) G
K.519/L.475/P.445 (1757) f
1950年・Мелодия Д-04576-77

Мелодия Д-04576-77 (1950)

マルセル・メイエルによるスカルラッティ

パリでカタラン人リカルド・ビニェスに師事しました。溌剌とした弾力あるリズムと暖かみある柔和な音色により、繊細な詩情が織り交ざり粋でチャーミングです。

K.202/L.498/P.173 (1752) B
K.29/L.461/P.85 (1738) D
K.377/L.263/P.245 (1754) h
K. 523/L.490/P.527 (1757) G
1954-55年・Les Discophiles Français DF-139/40

エンリケ・グラナドスはカタラン人です。パリに出てシャルル・ウィルフリッド・ド・ベリオに師事しました。スペインゆかりが深いリカルド・ビニェスやモーリス・ラヴェルと同門です。
グラナドスはスカルラッティを愛好して楽譜を出版、ソナタ(K.190/L.250/P.256 (1752) B)をピアノロール(1912年・Welte 2782)と78回転レコード(1913年・Odéon 68671)で録音しました。民族音楽を自作に取り入れる発想をスカルラッティから取り入れたようです。

バルトークはリスト門下イシュトバーン・トマーンに師事しました。硬質なタッチや弾んだリズムによるピアノの演奏も達者です。ハンガリーの民謡を大量に採譜して、民族音楽に関心を寄せましたが、スカルラッティの音楽から着想を得たかもしれません。スカルラッティは耳に入るあらゆる音楽を自らの作品に取り込み、現代音楽にも作曲姿勢において絶大な影響を与えました。HMVのテスト盤(1929年・Bartok 903)を録音しました。打楽器的なピアノ演奏には、スカルラッティの影響が見られます。

K.427/L.286/P.286 (1755) G
K.212/L.135/P.155 (1753) A
K.537/L.293/P.541 (1757) A
K.70/L.50/P.21 (1742) B

ホロヴィッツによるスカルラッティです。後期はペダル過多でロマン派音楽のように弾きましたが、初期はタッチが明瞭でめりはりが利いています。バロック音楽の旋律線を基礎とする作曲法から自由になり、低音部の連打音による活き活きとしたリズムを主体として前衛的でモダンジャズ(チャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーらのビバップ)のようです。また、旋律の断片が時どき現れ、憂いや翳りを帯びる所がモダンです。

K.46/L.25/P.179 (1742) E
1947年・RCA Victor MO-1262

ホロヴィッツの演奏会録音です。スカルラッティは同じ音型の異なる調性への滑らかな転調による反復、急な転調による場面の転換に特徴があります。本能的に機能和声の代理和音を併用して、同じ旋律で他の情感に移ろいゆき、内部転調の即興手法(コルトレーン・マトリックス)を予感させます。カークパトリックが「転調の奇蹟」とするソナタ(K.260/L.124/P.304 (1753) Gでは、優美な旋律と絶妙な和声で繊細な詩情が描き出されます。

K.260/L.124/P.304 (1753) G
1967年11月12日・Columbia M-45572

マリア・ティーポによるスカルラッティです。ナポリ生まれの同郷人でリズムに鋭敏な感覚が存分に発揮されます。K.394/L.275/P.349 (1754) eは主題がいきなり提示され、会話のよう線的に発展します。和声の核となる音を暗示する簡素な伴奏により、乾燥した大地アランフェスの宮廷を思わせる空気や情緒を生みます。後半の噴水が湧き上がるような華麗な分散和音は、盛期ロマン派のフランツ・リストのようです。反復リズムの上で転調して快活さが際立ちます。

マリア・ティーポによるK.454/L.184/P.423 (1756) Gは歩くような速さの活き活きとしたスペインのセギディーリャです。温雅な主題で穏やかに始まり、上下に躍動する三連符でリズミカルです。 後半は早句に連打音で相槌を打ちながら自問自答するようです。明朗な曲想に心情の陰影がさりげなく描かれ味わいを加えます。

マリア・ティーポによるK.470/L.304/P.379 (1756) Gは勇壮な主題と繊細な旋律が織り成します。第36小節から最高音が雰囲気を暗示して憂いを帯びた旋律が続きます。後半は転調の変化と濃密な低音と繊細な高音が密度の違いを生み、限られた主題やリズム型で多彩な情緒を生む熟達した書法です。

マリア・ティーポによるK.515/L.255/P.417 (1757) Cは最晩年にユーモアが増し、冒頭の二オクターブの急激下降から引きこまれます。『チェンバロ練習曲集(Essercizi per gravicembalo)』(1739)から「芸術の戯れ(lo scherzo ingegnoso dell’Arte)」を求め続け、「音楽の遊び」に到りました。第12小節からの左右、第22小節からの拍子の掛け合いがウィットに富み、第38小節から結論に至り、第47小節から後半も二オクターブの急激下降を低音部に移して幕をて、第55小節から左右の交差で視覚的にも魅力を振りまいてチャーミングになります。

2017年2月1日

《イベリア半島の鍵盤音楽》第2巻(1954年・Decca LXT-5218)

アングレス(Rafael Anglés, 1730-1816)、ソレール(Antonio Soler, 1729-1783)、フェレル(Mateo Ferrer, 1788-1864)、フレシネ(Josep Freixanet, ca. 1730-1762)、セイシャス(Carlos Seixas, 1704-1742)の小品です。

《イベリア半島の鍵盤音楽》第1巻(1952年・Decca LXT-2805)では、ソレール、アングレス、マッテオ・アルベニス(Mateo Albéniz, c.1755-1831)、カンタロス(Cantallos)、セイシャス、ヤキント(Jacinto)、カルヴァーリョ(João de Sousa Carvalho, 1745-1798)です。スカルラッティの様式に古典派の和声が混じります。

フェリシア・ブルメンタールは1908年にワルシャワで生まれ、レシェティツキー門下ジェヴィエツキやブゾーニ門下トゥルチンスキに学び、シマノフスキにも作曲を習いました。第二次世界大戦中にブラジルで過ごしイベリア半島の鍵盤音楽に通じて、1991年にテルアビブで亡くなりました。

• Bernadette Nelson (1995). Interpreting Iberian Keyboard Music, Early Music 23(3): 507-509.
An Overview of the Iberian Repertoire, focussing on the 18th Century
Early Keyboard Music from Iberia
E-Bbc M 751/4, 2v-4r

フェリックス・マクシモ・ロペス(Félix Máximo López, 1742-1821)の〈ソナタ 第1番 ニ長調〉
ホセ・フェレル(José Ferrer, ca. 1745-1815)の〈ソナタ ト長調〉
ナルシス・カサノベス(Narcis Casanoves, 1747-1799)の〈ソナタ ヘ長調〉
マテオ・アルベニス(Mateo Albeniz, 1755-1831)の〈ソナタ ト長調〉
ジョセプ・ガレス(Josep Gallés, 1758-1836)の〈ソナタ 第9番 ハ短調〉
アルベルト・ホセ・ゴメス・ダ・シルヴァ(Alberto José Gomes da Silva, 1758-1795)の〈ソナタ ホ短調〉

2017年2月2日

アントニオ・ソレール神父の〈ソナタ ニ長調〉(R. 86)

1729年にカタルーニャのウロトで生まれ、1735年にモンセラート修道院の聖歌隊員、1744年にセオ・デ・ウルゲル大聖堂でオルガニストと副助祭、1752年にエスコリアル修道院で司祭になり、ドメニコ・スカルラッティと面識があるとされ、スペイン国王カルロス3世の王子ドン・ガブリエルを教え、1762年に《転調論(Llave de la modulación)》を書き、1783年に亡くなりました。

スカルラッティの対構成ソナタをソレール神父が三・四楽章制にしました。ウィーン古典派の作風も取り入れ、和声進行や楽曲構造にも影響が見られます。

アリシア・デ・ラローチャは1923年にバルセロナで生まれ、エンリケ・グラナドスの弟子フランク・マーシャルに学び、2009年に亡くなりました。Catalan Piano Tradition(IPA 109)では、弱冠9歳の立派な演奏を聴けます。スカルラッティとソレール神父の録音(1979年・Decca ‎SXL 6949)です。

Llave de la modulacion, y antiguedades de la musica(Madrid: Joachin Ibarra, 1762)

Quintette I-VI
Obertura para el Villancico al Santísimo "Alentad armonías"
Vilancico de nacions
Magnificat

Veni creator. à 8 con Violines compuesto por F. Antonio Soler Novicio en este Real Monasterio de S. Lorenzo para el día de su Profesión, que serà el dia XXIX de Septembre de 1753.

アリシア・デ・ラローチャのスカルラッティの〈ソナタ ホ長調〉(1738年・Essercizi per gravicembalo・K.28/L.373/P.8)もチャーミングでヒューマンな魅力がありますね。

2017年2月3日

ホセ・デ・ネブラ(José de Nebra)の〈ソナタ ト長調〉

1702年にアラゴン地方カラタユーで生まれ、1711年にクエンカ大聖堂の聖歌隊員、1719年にマドリッドのデスカルサス修道院、1724年に王室礼拝堂でオルガニスト、1751年に副楽長、1761年に皇太子の教師になり、1768年に亡くなりました。

スペインの音楽家は政治的に近いナポリ楽派の影響で古典派の流麗な和声を早くから示しました。オペラをイベリア化したサルスエラは、セギティーリャのリズムにあふれて面白いです。ドメニコ・スカルラッティに師事した女王バルバラ・デ・ブラガンサの〈レクイエム〉(1758年)を残しました。

○ María Salud Alvarez Martínez (1995). Tecla Aragonesa III. Obras inéditas de José de Nebra para instrumentos de tecla, Zaragoza: Institución Fernando el Católico.
Luis Antonio González Marín (2012). José de Nebra, la devoción y la Santa Capilla de la Virgen del Pilar

Domenico Scarlatti: Fandango en modo dorico
José de Nebra: Fandango de España
José de Nebra: Grave de 8. tono para clavicémbalo
José de Nebra: Opera "Amor aumenta el valor"(1728年)
José de Nebra: Zarzuela "Viento es la dicha de amor"(1743年)
José de Nebra: Salve Regina à 8(1766年)

Iphigenia en Tracia(1747年)Overture(ナポリ様式によるシンフォニア)
Iphigenia en Tracia(1747年)Seguidillas “Ya se fue, y de mirarla”(セギティーリャ)

2017年2月4日

カルロス・デ・セイシャス(Carlos de Seixas)の〈ソナタ 第10番 ハ長調〉

1704年にコインブラで生まれ、1718年に聖クルース修道院のオルガニストになり、1720年にリスボンで宮廷に仕え、ドメニコ・スカルラッティと会い、1738年に騎士に叙せられ、1742年にリスボンで亡くなりました。

ジョセ・マッザ(José Mazza, 1735-1797)の《ポルトガル音楽家事典(Diccionario biographico de Musicos portugueses e noticia das suas composições)》(1780年)によると、ジョアン5世の弟アントニオからセイシャスの鍵盤音楽の編曲を渡されたスカルラッティが「あなたは私を教えることができる」と賞賛しました。

○ Macario Santiago Kastner (1965). 80 Sonatas para Tecla, Portugaliae Musica X, Lisboa: Fundação Calouste Gulbenkian.
• Olga María Rúa (2010). A historical overview of Carlos Seixas's works forsolo keyboard and a performance guide, Iowa City: University of Iowa.

• José Mazza; José Augusto Alegria (1780/1944-45). Diccionario biographico de Musicos portugueses e noticia das suas composições, Lisboa: Tipografia da Editorial Império.

José Antonio Carlos de Seixas natural da Cidade de Coimbra filho de Francisco Vaz, e de Marcelina Nunes, cavalleiro professo da Ordem de Christo, contador do Mestrado da Ordem Militar de S. Tiago, athé ao presente não teve Portugal outro organista tão famoso, quis o Sereníssimo Senhor Infante D. Antonio que o grande Escarlate, pois se achava em Lx.ª no mesmo tempo lhe desse alguma Lição regulandosse por aquela idea errada de que os Portugueses por mais que fação nunca chegão a fazer o que fazem oa Estrangeiros, e o mandou ao ditto; este apenas o vio por as mãos no Cravo cunhecendo o Gigante pelo dedo lhe disse = Vossa mercê hé que me pode dar Lições, e encontrandosse com aquele Senhor lhe disse — V.ª Alteza mandome examinar, pois saiba que aquele sugeito hé dos maiores Proffessores que eu tenho ouvido. Foi ademitido para organista da Patriarcal contando 16 anos falesseo em 1742 jaz sepultado no Carneiro da Irmandade do Santíssimo da Bazilica de S.ta Maria, as suas composições quaze se não podem reduzir a numero, e suposto que a Biblioteca Luzitana diga que compos 700 tocatas de Cravo, compos mais de mil, não falando naquelas que não escreveo, compos Missas, a 4 e a 8 vozes, e hum Te Deum a 4 coros, e infinitas composições em Muzica, foi Alferez, e Capitão do Mestre em a Companhia do Ex.mo Visconde de Barbassena em 1733 hum mes depois da sua morte lhe fez a comunidade da Graça solenes exequias no seu Convento a que asestio grande parte da nobreza da Corte.

Carlos de Seixas: Tocata 1a
Carlos de Seixas: Sinfonia
Carlos de Seixas: Missa
Carlos de Seixas: Tantum Ergo

Carlos de Seixas

2017年2月5日

セバスティアン・アルベーロ(Sebastián Albero)の〈ソナタ 第29番 ホ長調〉(1746年頃・I-Vnm, Mss.It.IV.197b [9768]

スカルラッティ中後期のソナタで多用されるリズムや音型、トリルや装飾、和声法や転調により、複縦線による二部構成であり、リズミカルな伴奏音型(vamp)が見られます。

1722年にナバラ地方ロンカルで生まれ、1734年にパンプローナ大聖堂の聖歌隊員、1739年にマドリッドでフェルナンド六世にクラヴィコードとフォルテピアノ曲集を作り、1748年に王室礼拝堂のオルガニストに任ぜられ、ドメニコ・スカルラッティの同僚になり、1756年にマドリッドで亡くなりました。

• Linton E. Powell (1986-87). The Keyboard Music of Sebastián de Albero: an Astonishing Literature from the Orbit of Scarlatti, Early Keyboard Journal 5: 9-28.

Sebastián Albero: Sonata 19 de mi mayor
Sebastián Albero: Sonata 11 de 1º tono
Sebastián Albero: Sonata 18 en si menor
Sebastián Albero: Sonata 20 en la mayor
José de Larrañaga: Sonata de 5º tono

2017年2月6日

ジョセプ・フレシネ(Josep Freixanet)の〈ソナタ 変ロ長調〉

1730年頃にカタルーニャ地方フレシネで生またと推測され、1762年に亡くなりました。バルセロナ手稿(Barcelona, Biblioteca de Catalunya, M 751/4)で三曲がソレール神父の作と共に伝わりますが、生涯が明らかでない音楽家です。

バルセロナのエリエス(Josep Elies, 1687-1755)、バレンシアのアングレス(Rafael Anglés, c.1730-1816)、サラゴサのコスエンダ(Mariano Cosuenda, 1737-1801)ビックのガレス(Josep Gallés, 1758-1836)らは、リチェルカーレ・トッカータ・ファンダンゴ・ソナタを作りました。

Sonates, Tocates i Fandangos del Barroc Català
Rafael Anglés: Sonata en fa mayor
Mariano Cosuenda: Sonata sexta

E-Bbc M 751/4, 1r-2r. (Sonata 3a [G]); M 751/4, 2v-4r. (Sonata 4a [A]); M 751/4, 4v-5r. (Sonata 5a [B♭])

E-Bbc M 751/4, 2v

2017年12月31日

皆さま、本年も楽しくお付き合いくださり、ありがとうございました。おかげさまで素晴らしい音楽を分かち合えまして、大晦日を迎えられました。

2017年は残すところ半日ですが、ドメニコ・スカルラッティ(Domenico Scarlatti, 1685-1757)がスペインのマドリードで没してから260周年でした。

感謝を込めて、女流ピアニストたちによる溌剌とした演奏で爽やかで味わい深い、意外な和声やリズムの変化がおもしろい鍵盤ソナタをお贈りします。

スカルラッティ自身が破天荒な鍵盤ソナタをこう説明したように「才気に溢れる芸術の戯れ(lo scherzo ingegnoso dell’Arte)」をお楽しみ下さい。

ピアノ演奏ではとても優雅で繊細ですが、チェンバロではまるで18世紀のロックです。型破りな着想に溢れた独創的なソナタで大胆さを帯びています。

喪中のため、年賀のごあいさつを失礼しますが、皆さまが良いお年をお迎え下さりますようお祈り申し上げます。来年もよろしくお願い申し上げます。

《チェンバロ練習曲集(Essercizi per gravicembalo)》(1738年4月21日)に込められたスカルラッティのモットー「Curarum Levamen」です。

ラテン語cura(女性名詞・第一曲用・属格・複数)とlevamen(中性名詞・第三曲用・主格・単数)からなり、音楽は「苦悩の癒し」という意です。

チャールズ・バーニー(Charles Burney, 1726-1814)が「現代音楽の生き証人(a living history of modern music)」と敬愛したフランス王国・スペイン帝国・ポルトガル王国・イタリア半島・オスマン帝国・神聖ローマ帝国を渡り歩いたスカルラッティの侍医(Alexandre-Louis L'Augier, 1719-1774)による証言(1774年・The Present State of Music in Germany, The Netherlands, and United Provinces 第1巻248-49頁)です。

スカルラッティがロージエ氏によく語った。練習曲集[鍵盤ソナタ集]であらゆる作曲の型が破り去られることに気付き、型からの逸脱が果たして耳障りかと訊ねた。すると、彼はいいやと答えて続けた、天才が注意すべき型は『音楽が対象とする器官[聴覚]を不快にしないこと』だけで、その他に型は無いに等しいと考えるそうだ。

Scarlatti frequently told M. L’Augier, that he was sensible he had broke through all the rules of composition in his lessons; but asked if his deviations from these rules offended the ear? And, upon being answered in the negative, he said, that he thought there was scarce any other rule, worth the attention of a man of genius, than that of not displeasing the only sense of which music is the object.

>スカルラッティはトライアド(三和音)やセブンス(七の和音)を基本としながら、三度の音を瞬間に代え、長調と短調を自由に行き来する、ネオリーマン理論(Neo-Riemannian theory)でいう、同主変形(Parallel transformation・長主和音の三度を半音下げる短調化と短主和音の三度を半音上げる長調化、平行変形(Relative transformation・長主和音の五度を上げる・短主和音の根音を下げる全音進行)や導音変形(Leading-tone transaformation・長主和音の根音を下げる・短主和音の五度を上げる半音進行)などにより、自由に和音を変形して和声を生んでおります。

ストラヴィンスキーが好んだ複調ぎみなポリコード、リゲティが好んだ二度を積み上げたトーンクラスターなど、面白い音響を自在に使いました。K. 119では強烈な同音連打のパルスで流れを生み、基本三和音から徐々に混濁してゆき、第168小節で左手でC-G-A-B-C、右手でG-A-C-D-E-Gと大砲のような強烈な響きがします。K. 175の第31小節では左手でC-E-F#-A-B、右手でA-B-D#-E-F#/Gと不協和音の最たる二度や対斜を瞬間に炸裂させました。即座にコードを変形し、近親調を経由して、遠隔調へ転調しました。鍵盤の上で自由に考えて、即興しながら新しい響きを生み出しました。

ジョン・マインワーリング(John Mainwaring, 1735-1807)によるヘンデルの伝記(1760年・Memoirs of the Life of the Late George Frederic Handel 61頁)に記された逸話です。

ヘンデルはこの人[スカルラッティ]のことをいつもこの上なく嬉しそうに話していた。彼は芸術家としての偉大な才能は勿論であり、この上なく愛すべき性格の持ち主であり、実に品行は優雅だったからである。一方、後にマドリッド出身の二人のプラ氏[著名なオーボエ奏者]は、スカルラッティもヘンデルの偉大な演奏の才能を同様に敬服しており、敬意の印として胸で十字を切りながら話したことを伝えている。

HANDEL used often to speak of this person with great satisfaction; and indeed there was reason for it; for besides his great talents as an artist, he had the sweetest temper, and the genteelest behaviour. On the other hand, it was mentioned but lately by the two PLAS [the famous Haut-bois] who came from Madrid, that SCARLATTI, as oft as he was admired for his great execution, would mention HANDEL, and cross himself in token of veneration.

>スカルラッティのチャーミングで気さくな人柄はポルトガルやスペインの宮廷で愛されていました。彼は若い頃にバチカンの礼拝堂の楽長の職にあり、ローマ楽派とされるパレストリーナから続いている古様式(stile antico)の多声音楽も作りましたが、ポルトガル王室で音楽のセンスがあるマリア・バルバラ王女さまの教育係になり意気投合して、スペイン王室に嫁入りについてゆき、天才的な音楽家で型破りで独創的なソナタを亡くなる時まで作り続け、常識では考えられない大胆さを帯びてゆき、現代音楽の作曲家たちも驚いております。

ヘンデルの〈合奏協奏曲〉(1739年出版・Opus 6/1・HWV 319,V)の主題をスカルラッティは〈鍵盤ソナタ〉(1738年・K. 2)で引用しています。また、K. 193では和音を連打してヴァンプをしながら、第85小節の変ロ長調→ニ短調→変ロ長調→ハ短調→変ホ長調と先ほどの和音の変形をしながらさまよいますが、スカルラッティが音楽的におしゃべりをするとき、バッハのように一つの話題を論理的にとことんまで詰めてゆくのではなく、色んな話題を感覚的に連想しながら、次から次へと繰り出してゆくようなこだわりがない性格が感じられます。

クララ・ハスキル(Clara Haskil, 1895-1960)によるスカルラッティ録音のディスコグラフィー(Tahra 389/90)
London, BBC Third Programme - 5, 9, 10, 16 et 21 décembre/December 1946 (?)
*Scarlatti : 4 Sonates K. 87, 1, 193, 386
CD: Tahra TAH 389/390

Winterthur, 1 octobre/October 1950

  • Scarlatti : 11 Sonates K. 247, 2, 132, 35, 193, 386, 519, 322, 87, 515, 6
    33: Westminster WL-5072, XWN-18381, W-9320, Ducretet-Thomson 270-C-006, Ricordi MRC-5037, Heliodor 479-019

Amsterdam, 8 septembre/September 1951

  • Scarlatti : 3 Sonates K. 193, 87, 386
    33: Philips A-00143-R, L-02087-L, 6747055, Fontana 695090-KL, Μелодия М10-42589/90

Ludwigsburger Schloss (Ordensaal), 11 avril/April 1953

  • Scarlatti : 3 Sonates K. 132, 193, 87
    33: Discocorp RR 213, Melodram 207, Rococo 2089

マルセル・メイエル(Marcelle Meyer, 1897-1958)によるスカルラッティ録音のディスコグラフィー(EMI Classics 0946 384699 2 6)
Paris, 12 novembre/November 1946

  • Scarlatti : 13 Sonates K. 32, 175, 27, 125, 30, 87, 380, 430, 114, 64, 279, 202, 519
    78: Les Discophiles Français DF-68~71
    33: Les Discophiles Français DF-15

Paris, 20 décembre/December 1948 et 10 mai/May 1949

  • Scarlatti : 16 Sonates K. 9, 119, 432, 427, 474, 377, 96, 69, 17, 8, 13, 450, 245, 478
    78: Les Discophiles Français DF-130~33

Paris (Salle Adyar), nobembre/November 1954

  • Scarlatti : 16 Sonates K. 478, 492, 380, 27, 245, 87, 64, 432, 450, 69, 114, 9, 119, 32, 175, 279
    33: Les Discophiles Français DF-139

Paris (Salle Adyar), mai/May 1955

  • Scarlatti : 8 Sonates K. 96, 430, 427, 13, 519, 17, 202, 30, 29, 377, 523, 446, 159, 474, 125, 533
    33: Les Discophiles Français DF-140

女流ピアニストによるスカルラッティ録音のディスコグラフィー(落穂ひろい)
イローナ・アイベンシュッツ(Ilona Eibenschütz, 1872-1967)

  • Scarlatti : 2 Sonates K. 20, 14
    78: Gramophone & Typewriter 5558 [1903]

フリーダ・クヴァスト=ホダップ(Frida Kwast-Hodapp, 1880-1949)

  • Scarlatti : 3 Sonates K. 2, 450, 125
    78: Electrola EH-832 [1933]

エレーナ・ベクマン・シチェルビナ(Елена Александровна Бекман-Щербина, 1882-1951)

  • Scarlatti : 4 Sonates K.446, 11, 477, 519
    33: Μелодия Д-004576/7 [1950]

イレーネ・シャーラー(Irene Scharrer, 1888-1971)

  • Scarlatti : 2 Sonates K. 159, 14
    78: His Master’s Voice D-543 [1920]
  • Scarlatti : 3 Sonates K. 1, 11, 159
    78: His Master’s Voice D-1120 [1925]

ヨウラ・ギュラー(Youra Guller, 1895-1981)

  • Scarlatti : 2 Sonates K. 380, 450
    33: Nimbus 2106 [1975]

ギヨマー・ノヴァエス(Guiomar Novaes, 1895-1979)

  • Scarlatti : 2 Sonates K. 450, 125
    78: Columbia 60093-D [1940]

キャサリーン・ロング(Kathleen Long, 1896-1968)

  • Scarlatti : 3 Sonates K. 62, 47, 366
    78: Decca M-581~82 [1944]
  • Scarlatti : 7 Sonates K. 62, 47, 45, 455, 201, 247, 492, 366
    33: Decca LM-4541 [1951]
  • Scarlatti : 8 Sonates K. 457, 69, 98, 447, 84, 532, 193, 137
    33: Decca LX-3073 [1952]

マドレーヌ・ド・ヴァルマレット(Madeleine de Valmalète, 1899-1999)

  • Scarlatti : 3 Sonates K. 96, 380, 24
    33: Voxigrave V-6833 [1965]

リュブカ・コレッサ(Lubka Kolessa, 1902-1997)

  • Scarlatti : 2 Sonates K. 159, 551
    78: His Master's Voice DA-4454 [1938]

フランス・エレガード (France Ellegaard, 1913-1999)

  • Scarlatti : 2 Sonates K. 9, 159
    78: Siemens 67838 [1942]

マリア・グリンベルク(Mария Израилевна Гринберг, 1908-1978)

  • Scarlatti : 2 Sonates K. 159, 9
    78: Μелодия Б-34671/72
    33: Μелодия Д-05098/99 [1959]
  • Scarlatti : 2 Sonates K. 69, 113, 11, 22
    33: Μелодия Д-24357/58 [1967]

ジャンヌ・ボヴェ(Jeanne Bovet, 1916-2010)

  • Scarlatti : 11 Sonates K. 440, 9, 274, 64, 32, 511, 87, 27, 380, 208, 95
    33: Turicaphon 30-538 [1976]

ニーナ・ミルキーナ(Nina Milkina, 1919-2006)

  • Scarlatti : 12 Sonates K. 190, 208, 396, 481, 447, 507, 450, 161, 29, 107, 125, 527
    33: Westminster XWN-18697 [1958]
  • Scarlatti : 12 Sonates K. 20, 27, 262, 125, 507, 190, 17, 481, 107, 141, 430, 427
    33: Pye TPLS-13057 [1973]

アリシア・デ・ラローチャ(Alicia de Larrocha, 1923-2009)

  • Scarlatti : 7 Sonates K. 6, 8, 9, 10, 11, 13, 28
    33: Decca SXL-6949 [1961]

Clara Haskil(1950年・Westminster WL-5072)
Marcelle Meyer(1954年・Les Discophiles Français DF-139)
Frida Kwast-Hodapp(1933年・Electrola EH-832)
Elena Bekman-Shcherbina(1950年・Μелодия Д-004576/7)
Guiomar Novaes(1940年・Columbia 60093-D)
Kathleen Long(1952年・Decca LX-3073)
Lubka Kolessa(1938年・His Master's Voice DA-4454)
Maria Grinberg(1959年・Μелодия Д-05098/99)
Jeanne Bovet(1976年・Turicaphon 30-538)
Nina Milkina(1958年・Westminster XWN-18697) 後半
Maria Tipo(1980年・Dischi Ricordi RCL-27038)
Irina Zahharenkova(2012年・Classical Records CR-150)

K.1/L.366/P.57 d(1738年・C・Allegro・Essercizi,1)
K.6/L.479/P.62 F(1738年・3/8・Allegro・Essercizi,6)
K.25/L.481/P.81 fis(1738年・2/4・Allegro・Essercizi,25)
K.27/L.449/P.83 h(1738年・3/8・Allegro・Essercizi,27)
K.208/L.238/P.315 A(1753年・C・Andante è cantabile・Venezia III,3)
K.209/L.428/P.209 A(1753年・3/8・Allegro・Venezia III,4)
K.380/L.23/P.483 E(1754年・3/4・Andante commodo・Venezia VIII,23)
K.381/L.225/P.323 E(1754年・3/8・Allegro・Venezia VIII,24) Scott Ross

K.5/L.367/P.61 d (1738年・3/8・Presto・Essercizi,2) Nikolai Demidenko
K.6/L.479/P.62 F(1738年・3/8・Allegro・Essercizi,6) Emilia Fadini
K.9/L.413/P.65 d(1738年・6/8・Allegro・Essercizi,9) Dongsok Shin
K.16/L.397/P.72 B(1738年・₵・Presto・Essercizi,16) Kenneth Weiss
K.23/L.411/P.79 D(1738年・C・Allegro・Essercizi,23)Robert Casadeus
K.28/L.373/P.84 E(1738年・3/8・Presto・Essercizi,28) Alicia de Larrocha
K.54/L.241/P.147 a(1742年・12/8・Allegro・Venezia XIV,12) Jenő Jandó
K.55/L.335/P.117 G(1742年・3/8・Allegro・Venezia XIV,13)Vladimir Horowitz
K.63/L.84/P.32 G(1742年・2/4・Capriccio; Allegro・Venezia XIV,23)
Johann Adolf Hasse, Sonate in C Bernward Lohr
K.64/L.58/P.33 d(1742年・2/4・Gavotta; Allegro・Venezia XIV,24) Alexandre Tharaud
K.91/L.176/P.11 G(1742年・C・Grave; 2/4・Allegro; 3/4・Grave; 3/8・Allegro・Venezia XIV,56) Claudio Ferrarini
K.98/L.325/P.219 e(1749年・3/8・Allegrissimo・Venezia XV,1) Anton Lyakhovsky
K.101/L.494/P.156 A(1749年・3/8・Allegro・Venezia XV,3) Vladimir Horowitz
K.105/L.204/P.90 G(1749年・3/8・Allegro・Venezia XV,8) Julian Perkins
K.117/L.244/P.181 C(1749年・₵・Allegro・Venezia XV,20)Christoph Ullrich
K.119/L.415/P.217 D(1749年・3/8・Allegro・Venezia XV,22) Alberto Chiari
K.127/L.186/P.198 As(1749年・₵・Allegro・Venezia XV,30) Vladimir Howowitz
K.132/L.457/P.295 C(1749年・3/4・Cantabile・Venezia XV,35) Clara Haskil
K.141/L.422/P.271 d(1750年頃・3/8・Allegro・Worgan, 41; Wien A,14) Aline d'Ambricourt
K.143/L.―/P.267 C(1750年頃・3/8・Allegro・Worgan, 43; Newton, 2) Soyeon Kate Lee
K.145/L.369/P.105 D(1750年頃・3/8・―・Fitzwilliam, 5) Anne Queffelec
K.162/L.21/P.162 E(1752年・3/4; C・Andante-Allegro-Allegretto・Venezia I,15) Drew Henderson & Cheryll Chung
K.172/L.S40/P.313 B(1752年・6/8・Allegro・Venezia I,25) Arturo Benedetti Michelangeli
K.190/L.250/P.256 B(1752年・12/8・―・Venezia II,19) Enrique Granados
K.202/L.498/P.173 B(1752年・3/8; 6/8; 3/8・Allegro-Vivo・Parma IV,12; Wien A,23) Olga Kozlova
K.206/L.257/P.307 E(1753年・₵・Andante・Venezia III,1・Parma V,1) Leo Brouwer
K.209/L.428/P.209 A(1753年・3/8・Allegro・Venezia III,4) Alberto Chines
K.211/L.133/P.277 A(1753年・₵・Andantino・Venezia III,6) Irina Zahharenkova
K.212/L.135/P.155 A(1753年・3/8・Allegro molto・Venezia III,7) Mathilde Mugot
K.216/L.273/P.320 E(1753年・3/4・Allegro・Venezia III,11) Pieter-Jan Belder
K.217/L.42/P.287 a(1753年・3/4・Andante・Venezia III,12) Duanduan Hao
K.219/L.393/P.278 A(1753年・₵・Andante・Venezia III,14) Frédérick Haas
K.234/L.49/P.286 g(1753年・3/4・Andante・Venezia III,29) Diego Fedeli
K.238/L.27/P.55 f(1753年・C・Andante・Venezia IV,3) Kostantin Scherbakov
K.239/L.187/P.183 f(1753年・3/4・Allegro・Venezia IV,4) Alexandre Tharaud
K.247/L.256/P.297 cis(1753年・3/8・Allegro・Venezia IV,12) Racha Arodaky
K.248/L.S35/P.187 B(1753年・₵・Allegro・Venezia IV,13) Álvaro Madariaga
K.249/L.39/P.424 B(1753年・3/8・Allegro・Venezia IV, 14) Yuri Petrov
K.253/L.320/P.239 Es(1753年・12/8・Allegro・Venezia IV,18) Lucas Debargue
K.255/L.439/P.226 C(1753年・Venezia IV) Pieter-Jan Belder
K.257/L.169/P.138 F(1753年・2/4・Allegro・Venezia IV,22) Ryan Layne Whitney
K.260/L.124/P.304 G(1753年・3/4・Allegro・Venezia IV,25) Vladimir Horowitz
K.261/L.148/P.300 H(1753年・2/4・Allegro・Venezia IV,26) Jenő Jandó
K.268/L.41/P.369 A(1753年・₵・Allegro・Venezia V,3) Ksenia Ovodova
K.270/L.459/P.481(1753年・₵・―・Venezia V,5・Parma VI,23)Scott Ross
K.276/L.S20/P.433 F(1753年・3/8・Allegro・Venezia V,11) Bertrand Cuiller
K.278/L.S15/P.434 D(1753年・6/8・Con velocita・Venezia V,13) Elena Popovskaja
K.284/L.90/P.169 G(1753年・3/8・Allegro・Venezia V,19) Maria Tipo
K.285/L.91/P.321 A(1753年・₵・Allegro・Venezia V,20) Carlo Grante
K.298/L.S6/P.194 D(1753年・₵・Allegro・Venezia VI,3)
K.299/L.210/P.268 D(1753年・3/8・Allegro・Venezia VI,4)
Martin Pearlman

K.299/L.210/P.268 D(1753年・3/8・Allegro・Venezia VI,4) Istvan Horvath-Thomas
K.302/L.7/P.279 c(1753年・3/4・Andante・Venezia VI,7) François Guerrier
K.305/L.322/P.397 G(1753年・6/8・Allegro・Venezia VI,10) François Guerrier
K.314/L.441/P.505 G(1753年・₵・Allegro・Venezia VI,19)François Guerrier
K.319/L.35/P.303 Fis(1753年・6/8・Allegro・Venezia VI,24) Sergey Kasprov
K.322/L.483/P.360 A(1753年・₵・Allegro・Venezia VI,27) Eliot Fisk
K.331/L.18/P.471 B(1754年・3/4・Andante・Venezia VI,6) Andrew Remillard
K.351/L.S34/P.165 B(1754年・3/8・Andante-Allegrissimo・Venezia VII,26) François Guerrier
K.359/L.448/P.425 D(1754年・3/8・Allegrissimo・Venezia VIII,2) Goran Filipec
K.368/L.S30/P.506 A(1754年・₵・Allegro・Venezia VIII,11) Gerda Struhal
K.376/L.34/P.246 b(1754年・3/4・Allegro・Venezia VIII,19) Luisa Morales
K.394/L.275/P.349 e(1754年・₵・Allegro・Venezia IX,7) Maria Tipo
K.398/L.218/P.493 C(1754年・6/8・Andante・Venezia IX,11) Francesco Nicolosi
K.402/L.427/P.436 e(1754年・₵・Andante・Venezia IX,15) András Schiff
K.425/L.333/P.426(1755年・3/8・Allegro molto・Venezia X,8・Parma XII,15) Maria Tipo
K.426/L.128/P.128 g(1755年・3/8・Allegro・Venezia X,9) Artem Yasynskyy
K.429/L.132/P.132 A(1755年・6/8・Allegro・Venezia X,12) Gleb Akselrod
K.434/L.343/P.498 d(1755年・3/4・Andante・Venezia X,17) Sandro Bisotti
K.438/L.381/P.467 F(1755年・₵・Allegro・Venezia X,21) Lucas Debargue
K.443/L.418/P.376(1755年・₵・Allegro・Venezia X,26・Parma XII,22)Wanda Landowska
K.450/L.338/P.422(1755年・C・Allegrissimo・Venezia X,33・Parma XII,29)Ivo Pogorelich
K.454/L.184/P.423 G(1756年・3/4・Andante spiritoso・Venezia XI,1) Maria Tipo
K.463/L.471/P.512 f(1756年・₵・Multo allegro・Venezia XI,10) Marco Farolfi
K.466/L.118/P.501 f(1756年・C・Andante moderato・Venezia XI,13) Dmitry Shishkin
K.470/L.304/P.379 G(1756年・₵・Allegro・Venezia XI,17) Maria Tipo
K.472/L.99/P.475 B(1756年・3/4・Andante・Venezia XI,19) Alexandre Tharaud
K.490/L.206/P.476 D(1756年・₵・Cantabile・Venezia XII,7) Sean Kennard
K.492/L.14/P.443 D(1756年・6/8・Presto・Venezia XII,9) Rafael Puyana
K.513/L.S3/P.176 C(1756年・12/8; 3/8・Pastorale; Moderato-Molto allegro-Presto・Venezia XII,30) András Schiff
K.514/L.1/P.389 C(1757年・₵・Allegro・Venezia XIII,1) Gleb Akselrod
K.518/L.116/P.390 F(1757年・₵・Allegro・Venezia XIII,5) Nikolai Demidenko
K.525/L.188/P.529 F(1757年・6/8・Allegro・Venezia XIII,12) Mathieu Dupouy
K.535/L.262/P.531 D(1757年・3/4・Allegro・Venezia XIII,22) Andy M. Wang
K.537/L.293/P.541 A(1757年・3/4・Prestissimo・Venezia XIII,24) Béla Bartók
K.548/L.404/P.552 C(1757年・3/8・Allegetto・Parma XV,35) Benjamin Frith

Fernando Valenti(The Scarlatti Project 1)
Fernando Valenti(The Scarlatti Project 2)
Fernando Valenti(The Scarlatti Project 3)
Fernando Valenti(The Scarlatti Project 4)
Fernando Valenti(The Scarlatti Project 5)
Fernando Valenti(The Scarlatti Project 6)
Fernando Valenti(The Scarlatti Project 7)
Fernando Valenti(The Scarlatti Project 8)
Fernando Valenti(The Scarlatti Project 9)
Fernando Valenti(The Scarlatti Project 10)

Follow me!

PAGE TOP