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ギヨーム・ルクー(Guillaume Lekeu, 1870-1894)

いつもありがとうございます。ギヨーム・ルクー(Guillaume Lekeu, 1870-1894)の〈弦楽四重奏曲 ト長調〉 (1888年)はユニークで18歳の作品とは思えず、音楽史上の奇蹟ですね!! ベートーヴェンが最晩年に到達した〈弦楽四重奏曲 第16番〉(1826年・Opus 135)の第一・第二ヴァイオリンの旋律がフガートで軽やかに絡み合い、ヴィオラの旋律への受け渡し方などの声部処理や透明な和声とそっくりでチェロのアタックや下降音型が際だち爽快です。

ベートーヴェンのは長音価が細かいリズムにディヴィジョンされごつごつしていますが、ルクーのは旋律線がなめらかでポリフォニックですね。また、第5楽章などハイドンのメヌエットらしいおどけたように導音を用いたチャーミングなリズム動機も見つかりますね。ルクーの第二楽章はハイドンの〈弦楽四重奏曲 第77番〉《皇帝》(1797年・Opus 76/3・Hob III:77)の第二楽章の〈オーストリア皇帝賛歌〉による変奏曲と内声の流れなどが似て同じ響きがありますね。

弦楽四重奏曲を愛しすぎまして資料を集めております。ルクーは夭折したため作品が少ないですが、イザイに献呈した〈ヴァイオリン・ソナタ ト長調〉 (1893年)や歌曲も最高です。ルクーはセザール・フランクとヴァンサン・ダンディに対位法や和声法を学び、循環モチーフを好みまして、奇しくも故郷も近く、名前が同じの天才音楽家ギヨーム・デュファイ(Guillaume Dufay, 1397-1474)が、ルネサンス初期にミサ曲で用いた手法を用いております。

中世・ルネサンスの実作で記譜法・対位法・和声法を体験してゆきましたら、別観点から近現代音楽の構造が明晰に把握され、個々の要素が全体に結合して、感激の鮮度が高まるように感じます。ルクーは天才音楽家バルビロー(Jacques Barbireau, 1455-1491)を称賛したフェティス(François-Joseph Fétis, 1784-1871)らが発掘したブルゴーニュ=フランドル楽派の至高の多声音楽を師匠筋から学んだ可能性が高く、音の使い方に現れていますね。

ルクーは最高の師匠に恵まれて、先人が遺した最高の作品を早くに知り、音楽の探究が信じられないほど深いことを作品が如実に語ります。ルクーは音楽の研究に於いて年齢に関わらず、幅広く奥深い体験が創作や演奏のインスピレーションとなることを示しています。ベルギーの次世代の音楽家ジャン・アプシル(Jean Absil, 1893-1974)の弦楽四重奏曲も最高ですが音源がありませんでした。本日も長文にお付き合い下さり、ありがとうございました。

〈弦楽四重奏曲 ト長調〉(1888年)
〈ピアノ三重奏曲 ハ短調〉(1891年)
〈ピアノソナタ ト短調〉(1891年)
〈ヴァイオリンソナタ ト長調〉(1892/93年)

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