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リュートからクラヴサンへの伝統

Israël Silvestre (1644) Veüe et perspective du dedans du Louvre, faict du Regne de Louis XIII

リュートの奏法譜とクラヴサンの二段譜表などを見ながら聴きまして、音楽の構造を見いだしてまいりますが、楽譜になじみがない方でも、存分に楽しまれますように万全を期しております。

フランス王国(ルイ13-14世)のリューティストーメッサンジョー、老ゴーティエ、フランソワ・デュフォー、ジャック・ガロ、また、クラヴサニストーシャンボニエール、ルイ・クープラン

神聖ローマ帝国(フェルディナンド3世)のフローベルガー、ハノーファー選帝侯領リューネブルクのゲオルク・ベーム、ザクセン選帝侯領ドレスデンのシルヴィウス・レオポルト・ヴァイス

アンハルト=ケーテン侯領のヨハン・ゼバスティアン・バッハまで、リュートとクラヴサン音楽の系譜を追い求めます。

前奏曲(prélude)や組曲(suite)、リュートの断続様式(style brisé)や短装飾音(agrément)、クラヴサンの不均等音(notes inégales)や和声外音(notes étrangères)の伝統などです。

皆さまがおなじみの様式がどんな経緯で継承されてきましたか、信頼できる資料により、音楽史を楽しめるように致します。

音楽史をくつろぎながらたどります。遅くお見えになられても、早くお帰りになられても、お気軽にお友達といらして下さい。

皆さまと美しい音楽で聴き、作り手の思いや弾き手の考えを知り、和やかにお話できますことを楽しみにしております。

当日はいつでもご質問やご意見をお待ちしております。アドリブでお話が盛り上がるかもしれないです。時間が少なくなりましたら、全ての曲を扱えないこともございますが、音楽家と作品名の流れをお書きします。

2021年7月4日(動画追補)

メッサンジョー(1632年)René Mésangeau [1568-1638]
Pièces en si bémol majeur : Prélude (CLFMes N°31) – Allemande I (33) – Allemande II (35) – Allemande III (36) – Courante (41) – Sarabande (42)

老ゴーティエ(1638年)Ennemond Gaultier [c.1575-1651]
Pièces en ré mineur : Prélude (Saizenay I, 12) – Allemande. Tombeau de Mezangeau (CLFVGa N°10) – Sarabande. L’Adieu (38) – Canaries (67) – Gigue. Testament de Mezangeau (57) – Courante. La Princesse (25) – Gigue. La Poste (63)

フランソワ・デュフォー(1670年)François Dufault [1604-1672]
Suite en sol mineur : Prélude (CLFDuf N°2) – Prélude (87) – Paduana (161) – Courante. Suedoise (45) – Allemande. Tombeau de Mr. Blancrocher (21) – Sarabande (58) – Gige (72)

ジャック・ガロ(1684年)Jacques Gallot [c. 1625-c. 1695]
Suite en fa dièse mineur : Prélude (CLFGal N°1) – Allemande. Tombeau des muses françoises (54) – Courante. L'Eternelle (15) – Sarabande. La Divine (5) – Gigue. Le grande virago (8) – Chaconne. Le Doge de Venise (11)

シャンボニエール(1658年)Jacques Champion de Chambonnières [1602-1672]
Suite en fa majeur : Allemande – Courante – Sarabande [Volte. O beau jardin] – Double [d'Anglebert, 1689] – Chaconne (F-Pn Rés. Vm7 674 dit. Manuscrit Bauyn I, 33r; 40r; 42v; 45v; Rés 89ter, 52r)

ルイ・クープラン(1658年)Louis Couperin [1626-1661]
Suite en ut majeur : Prélude – Allemande – Courante – Sarabande – Chaconne (F-Pn Rés. Vm7 675 dit. Manuscrit Bauyn II, 14r & 20r-24r)

フローベルガー(1656年)Johann Jacob Froberger [1616-1667]
Suite [Partita] XII in C-Dur (FbWV 612) : Lamento sopra la dolorosa perdita della Real Maestà di Ferdinando IV Rè de Romani – Gigue – Courante – Sarabande (A-Wn Mus. Hs. 18707, 112-16.)

ゲオルク・ベーム(1713年)Georg Böhm [1661-1733]
Suite VI in Es-Dur (Andreas-Bach-Buch) : Allmande – Courante – Sarabande – Gigue (D-LEm III.8.4, 48)

ヴァイス(1725年)Silvius Leopold Weiß [1687-1750]
Suite Nr. 6 für Laute in Es-Dur (WeissSW 10) : Prélude – Allemande – Courante – Bourrée – Menuet – Ciaccoñe (GB-Lbl Add. Ms. 30387, 40v-46r)

大バッハ(1722年)Johann Sebastian Bach [1685-1750]
Französische Suite Nr. 4 in Es-Dur (BWV 815a) : Præludium – Allemande – Courante – Sarabande – Gavotte I & II – Menuet – Air – Gigue (D-B Mus. ms. Bach P 418 & P 289, Faszikel 13)

ルネサンス・リュートを弾く貴婦人(Milano, Pinacoteca di Brera; Bartolomeo Veneto, c. 1520)

2017年3月3日

「リュートからクラヴサンへの伝統」にいらして下さりました方、また、ご参加がかなわない方もご声援を下さり、ありがとうございました。皆さまが何から何まで助けて下さり、会場の準備が滞りなく進み、リュートやクラヴサンの美しい響きにより歴史をたどことができました。林さんや津谷さんがお茶やお菓子などをお出しくださり、和やかな雰囲気となり、中村さんのスピーカーにより素晴らしい音で聴けました。

今回も原典となる楽譜など信頼できる資料により、作者の考えを知ることを大原則としながら、リアルタイムで聴きながらお話ししました。リュートがアンダルシアからヨーロッパに入り、歌曲の伴奏で活躍、後期ルネサンスに対位法的作品や舞曲が流行した経緯を概観しました。

デュファイのシャンソン、ヴィンチェンツォ・ガリレイのフロニモ、ヴィンチェンツォ・カピロラの舞曲、ダウランドのパヴァーヌなどです。

ルネサンスのイタリア式・バロックのフランス式による記譜法をご紹介して、本題のフランスでバロック時代に隆盛したリュートへ移りました。

メッサンジョー、老ゴーティエ、フランソワ・デュフォー、ジャック・ガロの特徴を見つけながら、徐々に組曲が形成される経緯を聴きました。

そして、リュートの楽器特性による様式や奏法が、クラヴサンに継承され、装飾音や対旋律を豊かにしながら連続してゆく系譜を追跡しました。ダングルベール、ルベーグ、ジャケ=ド=ラ=ゲール、大クープランに継承される源流として、シャンボニエール、ルイ・クープランから、イタリアとフランスの技法を融合したフローベルガーの組曲に進み、ゲオルグ・ベームは飛ばしましたが、ヴァイスの組曲まで到りまして、前奏曲(prélude)や組曲(suite)などの様式、また、断続様式(style brisé)や不均等音(notes inégales)などの奏法を追い求めました。

作曲者の発想が楽譜に抽象化され、演奏者の解釈で音楽化されますから、楽譜と音楽を関連づけながら、作者の意図を探究してまいりました。次回は北ドイツ・オルガン楽派を継承したゲオルグ・ベーム、フランスのリューティストが影響したヴァイスと大バッハを聴いてまいります。

ヴァイスの〈ロジー伯爵のトンボー〉やリュートとフラウト・トラヴェルソの二重奏、また、大バッハによる編曲(BWV 1025)などを楽しみ、大バッハの無伴奏ヴァイオリン・チェロ・フルート・リュートや鍵盤組曲などを時系列に整理しながら、様式や書法の変遷を追跡してまいります。

人物・作品・様式・書法などを関連づけながら、系譜を描き出して、音楽史を組み立てる考え方を推し進め、音楽史を掘り下げてまいります。昨日の後編を実現するべく、バッハに到達するべく、来月24日に昨日と同じ会場のより広いお部屋を手配しました。お楽しみにいらして下さい!

おかげさまで素敵な会になりました。心より感謝申し上げます。また、お会いする日までお元気にお過ごし下さい。

フランソワ・デュフォーの〈定量譜によらない前奏曲(Prélude non mesuré)〉(CLFDuf N°2)

Pierre Ballard (1638). Tablature de luth de differens autheurs, sur les accords nouveaux: 26-27.

2017年2月12日

ルネ・メッサンジョーは1568年にイタリアで生まれたとされ、1619年にフランスに移り住み、1621年にルイ13世の宮廷音楽家になり、フランス式タブラチュアを使い、老ゴーティエらを教え、ドイツやイングランドも訪れ、1638年にパリで亡くなりました。

弾き始めに調弦を確かめた前奏曲(prélude)を様式化して、老ゴーティエやデュフォーらと組曲(suite)の配列も一般化して、和音を分割する断続様式(style brisé)や旋律を即興する短装飾音(agrément)など、バロック・リュートの表現を生みました。

初期の手稿譜では調弦が複雑でRicercareやPaduanaなど、フランチェスコ・ダ・ミラノやダウランドらしきルネサンスの遺風が見られましたが、カプスベルガーとは別にフランスではPréludeにSuiteが後続するよう集約された過程が写本での配列から分かります。

記譜もルネサンスのイタリア式とバロックのフランス式の過渡にあり、両者のリズムや音高の表記が混在しておもしろいです。当時に使われた楽譜の規則を確かめ、視覚と聴覚をつなげながら、音楽の構造を明らかにして、楽しんでまいりたいです。

Pierre Ballard (1638). Tablature de luth de differents autheurs sur les accords nouveaux 16-17. Prélude en si bémol majeur [CLFMes N°31]

2017年2月28日

皆さま、こんばんは。ありがとうございます。明後日の会場は東京メトロの東大前駅隣です。二階の音楽室1にいらして下さい。 皆さまと音楽を愛するひと時を楽しみにしております。

ヨハン・ヤーコプ・フローベルガーの〈ローマ王フェルディナンド4世の悲しき死に捧げる哀歌(Lamento sopra la dolorosa perdita della Real Maestà di Ferdinando IV Rè de Romani〉(1654年・FbWV 612)

A-Wn Mus. HS. 18707, 112

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