モーツァルトのオペラ Il rè pastore ヴァイオリンソロ付 独創的アリア Lamerò sarò costante, KV 208でうっとりとしました!
2021年7月16日
皆さま、こんにちは!
モーツァルト作品を聴いてまいりましょうというシリーズ、
大分、回を重ねてもありましたけれども、
最近はオペラアリアが多くなっておりまして、
その中で実は毎回オペラの全体を私は聞くんですよ!
それで心に残ったアリアを取り上げてみようと思って、
まあ、本当は全部やりたいけれども、
大変になっちゃうから選んでまいりました。
「羊飼いの王様(Il rè pastore)」は、ザルツブルクの大司教が劇場用のセレナータ、
今でいう演奏会形式のオペラで書いてほしいと、
これでいつもおなじみのメタスタージオの台本でということだったんですけど、
どうしてかと言いましたら、
オーストリアの女帝マリア・テレジアの皇子マクシミリアン・フランツ大公が、
イタリア旅行からウィーンに帰る途中にザルツブルクに立ち会ったんですね。
だから、偉い人が来るからおもてなしするために書いてくれてことで、
ザルツブルク大司教が張り切って、モーツァルトに依頼して、
この作品が選ばれたのは、
やっぱりアレクサンダー大王が出るんですね。
有名なギリシャのこういった物語で台本も、
シチュエーションに合わせて選ばれたわけですけども、
ここでも書いたわけですけども、
やっぱり寛ぎの音楽という感じで非常に美しい作品が多いんですね。
こんなものを見てみたいと思うんですけども。
マクシミリアン・フランツ大公ですけれども、
彼の従者が書いた旅行日記が残ってまして、
それでその中で見ますと、ザルツブルク、1775年の4月23日ということですけれども、
そこのところに日曜日ということで見てみますね。
まあそういう日あったことが、簡単に書いてありますが、
前の日も演奏会があって、
それで音楽会と夕食会があったときに、
そこで楽長フィシェッティと有名なモーツァルトのカンタータの音楽とここに書いてありますね。
これ面白いのが、イタリア語ぽくて、ドイツ語ぽくて、フランス語ぽいという、もうちゃんぽんで書いてありますけれども、
こういった形で作ったと書いてあるんですね。
でも、これは基本的には、オペラとされますけれども。
ちょっと戻ってみますよ。
どっちかといったら、祝典劇みたいな、
カンタータは非常に広い、使いやすい言葉で、
オペラほど大きくないけれども、
声楽を伴う音楽という形でありまして、
この作品の自筆譜が第二次世界大戦中に紛失してしまったんですけど、
たまたま戦前の白黒写真が残ってだということで、
この今日聴いてゆこうとするロンドの部分も分かるということで良かった!写真が残っていてくれて、写真でもということで、
いつものケッヘル・カタログをみようと思うんですけれども、
自筆譜がなくなっちゃってる。
行方知れずになっているということでありますけども、
良かった写真が残ってて!ということで、
まあ、基本的にモーツァルトの作品で、19世紀にちゃんと楽譜が伝わっていたものは、
旧モーツァルト全集で楽譜が分かるのも、結構ありますから、
楽譜自体は、この写真がなくても分かりますが、
本当は、本物の自筆譜が残ってたほうが良くて、
まあ、次に写真とか、ファクシミリとか、
もしくは当時に出版された(筆写された)楽譜ということで、
そういったものが、資料の等級と言いますか。
一次資料、二次資料、三次資料ということがあって、
そういった形でモーツァルトの作品が伝えられてきたんだということが分かるんですけども。
そして、新モーツァルト全集にいってみたいと思うんですけれども。
今回このロンドを選んだ理由が、
基本的には、弦楽四重奏のような形を増強したようなオーケストラにちょっと管楽器が入るぐらいの形、
それで歌が多いんですけれども、
これは結構大掛かりなんですよ。
先ずここが基本の四声体があって、歌がありますね。
かなり管楽器、フルート、ホルン、ファゴット、ホルンがもう一つきている!
それで一番これが特徴的だったのが、選んだ決定的な理由ですが、
ここにヴァイオリンのオブリガートみたいなソロがあるんですよ!
ですから、声楽曲でありながら、
ヴァイオリンのソロも聴ける、非常に贅沢な面白い構成を取っています!
それでしかも音楽自体が非常に甘美ですね。
だからやっぱりくつろいでくださいという音楽と思いますけれども。
まあ、実際にこれを聴いてまいりましょうかということで、行ってみましょう。
(♭が3つで変ロ長調) 軟らかいフルートとヴァイオリンが美しい!
わぁ!ヴァイオリンが入ってきました!
ふわっとしたふんわり。
ここはなかなかチャーミングな(導音)!
歌が入ってきましたね!
L'amerò sarò costante:
あの人をわたしはずっと愛してゆこう。
おお!フルート!
それでヴァイオリンが入ってくるんですね!
いいですね!
Fido sposo, e fido amante
誠実な夫、そして忠実な恋人として、
いいですね!
Sol per lei sospirerò.
ただ、あの人のために溜め息をつくだろう。
うん!ヴァイオリンの装飾がいいです!!
ここですね!
ヴァイオリンがもう一回来ます!
それでここはすごい滑らかな付点音符!
(第28小節 変ホ長調)ここはすごいはっきりしている!
In sì caro e dolce oggetto
これほど愛しく優しい人の内に
うぁあ~チャーミングな半音!
ここがすごいリズムが変わったんですね!
La mia gioia, il mio diletto,
私の喜び、私の愉しみ、
ここ(第35小節)は管楽器がいいですね!
La mia pace io troverò.
私の安らぎを見つけるだろう
バイオリンとの対話、(歌の)チャーミングなトリル(とつながります)!
この間がすごい!
ここでオーケストラのパートがシンプルになって、
La mia pace io troverò.
私の安らぎを見つけるだろう
ここ~半音上がって、滑らかに下がってきましたよ!
La mia pace io troverò.
私の安らぎを見つけるだろう
今ここ(第43小節)でホルンがポーンと入ってきたところが細かくて良かったと思うんですよ。
管楽器とヴァイオリンと歌のつながりも良かった!
少し休んで最初に戻りました。
L'amerò sarò costante:
あの人をわたしはずっと愛してゆこう。
ヴァイオリンの間奏が美しいです。おお!いい!
Fido sposo, e fido amante
誠実な夫、そして忠実な恋人として、
いいですね!(歌が)高いところから入ってきた!
Sol per lei sospirerò.
ただ、あの人のために溜め息をつくだろう。
このモーツァルトの特徴です!この(高音からの)快感!
Sol per lei sospirerò.
ただ、あの人のために溜め息をつくだろう。
これがいい!
Sol per lei sospirerò.
ただ、あの人のために溜め息をつくだろう。
(第65小節)sospire(溜め息)の感じがする!
それで第一ヴァイオリンが来たのが、独奏で溜め息のような音型。
(第68小節)変わったちょっと短調になった。
In sì caro e dolce oggetto
これほど愛しく優しい人の内に
この半音がいいですね!
La mia gioia, il mio diletto,
私の喜び、私の愉しみ、
(第71小節)♭3つでハ短調ぽいかな!
La mia pace io troverò.
私の安らぎを見つけるだろう
ここで!
ああ!半音下がっている!
La mia pace io troverò.
私の安らぎを見つけるだろう
ヴァイオリンに引き継がれました!
一緒に合っています!
今のところは♭が2つ(変ロ長調)になって、ここでもう1つの節ですよね!
有節形式みたいになっているんですね。
ロンドーですから。
L'amerò sarò costante:
あの人をわたしはずっと愛してゆこう。
それでまた最初の美しい旋律を何回も繰り返すロンドー形式でして、
おお!ここを変えた!
Fido sposo, e fido amante
誠実な夫、そして忠実な恋人として、
ここのつながりが良かった!
高いところから入ってくる!
Sol per lei sospirerò.
ただ、あの人のために溜め息をつくだろう。
おお、ここで(装飾を)変えた!
クライマックス!それでここでディミニュション(分割変奏)!
これはやはり溜め息の音型でしょ!ということで、
(ヴァイオリンの独奏)
ここでポーンとフルートと一緒に入ってきたところがいいんです!
ヴァイオリンと合っている!
ここのところでクライマックスになって、
カデンツァで行くんですよね!これ!
今のところの陰影の付け方が良い!
トリルで一緒に合って、
第二ヴァイオリンがすごい動いているんですよ!
これはすごい雰囲気を作ってる。
一緒に!
回想をするようにもう一回!
L'amerò sarò costante:
あの人をわたしはずっと愛してゆこう。
お!ここで未解決で戻ってきた!
もう一回ヴァイオリンまで(短い)カデンツァやっていますよ!
そこの動きになり、最後は管楽器に受け渡すという!
これを見て分かる面白いのが、
低音の方、もしくはこういった歌の旋律が入ってきて、
ヴィオラ、第二ヴァイオリン、それで第一ヴァイオリンに行って、プリンシパル・ヴァイオリン、
もしくは管楽器の方に行く受け渡し方ですよね!
非常に最後は管楽器にヒュアーンと行く感じで上品な仕上がりで、
これが非常にモーツァルトの後期の管弦楽法の片鱗を見せてるんじゃないかということで、中々発達しているんですよね!
この200番台の前半あたりで、ヴァイオリン協奏曲が、結構よく書かれてるんですけども。
そこでもそうなんですけど、すごくオーケストレーションの充実!
弦楽器と管楽器の使い方、微妙な組み合わせが絶妙になってくるんですね。
もうモーツァルトらしい管弦楽法になってきまして、
もう、ザルツブルクにいた頃から、もうそういった、もう少しでウィーンに行く頃ですけども、
その前にかなりもう基本的な骨子は、 彼らしさ、個性が確立されてきているということで面白いんじゃないかなと思って聴いておりました。
戻ってみますね。
こういった形で、今回このロンドも非常に興味深くて、
もう歌のところを楽器に変えてしまったら、 ヴァイオリン協奏曲の緩徐楽章みたいな、
非常に甘美なヴァイオリンと管楽器のオブリガードが見事だった!
オーケストレーションが非常にエレガント!
前回のオーケストレーションは、非常にアグレッシブでパッションだった!イタリアっぽかった!
本当にそこからウィーン古典派のような形、
もしくは、マンハイム楽派の影響もありながら、
全体の良いところが混ざり合ってきて、
モーツァルトの個性になってきたということで見てまいれたんじゃないかなと思うんですよ。
そういった形で、モーツァルトの作品、
今後とも違った観点から楽しめていけるんじゃないかなと思いますので、
何とぞ宜しくお願い致します。
いつもありがとうございます。
失礼致します。