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モーツァルトの未完成オペラ L'oca del Cairo 四重唱 Soggi oh dei sperar mi fate, KV 422

モーツァルトの未完成オペラ L'oca del Cairo 四重唱 Soggi oh dei sperar mi fate, KV 422!モーツァルトの頭の中を探るべく、草稿の状態のまま放棄された作品を取り上げました。今後ともユニークな観点から、モーツァルトの考えや思いに迫ります。お楽しみ下さい。

CELIDORA. S'oggi, oh dei, sperar mi fate | La mia cara libertà;
もし、今日、ああ、神さまがた、私に希望を与えて下されば、私が待ち望んだように解き放たれるという
Ah di me non vi burlate; | Saria troppa crudeltà.
ああ、わたくしをお計らいにならないで下さい。それはとてもひどいことです。
BIONDELLO. Qui son io, pupille amate, | Dubbio alcun non vi sarà.
わたしは、ここにいるよ!愛しい瞳よ!君には何の疑いもなかろう。
A Don Pippo le risate | Questa sera ognun farà.
ドン・ヒッポのことを、今宵は皆で大笑いするだろう。
LAVINA. Che m'addita quel ch'adoro? | Calandrino mio dov'è?
誰が愛しい人のことを私に教えてくれるの?わたしのカランドリーノはどこにいるの?
S'ei non vien, zitella io moro; | Non v'è medico per me.
あの人が来てくれないと、私は独り寂しく死んでしまうわ。私には癒してくれる医者はいないわ。
CALANDRINO. Eccol qui, mio bel tesoro, | Ho un buon recipe per te,
僕はここにいるよ。僕の素敵な宝物よ。ほら、君に効く処方箋はこれだよ。
Buone nuove a tuo ristoro, | Presto udrai il come, il che.
君を元気にする便りだよ。直ぐにどうしてかを話すよ。
CELIDORA, LAVINA. Ma fia poi vero | Oppur mentine?
ねえ、それ本当?それとも嘘なの?
Badate e dite | La verità!
よく考えて、言って。本当のことを!
CALANDRINO, BIONDELLO. Amor sincero | Menzogne ardite | Mai proferite | Certo non ha.
誠の愛は、厚かましい嘘、それをつくことを、決してしないのだ。
BIONDELLO. In un amico | Confido e spero.
友を信じて、期待するさ。
CALANDRINO. Io ve lo dico: | Oggi verrà!
我は皆の者にこう言おう。今日彼はやってくる!
CELIDORA, LAVINA. Ma qui ti voglio.
でも、あなたがここにいてほしいの。
BIONDELLO. E se non viene?
でも、もし彼が来なかったら?
TUTTI. Un bell'imbroglio | Sarebbe affè.
それなら本当に騙すように、そうなってしまうだろう。
CALANDRINO. Zitti, zitti, or mi sovviene…
シッ、シッ、今、思い出したぞ、
O la barca di Caronte, | O di Coclite quel ponte…
カロン(三途の川)の渡し船か、それともコクレース(英雄)の橋だ。
CELIDORA, LAVINA, BIONDELLO. Meglio il ponte piace a me.
私には橋の方がいいな。
TUTTI. Questo è l'unico espediente, | Or si vada a trovar gente.
それが唯一の策だね。今、人を集めてこよう。
CALANDRINO, BIONDELLO. Fuora, fuora!
外に出よう、外に出よう!
CELIDORA, LAVINA. All'armi, all'armi!
武器を取ろう、武器を取ろう!
TUTTI. Qui fatica non si sparmi, | Non si guardi, non si tardi!
ここで苦労は厭わない、恐れおののいて後れを取るまい。
Più non chiedasi il perché!
もう理由なんて聞かない!

2021年8月13日

皆さま、こんにちは!

モーツァルトの音楽作品、見ていきましょう、聴いていきましょうのシリーズ、

最近は初期の頃のオペラが連続して出ておりましたけれども、

少し今回は趣向を変えて、

モーツァルトがどういう過程で作曲をしたかを見ていきたいと思いまして、

面白い一つの例がありまして、

見て参りたいと思うんですけれども。

ここにありますのが、《カイロの鵞鳥(L'oca del Cairo)》ということ、

これはモーツァルトがウイーンに出てきた後に書かれてるんですね!

ザルツブルクから、ウィーンに行きまして、それは大体1781年頃ですけど、

ちょっと経ったときに、ローゼンベルク伯爵(Philipp Joseph Graf Orsini-Rosenberg, 1723-1796)から、

オペラを当時仕切っていたみたいですけど、

イタリア語のオペラをちょっと書いてみたらどうかと言われて、

じゃあ、モーツァルトが一つ当ててるようじゃないかということで、

まだ、当時はザルツブルクにお父さんもいましたから、

そしてよくコネがありましたから、

ザルツブルクのイタリア人の親父ヴァレスコ(Gianbattista Varesco, 1735-1805)、

この人はイドメネオで出てきましたけれども、

オペラのリブレットを書いてほしいということを、

お父さんからお願いしてもらって、

手紙で遠隔的にお願いをして、

オペラ・ブッファを書こうということで、

前のイドメネオの時にモーツァルトが、ものすごい台本に注文をつけまくったりして、

もうおおもめしてしまって、

モーツァルトが気に入らないところを勝手に削ってしまったりして、

いや、そのことは申し訳ないから、どうかお願いしてくれということで、

お父さんに一回お願いして、そこからお話をしてもらったようでして、

そういったやりとりも残ってたりして、

どういう経緯でこの作品が書かれたかが、先ず分かるんですよね。

タイトルページはこれ、ちなみにヴァレスコ親父の書いたものなんですね。

そのリブレットなんですけども、

ここにケッヘル番号を後で書いちゃった人がいますけれども、

ちょっと面白い資料がありますから、見てまいりたいと思うんですけども。

これがモーツァルトがお父さんと、

この作品を書いている時にやり取りしてる内容でして、

1783年12月6日とウイーンから発信、ザルツブルクへ、お父さん、

そこで面白いのが、あと3つのアリアを書けば、

最初の第1幕が完成するんだということで、

それでアリア・ブッファ、喜劇のようなアリアと、

今回聞いてみたいと思うのが、この四重唱(カルテット)ですね。

それとフィナーレはできてるんだよということで、上演されるのが楽しみだと書いてあるんですよ。

特に今回聴いてゆく四重唱をハイライトしておきましたけれども、

こういったケッヘル・カタログを見てみますと、ここにFragmentと書いてあるんですね。

これが面白いんですよ!

つまり、モーツァルトはこの作品を少なくとも、1783年の12月には、上映したい気持ちがあったんですよね。

ところが、モーツァルトは、またしても、どんどんまた作曲していくと、新しいアイディアが湧いてきすぎて、

モーツァルトがウィーンに出てきて、最初のオペラだということで、

彼はオペラを書きたかったんですよ。それでもう張り切り過ぎまして、

ヴァレスコ神父にいっぱいこうしてくれ、ああしてくれと、細かいことまで、お父さんを通じて、いっぱいやりとりしていたら、

もう嫌になっちゃったみたいで、

モーツァルト自身も別のオペラ「騙された花婿(Lo Sposo deluso)」(KV 430/424a)にもちょっと着手してみようかと、

ウイーンで有名な台本を書く人がいましたから、

そういった関係でこれ放棄されてしまったんですよね!

途中でやめちゃったんですよね!

そういった形でこの作品もそうなんですけど、

(手紙では)できているというんですけど、

自筆譜を見てみますよ!

こんなですよね!

バイオリンの主旋律しか書いてない!

後は全部埋まってない!

それでこの通奏低音しか書いてない!

こっちもそう!

それで歌の四重唱の部分ですね。

そこに歌が出てくるとこが書いてあるんですよ。

こういった形で、あとはもう全部空白、

これはそうですね。

ずーっと主旋律と他の人が入ってきた。

もう歌の基本的なもう骨子しか書いていなくて、

それで上はまた旋律が引き継がれて、

こちらでということでして、こういった形で、

モーツァルトが作曲をする時にどういった形でイメージを先ずもって、

その骨子、真ん中のところがどこかが分かることで、

むしろ完成されてしまってないが故に、

未完成だから故に、

それで放棄されちゃった断片が、

結構モーツァルトにはあるんですよ!

ものすごい数があります。

声楽曲に限らず、途中まで書いて止めちゃったりとか、

こういった他のパート埋めないでやめちゃったりとか、

特にこういった1つの曲ができていて、

その中でどこから先に書き入れていったのかということですね。

それでそれがとてもよく分かるということで、

それでこの旋律か次に受け継がれるところとか、

ここでこうなって通奏低音のところと、

もう主旋律しか書いてないんですよ。

こういった感じで、

それで途中でつなぎですよね。

これは先ず一本出てきたら、ダブルで入ってくるところ、

そこのところをこういった主旋律でパッと入れることによって、間奏みたいな形でつなぎで考えているとか、

色々なことが分かるんですよ!

ここはダブルで来てますね!

ここで一つの切れ目があると、そこを盛り立てるようなオーケストラに受け継がれて、

ここである程度感情が高まってくると、またそこに入ってくるという!

増強している!

そしてこういった形で切れて、

次は今度、低い通奏低音から、徐々に上がっていくように、

こういったずれで入って、同じ旋律がずれてカノンみたいですよね!

ダブルできたら、今度カノンできてると言うことが分かって、

それでずーっと続いて、非常に緊密に書かれてていて、

通奏低音と二声がデュオになって絡み合ってる。

そうしてきたと思ったら、

今度はちょっとずれて、

ここの所で四本みたいになってきている感じで、

今度、三本に受け継がれて、間に入ってきて、それでまだパーンと入ってくると!

それで切れて、また合唱みたいな三人が歌ってる!

そしてこういった少しパートが減っていき、

そこから更にまた入ってきて、つなぎのところをこういう風に分散和音的に降りて、

それでこうなっていくでしょと!

そうしたら、また今度はパラフレーズみたいな感じになったり、

それで四声がガーンと鳴ってくる段々と大音量がバーと大きくなっていくんですね!

コーラスみたいになってきているんですよ。

それでセリフを挟んで入れてきて、

その間にまたオーケストラが入っていき、

もうコーラス最後はこうでしょ!

ずーっともう四人が歌ってる!

それで下で通奏低音で上はもう全部が空!

オーケストラは後で入れるということで、

こういった形になってるんですね。

それで非常に細かくずれたりして、

それで間に入ってきて、

またここは二対二になっていますよね。

それで対応して、また二のグループでこういって受け渡して、

また更にここは通奏低音の方が活発になっている!

そういった形でドーンと盛り上がって、パーンと一回きて!

これで音が細かった付点リズムだったところが、非常に長い音感になって音が長くなっていますよね。

それでコーラスになってきて、

二声になって、また二声、二声で、

今度はコンチェルタートみたいに対比技法で音量が上がったり下がったりして盛り上がってきている!

こういった形でずれてきている!

それでバーンと加勢してくる!

そしてまたここで一つ区切りがあって、

それで少しまた先ほどと同じですね。

付点リズムがあって、長い音価に行く、

そうして最後はもう細かくなって、

二パート、二パートでずれて、全然違うことをお互いに歌っていくという、

もう、もつれ合いながら行くという形ですね。

それでドンドンドンドン行ったら、最後はここはもうパルスみたいになり、

パパパパーンで盛り上がっちゃうといって、

ここでオーケストラのコーダの部分を演奏して終わるという。

そういった非常にモーツァルトらしい!

彼はすごくこの後で《フィガロの結婚》などでも、

こういった四重唱という、沢山の歌が出てくる。

それらの旋律がダブルできたり、 カノンになったり、ずれてきたり、コーラスになったり、合唱なったり、パラフレーズ化されたり、

こうしたセリフ同士の関係性が、非常によくわかるということで、

全部埋まってしまうと、彼がどういう風に骨子を考えたかが、

なかなか読み解くのは難しい!まあ、それが見れば分かるんですけど。

だけれども、そのモーツァルトが作品を書こうとした時に、

どこから手をつけたのかが分かるという、

非常に面白い資料になったんじゃないかと、

逆に完成しなくて面白くなったという
ことでありますけれども。

これを演奏できるようにするためには、

加筆をする!

こうしたモーツァルトが何にも書いてない部分を、後の旋律から、もしくはこういった歌の関係から推測して、

もしくは、彼の他の作品を参照しながら、補完しなければばならないですね。

そういった形で演奏できる形で、今回聞いてみたいと思うんですけども、

ベーレンライターの新モーツァルト全集に行ってみますね。

先ほどの空白の状態を保ちながら、

そのまま校訂しておりますということで、

今回聴いていくのは、

音楽の方はちゃんと埋めてありますから、

どうやって埋めたのかなと、ちょっと期待しながら、楽しんでいけるんじゃないかなと思うんですよね。

こういった形で聴いて楽しんでまいりましょうか!

いきますね!

(変ホ長調)ここちゃんと埋まってる!

いい感じですね!

ここのところで少し盛り立てて、

一度上がった!

もう間で(補筆された部分が)ちゃんと鳴っていますよね!

ああ、ここは書いてないけど!

これはチャーミングな跳躍!

管楽器がちゃんと鳴ってます!

入ってきました歌!CELIDORA. S'oggi, oh dei, sperar mi fate | La mia cara libertà;(もし、今日、ああ神さまがた、私に希望を与えて下されば、私が待ち望んだように解き放たれるという)

ちゃんと(チェロが)ブンブンブン、パルス!

ここですごいこの跳躍!

滑らかな細かい動き!

ここですね!ここで盛り上がっているオーケストラ!なかなかうまく補筆をしていますね!Ah di me non vi burlate; (ああ、わたくしをお計らいにならないで下さい。)

ウヮーンここ動いてます!Saria troppa crudeltà.(それはとてもひどいことです。)

こちらは歌の方はシンプルなると、通奏低音の方が動いているわけですね。Saria troppa crudeltà.(それはとてもひどいことです。)

ここいいですね!今のつなぎの管楽器の配置が良かった!BIONDELLO. Qui son io, pupille amate,(わたしは、ここにいるよ!愛しい瞳よ!)

ちょっと入ってきて、聴こえますね!Dubbio alcun non vi sarà.(君には何の疑いもなかろう。)

今(旋律を先取りして)暗示したものが出てきていましたね。

うーん、管楽器をここに上手く足しています!

細かくなった!だんだんと上がってくるんですね!A Don Pippo le risate | Questa sera ognun farà.(ドン・ヒッポのことを、今宵は皆で大笑いするだろう。)

一緒に動いて!Questa sera ognun farà.(今宵は皆で大笑いするだろう。)

かなりバイオリンもよく、LAVINA. Che m'addita quel ch'adoro? | Calandrino mio dov'è?(誰が愛しい人のことを私に教えてくれるの?わたしのカランドリーノはどこにいるの?)

ここはもう疑問文でしょ!

何処にいるんだ!ここを畳みかけるようにしていますね!Calandrino mio dov'è?(わたしのカランドリーノはどこにいるの?)

Calandrino mio dov'è?(カランドリーノはどこだ!?)

ここは良い補筆!S'ei non vien, zitella io moro;(あの人が来てくれないと、私は独り寂しく死んでしまうわ。)

トゥルルーンとこれはモーツァルトらしい!

今度はなめらかになった!Non v'è medico per me.(私には癒してくれる医者はいないわ。)

うぉーこのスケール!モーツァルトらしい!

今度は付点リズム、これを引き継いで出てきました。CALANDRINO. Eccol qui, mio bel tesoro,(僕はここにいるよ。僕の素敵な宝物よ。)

Ho un buon recipe per te,(ほら、君に効く処方箋はこれだよ。) ここでおお!

今度は低音がこれをうまくフォルテピアノ、フォルテピアノ、すごいメリハリが!Buone nuove a tuo ristoro,(君を元気にする便りだよ。)

Presto udrai il come, il che.(直ぐにどうしてかを話すよ。)

ここはすごい飛んでますね!細かくなった!

これが入ってきた!二声で来た!CELIDORA, LAVINA. Ma fia poi vero | Oppur mentine?(ねえ、それ本当?それとも嘘なの?) それが入ってきた二つのパートで来た!

ヴァイオリンとデゥオの対話、

細かくなってきた。更に時間間隔が短い!Badate e dite | La verità!(よく考えて、言って。本当のことを!)

細かくなって、パラフレーズ化されて、一緒に合ってます。Badate e dite | La verità!(よく考えて、言って。本当のことを!)

それでここから出てきたら、ここはカノンみたいにずれてきて滑らか!CALANDRINO, BIONDELLO. Amor sincero | Menzogne ardite | Mai proferite | Certo non ha.(誠の愛は、厚かましい嘘、それをつくことを、決してしないのだ。)

それで少しずつ、 ここで合うわけですよ!

一緒に合っている!その間のこの動き!

これはタララーンとprofiriteの所が面白いです。

BIONDELLO. In un amico | Confido e spero.(友を信じて、期待するさ。)

韻を踏んでいます。CALANDRINO. Io ve lo dico: | Oggi verrà!(我は皆の者にこう言おう。今日彼はやってくる!)

パンパンパンと入ってくる!CELIDORA, LAVINA. Ma qui ti voglio.(でも、あなたがここにいてほしいの。)

これストレットって言います!急にバーンと来る!BIONDELLO. E se non viene?(でも、もし彼が来なかったら?)

ここでちょうど!TUTTI. Un bell'imbroglio | Sarebbe affè.(それなら本当に騙すように、そうなってしまうだろう。)

ここで低い所から、一対三でこれが最後は合います!

ここはなめらか!CALANDRINO. Zitti, zitti, or mi sovviene… (シッ、シッ、今、思い出したぞ、)

ここで暗示させて、通奏低音でそれでそこから低い声に移る!O la barca di Caronte, | O di Coclite quel ponte…(カロン(三途の川)の渡し船か、それともコクレース(英雄)の橋だ。)

直ぐに入ってきた!また、高いところから来る!CELIDORA, LAVINA, BIONDELLO. Meglio il ponte piace a me.(私には橋の方がいいな。)

もう最後は一緒に合う!

ここはブブブブブーンと通奏低音から来て、ここはすごいエネルジェティク!TUTTI. Questo è l'unico espediente, (それが唯一の策だね。)

今度は二対二でここで分かれた。 Or si vada a trovar gente.(今、人を集めてこよう。)

それでバーンと入ってくる!Or si vadaが来て、間に挟み込んでくる!

今度は二対二で上と下の方です。段々と付点リズムが来ます。TUTTI. Qui fatica non si sparmi, | Non si guardi, non si tardi!(ここで苦労は厭わない、恐れおののいて後れを取るまい。)

バーンとクライマックスに一回来て!Più non chiedasi il perché!(もう理由なんて聞かない!)

上に上がって、上に上がる!TUTTI. Questo è l'unico espediente, | Or si vada a trovar gente.(それが唯一の策だね。今、人を集めてこよう。)

なかなかこのオーケストラの補筆がいいですね!CELIDORA, LAVINA. All'armi, all'armi!(武器を取ろう、武器を取ろう!)

TUTTI. Qui fatica non si sparmi, | Non si guardi, non si tardi!(ここで苦労は厭わない、恐れおののいて後れを取るまい。)

おお!またもう一回二回目のクライマックス!Più non chiedasi il perché!(もう理由なんて聞かない!)

バーンとフォルテとピアノ!TUTTI. Qui fatica non si sparmi, | Non si guardi, non si tardi!(ここで苦労は厭わない、恐れおののいて後れを取るまい。)

これは本当にモーツァルトらしいですね!

最後は細かくなる!Più non chiedasi il perché!(もう理由なんて聞かない!)

やっぱりモーツァルトは、この伸び縮み時間の中での、圧縮した部分と弛緩した部分と、

その、圧縮、弛緩、圧縮、弛緩の蠕動運動によって、

音楽がよりメリハリと情熱と多様性、変化などが生まれてきていますね。

それは音量だけじゃなく、

音符の細かさ、もしくはストレットでいきなり、バーンと他の声部が入ってくることによって、

驚きやきらめきのような感覚が、

非常に細かく組み合されて、

これはモーツァルトのもう非常に後期の管弦楽法に本当にそっくりです!

だいたい400番台から後になってくると、

もう本当に完成期と成熟していて、

モーツァルトらしさが、全開になってきてるんですね。

だから、これは途中で放棄されてしまったけれども、

そういった形で管弦楽法が非常に鮮やかに見れてこれたんじゃないかなと思うんですよね。

それで戻ってみますよ!

本当に空でしたけれども、

見事に補筆をされて、

モーツァルトらしい作品、もう本当に本人が書いたみたいに聞こえましたけど、

もう、これだけの基本的なスケッチさえあればできるんですよね。

音楽はもうバロック時代は、もう本当に通奏低音と主旋律さえあれば、

あと中を埋めてく感じが多かったんですよね。

だから、古典派より後になると、かなり細かく作曲者が意図したように、こうしてくれという指示を全部きちっと細かく書くけれども、

基本的にこの骨子さえあれば、

音楽はちゃんとリアリゼーションできるという、

まあ、ZIPファイルみたいな形で、こういったモーツァルトの音楽遺産を解凍して楽しんでこれたと思います。

こういった形で、普段は断片のような形でフラグメントで残っていて、

あんまり演奏されないというか、もうめったに演奏されないですよね。

こういった作品も、また見るポイントを変えれば、

非常にモーツァルトの頭の中の発想を知ることができじゃないかと、

実はこのモーツァルト作品シリーズは、モーツァルトの頭の中を知りたい、どうなっているんだ!?ということで始まってるんですね。

ですから、こういった形でモーツァルトの思考、感情、

モーツァルトの考えや思いに迫れていけるんじゃないかなと思って、

今後とも続けて参りたいと思いますので、

何とぞ宜しくお願いします。

ありがとうございました。

モーツァルトが残してくれた宝物を楽しむことができました!

失礼致します。

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