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現代漢語、北方官話、普通話、拼音、声母の子音、音声学など語りました。漢字的獨特性系列 Unique Chinese Characters

漢字のユニークさを探究!新たなシリーズ始まりました!漢字の構造を字形、字義、字音から、漢語の系譜を起源からたどります!字幕もぜひご覧くださいませ!暖かいお言葉かけを下さりましたら、SNSでシェアー下さりましたら、今後の制作の励みになります。KF-Ars Sinica、KF-Scholaと併せて、何卒よろしくお願い申し上げます。

2021年10月29日

皆さま、こんにちは!

KF-Ars Sinica、系譜でたどる中華文化にて、

漢字のユニークさを探求するシリーズも、

前回から漢字のユニークさというよりも、

漢語のユニークさを探求になってまいりましたけれども。

今回は、前回に予告を致しました北方官話。

まあ、一般的に中国語と呼ばれる言葉。

まあ、それらは完全にイコールではないんですけれども。

普通話といわれる日本語で言う、共通語、標準語ですね。

その中で使われる全ての音、

母音と子音をやってみましょうということに相成りまして、

前回は国際音声記号(IPA)。

こちらの表にありますけれども。

それと調音音声学について語りましたけれども。

どうして私がものすごく調音、発音の方法にこだわるかと言いましたら。

言語の音の観察は、意外と興味を持たれることが少ないんですよ!

日常で話している言葉は、あまりにも当たり前すぎて、厳密にあまり考えることをしないですよね。

でも、わたくしは言語をものすごく愛してきて、

色んな言語を学んでいくと、

色んな音素、色んな音価など、色んな音声が出てまいりますけれども、

それも言語の味わう楽しみの一つでして、

もう、母語では使わない音を出すというのは結構、面白いんですよ!

そしてど、うしたらこういう音を出せるのかに興味を持ちまして、

また、自分の言語にも、母語にも興味が再帰してきてまいりまして、

思ったんですよね!

言語の探究の楽しみは、人間とのふれあいではないかと!

その言語を話している人たちと愛し合い、その文化に溶け込むには、

その言語と深く触れ合いまして、その言語を話している人たちの世界に入る込む、潜り込むことではないかと!

それによって、新しい世界と同化してゆきまして、

地球の人類はこんななのかという、新たな一面に触れられる!

それで世界が広がることではないかと思ったんですよ!

ですから、ある言葉にものすごく愛着があれば、

その言葉をものすごく探究しますから、

決してそこには、まあ、通じればいいやという妥協は入り込まないんですよね。

もう徹底的にその言語と一体となりゆくことですから、

もう言語の音は、一生の探究だと思います。

人間の言語は、人間の文化や活動の根幹をなしておりますから、

ものすごく幅広くて、ものすごく奥深い、ものすごく興味深い、そして、ものすごく興味深い世界なんですよ!

ですから、私はもう言語に触れていくことによって、

すごいにすごいを重ねたすごい!

ものすごい、すさまじい世界が、

パーンと開けていくんじゃないかと思ったんですよね。

それで思ったわけですよ!

ある言語に関して、その言語を話して生きている人たちと同じように話がしたいという探究ですけれども。

それには二つの方法があるんじゃないかと、考えついたんですね。

一つ目はどういう音の出し方をするか。

その音そのものを理解をするということ ですね。

それは前回お話しました国際音声記号IPAと、

こちらの表にありますけれども、

調音音声学の主題ですよね!

そして、もう一つ、大切な観点がございまして、

逆に母語と異なる言語を話すときに、

どうして訛りが生じるのかに興味を持ったわけですよね。

私が思ったのは、異なる言語、異なる音韻、母音と子音を持ちますけれども。

そのことをやはり認識する必要があるんじゃないかと!

異なる言語を聞いたときに、母語で使う馴染み深い音で近似して置き換えて、

人間は捉えてしまうんじゃないかと!

日本語の漢字音にも、呉音と漢音とありますけれども。

今から1000年以上前のまあ奈良時代とか、平安時代の日本人が中国語を聞いて、

呉音は南方の方言じゃないかと、

漢音は長安の方言じゃないか、

と言われておりますけれども。

まあ、自分たちの音韻体系、当時の日本語ですけれども。

近い音で解釈をしまして、日本語に取り入れられましたけれども。

実は人間は、自分がどうだしたらいいか分からない音は聞き取れないんですよね。

だから、自分が出せる近い音で近似してしまって、

その音を理解ししまうんじゃないかと思ったんですよ。

でも、それは、本物そのものの音とは違うんですよね。

前に人はそれぞれある言葉に対して、イメージがあって、

それで大体は、それが一致しているから、

コミュニケーションできるわけですけれども。

相手の話を自分の考えで解釈をして理解をするという話をしましたけれども。

また、更に一般化しまして、相手の話を聞くとき、相手の話として聴いているつもりでありながら、

実は自分の頭で分かりやすく変えて、

人間は聞いて捉えているじゃないかと思ったわけですよ。

それに気づくことは、ものすごく大切でして、

実は音の世界でも同じではないかと思ったんですね。

日本語を話している人が、中国語を聞くと、

日本語の音韻に勝手に変換して聴いてしまって、

実は正しく音を聞けていなくて、

中国語を日本語の音で聴いてしまうんじゃないかと。

でも、そういうことって、人から言われないと、それに気づかなくて、

きちんと聞いているつもりになってしまうんですよね。

しかも、かなり綺麗に音を出せても、

本物とはなんか違うなっていう発音になってしまう!

それはどうしてなのかを考えまして、

実は遠い音は意外と出し方が分かればできるんですよ。

余りにも違いすぎる音は(逆に難しくなく、)

でも、似た音は混同されやすい!

別の言語の音やイントネーションは混じりやすいんじゃないかと思ったんですね。

それはやはり、自分の慣れ親しんだ言語の音が、頭にこびりついてるからじゃないかと思いまして、

それを克服するためには、どうしたらいいのかをいつも考えてるわけですよ。

そして、思ったことがありまして、

実はたくさん練習するよりも、

先ず、その音がどのように出ているのか、

それをものすごく細かく、観察と理解をすることによって、

ものすごい言語の音に対する感度が上がりまして、

その言葉の音の世界がパーンと開けてくるんじゃないかと感じておりまして、

しかも、音を聞き取ろうとしなくても、

その音が耳に飛び込んでくるというような感覚になるんじゃないかと!

聞くんじゃない!

もう、聞こえてくるという!

そういうことになるわけですけども。

発音のメカニズムを知ることこそが、

自分でその音を聞いたり、出したりできる第一歩じゃないかと思ったんですよ!

ですから、言語を話そうとしたとき、

その言語で使われている発音の部品、

音素、それ以外は絶対に使わないようにするということが秘訣と感じております。

それは自分の母語で使われる子音や母音を基準に別の言語を考えないということでして、

前回にもう大盛り上がりました。

その言語における音韻体系全体を体得することではないかと思います。

平たく言えば、

これは母語の何とかという音に近いとか、

そういう理解をしないということなんですよね。

そしたら、何とかに近いは、もう、NGワードでダメだと!

それだと勝手に変換しちゃうから。

まあ、IPAで同じ音声記号が与えられている場合は、そりゃいいですよ。

それでも、ものすごく厳密に見ると、

微妙に違うことが多いんですよ。

例えば、中国語のi [i]という母音がありますが、

日本語の「い」[i]とIPAにおいては、同じ[i]なんですよ!

ところが、口の横の開き方が、

中国語の方が、日本語のよりかなり強いですよ!中国語のi [i]

日本語の「い」[i]くらい(小さい)ですよ!

だから、響きの音余韻が違うんですよ。

それと口の中の空間の大きさとか、形とかでき方も違います(また、中国語のi [ˀi]の最初に声門の開き[ˀ]が含まれます。)

絶対に日本語より中国の方が口の中に空気をいっぱい含んでいると思いますよ(ですから、ものすごく共鳴します)。

だから、同じ記号でも違うという事ありますけれども。

まあ、でも、IPAはその音そのものがどう発音されるか、ピンポイントでね定義されていまして、

そして、現実の音がどこにあたるのかということを考えますから、

どうしてもやはり、西洋音楽の記譜がありますけれども、

それと同じで、その一つの音の高さや長さが(ピンポイントで)書かれていても、

微妙なイントネーションとか、ニュアンスとか、音とのつながりや流れなど、

微妙な差異とか、緩急を書き分けるというのは苦手なんですよ。

でも、そうした短所は、逆に一つの細かいところを徹底的に分析して、

それを統合して理解できるという、長所の裏返しじゃないかと思ってまして、

逆に言えば、調音のメカニズムを細かく切り分けて示してくれているIPA、

それに法れば、ものすごく早く、新しい音を習得できると思いました。

しかも、中国語だけではなくて、

どの言語に対しても、一般化されていまして適用できますよね。

これは強みですよね!

ですから、色んな言語に触れるとアイディアや世界観が豊かになるということで面白いわけですけれども。

だから、IPAを使いまして、

全て肺や喉や鼻や口や舌や歯や唇など、

発音器官の動きに還元して、理解を徹底してゆくと、

色んな音が出るということを確認できましたら、

母国語の話者が現実に出している本物の音を聞きまして、

ものすごく色々、聞いてみるわけですよ!

そして、人によっても差がありますけれども。

どういう音が出ているのかということ、

それと自分が得た音の違いをじっくりと考えていく、

ループを繰り返して行って補正をするわけなんですよね。

それをしてゆくことにより、定着をしていくんじゃないかと思いました。

ですから、IPAの最大の長所は、捉えどころのない音を今この画面に出ております子音と母音がありますけれども。

それと補助記号などなど、

こうしたチャートで調音部位で分類をしておりまして、

視覚化して考えることができるんですよ。

母音でしたら、横は舌の位置とか、

縦は口を開ける度合い、

そして、右と左で丸唇か、平唇か、

その三点しかありませんし、

まあ、先ほど私が申し上げたように、口の中の空間は違うとはいえ、

注意ポイントは(示されて)あるわけですよ!

そして、 子音は、始動と発声と調音によるわけですから。

それらの要素が複合して、音声が構成されている分析(analysis)と構築(synthesis)で考えれば、良いと思ったんですよ。

ですから、この分析(analysis)と構築(synthesis)、バラバラにして組み立てる。

まあ、これ最初にしたのは、ギリシア人のパップス(Πάππος > Pappus)さんが(ユークリッドの)幾何学でいたしましたけれども、

本当にこれは科学的方法(scientific method)じゃないかと!

即ち、母音は、丸唇か、平唇か、

前舌か、中舌か、後舌か、

口広か、口狭か、

この三つのパラメータに還元できまして、

子音は、無声か有声か、

そして、有気か無気か、

これは補助記号ですけれども、

それから、調音部位は横、

出し方は縦、

その四つのパラメータに大きく還元できまして、

それらの組み合わせによって、

多種多様な言語の音の世界が生み出されていくんじゃないかと!

ですから、未知の音を聴いたとき、

今の観点から、先ずはどういう音を出しているのか、

次はどのようにその音を出しているとか、

それらを捉えて、分かって、始めて、その音を出せるじゃないかと感じております。

ここから、漢語の音の世界にグーンと行きますよ!

KF-Ars Sinica(系譜でたどる中華文化)ですから!

前回は上古漢語や中古漢語の読若、直音、反切という音を示す方法から、

いきなり時代が現代漢語の拼音までぶっ飛びましたけれども。

どうして、こんなアイディアが出てきたのか、

今回は現代漢語、

特に北方官話、

所謂「中国語」「普通話」の音の世界を探索してみたいということですから、

最初に現代漢語を書いている拼音のアイディアの歴史を見てみたいと、

こんなものを用意してまいりました。

これから、中古漢語から分岐して、

北方官話につながる言語を見てまいりますけれども。

元明あたりを近古漢語と言いますけれども。

《中原音韻》という、ここに今出ております韻書で元代の状態が分かるんですよね。

編纂者の周德清さんは、ものすごく破天荒で風流な自由人でしたけれども、

彼だからこそ伝統を打破して、

当時の(元代の)口語の韻書を作ることができたと思うんですよ!

一番ぶっ飛んでいるのは、 《中原音韻》の後序の終わりの所で「歌が終わって、お客さんが酔っている。私も酔いつぶれちゃった!」とか言って、「何を言いたいか訳が分からん!」みたいに書いているんですよ。

それを本の序文に書くのかと笑ってしまうほど、

まあ、周德清さんという方は、ユニークだったわけですけれども(「歌既,畢客醉,予亦大醉。莫知所云。挺齋周德清書」)。

この本はもう700年も前で1324年と書いてありますけれども。

当時は元曲(北曲)という、民間の歌劇で使われた発音、

押韻(曲韻)を伝えてくれていまして、

これは《切韻》や《広韻》と同じく、反切で書かれていまして、

声調も同じ四つなんですよ!

しかしながら、中古漢語の切韻体系の平声・上声・去声・入声と、前回出てまいりましたね。

それではなく、ここを見ましたら、

平声が、陰平・陽平・上声・去声ですから、

今の北方官話と同じなんですよ。

これはすごい!

そして、入声が消失していて、平声・上声・去声に分配されてゆくわけですけれども。

一応、入声についても、ちゃんと気にして書いてみてくれているんですよ。

これも、前回は終わりで見ておりました。

まさにやはり北方の言葉らしさがよく出ておりまして、

ですから、中古漢語の音は《切韻》が伝えてくれて、

近古漢語の音は《中原音韻》が伝えてくれています。

こうした一次資料(primary source)が大事でして見てみますよ!

また、次にいってみますよ。

こちらは《洪武正韻》と言いまして、

1375年とここに書いてありますから、

先ほどの《中原音韻》から、それほど経っていないんですけれども。

もう明の初めに当たりまして、

ちなみにこれは明刊本と言うんですけれども。

明朝体はこうした書体から発展してまいりまして、

宋代から刊本が残されていますが、

明代の書体はコントラストが結構激しいですね。

こうして文字がはっきり見えます!

まあ、顔真卿の書体、書風、顔法と言いますけれども。

まぁ、それを基にしているじゃないかと!

先ほど《中原音韻》の楷書は、

結構、細楷(小楷)という、人を書いたような感じの字形でしたけれども。

まあ、面白いんですけれども。

とにかく、この《洪武正韻》は、漢民族が蒙古族を追い出して、

明が開かれて間もない頃ですけれども、

逆にこちらの方が、逆にこちらの方が後に出たにもかかわらず、

内容は結構こちらの方が保守的でして、

読書音と古い書を読むときに使う、

口語とは別の音がありまして、

南宋《礼部韻略》という韻書の増訂版(《増修互注礼部韻略》、略称《増韻》)を基にしているかと言われていまして、

口語というよりも、文語なんですよね。

ですから、先ほどの《中原音韻》の方が、

当時の人たちの話し言葉を反映しているということで面白いですけれども。

実は今でも官話でも、呉語や閩語などでも、

口語の白話音といいますが、

それに対して、文語の文言音、文言文を読む、

読書音として、読書をするときの音、

古い音が伝えられているんですよ。

話し言葉と書き言葉、

昔のこのような発音じゃないかみたいな音、

二つの音の大系があったということでして、思ったよりも、

実はそんなに簡単ではなかったということは伝えられたんじゃないかなと思います。

そして、次に行きましたら、

これは何だと!

こちらは少し時代が戻りまして、

元代のパスパ文字と書いてあります。

蒙古字とも言うんですけれども。

今までの韻書は、漢字で漢字の音を説明していましたけれども。

パスパ文字は音素文字ですから、

モンゴル語とか、ウイグル語とか、女真語とか、契丹語とか、チベット語とか、漢語などを書くことができまして、

元朝のクビライ・ハーンの勅命で、チベット仏教の高僧のパスパさんが、

インドのブラーフミー文字から分かれたチベット文字がありますけれども。

それを改良して作りました文字でして、

確かにここを見てみましたら、パスパ文字はは縦書きに適していて、原型となったチベット文字も下に小さく書いておきましたけれども、よく似ているんですよ!

そして、トランスクリプションとIPAを書いておきましたけれども。

パスパ文字は、チベット文字、インドのブラーフミー文字と同じく、

音素音節文字(アブギダ)ですから、

何もなければ、aが付いた形ですよ!

これで言えば、ba [pa] なんですよ。

トランスクッションで ba [pa]ですけれども。

だけれども、 元音は中国語で母音ですけれども、

これらの補助記号を付けることによって、

母音を変えていけるというわけなんですよ。

それともう一つ感じたのは、

これらの子音ですけれども。

どうも、晩期中古漢語の音韻体系によく似ているなと、

近古漢語にいく過渡期ですから、

まあ、当たり前と言えば、当たり前ですけれども。

それまでも、確かに唐代にも、

中古漢語の真ん中の時期に西域と接触して、

ソグド文字、コータン文字、チベット文字、突厥文字など、

また、われわれの仮名などでも、

当時の漢語の音、中古漢語の音が書かれたりしましたけれども。

また、 サンスクリットやチベット語の仏教経典の音写などでも分かりますけれども、

それは別の音韻体系の外来の文字ですから、

不完全な近似音しか書き表せなかったんですね。

ですから、初めて体系的に漢語の音韻に合わせて設計して書いてくれているということで貴重なパスパ文字の資料なんですよ。

こちら、《蒙古字韻》とありますけれども。

まあ、声調は書けませんでしたけれども。

そうした別の文字体系で漢語の音を書いた資料を対音資料と言いまして、

外から見た漢語は、すごい貴重じゃないかと面白いと見てまいりました(Weldon South Coblin (2007). A Handbook of 'Phags-pa Chinese, Honolulu: University of Hawai'i Press.)!

そして、こちらは明代になりましたけれども。

イエズス会の宣教師たちが、

中国にどどんと押し寄せて来て、

キリスト教の布教をしましたけれども。

マテオ・リッチ(Matteo Ricci, 1552-1610;利瑪竇)さんは、

ユークリッドの《幾何原本》を漢訳したり、

アルファベットで漢語を書こうとしたりして、彼もなかなか面白いです!

そして、ニコラ・トリゴー(Nicolas Trigault, 1577-1628;金尼閣)さんは、

イソップ物語を漢訳《況義》したりしてますけれども。

これも面白い《西儒耳目資》(1626年)という、

ラテン文字で漢語を書いた初めての辞書を作ったんですよ!

そして、漢語の音韻体系について説明がされていまして、

日本語でも、同時期に《羅葡日対訳辞書》とか、

《日葡辞書》とかありますけれども、

そうしたキリシタン版は、音素文字のラテン文字で音が書かれていますため、

当時の音を知りたいとき、 対音資料として、ものすごく貴重なんですよ!

これらはしかも「元祖拼音」と考えられるんじゃないかということなんですね。

ここにマテオ・リッチさんの文章が書いてありますよね。

ここに本当にアルファベット「廣哉文字(quàm çāi vên çú)」で書いてありますよ!

今は「廣哉文字之功(guǎngzāi wénzì zhī gōng /kwɑŋ²¹⁴ t͡saɪ̯⁵⁵ wən³⁵ t͡sz̩⁵¹ ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵ kʊŋ⁵⁵/)」となりますけれども。

まあ、多分これ見ると、

こちら、「字」(çú)と「之」(cə̄y)を分けているから、違う文字にしているから、

だから、書いている言語は、北方官話「字(zì /t͡sz̩⁵¹/)」「之(zhī /ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵/)」ではないかと思います(粤語ではgwong2 zoi1 man4 zi6 zi1 gung1 /kʷɔːŋ³⁵ t͡sɔːy̯⁵⁵ mɐn²¹ t͡siː²² t͡siː⁵⁵ kʊŋ⁵⁵/と「字」zi6 /t͡siː²²/と「之」zi1 /t͡siː⁵⁵/が同じ子音になるからです)。

そしてここと見ると「書」xūでして、

今ですと「書」shū /ʂu⁵⁵/ですから、

ūになっていますから、

広東語(粤語)「書」syu1 /ʃyː⁵⁵/みたいな音ですから、

多分、北方の言葉じゃないかなと思います。

まあ、官話と呼ばれる言葉でして、

そして、明末の北京で刊行された本ですね。

そして《西儒耳目資》(1626年)は、清が建国されて、まだ明が征服されていない頃ですよね。

もうちょっとで清になる所です。

これは《中原音韻》と、北方官話についての韻書でしたけれども、

これはラテン文字で書いていて、《中原音韻》の音節表をここに書いてあるんですよ!これすごい!

全部ここに書いてある!

杭州で刊行されていまして、

南京の官話と言われますけれども。

まあ、明代には、南京と北京で両方とも大きな都市があって、

両方とも官話には、相違ないですけれども。

当時の方言でも、色々と種類がありましたから。

それでとにかくですよ!

ここにずーっとアルファベットで音節が書いてある!

これは本当にまさに今から我々が見にゆこうとしていることなんですよ!

だから、「元祖拼音」ということで一気に現代に飛んでいきましょうか!

そして、こちらは我々が見てよこうとする拼音ですけれども。

ここに書いてありますよね!

簡体字でこちらは繁体字です。

漢語拼音方案(hànyǔ pīnyīn fāng'àn)と書いてありますね。

これで定義されてるんですよ!

実は普通話と北京話は、結構異なりまして、

河北省の承德市の灤平縣という所の町や村で使われている音がきれいだということで言語学者が音を採取しまして、

これ何ていうんですか?と全部村人に聞くんですよ。

それで録音したりして、

それを基に人工的な共通語をつくりまして、

言語を規格化した公用語が普通話(pǔtōnghuà)と言いますけれども。

まあ、フランス語でも、首都パリのフランス語は、

どうも、余りにも色んな地方からの人が入ってきて、

もうぐちゃぐちゃのために純粋じゃなくて少し離れたところにあるランス(Reims /ʁɛ̃s/)というちょっと大きい都市がありますけれども。

フランス語でしたらランス(Reims /ʁɛ̃s/)と言いますけれども(笑)

そこのフランス語が美しいと言われているんですよ。

まあ、北京も、漢族以外にも、満州族、蒙古族が多く住んでいたりして、

また、色んな地方から人が入って来るから、

言葉が混じり合いクレオール化してくるんですよね。

だから、少し郊外に行きまして、

そこの音がきれいだということで本当に河北省の承德市の灤平縣の村に行くと、アナウンサーみたいにきれいな言葉を皆がしゃべっているということで、

まあ、それも面白いお話ですけれども。

言語で使う音をきちんと決めたら、それに対応する字母、

文字が前から使われていた注音で定義されているんですよ!

そして、これからはこちらを使おうと、ラテン文字を使いましょうと、

全部対応させて、書いてありますね。

これでそれで声母の子音が、こちらに書かれていて、

ちなみにここに面白いことが書いてあって、

初めはzh, ch, shという、

一文字でこうẑ, ĉ, ŝで書いてもいいよと書いてありますが、

まあ、今ではあまり見かけませんけれども。

本来は二文字で一つの音ですから。

zh ㄓ [ʈ͡ʂ]、ch ㄔ [ʈ͡ʂʰ]、sh ㄕ [ʂ]という音ですから。

だから、もうかなり面白いということですけれども。

全部これは今使っている、

本当に現行の文字ですよ!

そして、韻母が書かれていますね。

表になっておりまして、

基本母音があって、

そして二重母音があって、

これで三重母音がありまして、

最後に韻尾、nとか、ngがありますということですから。

言語を規格化するときは、

言語音と正書法、

言語の音とそれを正しく書く方法を決めるという、

大きく2つの基礎がありまして、

まあ、あとは統語論や語用論、

文法や語彙もありますけれども。

まあ、そちらは辞書とか、文法書をつくればいいわけですから、

今、私たちが見ておりますのは、

音を正確に記述をすることなんですよ。

ですから、今回はこれらの音を全て見て行きたいと思いまして、

こんなものをご用意いたしました!

先ずは声母からいきますけれども。

こちらは《普通話語音教程(Pǔtōnghuà yǔyīn jiàochéng)》と言いまして、

中国だと《普通話語音教程(Pǔtōnghuà yǔyīn jiàochéng)》

これは中国人のために中国語で書かれ
た普通話の音を教える本ですけれども。

実は中国は広いですから、特に南の人たちは、別の言葉を話しますから、

北の言葉をきれいに発音するために中国人が、中国語を学ばなくてはならないということで書かれた本なんですよね。

そして、これらは調音部位、口の中が分かりやすく図示されていまして、

少し何か歪んでいたりして、

大きさも何かばらばらですから、

作り直そうかなと思ったのですが、

何か味わいがあるということでそのまま拝借しまして、

ちゃんとここにクレジットとして書いておきました。

先ずは、声母(syllable onset, attaque syllabique)の子音(consonant, consonne)から見てゆこうということですけれども。

子音は、やはり、口の中が知りたいんですよ!

ですから、自分の口の中が、どうやってのかをこれらの図と合わせて確かめながら発音して行こうじゃないかということでして、

それでは、先ず、拼音の並び通りに唇音(labial, labiale)、

唇で出す音から行きますけれども。

このb ㄅ [p]という拼音で書いてあります音は、

無声両唇破裂音(清雙唇塞音voiceless bilabial plosive, occlusive bilabiale sourde)の無気音でして、

即ち、唇を軽く閉じて、息を抑えて、音を発しますよ。

b [p]、b [p]という感じですね!

官話の中の「波」bō /pu̯ɔ⁵⁵/と発音しますけれども。

まあ、粤語でも、「波」bo1 /pɔː⁵⁵/ですけれども。

母音が少し違うだけで、子音と声調も同じでして、高い所でピーン/⁵⁵/と出ます。

もちろん拼音は同じですが、

官話は拼音oでしか書いてないんですけれども、

実際に発音すると[oː]ではなくて、

実際に発音するとbō /pu̯ɔ⁵⁵/という漢字で二重母音[u̯ɔ]なんですよ。

まあ、母音はいいですけれどもね。

今は最初の子音だけを見ていますから! そこだけ取りたいわけですけれども。

STEDTの漢蔵祖語を見ましたら(、中古漢語pa /puɑ/、上古漢語*paːl, *pˤajを手掛かりに考えてみました)!

「波」はどこから来たのか?

そうすると、「波」*r/m-baと書いてあるんですよね。baですね。

でも、チベット語「波」རྦ, rba /*rpa/でしてp。

それでカレン語pɔ¹、

これは広東語、粤語「波」bo1 /pɔː⁵⁵/と一緒じゃないかと(声調はかなり低くて、長母音ではありませんが)!

IPAで[p]ですよね(また、白語po⁵⁵ no⁴²も[p]です)!

漢蔵祖語で思ったんですけれども、STEDTの再構は有声、無声には結構、

無頓着ではないかと思いまして、

[b]で書いてあるけれども、これは有声ですけれども、実際は[p]なんですよ!殆どの子孫たちの言語では!

それで漢蔵祖語の復元も、音声学から見ると、まだまだ改定の余地があるんじゃないかと思ってまして、

まあ、ちょっと話が逸れましたけれども。

これ大事な所でして、気になったんですけれども。

IPA [p]と拼音 bでずれていまして、

拼音にやはり影響されて、

日本語の「ボ/ヴォ」[bo̞]、僕ちゃんみたいに濁音で発音されてしまいますけれども、

本来はこれ無声なんですよね!

濁らない!

それで[bo]ではなくて[po]なんですよ!

英語で言うと「釘」peg /pɛɡ/ [pʰɛɡ]と「乞う」beg /bɛɡ/、無声と有声で違う言葉ですよね!

フランス語でも、「パン」pain /pɛ̃/と「水浴び」bain /bɛ̃/という意味ですけれども、違う言葉ですよ!

日本語でも「ピン」[pʲĩɴ]と「ビン」[bʲĩɴ]は、無声と有声で違う言葉なんですよね。

でも、有声音[b]ぽく[p]が拼音に引きずられていることがある上、

中国語では無声と有声は区別しない、

対立がないんですよね!

ですから、むしろ、次の有気音[pʰ]との区別の方が、中国語では大切だからだと思います。無声[p]と有声[b]を犠牲にしたとしても、そういうふうに説明されんじゃないかなと、私はちょっと理解をいたしまして、

次のこの有気音バージョンの方に行ってみたいと思うんですけれども。

この拼音p ㄆ [pʰ]は、

無声両唇破裂音(清雙唇塞音voiceless bilabial plosive, occlusive bilabiale sourde)の帯気ヴァージョン(aspirated, aspiré)ですから、

有気音でして、

唇を固く閉じて、口の中で蓄えた息を噴き出す!そして、発音しますよ。

p [pʰ]、p [pʰ]

有気音とは、息を溜めておいて、

口の中で圧力が高まってから、

堤防が一気に決壊するようにドゥワーンと、息のビームが流れ出ますから、

まあ、前に蝋燭を置いておくと消えるでしょうね。

誕生日のケーキみたいに(笑)

まあ、人間の肺から出てきた空気をコンプレッサーみたいに圧縮して、バーンという感じですよね。

だから、音を出さないで息だけ出すといいんですよ。 やってみますよ。

(有気 [ʰ])、(有気 [ʰ])

つまり、始動だけをして、発声と調音を切っちゃったんですよね。

それから音を出してみますよ。

(有気 [ʰ])、(有気 [ʰ])、p [pʰ]、p [pʰ]なんですよね!

それで無気音の方いきますよ。b [p]

それで有気音の方いきますよ。p [pʰ]

今分かったことは、 b [p]、b [p]に対して、p [pʰ]は、(有気 [ʰ])、(有気 [ʰ])が加えられている!

だから 、IPAの記号で補助記号[ʰ]で有気音だと有気化([ʰ])してるんだと書いてあります!

それを合成したわけですよ!

今はもう一つ気づいたことがあるんですよ。

無気音では、子音と後の母音が、ほぼ同時に発音されますけれども、

有気音では、肺から息が上がるまで、コンプレッスする間、

子音に遅れて、母音が付いてきて、

タイムラグがあるんですよ!

それで聞き分けられるんですよね。

息を強く出しますから、空気の破裂音が明瞭ですよね。

まあ、もちろん、先ほどのb [p]もこれもやはり(よく聞いて見れば)破裂してますよ!

だけれども、 b [p]、p [pʰ]、b [p]、p [pʰ]、

破裂音はより破裂しているというより強烈だということでも聴き分けられます。

英語で言うと「ピン」pin /pɪn/ [pʰɪn]。

これもそうですよね!有気音でありますけれども。

まあ、中国で言うと、官話では「破」pò /pʰwɔ⁵¹/、これも4声ですけれども。

これで呉語「破」pha2 /pʰa̱³⁴/、

やはり閩南語「破」phò͘ /pʰɔ⁴¹/、

客家語「破」pho4 /pʰo⁵³/、

それで粤語「破」po3 /pʰɔː³³/、

中古漢語「破」phaH /pʰuɑH/ですよ!

そして、上古漢語「破」*pʰaːls, *pʰˤaj-sでして、

全部やはり同じ子音ですけれども。

まあ、漢蔵祖語「破れる/壊れる」*(p/b)ayまで遡りましたら、[p]と[b]で両方が書いてある!

ビルマ語ဖဲ့, hpai. /pʰɛ́/ですよね。

やはり、本当に有気音[pʰ]で全部、本当に来ています!

だから、すごい漢蔵語族でも、全体的にしかも、漢語の中の方言でも、全部、有気音になりました(ラスムス・ラスクとヤーコプ・グリムが発見した印欧祖語の有気音とゲルマン語の無気音における子音推移に対応します)!

もう、これをいっぱい発音しちゃいましたから、

次に行きましょうかということで、

m ㄇ [m]に行きますけれども、

この拼音の m もですけれども、

これは両唇鼻音(雙唇鼻音voiced bilabial nasal, nasale bilabiale voisée)ですよね。

両唇、二つの唇の音!それで鼻音、鼻の音!

唇を固く閉じて、 口蓋帆(喉の奥の方)を下げるんですよね。

それで息を鼻の方に通してあげるんですよ。

それで次の母音、その後に付いてくる母音の所で口が開くんですけれども。

m [m] 、m [m] ですけれども。

鼻で牛さんのモォ~という感じで共鳴して、やはり、有声音m [m]なんですよね!これは!

まあ、これを無声化する場合[m̥]がありますけれども。

ビルマ語や漢語の方言では、そういう言葉もありますけれども。

まあ、一番、有名な例では、

お母さん、官話で「媽」mā /mä⁵⁵/、声調は一声ですけれども。

粤語「媽」maa1 /mäː⁵⁵/ でも同じだと!

そして、中古漢語「媽」muX /muoX/は面白い!

でも、やはり、[m]で同じ子音だと!

それで上古漢語「媽」*maːʔ, *[maʔ]で声門破裂音[ʔ]で終わりますよね!

皆[m]!

まあ、お母さんでも、もう一個の「母」の方のお母さん。

今のは「媽」でしたけれども、「母」の方ですが、

官話「母」mǔ /mu²¹⁴/なんですよ。

それで粤語「母」mou5 /mou̯¹³/でしょ!

それで中古漢語「母」muwX /məuX/、

それで上古漢語「母」*mɯʔ, *məʔですよね。

全部 [m]で来てますね!

客家語「母」mu1 /mu⁴⁴/ですけれども、

閩南語はbú /bu⁵³/なんですよ!

どういうことかといいましたら、

日本語でも、「母」bo [bo̞]でして、[m] は[b]に行っちゃう!

これは非鼻音化と言いますけれども。

漢蔵祖語*mowに遡れまして、「女」という意味ですけれども。

チベット語「女」མོ mo/*mo/、

ビルマ語「母」အမယ် a.mai /ʔəmɛ̀/、最初に[ʔ]が付いていますが、

大体、何だか[m]が付いてきている言葉は、

女性に関係する言葉と分かるんですけれども。

今度、「妹」はどうなんだと!?

これは官話「妹」mèi /meɪ̯⁵¹/なんですよね。

まあ、「妹妹」mèimei /meɪ̯⁵¹ meɪ̯¹/とか言いますよね。

お母さんの方は「媽媽」māma /mä⁵⁵ mä²/って言いますけれども。

重ねることにより、まぁ、親しみが湧くんですけれども。

呉語「妹」me3 /me̞²³/、客家語「妹」moi4 /moɪ⁵³/なんですよ!

粤語mui6 /muːy̯²²/だと、中古漢語「妹」mwojH /muʌiH/ですよ!何か日本語(呉音)の姉妹の「妹」[ma̠i]に似ておりますけれども。

もう中古漢語から来ていますけれども。

でも、閩南語「妹」bē /be³³/は、やはり、非鼻音化されちゃって、[b]になっちゃって、

日本語(呉音)「妹」[ma̠i]ですから、(漢音)「妹」[ba̠i]ですね。

それで上古漢語「妹」*mɯːds, *C.mˤə[t]-sですけれども。

全部 [m] の子音ですけれども。

皆「妹」でしたけれども。

これは漢蔵祖語「娘/女の子/妻」*miという言葉から来てるんだと!

それでビルマ語မ ma. /ma̰/とか、

全部とにかく[m]なんですよ!

面白い!女性に関係する言葉、皆 [m]ということでして、

いっぱい[m]も語ってしまいましたけれども。

それで今度、f ㄈ [f]ですけれども。

無声唇歯摩擦音(清唇齒擦音voiceless labiodental fricative, fricative labio-dentale sourde)ですから、

唇歯、唇と歯ですから。

上の歯を下の唇に軽く当てた隙間に息を吹き込みまして、摩擦を生むわけですよ。

ですから、f [f]、f [f]なんですよね。

官話では「發」fā /fä⁵⁵/ですけれども、

呉語「發」faq4 /fa̱ʔ⁵⁵/で入声が入ってきますよ!

客家語「發」fad5 /fat̚¹/も入声でして、

粤語「發」faat3 /fäːt̚³/も入声でして、

fäːと行きまして、t̚で止めますね。

閩南語「發」puh /puʔ³²/はやはり、

この言葉は[p]になっちゃって、まあ(今しております[f]と)混乱するから発音しませんけれども。

中古漢語「發」pjot /pʉɐt̚/も[p]でして、

そして、上古漢語「發」*pad, *Cə.patでも [p] なんですよ!

だから、閩南語「發」puh /puʔ³²/は、古い中古漢語「發」pjot /pʉɐt̚/(や上古漢語「發」*pad, *Cə.patで)から継いでいて、

それで漢蔵祖語*m-pukに行っても、[p]なんですよ!

中古漢語から[p] になっちゃってるということでして、

面白いことに[f]は[p] から分岐してきて生まれてきたということですけれども、

官話「飛」fēi /feɪ̯⁵⁵/ですけれども。

粤語「飛」fei1 /fei³³/で官話「飛」fēi /feɪ̯⁵⁵/と同じです!

呉語「飛」fi1 /fi⁵³/でちょっと下がるんですけれども。

同じ [f] ですけれども、やはり、閩南語「飛」pe /pe⁴⁴/は[p]なんですよ!

これも発音しませんよ!

客家語「飛」bi1 /pi⁴⁴/も、この場合は[p]でして、

中古漢語「飛」pjɨj /pʉi/も[p]、上古漢語*pɯl, *Cə.pə[r]も [p]、

漢蔵祖語*byar ⪤ *p(i/u)rは[b]/[p]であれですけれども([p]の有声が[b]ですから同じような調音です)。

それで南亜祖語*parから来ているじゃないかということが言われておりますけれども。

中古漢語より先は[p]から[f]が来ていることが分かったと思います。

でも、どちらにしても、[p] も、[f]も、唇音ですよ!

今、見ました[p] も、[f]も似てはいるんですけども。

こうして言語の歴史を見てみますと面白い!

このf [f]は、やはり、日本語のファ行[ɸ]、無声両唇摩擦音(清雙唇擦音voiceless bilabial fricative, fricative bilabiale sourde)と異なるんですよ!

何が違うかって言ったら、

歯に息が当たって、瞬間にシュッと強い音がするわけです!

それで湘語は、日本語のファ行[ɸ]と同じ[ɸ]で書くんですけれども。

「發」fa6 /ɸa̠²⁴/、そして「飛」fei1 /ɸe̞i³³/なんですよ!

両唇音でして、日本語のファ行[ɸ]と同じ音ですからね!

面白い事に閩南語は、両方(「發」hoa̍t /huat̚⁴/ < puh /puʔ³²/や「飛」pe /pe⁴⁴/, hui /hui⁴⁴/)とも、[h]かもしくは[p]の子音を持ってるんですよね。

更に中古漢語「發」pjot /pʉɐt̚/、「飛」pjɨj /pʉi/も[p]の子音なんですよ!ということで面白いんですけれども。

こうした言語の対応関係もちょっと頭の中で考慮しながら、

私をいつも、こうした音を見てるということでお話しておきましたけれども。

次は舌尖音(apical, apicale)と言いますけれども。

この舌の先で出す音ですね。

舌の尖ったと書くわけですから!

ここで行きますよ! d ㄉ [t]は、

無声歯茎破裂音(清齒齦塞音voiceless alveolar plosive, occlusive alvéolaire sourde)の無気音でして、

舌の先を上の歯の付け根に当てて、息を抑えて、息を抑えて、舌の先を離して、破裂を生むんですよ。

d [t]、d [t]

これもやはり、IPAの[t]と拼音のdがずれていまして、拼音に影響されて、

日本語の「ド」[do̞]みたいな濁音、

有声歯茎破裂音(濁齒齦塞音voiced alveolar plosive, occlusive alvéolaire voisée)[d]で発音されてしまいがちですが、

本来は無声なんですよ!

だから、(むしろ日本語の)「タ」[ta̠]という音でしょ!

それでフランス語で「全て」tout /tu/ですけれども、「甘い」doux /du/という言葉ですが、

「全て」tout /tu/と「甘い」doux /du/はフランス語では(無声と有声で)違う言葉になってしまいます!

英語でも、「町」town /taʊn/ [tʰaʊ̯n]と「下」down /daʊn/は、やはり(無声と有声で)違いますよ!

まあ、「下町」downtown /daʊn taʊn/という言葉がありますけれども、(無声と有声で)意味が違いますよね。

それでこの拼音が、どうして、じゃあIPA [t]を拼音 dで書くのか、私はちょっと考えたんですよ。

それで思い当たるのが、やはり、ドイツ語「(天体の)月」Mond /moːnt/と書くんですよね。

(Mondと書いて)/moːnt/と発音するんですよ。

それと一月、二月の月、「(期間の)月」Mund /mʊnt/だから、

拼音d と書いているのにIPA /t/と読むじゃないかと!

まあ、ドイツ語から拼音を発想した可能性がありますね。

まあ、たまたま中国語では、ドイツ(Deutschland [ˈdɔʏ̯t͡ʃlant])は、「德國(dé guó)」ですけれども、

「徳の国」と書くんですよ。

それで「德」dé /tɤ³⁵/は二声ですけれども、この音ですよね!

やはり、ちょっと濁っているなぁと(特に(Deutschlandの[ˈdɔ]を「德」dé /tɤ³⁵/で音写しています)!

だけれども、呉語「德」teq4 /təʔ⁵⁵/だと、これは入声ですから、

日本語でも「德」とく toku [tóꜜkù]で止まっていますし。

だから、呉語「德」teq4 /təʔ⁵⁵/なんですよ!

それで閩南語「德」tek /tiɪk̚³²/ですよね。

それで客家語「德」ded5 /tɛt̚¹/、

そして粤語「德」dak1 /tɐk̚⁵/、

日本語「德」とく toku [tóꜜkù]に近い!

それで他の方言では、入声でかつ全て[t]であんまり濁らないですよね。

中古漢語「德」tok /tək̚/なんですよ!

やはり、日本語「德」とく toku [tóꜜkù]に近いわけです!

そして、上古漢語*tɯːɡ, *tˤəkでして、

これはどうも、「直」*dɯɡ, *N-təkと語源が一緒でして、

漢蔵祖語*m-tyak/ŋ ⪤ tik/ŋの特にtikに行くじゃないかということでしたけれども。

ですから、とにかく言いたいのは、IPA [t]は他の方言でも、

やはり、余り濁らないですよね。

だけれども、官話ではd ㄉ [t]を発音するとやはりどうしても、

次の有気音 t ㄊ [tʰ] みたいに有気音ぽくなっちゃうから、

やはり、濁音(有声)にしたとしても、「德」dé /tɤ³⁵/という方がいいんじゃないかということだと思いますけれども。

今出てまいりました次のt ㄊ [tʰ]に行きますけれども。

これ今のd ㄉ [t]の有気音。

無声歯茎破裂音(清齒齦塞音voiceless alveolar plosive, occlusive alvéolaire sourde)の有気音ですから、

舌の先を上の歯の付け根に付けて、それで息を勢いよく吐くわけです。

そして、舌の先を離してあげる。そうすると音が出るじゃないですか。

t [tʰ]、t [tʰ]なんですよね。

先ほどと同じようにb ㄅ [p](無気音)とp ㄆ [pʰ](有気音)のところでいきましたけれども。

音を出さないで息だけ出すといいんですよ。

やってみますよ!

(有気[ʰ])、(有気[ʰ])

つまり、始動だけをして、発声と調音を切ったんです。

それから、音を出します。

(有気[ʰ])、(有気[ʰ])、t [tʰ]、t [tʰ]と出ましたでしょ!

やはり、これも [ʰ]の有気音を合成されていますよね。

それで官話で特別(tèbié)の「特」tè /tʰɤ⁵¹/ですけれども。

これは「特」tè /tʰɤ⁵¹/ですよね。これはすごい強烈ですよ! 去声だし!

そして、客家語「特」tid6 /tʰit̚⁵/も有気でやはり、入声ですね!

そして、閩語「特」te̍k /tiɪk̚⁴/(以降は閩南語を閩語と称します)は無気音でした

粤語「特」dek6 /tɐk̚²/も無気音です!

それで呉語「特」deq5 /d̻əʔ¹²/は面白い事に、先ほどみた有声音[d]で濁っちゃうでしょうと!

濁っている音(有声音)をどうも面白いことに更に無声化しているという([d̻]の無声音は[t]と書かない所が、語源に忠実かもしれません)、

それで中古漢語「特」dok /dək̚/なんですよ。

有声音の [d]できてますから、

それが無声化されているという形で、まぁ、呉語「特」deq5 /d̻əʔ¹²/が一番中古漢語「特」dok /dək̚/に近いなと思ったんですけれども。

上古漢語「特」*dɯːɡ, *[d]ˤəkも有声でして、

まあ、これ私は語源を調べたら、特別の「特」*dɯːɡ, *[d]ˤəkと独立の「獨」*[d]ˤok, *doːɡと意味的に似ていますよ!

ただ(only)という意味ですから。

それで上古漢語「獨」*[d]ˤok, *doːɡでして、

単純の「單」*taːn, *Cə.tˤarですから、

「但」*daːnʔ, *[d]ˤa[n]ʔもそうでして、

語源が同じと考えて、漢蔵祖語「ただ」(d/t)a(n/y)のdanではないかと私は特定しました。

上古漢語「特」*dɯːɡ, *[d]ˤəkの語源をということでありますけれども。

とにかく、有気音は強烈だということでかなりいっぱい発音しましたから、

次に行きますか!

n ㄋ [n] は、

歯茎鼻音(齒齦鼻音voiced alveolar nasal, nasale alvéolaire voisée)[n] か、

硬口蓋鼻音(硬顎鼻音voiced palatal nasal, nasale palatale voisée)[ɲ]でもうちょっと後ろでして、

この [n] の前の方がちょっとグニュンと書いてあります(英語「尊厳」dignity /ˈdɪɡnɪti/、フランス語dignité /di.ɲi.te/ < digne /diɲ/ < ラテン語dignus /ˈdiɡ.nus/ < 印欧祖語dḱ-nós <「取る」deḱ-でも、英語[n]とフランス語[ɲ]で対応します)。

口を軽く開けて、舌の先を歯茎の間か、もう少し後ろの硬口蓋(上あご)に当てまして、

息を鼻から抜きながら、舌先を離して、 口蓋帆(喉の奥)を下げて、息を鼻の方に通してあげます。

n [n]、n [n]

鼻に8割ぐらい、口に2割ぐらい息が流れますけれども。

これは一番有名な「你好」nǐ hǎo /ni²¹⁴⁻³⁵ xɑʊ̯²¹⁴⁻²¹⁽⁴⁾/の「你」nǐ /ni²¹⁴/ですけれどもよく出てきます!

そして、粤語「你好」nei5 hou2 /nei̯¹³ hou̯³⁵/みたいになるでしょ!

まあ、粤語「你好」nei5 hou2 /nei̯¹³ hou̯³⁵/だと、どんどん、どんどん、上げてくるんですよね(¹³と³⁵)!

官話「你好」nǐ hǎo /ni²¹⁴⁻³⁵ xɑʊ̯²¹⁴⁻²¹⁽⁴⁾/は三声、三声で来るから、

「你」nǐ /ni³⁵/で(変調して)上がって、「好」hǎo /xɑʊ̯²¹/で下がってくるんですよね。

粤語「你好」nei5 hou2 /nei̯¹³ hou̯³⁵/の方は、楽しくなってくる!

粤語「你好」nei5 hou2 /nei̯¹³ hou̯³⁵/で気分も上がるという!

まあ、ジョークですけれども(笑)

粤語「你」nei5 /nei̯¹³/は、歯茎鼻音[n]が出ていますよね。

まあ、呉語「你」nyi3 /ɲi²³/の場合は、先に出てきた硬口蓋鼻音[ɲ]ですよ!

もうちょっと([n]よりも)暗い音[ɲ]です。

そして、客家語「你」ngi2 /ɲi¹¹/もそうですね。

まあ、客家語の場合は「你」n2 /n¹¹/だけでして、もう、あなたが[n]だけで短くなっちゃった(笑)

そして、閩南語「你」lí /li⁵³/と「你」ní /nĩ⁵³/の区別がなく、両方がありまして面白いです。

まあ、混乱をしてくるから、今は[n]と[ɲ]できていますから、[l]は発音しませんけれども。両方ありますけれども。

まあ、閩南語「你」lí /li⁵³/と「你」ní /nĩ⁵³/では、lの方が優勢ですね。

中古漢語の「汝」nyoX /ȵɨʌX/から、これは来ているだろうと!

上古漢語「汝」*njaʔ, *naʔから来てますけれども。

漢蔵祖語*na-ŋですね。

また、ビルマ語နင်, nang /nɪ̀ɴ/ですよ!

だから、全部 [n] で来ている!

「あなた」系はみんな[n]で来ていて面白いということでして、

まあ、今はかなり[n]に行きましたけれども。

閩南語で[l]も出てきましたけれども。

やはり、[n]と [l] は近い音なんですよ!

でも、明らかにこれ官話では違う音ですから、

こちらのl ㄌ [l]ですから。

歯茎側面接近音(齒齦邊近音voiced alveolar lateral approximant, spirante latérale alvéolaire voisée)ですから、

側面音(lateral, latérale)なんですよね。

だから、口を軽く開けて、舌の先を上の前歯の歯茎に当てて、

舌の両側から、側面から、息を流します。

いきますよ。

l [l]、l [l]という音なんですよ!

側面接近音は、やはり、普通は有声ですよ!

有声とは、声帯がブルブルと震える音ですけれども、

まあ、無声化された無声側面接近音(清齒齦邊近音voiceless alveolar lateral approximant, spirante latérale alvéolaire sourde)[l̥]も漢蔵語族にありまして、

上古漢語「天」*qʰl'iːn, *l̥ˤi[n]、ビルマ語でも[m], [n], [l]が無声化[m̥], [n̥], [l̥]されましたね。

無声と有声をここで考えてきたいと思うんですけれども。

それはどうやって分かるかと言ったら、

耳を塞いで声帯から骨伝導するブーという音が聞こえるんですよ。

声帯が震えているのが、聞こえるか、聞こえないかで、無声と有声が分かるということで、

これが良く分かりやすいんですけれども。

英語「掃除する」clean /kliːn/ [kʰl̥iːn](「遊ぶ」play /pleɪ/ [pl̥eɪ]、「粘土」clay /kleɪ/ [kl̥eɪ])など、これは無声化された[l̥]ですよということがありますよね!

まあ、(l ㄌ [l]に話を戻しましたら、)官話で言うと音楽(yīnyuè)の「樂(がく)」じゃなくて、

楽しい方、快楽(kuàilè)の「樂(らく)」lè /lɤ⁵¹/の[l]がそうですね。

去声で強烈でから分かりやすいです。

この音でしたり、

呉語「樂」loq5 /lʊʔ¹²/で入声です。

それで閩南語「樂」lo̍k /lɔk̚⁴/、

客家語「樂」log6 /lɔk̚⁵/でちょっと高いです。

そして、粤語「樂」lok6 /lɔːk̚²/は低いです。

全部で入声ですけれども、

まあ、これは、中古漢語「樂」lak /lɑk̚/なんですよ!

「樂」らく[ɾa̠kɯ̟ᵝ]と日本語(呉音、漢音)は、ここから入りましたから(日本語は有声歯茎弾音(齒齦閃音voiced alveolar tap, consonne battue alvéolaire voisée)[ɾ]になってしまいました)!

それで上古漢語「樂」*raːwɢ, *[r]ˤawkでは、[r]になっちゃって、再構されているんですよね。

漢蔵祖語を調べたら、どうもこの語源は、

もしかしたら、「良い/美しい」*l(y)a(k)からきてるじゃないかと!

もう、本当に同じだと!

l(y)a(k)で(y)に括弧が付いているから、la(k)で中古漢語「樂」lak /lɑk̚/と一緒だと!

それでチベット語ལེགས་པོ, legs po /*leks.po/、

ガロ語lakなんか、

中古漢語「樂」lak /lɑk̚/と同じじゃないかと!

まあ、この言葉は「良」*raŋ, *[r]aŋと、こちらも[r]で再構されちゃってるんですけれども、

これは同じ語源とされますけれども、

その対応からしても、どうも中古漢語「樂」lɑk̚と漢蔵祖語*l(y)a(k)だとすれば、

どうして、二つとも、上古漢語「樂」*raːwɢ, *[r]ˤawkと「良」*raŋ, *[r]aŋは、[r] で再構されているのか、

上古漢語の再構は見直すべきじゃないかということも思いました。

何故なら、(漢蔵祖語と中古漢語と)サンドイッチしたら、真ん中(上古漢語)だけ [r]になっているのはちょっと変じゃないかということで、

そういう面からツッコミ入れてるわけですけれども。

もう一つ、官話「六」liù /ljoʊ̯⁵¹/がありますけれども、これも[l]ですけれども。

それで呉語「六」loq5 /lʊʔ¹²/も入声ですよ!

やはり、閩南語「六」la̍k /lak̚⁴/, lio̍k /liɔk̚⁴/、

客家語「六」liug5 /liʊk̚¹/、

粤語「六」luk6 /lʊk̚²/ でして、

中古漢語「六」ljuwk /lɨuk̚/から来ているわけですよ!

まあ、日本語の「六」ろく[ɾo̞kɯ̟ᵝ]もそうですよ! ここから来ています!

それで上古漢語「六」*ruɡ, *k.rukも、やはり、最初の接頭辞*k-を落としたとしても[r]なんですよね。

それでこれは漢蔵祖語*d-k-rukから来てるから、

これは漢蔵祖語で [r] ですよ!

それでチベット語དྲུག, drug /*druk/もそうです!

ビルマ語ခြောက်, hkrauk /t͡ɕʰaʊʔ/ですね。

だから、こちらは漢蔵語は全て[r]なんですよね。

ですから、上古漢語の時点で [r]と [l] は日本人が聞き分けるのが苦手とよく言われますけれども、混ざり合ったと考えられますね(ラテン語からフランス語に行くときも[r]と[l]の混同が起きました)。

でも、まあ今は漢語では、」l [l]でありましたということでして、次に行ってみたいと思うんですよ。

舌根音(radical, radicale)は、喉の奥から出す音ですけれども。

g ㄍ [k]ですけれども。

無声軟口蓋破裂音(清軟顎塞音voiceless velar plosive, occlusive vélaire sourde) ですから、無気音ですよね!しかも!

ですから、口を軽く開けて、舌の後ろを持ち上げて、上顎(軟口蓋)に触れて、急に離して、息をそっと流します。

そっと、無気音ですから。

g [k]、g [k]となりますね!

これはIPAの[k]と拼音のgがずれていまして、

拼音に影響されて、日本語のガ[ɡa̠]みたいに濁音で発音されてしまい、

有声軟口蓋破裂音(濁軟顎塞音voiced velar plosive, occlusive vélaire voisée)[ɡ]みたいになってしまっていますけれども、

本来はg [k]は無声ですよね!

日本語の「金」きん[kíꜜǹ]と「銀」ぎん[ɡʲĩɴ]、

「金(こがね)」と「銀(しろがね)」で違う言葉ですよね!

だから、日本人は有声・無声の切り替えは得意かもしれないですが、

中国語では、有声・無声の対立がないんですよね。

だから、まあ、いいのかなということでして、

そして、官話で「高」gāo /kɑʊ̯⁵⁵/ですけれども、

それで呉語「高」kau1 /kɔ⁵³/は、やはりあまり濁らないです。

そして、閩南語「高」kau /kau⁴⁴/, ko /ko⁴⁴/、

そして、客家語「高」gau1 /kau⁴⁴/で閩南語「高」kau /kau⁴⁴/と同じだ!

粤語「高」gou1 /kou̯⁵⁵/は、中古漢語「高」kaw /kɑu/から来てるから、

ここから日本語の「高」かう[ka̠ɯ̟ᵝ] > こう[ko̞ː]も来てますよね。

それでやはり、上古漢語「高」*kaːw, *Cə.[k]ˤawですけれども。

やはり、これは漢蔵祖語「頭」*m/s-gawから来ていて、gawですけれども、(上古漢語から有声ではありません)。

この場合は、チベット語「頭」མགོ, mgo /mɡo/でして、m- の接頭辞がついてますけれども、[go]でありますけれども。

そういうわけでk ㄎ [kʰ]に行きますよ!

無声軟口蓋破裂音(清軟顎塞音voiceless velar plosive, occlusive vélaire sourde)、今のg ㄍ [k]の有気音バージョンでして、

口をやはり軽く開けて、舌の後ろを持ち上げて、上顎(軟口蓋)に触れて、急に離して、 息を勢いよく噴き出しますということです。

k [kʰ]、k [kʰ]ですよね!

結構、強烈!

喉を塞いでいる舌が開くように息がパーンと出てくるということです。

英語でも[kʰ]ありますよ!

英語「接吻」kiss [kʰɪs]など、「キス」ではなく、熱烈な感じがしますけれども(笑)

これは有気音 [kʰ]ですよ!

これで漢語で言うと官話「客」kè /kʰɤ⁵¹/ですね!

結構、強烈ですよね!去声ですし!

呉語「客」khaq4 /kʰa̱ʔ⁵⁵/、同じやはり有気音 [kʰ]です。

しかも、これは入声ですがパーンと止まり、

それで閩南語「客」kheh /kʰeʔ³²/、

客家語「客」kêd5 /kʰɛt̚¹/ですけれども、

客家語「客」hag5 /hak̚¹/と粤語「客」haak3 /häːk̚³/は、

(客家語は)今みたいに発音もされましたが、粤語の方は特に[h]しかないんですよね。客家語「客」hag5 /hak̚¹/も [h] もあるんですよね。

客家語と言っている客家人たちの「客」hag5 /hak̚¹/という音ですよ。

粤語「客」haak3 /häːk̚³/は、もうちょっと高いです!三声だから!

これで中古漢語「客」khæk /kʰˠæk̚/だと、どうもこれは[kʰ]だから変わらないんですよ。

その今見ている[kʰ]ですよ!

だから、中古漢語「客」khæk /kʰˠæk̚/ですよ!

まあ、日本語の「客」[kʲa̠kɯ̟ᵝ]も、ここから来ていますけれども。

上古漢語「客」*kʰraːɡ, *kʰˤrakも、変わらない!

殆ど[r] が入るけれども。

それでこれ見ますと、語源がどうも、

漢蔵祖語「会う」*ŋra-k/ŋから行っているんじゃないかと!

「迎」*ŋaŋ, *ŋaŋとも、同じ語源だということで「迎」とか、「客」とか、これは「会う」から来ているじゃないかということで特定して、

これはKF-Scholaでやりましたよね!

「各」「格」をしているときに出てきた覚えがありますけれども。

じゃあ、今度、h ㄏ [x]いきますよ!

h ㄏ [x]

無声軟口蓋摩擦音(清軟顎擦音voiceless velar fricative, fricative vélaire sourde)ですから、摩擦のシューが聞こえます。

シューというよりかは、シュワ~ッ、シュワ~ッという(暗い)音が(聞こえます)!

舌の後ろを上顎(軟口蓋)に近づけて、通路を狭めるわけですよ。その間に息を流すから、摩擦が奥の方から、シュワ~ッと出てくるわけです。

やってみますね。h [x]、h [x]

これはドイツ語「小川さん」、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Bach /bax/)、

それと接続詞「だから」doch /dɔx/ですね。

これもよくドイツ語で使う言葉です。

これもIPAの無声声門摩擦音(清聲門擦音voiceless glottal fricative, fricative glottale sourde)[h]と拼音のhでずれていますよね。

今お話したみたいにドイツ語からやはり発想された可能性があるhと[x]が結びつきます。

それで拼音に影響されて、日本語のハ行[h]みたいに、更に奥の声門から発音されてしまいがちなんですけれども、

本来はもう少し前の軟口蓋からです。

日本語の「は」[ha]は、無声声門摩擦音(清聲門擦音voiceless glottal fricative, fricative glottale sourde)[h]ですけれども、

バッハの場合はBach /bax/、今見ているこの[x]はBach /bax/でして(ちなみにスイスのドイツ語は奥でBach /baχ/でして)、

日本語「は」[ha]の[h]とは、ちょっと違います!

ドイツ語[x]はちょっと前でして、日本語の方[h]は奥ということでして、

まあ、中国語では対立がないから、

実際、官話の今見ている[x]は、別の方言では[h]なんですよ。

かなり近いところでありますけれども。

例えば、中国語で「飲む」という単語は、特に北方の官話で「喝」hē /xɤ⁵⁵/です。

heの一声で結構、強烈です(漢蔵祖語「飲」*hwap、土家語xu²¹)。

それで粤語「喝」hot3 /hɔːt̚³/(閩南語「喝」hoah /huaʔ³²/, hat /hat̚³²/)でもっと多くから出ます。

粤語ではこれ基本的にこの「喝」hot3 /hɔːt̚³/は使わなくて、

飲茶の「飲」、我々が使ってる「飲」jam2 /jɐm³⁵/(漢蔵祖語「飲/食」ʔam、カレン祖語「食」Ɂamᴮ)の方を使いますけれども。

笑い声の「ハッハッハ」を中国語で書くとき、

「哈」hā /xä⁵⁵/でこの[x]で書きます!

だけれども、粤語「哈」haa1 /häː⁵⁵/(閩南語「哈」hah /haʔ³²/)ではもっと奥です。

それで「嘿」hēi /xeɪ̯⁵⁵/と書くのもあるんですよね。

粤語「嘿」hei1 /hei̯⁵⁵/(閩南語「嘿」hek /hiɪk̚³²/)ですけれども、

「ヘッヘッヘ」みたいな感じでして、もう少したくらみを含んだ笑いですね。

笑いを書くときには、この二つの文字は使えますということで[x]が出てきましたけれども([x]と[h]の対応は、英語hot /hɒt/ /hɑt/ < 中英語hot, hat < 古英語 hāt /xɑːt/ [hɑːt] < ゲルマン祖語haitaz /ˈxɑi̯.tɑz/ < 印欧祖語kayd- <「熱」*kay-でも見られます。)。

こちらへ行きますよ!

舌面音(dorsal, dorsale)になるわけです。

これは舌の上を使う音。

舌面ですから、舌の面ですよ!

j ㄐ [t͡ɕ]ですけれども、

無声歯茎硬口蓋破擦音(清齦顎塞擦音voiceless alveolo-palatal affricate, affriquée alvéolo-palatale sourde)の無気音でして、

破裂音 [t]+摩擦音 [ɕ]の二重調音ですから、二つがくっついている!

それで一つの音だから、

IPAでハイフンが付いていますけれども[t͡ɕ]。

まあ、略記では書かない場合もあるけれども一つの音です!

舌の先が下の歯茎に付いて、 そこで今やってみますよ。

舌の端を盛り上げて、歯茎から硬口蓋の閉鎖を作って、

ゆっくり開放した隙間から息が流れて、摩擦を生むというということですけれどもやってみますよ。

j [t͡ɕ]、j [t͡ɕ]ですね。

これもこIPAの[t͡ɕ]と拼音のjがずれているんですよ!

それで拼音に影響されて、日本語の「ジ」[d͡ʑi]や「ジャ」[d͡ʑa̠]みたいに濁音で発音されてしまいがちですけれども、

本来は無声なんですよね。 濁らない!

それでどちらかと言えば、日本語「おもちゃ」[o̞mo̞t͡ɕa̠]の「ちゃ」[t͡ɕa̠]、「お茶」[o̞t͡ɕa̠]の「ちゃ」[t͡ɕa̠]の音ですね。

そちらは近いかな。IPA上は一緒です!

息を抑えて「チ」[t͡ɕi]みたいに発音をするという方が、IPA上は同じで正しいんですけれども。

日本語「茶」cha [t͡ɕa]は、中国語「茶」chá /ʈ͡ʂʰä³⁵/と違います。

中国語は後で出てきますch ㄔ [ʈ͡ʂʰ]ですから、

反り舌の音でしかも有気音になってますけれども。

まあ、日本人は「茶」cha [t͡ɕa]、お茶ですね!

それで 官話「家」jiā /t͡ɕjä⁵⁵/ですね。

でも、呉語「家」ka1 /ka̱⁵³/なんですよ!

[k]になっちゃって、発音すると混乱してくるから、止めますけれども。

閩南語「家」ke /ke⁴⁴/も[k]、客家語「家」ga1 /ka⁴⁴/も[k]、粤語「家」gaa1 /käː⁵⁵/も[k]、中古漢語「家」kæ /kˠa/も[k]、

ちょっとこれは軟口蓋化(軟腭化velarized, vélarisé)[ˠ]はしてはしてますけれども、

上古漢語「家」*kraː, *kˤraは、咽頭化(喉壁化pharyngealized, pharyngalisé)[ˤ]してますけれども、

それで私は語源を調べましたら、漢蔵祖語まで行くと*k-y(i/u)mから来ている可能性がありまして、

前にこれ出てまいりましたね。

六書の「転注」の所で宮殿の「宮」*kuŋ, *k(r)uŋと同じ語源が可能性があるんじゃないかと思いました!

何で北方官話だけ、この音[t͡ɕ]になっちゃっているのかと!?

[t͡ɕ]、[t͡ɕ]、

最初は清音(無声)で次は濁音(有声)で、まあ一般的に言われてるように発音しましたけれども。

何でかと言いましたら、清代中期に(尖音団音の混同で)音が変わりまして(《圓音正考》、王力《漢語語音史》394頁、唐作藩《漢語語音史教程》161頁、李新魁 《普通話話音発展述略》217頁)、

呉語の新派でも、やはり、「家」jia1 /t͡ɕia̱⁵³/になったんですよ。

官話「家」jiā /t͡ɕjä⁵⁵/にやはり影響されてだと思うんですけれども。

昔は「北京」Peking「南京」Nankingでkでしたのに、今は「北京」Beijing「南京」Nanjingになっちゃってるっていう(「北京」官話Běijīng /peɪ̯²¹⁴⁻²¹¹ t͡ɕiŋ⁵⁵/、粤語bak1 ging1 /pɐk̚⁵ kɪŋ⁵⁵/、「南京」官話Nánjīng /nän³⁵ t͡ɕiŋ⁵⁵/、粤語naam4 ging1 /näːm²¹ kɪŋ⁵⁵/)。

「京」jīng /t͡ɕiŋ⁵⁵/(粤語ging1 /kɪŋ⁵⁵/)にも関係してますけれども、

やはり、[k]の音が清代中期に[t͡ɕ]に変わった!

更に拼音に引きずられて、濁音化(有声化)[d͡ʑ]されて(しかも破裂音が弱められて)いますが、

まあ、j [t͡ɕ]は元は無声音ですよ!

「靜」jìng /t͡ɕiŋ⁵¹/において、有声音[d͡ʑiŋ⁵¹]を本来の無声音[t͡ɕiŋ⁵¹]で(優しく破裂させて)発音する人もいます!

でも、それは中国語の上では、無声/有声の区別がないから、

どちらもちゃんと聞いてくれると思いますけれども(実際にj [t͡ɕ]という音素が、官話において発音されるとき、音価は有声音[d͡ʑ]と無声音[t͡ɕ]があり、人により、また時により、両方で発音されています)。

そういうことで、それよりも大事なのは、

やはり、q ㄑ [t͡ɕʰ]とやはり、j ㄐ [t͡ɕ]が混ざっちゃうといけないということでして、

今は私は「靜」jìng /t͡ɕiŋ⁵¹/ [d͡ʑiŋ⁵¹]でしたが、「靜」jìng /t͡ɕiŋ⁵¹/ [t͡ɕiŋ⁵¹]と発音すると、

やはり、ちょっと有気音[t͡ɕʰ]になっちゃう!

その息がプンと出ちゃうんですよ!

やはり、「靜」jìng /t͡ɕiŋ⁵¹/ [d͡ɕiŋ⁵¹]と(濁音で)言うと抑えられるという理由はあると思います。

それでq ㄑ [t͡ɕʰ]は、

今お話ししました無声歯茎硬口蓋破擦音(清齦顎塞擦音voiceless alveolo-palatal affricate, affriquée alvéolo-palatale sourde)の有気音ですから、

だから、こちらはq [t͡ɕʰ]と発音するわけですよ!

結構、強烈!(息が)プシューと出ます!

こちらはj [t͡ɕ]と同じ調音点だけれども、息を溜めてから、息を勢いよく吐きます。

いきますよ!

q [t͡ɕʰ]、q [t͡ɕʰ]

有気音[ʰ]が入っている!

j [t͡ɕ] に対してq [t͡ɕʰ] は、ものすごく粘りがある音だとわたくしは思いますよ!

一般的に有気音と無気音の違いは、

j [t͡ɕ] は瞬間に発音されて終わるのに対して、

q [t͡ɕʰ]は行くぞという漢字でして、ちょっとで思わせぶりの感じがしてから、

一気に流れ出すように破裂音が聞こえてきて、

もちろん、摩擦音も一緒に聴こえます。二重調音だからです。

それで母音が付いてきますね。

先ほどと同じでお話をしましたけれども、

有気音になるとちょっとタイムラグがありますから、

それで(無気音と)聞き分けられます。

現代チベット語のラサ方言ཇ, ja /*d͡ʑa/ > /t͡ɕʰa˩˧/では、お茶でずっと来てますけれども、

これはやはり、本当は古典チベット語[d͡ʑ]でしたが、ラサ方言[t͡ɕʰ]みたいな(清音化(無声化)かつ有気化(帯気化)した)音になっていますよ!

まあ、声調を入れると/t͡ɕʰa˩˧/みたいになってますね。

それでこれも、IPAの[t͡ɕʰ]と拼音のqがずれているんですよ!

IPAの[q]もやはりあるんですよ!

無声口蓋垂破裂音(清小舌塞音voiceless uvular plosive, occlusive uvulaire sourde)ですから、

もっと奥の喉チンコ(口蓋垂)の所ですから、アラビア語にはこれがあるんですよ!

ق(قَاف qāf /qaːf/)は、もう口の奥の方の音ですから、取り違えることはないかなということではありますけれども。

q でくると(官話で)思い浮かぶのは、

「期」qī /t͡ɕʰi⁵⁵/ですね!

他の方言では、呉語「期」ji1 /t͡ɕi⁵³/では、(官話の拼音)j と同じ無気音[t͡ɕ]でもあるし、

しかも、呉語「期」jji3 /d̥͡ʑi²³/は[d̥͡ʑ]みたいな濁った音とか、

閩南語「期」kî /ki²⁴/は[k]だったり、

客家語「期」ki2 /kʰi¹¹/は有気音[kʰ]だったり、

粤語「期」kei4 /kʰei̯²¹/もそうですよね。

まあ、混乱するから、発音しませんけれども、今これはq [t͡ɕʰ]をやってますからね。

かなり音が違いますよ!

これで中古漢語「期」gi /ɡɨ/で濁音なんですよね。

やはり、有声音[ɡ]、

上古漢語「期」*ɡɯ, *ɡəですから、

これも、私が語源を調べると漢蔵祖語「時期/時節」*k(y/r)iːnから来ているかなということで、

語源を特定しましたけれども(彝緬祖語*kyiːn¹ ⪤ kriːn¹にも関係があります)。

まあ、客家語ki2 /kʰi¹¹/とか、粤語kei4 /kʰei̯²¹/では、有気音[kʰ]でありまして、

やはり、先ほど[k]が[t͡ɕ]になっちゃってると同じで、

やはり、有気音[kʰ]が[t͡ɕʰ]ものは、

客家語ki2 /kʰi¹¹/とか、粤語kei4 /kʰei̯²¹/ですけれども、

これが(官話)「期」qī /t͡ɕʰi⁵⁵/(、また晋語「期」qī /t͡ɕʰi¹¹/)になっているのは、対応した関係があるんですよね。

有気音でも、無気音でも、同じ変化の仕方が、やはり、これは清代の中頃だろうと、先ほど同じ理屈です。

そして、「七」もそうなんですよ!

これは同じだ!全く官話「七」qī /t͡ɕʰi⁵⁵/と発音され、これはびっくりした!

呉語「七」qiq4 /t͡ɕʰi̯ɪʔ⁵⁵/でも入声ではあるけれども同じ!

閩南語「七」chhit /t͡ɕʰit̚³²/でも同じ!

そして、客家語「七」qid5 /t͡ɕʰit̚¹/でも同じ!

そして、粤語「七」cat1 /t͡sʰɐt̚⁵/ では、ちょっと違う[t͡sʰ]だから、

[t͡s]になってしまい、官話ではz ㄗ [t͡s]であとで出てきますから、

まあ、混乱させるから発音しませんけれども。

まあ、粤語「七」cat1 /t͡sʰɐt̚⁵/ だけは、ちょっと中古漢語「七」tshit /t͡sʰiɪt̚/に近いのかな。

上古漢語「七」*[tsʰ]i[t], *sn̥ʰidもそうです!

それで上古漢語「七」も今お話した[t͡sʰ]の方したけれども。ま

まあ、発音しておきましたら、中古漢語「七」tshit /t͡sʰiɪt̚/も、「七」*[tsʰ]i[t], *sn̥ʰidもですから、

これは漢蔵祖語*s-ni-sから来ていて、

先ほどの「期」とは、中古漢語gi /ɡɨ/の[g]から来ていました。

それで近古漢語では[k]でして、

北方の現代漢語(官話や晋語)では、この[t͡ɕʰ]に変わりましたけれども。

上古漢語「七」*[tsʰ]i[t], *sn̥ʰidの場合は、Baxter-Sagartは[sn̥ʰ]と漢蔵祖語*s-ni-sに近い形にしておりますが、

もう中古漢語漢語からずっと[t͡ɕʰ]で来ておりますけれども。

今、分かったことは、同じ拼音q [t͡ɕʰ]でも、由来が異なる音が合流して、混ざって入ったことです。

「期」qī /t͡ɕʰi⁵⁵/と「七」qī /t͡ɕʰi⁵⁵/は、両方とも今は官話で同じ発音になってしまってるけれども、

元々の由来は違ったいうことが面白いことであると思います。

ということで、次に行きますよ!

x ㄒ [ɕ] は今の調音は似ているわけですよ! x ㄒ [ɕ]ですけれども、

これは無声歯茎硬口蓋摩擦音(清齦顎塞擦音voiceless alveolo-palatal fricative, fricative alvéolo-palatale sourde)でして、

舌の先が下の歯茎に付きながら、舌の全体を上顎(硬口蓋)に近づけて、そして、息を流して摩擦させますけれども。

つまり、通路を狭めて、舌の上をシュッと通るようにやってみますね。

x [ɕ]、x [ɕ]

これもやはり、IPAの[ɕ]と拼音のxがずれていますよね。

まあ、IPAの[ɕ]、こんなグニョーンなんて言う文字は書きにくいから、拼音xになってますよね。

まあ、IPAにも[x]があるんですよ! 先ほど拼音hで紛らわしいですけれども。でも、取り違えることはないと思います。

先ほどのh ㄏ [x]、無声軟口蓋摩擦音(清軟顎擦音voiceless velar fricative, fricative vélaire sourde)と音が全然違います。

ここで官話「夕」xī /ɕi⁵⁵/です。

それで閩南語「夕」si̍t /ɕit̚²⁴/はこれ(子音が)一緒です。入声ではありますが、

客家語「夕」xib6 /ɕip̚⁵/で同じ音ですね!

それで粤語「夕」zik6 /t͡sɪk̚²/はやはり、違っちゃって、[t͡s]になっているんですよね。

何だか先ほどと似ているなと!

これもこちらz ㄗ [t͡s]に行っちゃっていますけれども。

音韻対応の関係があるということですから。

それで呉語「夕」xxiq5 /ʑ̻i̯ɪʔ¹²/は、濁音(有声)の[ʑ̻]になっていますが、

しかし、濁音がちょっと弱くなっちゃって、

だけれども、中古漢語「夕」zjek /ziᴇk̚/ですから、 呉語「夕」xxiq5 /ʑ̻i̯ɪʔ¹²/はやはり、中古漢語に近いな!

先ほどにも(無声化された中古漢語の音が呉語に)ありましたね。

それで見ると日本語は「夕」(漢音)せき[se̞kʲi]と読みますね。

中古漢語「夕」zjek /ziᴇk̚/から来ているでしょうと!

かなり、音が違ってしまっていますけれども(呉音じゃく[d͡ʑa̠kɯ̟ᵝ]の方が違いです)。

上古漢語「夕」*ljaːɡ, *s-ɢAkですが、

漢蔵祖語「一日」*s-r(y)akから来てだろうと!

これは分かってまして、チベット語ཞག zhag /ɕaɡ/は全く同じですよ。

ビルマ語ရက် rak /jɛʔ/は、結構違っちゃってるけれども。

もしくは漢蔵祖語「夜」ya-n(クキ=チン語yaan、タンクル語*ja)から来ているじゃないかということでありますけれども。

上古漢語「夕」*ljaːɡ, *s-ɢAkは「夜」*laːɡs, *[ɢ]Ak-sとも語根が似ているということも指摘されていますけれども。

それでもう一つ、これで思いつくのは、

全く同じやはり発音「西」xī /ɕi⁵⁵/ですが、これもxī /ɕi⁵⁵/なんですよ。

それでこれは呉語「西」xi1 /ɕi⁵³/でも、声調(厳密に言えば、声調は平声でおなじですが調値)は違うけど同じ(発音)ですね。

閩南語は[s]と同じ[ɕ]もあるんですよ!

閩南語「西」sai /sai⁴⁴/, se /se⁴⁴/, si /ɕi⁴⁴/は、三通りくらい読み方があって、

もう混乱してきますから、まあ、とにかく、閩南語「西」si /ɕi⁴⁴/は同じものもありますが、

閩南語「西」sai /sai⁴⁴/, se /se⁴⁴/と読んじゃう場合もあります。

客家語「西」si1 /ɕi⁴⁴/と同じです。

これは全部同じ子音[ɕ]を持っています。

そして、粤語「西」sai1 /sɐi̯⁵⁵/は、先ほどお話した[s]でこちらに入っちゃってる!

(官話)q ㄑ [t͡ɕʰ]が、(粤語で官話の拼音に当てれば、)c ㄘ [t͡sʰ]になっちゃっています。

q ㄑ [t͡ɕʰ]がc ㄘ [t͡sʰ]、j ㄐ [t͡ɕ]がz ㄗ [t͡s]、実はx ㄒ [ɕ]が s ㄙ [s]に行くというのは、

やはり、音韻の対応関係があるなとか、(中古漢語からそれぞれの現代漢語の方言への)変わり方が似ているということを感じながら見ているんですけれども。

中古漢語「西」sej /sei/はやはり、[s]なんですよね!s ㄙ [s]なんですよね!

もう、だから、(逆に言えば、官話の音は) [s]から、殆ど来ているんですよね。

まあ、発音をしておくと、s ㄙ [s]、

こちらはx ㄒ [ɕ]ということでありますけれども、

上古漢語「西」*sɯːl, *s-nˤərでも、これやりましたよ!

語源も、六書の「仮借」の回で「西」!

これで漢蔵祖語*s-n(i/u)(ː)p/m ⪤ *r/s-nyap/mでしょ!

これから来てるということでありましたけれども。

それでこの x [ɕ]も、やはり、いくつかの元この音[ɕ]と同じだった所とこの元は[s]から来たものが、

官話の中で混ざっちゃっていると!

「夕」と「西」は同じ発音xī /ɕi⁵⁵/になったんですよ!

それで区別つかない!

同じ声調も同じでしたが、起源は違ったということ!

これすごく大事なことですね。

音韻、もともとあった言語の音、違う音のソースが混ざって、合流しちゃって、

今h同じような音になっちゃってるということ、

官話(普通話)とは別の言語では違いますね。粤語(広東語)では違う方に入ってましたね。

これでそれもすごく規則的だったという変化してたという面白いことなんですけれども。

これも大事な音韻学上のルールなんですけれども。

まあ、zh ㄓ [ʈ͡ʂ]!これはなかなか面白い!

これが官話、北の特徴的な音が、3つ、4つか、r ㄖ [ʐ]も含めれば、続いてまいりますけれども、

捲舌音(retroflex, rétroflexe)は反り舌の音、

舌の先を後ろに巻き上げて、防波堤みたいになるんですよ!

口の中でボーンと真ん中のところに!

結構、奥の方ですけれども、

そこに空気が当たる!

それで乗り越えて出てくるんですよ!

ですから、 IPAの記号を見ると、これらの3つ、更に言うと4つ、ここまで、

これらを見ると下側がグルーンと、皆、何かついているんですよ。

なかなか面白いです!

この舌の形を直感的に与えています。

舌の形を下に与えるという文字がありますけれども。

zh ㄓ [ʈ͡ʂ]に行きますよ!

zh ㄓ [ʈ͡ʂ]という音で無声そり舌破擦音(清捲舌塞擦音voiceless retroflex affricate, affriquée rétroflexe sourde)の無気音でして、

どうしても、ちょっと、有声ぽくなっちゃうんですけれども。

破裂音 [ʈ]+摩擦音 [ʂ]の二重調音ですから、

やはり、IPAでハイフンでつなげていますよね [ʈ͡ʂ]。

巻き舌というよりも、これは舌を後ろに反らせて、

舌の先を上顎(硬口蓋)に軽く触れさせて、

この場合は、無気音ですから、息をそっと流して、摩擦を生むわけですよ。

口の中で共鳴して、全体が振動しています。

ですから、やってみますよ。

zh [ʈ͡ʂ]、zh [ʈ͡ʂ]なんですね。

これも、 IPAの[ʈ͡ʂ]で[t]のクニューン[ʈ]とか、[s]のクニューン[ʂ]とか、これは両方とも、舌が後ろに(反らせて)来ているということですけれども、

それらはあんまりフォントで書きにくいから、拼音のzhになっちゃっているけれども、

拼音に影響されて、日本語の「ヂ」[d͡ʑi]みたいに濁音で(しかも破裂音はj [t͡ɕ]と同じく殆ど聞こえないほどかなり弱めに)発音されてしまいがちですけれども、

本来はこれは無声なんですよね!

どうしても、やはり中国人でも、zh [ʈ͡ʂ]を聞くと、

やはり、ちょっと、有声ぽくなっちゃう[ɖ͡ʐ]。

でも、先ほど(本来の無声音j [t͡ɕ]と有声音[d͡ʑ]で)お話したようにちょっと耳を塞いでやってみますよ。

有声[d͡ʑ]から少しずつ声帯の震えを取っていけばいいんですよ。

無声j [t͡ɕ]に近づきます。かなり、無声に近づきましたということで、

耳栓をして、それでブルブルという音が出ないようにしなくてはならないということで、ちょっと面白い実験をして出してみて、

それでやってみてもいいんですよ!

北京方言は実際には、舌は反らずに後ろに行くだけなんですよね。

「捲舌音」の巻き舌という名称は、やはりあんまりよくないんじゃないかとも、よく言われておりますけれども。

やはり、例えば、この zhでよく使う言葉として言えば、

官話「知」zhī /ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵/はzhiですから、しかも一声ですから、出しやすいですけれども。

これ、「知らない」と中国語でいうときに「不知道」bù zhīdào /pu⁵¹ ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵ tɑʊ̯⁵¹/ですね。

「知らない」。

だけれども、中国人が実際に発音するとき、「不知道」bù zhīdào /pu⁵¹ ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵ tɑʊ̯⁵¹/とは言わないですよ!

「不知道」/pu⁵¹ ʐ̩⁵⁵ d̥ɑʊ̯²/になっちゃいますよ!

まあ、日本語で言うと「知りません」が「知らん」みたいな。

もう、音が流れちゃうんですけれども。

「知」zhī /ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵/が流れちゃうんですけれども。

まあ、三文字では、今みたいに真ん中がよく兒化ér /ˀɤɻ³⁵/と言いますね。

er /ɻ ~ ʐ̩/になっちゃう!

だから、「不知道」bù zhīdào /pu⁵¹ ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵ tɑʊ̯⁵¹/ →/pu⁵¹ ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵ d̥ɑʊ̯²/ → /pu⁵¹ ʐ̩⁵⁵ d̥ɑʊ̯²/とer /ɻ ~ ʐ̩/に近い音になっていますよ!

これで面白いのは、このzhiで「之」zhī /ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵/という字がありますよね。

「王羲之」wáng xī zhī /wɑŋ³⁵ ɕi⁵⁵ ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵/という書家がおりますけれども。

その「羲之」xī zhī /i⁵⁵ ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵/の「之」zhī /ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵/は面白い!

「之」zhī /ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵/は何でおもしろいかというと、官話「王羲之」wáng xī zhī /wɑŋ³⁵ ɕi⁵⁵ ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵/でして、先ほどのx [ɕ] でしょ!それで「之」zhī /ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵/が来るということです!

「知」zhī /ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵/と声調も同じですよね。

それで閩南語「王羲之」ông hi chi /ɔŋ²⁴ hi⁴⁴ t͡ɕi⁴⁴/と同じく、まあ、中古漢語「王羲之」hjwang xje tsyi  /ɦʉɐŋ hˠiᴇ t͡ɕɨ/でも、

このzhの部分で最後の「王羲之」hjwang xje tsyi  /ɦʉɐŋ hˠiᴇ t͡ɕɨ/の「之」tsyi  /t͡ɕɨ/の部分ですよ。

その部分は、閩南語「之」chi /t͡ɕi⁴⁴/でも、官話の拼音j [t͡ɕ]に値しちゃう。

先ほどやりましたj [t͡ɕ]、閩南語「之」chi /t͡ɕi⁴⁴/は少し高いところですよ。

中古漢語も[t͡ɕ]でしたけれども、まあ、日本語でしたら「之」し[ɕi]ですね。

官話になっちゃうとやはりこれは巻き舌zh [ʈ͡ʂ]になっている!

面白いということなんですけれども。

まあ、今日はバッハも出てきて、王羲之も出てきて、文化的でありますけれども。

「王羲之」wáng xī zhī /wɑŋ³⁵ ɕi⁵⁵ ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵/は、やはり、練習にはいいと思いますよ!

「王羲之」wáng xī zhī /wɑŋ³⁵ ɕi⁵⁵ ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵/で反り舌[ʈ͡ʂ]は結構、北方官話の特色があって、やはり大事な音ですよね。

だから、すごい練習になります。

特に「羲之」xī zhī /ɕi⁵⁵ ʈ͡ʂʐ̩⁵⁵/ということで面白い!

王羲之の名前も、王羲之の法帖を私も臨書しますけれども。

彼の書も勉強になるけれども、名前も勉強になるということで王羲之、ジョークですけれども(笑)

これもありましたということで、

次のch ㄔ [ʈ͡ʂʰ]はやはり、セットですよ!

ch ㄔ [ʈ͡ʂʰ]は(zh ㄓ [ʈ͡ʂ]の)有気音ですから、 今の zh ㄓ [ʈ͡ʂ]に対して、ch ㄔ [ʈ͡ʂʰ]でプシューという音[ʰ]が入っています。

舌を後ろに反らせて、舌の先を上顎(軟口蓋)に軽く触れさせて、息を勢いよく出して、摩擦をさせて流しますよね。

だから、ch [ʈ͡ʂʰ]、ch [ʈ͡ʂʰ]、ch [ʈ͡ʂʰ]ということでして、

結構これは連続するのは、結構大変ですよ!コンプレッサー!もう息を溜めておいて、口の中で圧力が高まってから、

一気に堤防が決壊するよう、息がプシューと流れ出ますから、

息がビームのように出て来て、有気音になります!

ですから、これもやはり、IPA [ʈ͡ʂʰ]と拼音chがずれていますけれども。

拼音に影響されて、日本語の「チ」[t͡ɕi]みたいに無気音で弱いでしょう!

どちらかと言ったら、[t͡ɕ]はj [t͡ɕ]の音ですから、

閩南語(や中古漢語)は、先ほどの「王羲之」ông hi chi /ɔŋ²⁴ hi⁴⁴ t͡ɕi⁴⁴/(hjwang xje tsyi  /ɦʉɐŋ hˠiᴇ t͡ɕɨ/)もそうですけれども、

反り舌ではなく、 [t͡ɕ]の音ですから。

しかも、ch [ʈ͡ʂʰ]は、反り舌だった上に更に有気音で滅茶苦茶、強烈な音でして、

一番、この音ch [ʈ͡ʂʰ]がきついじゃないかな。

だから、やはり北方官話はすごい強烈に聞こえます。

中国語の中でも強い音ですよね。

ch [ʈ͡ʂʰ]、ch [ʈ͡ʂʰ]は強い!

それでこのch [ʈ͡ʂʰ]で思い浮かぶのは、

官話「插」chā /ʈ͡ʂʰä⁵⁵/は、cha の一声ですね。

やはり、反り舌は、北方の官話の専売特許でして、

他の方言は全て、反り舌、自体はなくて、

次に出てまいります、拼音c [t͡sʰ]になっていますよ。

今は混ざりますから(、発音いたしませんが)。

しかも、呉語「插」tshaq4 /t͡sʰa̱ʔ⁵⁵/でも、閩南語「插」tshah /t͡sʰaʔ³²/, tshap /t͡sʰap̚³²/でも、客語「插」cab5 /t͡sʰap̚¹/でも、粤語「插」caap3 /t͡sʰäːp̚³/でも、入声です。

全部そうだ同じだ!

入声でありますけれども。

中古漢語「插」tsrhɛp /t͡ʃʰˠɛp̚/でして、

日本語(呉音しょう[ɕo̞ː]、漢音)そう[so̞ː]ですよね。

中古漢語「插」tsrhɛp /t͡ʃʰˠɛp̚/から来ているんです。

上古漢語「插」*sʰreːb, *mə-[tsʰ]opになっちゃうと、

やはり、どちらにしても[sʰ]/[t͡s]の音ですね。

だけれども、全部、他の言語もそうですが、

逆に言えば、裏返せば、北方の官話だけが、この何故か、この巻き舌の音できて(入声を消失していることです)。

私が語源を調べましたら、漢蔵祖語祖語「つんざく/突き刺す」*tsow-t ⪤ *m-(d)z(y)uːk ⪤ *dz(y)utからずっと継いでいる。

[t͡s]だということでして、 たぶん、これが語源ではないかと、私は特定しまして、

ビルマ語「棘」ဆူး hcu: /sʰú/、チベット語「插」འཛུད 'dzud /*ⁿd͡zut/でしたり、

上古漢語「鑿」*zoːwɢ, *[dz]ˤawkの語源も一緒じゃないかということでありますけれども。

それから、ch /ʈ͡ʂʰ/で言うと、官話「出」chū /ʈ͡ʂʰu⁵⁵/ですよね。

それで呉語「出」tsheq4 /t͡sʰəʔ⁵⁵/も、閩南語「出」chhut /t͡sʰut̚³²/、客家語「出」cud5 /t͡sʰut̚¹/も、[t͡sʰ]でして、発音をしません。混乱をさせたくないからです。

粤語「出」ceot1 /t͡ʃʰɵt̚⁵/だけは、どちらかというと擦れた音[t͡ʃʰ]になっていまして、

中古漢語「出」tsyhwit /t͡ɕʰiuɪt̚/,tsyhwijH /t͡ɕʰiuɪH/も、どちらかと言えば、先ほど出てきたq /t͡ɕʰ/の音ですね。

やはり、これも、北方の官話「出」chū /ʈ͡ʂʰu⁵⁵/になった時、反り舌ぽくなっちゃって入ってきてるということでして(中古漢語[t͡ʃʰ]→北方の官話[ʈ͡ʂʰ]、南方の粤語[t͡ʃʰ])、

上古漢語「出」*kʰljud, kʰljuds, *t-kʰut, t-kʰut-sですから、多分、語源はこれ漢蔵祖語「出る」*s-twakから来てるだろう!

やはり、ずっと[t]とか、[t͡s]だけれども、

どうも、北方の官話だけは、反り舌[ʈ͡ʂʰ]に行くという面白い!

そして、sh ㄕ [ʂ]にいきますよ!

また、これは反り舌の仲間!

これはsh [ʂ]ですよね!

だから、こちらの先ほどのx ㄒ [ɕ]とは、sh ㄕ [ʂ]が音が違います!

かなり、やはり、反り舌でくぐもった音になっていますね。

無声そり舌摩擦音(清捲舌擦音voiceless retroflex fricative, fricative rétroflexe sourde)で摩擦をしてますよね。

先ほどと同じで無気音zh [ʈ͡ʂ]、有気音ch [ʈ͡ʂʰ]、摩擦音sh [ʂ]できて、

こちらも、 無気音zh [ʈ͡ʂ]、有気音ch [ʈ͡ʂʰ]、摩擦音sh [ʂ]の三点セットで来ていますね。

これも同じ調音点でして、

(舌を後ろに反らせて、)舌の先を上顎に近づけて、付けないで、隙間から息を流して、シューッとものすごいやはり摩擦の強い音が出てくるわけですよね。

sh [ʂ]、sh [ʂ]

有名な趙元任さん、前に五度の声調の書き方の所で出てきました言語学者ですが、

彼は面白い《施氏食獅史》(せししょくしし[se̞ ɕi ɕo̞kɯ̟ᵝ ɕi ɕi])同音文を作りまして、

施さん、施氏がライオンを食べちゃったお話という、

《施氏食獅史(せししょくしし[se̞ ɕi ɕo̞kɯ̟ᵝ ɕi ɕi])》と日本語でもそうですけれども。

《施氏食獅史》shī shì shí shī shǐ /ʂʐ̩⁵⁵ ʂʐ̩⁵¹ ʂʐ̩³⁵ ʂʐ̩⁵⁵ ʂʐ̩²¹⁴/は、今の中国語(官話)では、全てshi [ʂʐ̩]でして、

だから《施氏食獅史》shī shì shí shī shǐ /ʂʐ̩⁵⁵ ʂʐ̩⁵¹ ʂʐ̩³⁵ ʂʐ̩⁵⁵ ʂʐ̩²¹⁴/ですよ!

全部同じ音で声調が違うだけです。

《施氏食獅史》shī shì shí shī shǐ /ʂʐ̩⁵⁵ ʂʐ̩⁵¹ ʂʐ̩³⁵ ʂʐ̩⁵⁵ ʂʐ̩²¹⁴/という、タイトルからそうですが、

その後の話も全てshi [ʂʐ̩]だけですから、

その音shi [ʂʐ̩]なんですよ。

それで全部を書いちゃうと!

つまり、どういうことかと言ったら、 官話のこのshi [ʂʐ̩]には、ものすごい数の色んな元は違う音だったものが入っちゃってるんですよね。

先にお話したように違うソースから、ブワーッと皆このshi [ʂʐ̩]に集まっちゃったという。

そして、粤語《施氏食獅史》si1 si6 sik6 si1 si2 /siː⁵⁵siː²² sɪk̚² siː⁵⁵ siː³⁵/で結構、違うんですよ! やりますよ!上手くできるか分からないけれども。

《施氏食獅史》si1 si6 sik6 si1 si2 /siː⁵⁵siː²² sɪk̚² siː⁵⁵ siː³⁵/

結構一緒か!?(笑)

粤語でも、まあ、中古漢語「施」sye /ɕiᴇ/は先ほどjで出てきました。

「氏」 dzyeX /d͡ʑiᴇX/は濁音ですね!

「食」zyik /ʑɨk̚/は入声でしょ!

次は「獅」srij /ʃˠiɪ/でこれはもっと後ろですね。

「史」sriX /ʃɨX/なんですよね。

だから、《施氏食獅史》sye dzyeX zyik srij sriX /ɕiᴇ d͡ʑiᴇX ʑɨk̚ ʃˠiɪ ʃɨX/なんですね。

だから、結構、中古漢語《施氏食獅史》sye dzyeX zyik srij sriX /ɕiᴇ d͡ʑiᴇX ʑɨk̚ ʃˠiɪ ʃɨX/では違う!

だけれども、粤語でも(同じようでしたが、)特にひどいのは、入声まで消えちゃった、今の北方の官話《施氏食獅史》shī shì shí shī shǐ /ʂʐ̩⁵⁵ ʂʐ̩⁵¹ ʂʐ̩³⁵ ʂʐ̩⁵⁵ ʂʐ̩²¹⁴/は、全部shi [ʂʐ̩]になっちゃったっていう、だから、もう一回やりますよ。

今はshi [ʂʐ̩]をやってるから最後に復習、思いださないといけない(笑)

官話《施氏食獅史》shī shì shí shī shǐ /ʂʐ̩⁵⁵ ʂʐ̩⁵¹ ʂʐ̩³⁵ ʂʐ̩⁵⁵ ʂʐ̩²¹⁴/

全てshi [ʂʐ̩]でその後のお話も全てshi [ʂʐ̩]ですけれども、おもしろい!

まあ、北方の官話では、全部そういう状態になってますから、

sh [ʂʐ̩]は難しいから、練習にはなると思いますよ。

官話《施氏食獅史》shī shì shí shī shǐ /ʂʐ̩⁵⁵ ʂʐ̩⁵¹ ʂʐ̩³⁵ ʂʐ̩⁵⁵ ʂʐ̩²¹⁴/は、この後も、ずっと声調が全て違うけれども、ずっとshi [ʂʐ̩]が続きますから(笑)

先ほどの王羲之と一緒で(練習になる)ということでありまして、

まあ、次のr ㄖ [ʐ]に行きますよ!

r ㄖ [ʐ]は、

有声そり舌摩擦音(濁捲舌擦音voiced retroflex fricative, fricative rétroflexe voisée)で、先ほどのsh ㄕ [ʂ]の有声バージョンですよ!

声帯がブルブル震えるバージョン!

sh [ʂʐ̩]に対して、r [ʐ]でして、

まあ、どちらかと言えば、sではなく、rで発音されますけれども。

今はsh [ʂʐ̩]に合わせて、(有声化してr [ʐ]を発音)しちゃったけれども。どちらかと言えば、r [ʐ]ですけれども。

舌を後ろに反らせて、舌の先を上顎に近づけて、付けないで、隙間から息を流して、声帯が震える音を出すんですよね。

行きますよ!r [ʐ]、r [ʐ]。

こういうことです!

だから、やはり、真ん中にこのzh [ʈ͡ʂ]から、ch [ʈ͡ʂʰ]、sh [ʂ]から、r [ʐ]が来ている全部は、真ん中にボンと舌が、(図よりも)もうちょっと後ろにあります。

sh [ʂ]はそうでしょ!r [ʐ]もそうですね!

だから、防波堤と私が先ほどお話したのは、そういうことですよ!

これを乗り越えて、水がブワッと乗り越えて入って来るみたいな、

それを空気だと思えばいいわけです。

口の中で起きていることを海岸に類推して話していますけれども、

そういうことですから、結構くぐもった音できまして、

しかも、摩擦の強い!

何故なら、(口の中の堤防を乗り越えて)こう来て、こう上に行って、ウーンでしょ!

結構な距離がありますよ!

だから、特徴的なくぐもった音になりますけれども。

やはり、これは日本の「日」!

官話「日」rì /ʐ̩⁵¹/、

呉語「日」nyiq5 /ɲi̯ɪʔ¹²/, zeq5 /zəʔ¹²/だと鼻音の方に行くんです。

入声でもしくは(先ほどの二つの例と同じく)濁音の方に行きまして、

閩南語「日」lit /lit̚/, ji̍t /ʑit̚⁴/でも、鼻音[l]と濁音[ʑ]ですよね(非鼻音化されています)。

客家語「日」ngid5 /ɲit̚¹/は呉語「日」nyiq5 /ɲi̯ɪʔ¹²/に近い[ɲ]ですよ。

そして、粤語「日」jat6 /jɐt̚²/ ですよね。

そして、中古漢語「日」nyit /ȵiɪt̚/ですよ。

だから、我々は「日本」にほん[ɲ̟ihõ̞ɴ]とか、にっぽん[ɲ̟ip̚põ̞ɴ]は、中古漢語「日」nyit /ȵiɪt̚/から来ているでしょうと!

それで上古漢語「日」*njiɡ, *C.nikなんですね。

それでこれは、やはり、漢蔵祖語*s-nəyから来ていて、

上古漢語「日」*njiɡ, *C.nikも、漢蔵祖語*s-nəyも、[n]が入っていますけれども。

日本語でも、呉音にち[ɲ̟it͡ɕi]でして、やはり、先ほどの呉語「日」nyiq5 /ɲi̯ɪʔ¹²/, zeq5 /z̻əʔ¹²/とか、

また、客家語「日」ngid5 /ɲit̚¹/ですから、

漢音じつ[d͡ʑit͡sɨᵝ]でして、濁音(有声)になっています。

これは、中古漢語の歯茎硬口蓋鼻音[ȵ]だった音でしたが、

長安方言で歯茎硬口蓋破擦音[d͡ʑ]になっていて、

鼻音から破擦音みたいになっちゃっていて、呉音にち[ɲ̟it͡ɕi]、漢音じつ[d͡ʑit͡sɨᵝ]で違いますね。

唐代の長安方言の非鼻音化(◌͊ denasalization)を継いでいるんじゃないかということでして(Henri Maspero (1920). Le dialecte de Tch'ang-ngan sous les T'ang, Bulletin de l'École française d'Extrème-orient 20(2)、羅常培《唐五代西北方音》)、

閩南語「日」li̍t /lit̚⁴/, ji̍t /ʑit̚⁴/も、やはり鼻音[l]と濁音[ʑ]ですよね。

日本語と一緒で無声li̍t /lit̚⁴/と有声ji̍t /ʑit̚⁴/の両方があるんですよね。

それで中古漢語「日本」nyit pwonX / ȵiɪt̚ puənX/なんですよ。

中古漢語「日本」nyit pwonX / ȵiɪt̚ puənX/、日本語の「日本」にっぽん[ɲ̟ip̚põ̞ɴ]はここから来ている(笑)

それで閩南語「日本」ji̍t pún /ʑit̚⁴ pun⁴¹/だから、

どうも、ジパング(Cipangu)は、マルコ・ポーロ(Marco Polo, 1254-1324)の《東方見聞録(Devisement du monde)》 でCipanguみたいに書いてあるけれども、

これは、Japan(の語源)ですよね。

どうもやはり閩南語「日本」ji̍t pún /ʑit̚⁴ pun⁴¹/あたりから出ている可能性が高いです!

これで官話「日本」rìběn /ʐ̩⁵¹ pən²¹⁴⁻²¹⁽⁴⁾/ですから、この音r [ʐ]ですから、

官話「日本」rìběn /ʐ̩⁵¹ pən²¹⁴⁻²¹⁽⁴⁾/です。

それで「日本人」rìběnrén /ʐ̩⁵¹ pən²¹⁴⁻²¹¹ ʐən³⁵/、われわれ日本人(笑)

すごいのは、「私は日本人です」は、中国語で官話「我是日本人」wǒ shì rìběnrén /wɔ²¹⁴ ʂʐ̩⁵¹ ʐ̩⁵¹ pən²¹⁴⁻²¹¹ ʐən³⁵/ ということですから、

もう一回早くいきますよ。「日本人」rìběnrén /ʐ̩⁵ pən²¹⁴⁻²¹¹ ʐən³⁵/

結構、「私は日本人です」は中国語で難しい!

一番、日本人が苦手な「是」shì /ʂʐ̩⁵¹/とか、「日」rì /ʐ̩⁵¹/がいっぱい出て来るということですけれども!

ちょっと小噺でしたけれども。思ったんですよね。

「日本人」rìběnrén /ʐ̩⁵ pən²¹⁴⁻²¹¹ ʐən³⁵/、最初の「日」rì /ʐ̩⁵¹/のrと最後の「人」の方のr [ɻ]はどうもこれは音が違うじゃないかと思ったわけです。

二つ目の「人」の方のr [ɻ]は、今のr [ʐ̩]ではなくて、

どうもそり舌接近音(捲舌近音voiced retroflex approximant, spirante rétroflexe voisée)[ɻ]に聞こえます。

つまり、「人」rén [ɻən³⁵]でして、「人」rén /ʐən³⁵/ではない。

どうもこれは出しにくい!。これはどうもそり舌接近音[ɻ]のようにしかならないです!

ren で来ると後の母音や子音に影響されて、もしくは前のところでふっと!

「日本人」rìběnrén /ʐ̩⁵¹ pən²¹⁴⁻²¹¹ ʐən³⁵/、「日本人」rìběnrén /ʐ̩⁵¹ pən²¹⁴⁻²¹¹ ʐən³⁵/と言うから、

かなり、官話「日本人」rìběnrén /ʐ̩⁵¹ pən²¹⁴⁻²¹¹ ʐən³⁵/において、そり舌摩擦音[ʐ̩]がそり舌接近音[ɻ]に聞こえますよ!

今、官話「日本人」rìběnrén /ʐ̩⁵¹ pən²¹⁴⁻²¹¹ ʐən³⁵/と話しましたけれども。

拼音rには、どうも、そり舌摩擦音[ʐ̩]の他に異音のそり舌接近音[ɻ]がも入ってるんじゃないかと!

それもよく言われています。

拼音rには、両方入っている!

こうして細かい音の違いのこだわりっていうの結構大事じゃないかと思って、今やってますよね。

しかも、日本人だから、やはり、大事だと日本人と言えないと駄目だと! 宇宙人だと、中国人に思われてしまいますから(笑)

まあ、ジョークですけれども。

まあ、あと r [ʐ] で思いつくのは、

「熱」rè /ʐɤ⁵¹/ですよ。

でも、やはり、これも、eが次に来ていまして、先ほどの人という同じで「人」rén /ʐən³⁵/と同じでして、

どうも、次にeが来ると、そり舌摩擦音[ʐ̩]まで出しにくくていかないから、

どうも影響を受けて、そり舌接近音[ɻ]な感じがします。

それで呉語「熱」nyiq5 /ɲi̯ɪʔ¹²/は、やはり先ほどの「日」rì /ʐ̩⁵¹/と同じでして、やはり、[ɲ]で入声でしょ!

それで閩南語「熱」lia̍t /liɛt̚⁴/, jia̍t /ʑiɛt̚⁴/は、やはり、鼻音[l]と濁音[ʑ]で今でてきてますよ!ちょっと奥に行った[ʑ]!

それで客家語「熱」ngiad6 /ɲiat̚⁵/も、呉語「熱」nyiq5 /ɲi̯ɪʔ¹²/と一緒です!

だから、「日」と「熱」は殆ど子音は対応してますよ!

音韻対応があるから、 粤語「熱」jit6 /jiːt̚²/もそうですね。

先ほどの粤語「日」jat6 /jɐt̚²/とこちらは声調まで同じでして六声(入声²)です。

それで「日」jat6 /jɐt̚²/と「熱」jit6 /jiːt̚²/が似ているわけですよ(官話では同じ音です)。

中古漢語「熱」nyet /ȵiᴇt̚/でして、 先の「日」nyit /ȵiɪt̚/ですが、こちらは「熱」nyet /ȵiᴇt̚/ですから、

だから、母音が違うだけだという、

それで上古漢語「熱」*ŋjed, *C.natもやはり一緒でしょ!

ずーっとやはり、母音が違うだけできていますけれども。

それでこれの語源は、私が調べたら、どうも、漢蔵祖語*C-n(w)a-n/tでして、

ビルマ語နွေး nwe: /nwé/とか、

全部、「熱」とか、「暖かい」とか、「燃える」とか、

そういう意味の言葉ですけれども。

まあ、漢蔵祖語*C-n(w)a-n/tとビルマ語နွေး nwe: /nwé/は、「燃える」だったかな。

そして、上古漢語「暖」noːnʔ, [nanʔ] > nwanX /nuɑnX/、「燃」njen, *C.na[n] > nyen /ȵiᴇn/ と語源が一緒じゃないかということでして、

「暖」noːnʔ, [nanʔ] > nwanX /nuɑnX/、「燃」njen, *C.na[n] > nyen /ȵiᴇn/ですから、

やはり、語源が一緒だと思います。

全部、似た言葉ですから、同じ語根から出たんじゃないかということですけれども。

それでr ㄖ [ʐ] まで来ましたけれども。

次の舌歯音(linguadental, linguadentale)ですけれども。

(ラテン語で)linguaは舌、dentalは歯、舌と歯で出す音ですけれども。

舌歯音、舌の先を前の歯の直ぐ後ろに当てて、舌で空気の通り道を作ってあげるんですよね。

それで歯に空気がバーンと当てるように導いて、歯茎に空気が当たってますから、シューという音が瞬間的に鳴りますよ。

それでz ㄗ [t͡s]でいきますよ!

z ㄗ [t͡s]

すごい!瞬間に早いビームみたいです!

無声歯茎破擦音(清齒齦塞擦音voiceless alveolar sibilant affricate, affriquée alvéolaire sourde)と言いますけれども。

やはり、破裂音[t]+摩擦音[s]の二重調音[t͡s]ですから、IPAでハイフンが付いています。破擦音の[t]とずっとやってましたよ!

そして、[s]は後で出てきますけれども、摩擦音です。

ここらが一緒に出るわけですよね!

だから、上と下の歯を軽く嚙み合わせて、舌の先を前の歯の裏に当てて、そっとやはり息を出すわけですね。

これは無気音だから、それで漏れた音で摩擦された音が出ますね。

z [t͡s]、z [t͡s]

まあ、z [t͡s]はちょっと濁音[d͡z]ぽくなりますが、

まあ、 IPAの[t͡s]と拼音のzがずれていまして、拼音に影響されて、日本語のズ[d͡zɨᵝ]みたいに濁音で発音されてしまいますが、

本来は明らかに無声ですよね。でも、今は濁音[d͡z]みたいになっちゃうけれども。

本来は濁りません!

まあ、これは英語で「王子さま」prince、これはイギリス人はprince /pɹɪns/と言うんですよね。

アメリカ人はどうもprince /pɹɪnts/みたいに最後の所を発音するんですよ!

イギリス人はprince /pɹɪns/

アメリカ人prince /pɹɪnt͡s/

どうも「印刷物」prints /pɹɪnt͡s/みたいに同じ音になっちゃっている!

アメリカ人は「王子さま」prince /pɹɪnt͡s/と「印刷物」prints /pɹɪnt͡s/が区別がつかない!

それでドイツ語Prinz /pʁɪnt͡s/(ラテン語 prīnceps /ˈpriːn.keps/ < 最初prīmus + 相続する‎-ceps)なんですよね。

アメリカ人の英語「王子さま」prince /pɹɪnt͡s/に近い!

まあ、r [ʁ]は少し違うけれども、

ドイツ語「数」Zahl /t͡saːl/ですよ!

ああ、やはり、この拼音zにIPA [t͡s]を当てたのは、ドイツ語の影響の可能性がありますよね。

数学で整数(ℤ:Ganze Zahl)がでてきますよね。

ドイツ語「数」Zahl /t͡saːl/から来ていると言われますけれども。

まあ、これは小噺ですけれども。

拼音z [t͡s]も、ドイツ語から発想された可能性があるじゃないかと思いました。

それで、じゃあ、このz [t͡s]で何の単語があるのかを考えましたら、

官話「子」zǐ /t͡sz̩²¹⁴/は、zi の三声だから、

呉語「子」tsr2 /t͡sz̩³⁴/でも、

やはり、同じなんですよ!これは声調は違うけれども、

それで閩南語「子」chú /t͡su⁵³/, chí /t͡ɕi⁵³/ですよね。

客家語「子」si3 /t͡sz̩³¹/、殆ど変わらないかと。

粤語「子」zi2 /t͡siː³⁵/なんですよ。

客家語「子」si3 /t͡sz̩³¹/は下がって、粤語「子」zi2 /t͡siː³⁵/が上がりますけれども。

それで中古漢語「子」tsiX /t͡sɨX/なんですよ。

上古漢語「子」*ʔslɯʔ, *tsəʔもだから、

もう上古漢語「子」*ʔslɯʔ, *tsəʔから、全部 [t͡s]でずーっときている!

それで更に漢蔵祖語*tsa-n ⪤ *za-nまで行くと、

これはやりました。「文字」の語源を考えたとき、「字」の語源の所で出てきていて、

漢蔵祖語*tsa-nから来ていました!

やはり、これは、もう、漢蔵祖語tsa-nからずっとこの子音[t͡s]です(ビルマ語သား sa: /θá/、クキ=チン語θaa、ナガ語tsaʔ、タンクル語tsa、ボド=ガロ語*saでナガ語とタンクル語が同じです)!

だけれども、やはり、その官話においては、このz [t͡s]は、どうも、拼音zに引きずられて、濁音(有声)[d͡z] みたいになっているけれども、

他の方言では(清音(無声)ですよね)。

官話ですら、古い人たちは、清音(無声)[t͡s]と書いてありますから、

濁音(有声)[d͡z] じゃないから、[t͡s]という発音でした。

だけれども、次に行きますが、やはり、無気音と有気音の対立が大事でして、

濁音(有声)[d͡z]みたいにちょっと濁って外されちゃう清音(無声)[t͡s]だからということあります。

そして、こちらが今出てきた噂の有気音に行きますけれども。

c ㄘ [t͡sʰ] は、

かなり無声歯茎破擦音(清齒齦塞擦音voiceless alveolar sibilant, affricate affriquée alvéolaire sourde)の有気音で強烈でして、

上と下の歯を軽く嚙み合わせて、舌の先を前の歯の裏に当てて、息を勢いよくピュッと出して、漏れた音で摩擦された音を発するんですよね。

だから、コンプレッサーで圧力を高めてから、一気に堤防が決壊するかの如く、息が流れ出ますから、

息がビームみたいに出てきまして、

有気音で強烈で舌と歯にあたるという、

これもやはり、IPAの[t͡sʰ]と拼音のcがずれていまして、

拼音に影響されて、どうも、日本語のツィ[t͡sʲi]みたいに無気音みたいに発音されてしまいますが、これは有気音ですから。

(有気[ʰ])、(有気[ʰ])がやはり入ってます!

こちらはz [t͡s]、こちらはc [t͡sʰ]ですから、

やはり、それらを分けるためには、z [t͡s]は濁音(有声)[d͡z]みたいに濁り、

c [t͡sʰ]は[ʰ]が入っていますということでありますよ!

c [t͡sʰ]の単語をちょっと考えますよ。

「単語」という単語「詞」がありました(笑)

「詞」cí /t͡sʰz̩³⁵/ ですよ!ciの二声です。

そして、粤語「詞」ci4 /t͡sʰiː²¹/では、その後の母音[iː]になっていて、声調も違うけれども、

粤語「詞」ci4 /t͡sʰiː²¹/みたいな感じでやはり、同じ子音[t͡sʰ]を持ってますよね!

中古漢語「詞」zi /zɨ/で有声なんですよ!

それで上古漢語「詞」*ljɯ, *sə.ləまで行くと[l]になって、

漢蔵祖語*la-k(ボド語lá、ジンポー語la)だと!これをやりましたよね!

「文字」の語源を探究するシリーズだったかな。

これも「辭」*ljɯ, *sə.ləという辭(言葉)の語源は、どこから来たかとやりましたけれども、懐かしいです。

そこまで遡るわけですよ!

また、「此」cǐ /t͡sʰz̩²¹⁴/で同じものだと紛らわしいけれども。

「此」cǐ /t͡sʰz̩²¹⁴/という字がありますよね。

日本語では(呉音、漢音とも)「し」[ɕi]ですけれども。

官話「此」cǐ /t͡sʰz̩²¹⁴/は三声ですね。

それで粤語「此」ci2 /t͡sʰiː³⁵/でも、やはり、同じこの子音[t͡sʰ]で二声で上がります!

粤語「此」ci2 /t͡sʰiː³⁵/も同じですけれども、

中古漢語「此」tshjeX /t͡sʰiᴇX/からずっとこの場合は同じこの子音[t͡sʰ]できています!

Baxter-Sagartが再構した上古漢語「此」*sʰeʔ, *[tsʰ]e(j)ʔから一緒ですよ!

[tsʰ]で有気音までずっと一緒です!

[tsʰ]から全て一緒で同じなんですよ!

ですから、これに関しても、先ほどの「詞」cí /t͡sʰz̩³⁵/は、中古漢語zi /zɨ/の時点で濁音でした。

「此」cǐ /t͡sʰz̩²¹⁴/は、上古漢語*sʰeʔ, *[tsʰ]e(j)ʔ(中古漢語tshjeX /t͡sʰiᴇX/)の段階からずーっと一緒で面白いんですけれども。

この同じ官話でc [tsʰ]になっちゃう拼音も違う所から入って合流しているということが言えたと思います。

そして、s ㄙ [s]に行ってみますよ。

もう分かると思います。(今までの)パターンからすると、

つまり、摩擦音だろうと!

同じ調音で摩擦音になっていますね!

まあ、考えてみれば、s [s]は、先ほどあったz [t͡s]の[t]に直接くっついて合成されていました!

その [t] の部分を切ってあります!

これ自体が この [t] と合わせて、瞬間的に二重調音だから、

s [s]ができますよ!

だから、これはs [s]

無声歯茎摩擦音(清齒齦擦音voiceless alveolar fricative, fricative alvéolaire sourde)ですから、

上と下の歯を軽くかみ合わせて、舌先と歯茎の間に息を流して摩擦させますという。

直に歯に息のビームが当たりますよ!

s [s]は結構、短い!

瞬間的にピシャーと行く音ですね。

だから、このs [s] で行くと、iを付けた一声の「思」sī /sz̩⁵⁵/がありますね!

官話「思」sī /sz̩⁵⁵/、この音s [s]ですよね!

呉語「思」sr1 /sz̩⁵³/も声調は違うけれども同じ子音s [s]です。

閩南語「思」su /su⁴⁴/もs [s]です。

客家語「思」si1 /sz̩⁴⁴/もs [s]ですね。

声調が同じでちょっと官話「思」sī /sz̩⁵⁵/に近いかな。

そして、粤語「思」si1 /siː⁵⁵/で全部このs [s]ですよ!

そして、中古漢語「思」si /sɨ/で同じです。

更に遡ると、上古漢語「思」*snɯ, *[s]əまで全て同じです。

だから、漢蔵祖語*s-nəw-kまで、私、考えてみましたら、

上古漢語「思」*snɯ, *[s]əは、これ、やはり、やりましたよ!

六書の「仮借」の「西」の所で「思」の「田」の部分は壊れてるけれども、

本当は泉門「囟」だったという話をして、それが(仮借されて)「西」であったよという話で出てきたけれども。

上古漢語「思」*snɯ, *[s]əは「腦」*nuːʔ, *nˤ[u]ʔと同じ語源だった(ビルマ語ဦးနှောက် u:hnauk /ʔóʊɴn̥aʊʔ/、西夏no²、ジンポー語nuʔ⁵⁵、カレン語*nokᴰ)!

漢蔵祖語「脳」s-nəw-kから、それで「腦」nuːʔ, *nˤ[u]ʔと同じ語源でしたね。

というわけで、最初の *s- の接頭辞が最後までずっと残って、

官話「思」sī /sz̩⁵⁵/まで来ました。

それで s [s] でもう一個を考えられるのは、

数字の「一二三」yī èr sān /i⁵⁵ ˀɤɻ⁵¹ sän⁵⁵/の「三」sān /sän⁵⁵/は、この音 s [s] ですよ!

そして、呉語「三」se1 /se̞⁵³/の音は、声調は違うけれども、

閩南語「三」saⁿ /sã⁴⁴/、

客家語「三」sam1 /sam⁴⁴/、

ちょっと閩南語「三」saⁿ /sã⁴⁴/は n のちょっと鼻母音ぽい、客家語は[m]、

そして、粤語「三」saam1 /säːm⁵⁵/はa の母音[äː]が長くて、

それで中古漢語「三」sam /sɑm/は、

まあ、我々の日本語の「一二三」いち[it͡ɕi]、にい[ɲ̟iː]、さん[sã̠ɴ]は、そこから来てますから、

そして、上古漢語「三」*suːm, *s.rumまで最初から全部 [s] は同じですね。

これは漢蔵祖語*g-sumから来ていると!

チベット語གསུམ gsum /*ksum/でも、

ビルマ語သုံး sum: /θóʊɴ/でも、

西夏語so⁵⁵でも、

白語sɑ̃⁵⁵でも、

タニ語*ɦumは少し違いますね。

クキ=チン語*thumも(ちょっと違いますね)。

ナガ語*a-samは一緒です!

カレン語*səmᴬも、皆「三」は大体 [s] できてますということでオンパレードでありましたけれども。

台湾では、反り舌のzh [ʈ͡ʂ], ch [ʈʂʰ], sh [ʂ]がですね。

これはみんなz [t͡s], c [t͡sʰ], s [s]になっちゃってるという音でしたよね。

舌が反らずに前で音が出されちゃった!

前回に呉語でも、20世紀初頭に同じことが起きて、

湘語でも起きつつあるというお話をしましたけれども。

この反り舌はどんどん、どんどん、消えていっちゃってる!

実際に発音はどんどん簡単になってしまいまして、

北方の官話では、入声(-p̚, -t̚, -k̚)が、先にいっぱい他の言語では出てきたけれども、北方の官話で消えました!

言語によって、どの部分が残されて、どの部分が変わるかは、それぞれ違うんですよ。

同じ上古漢語や中古漢語の子孫であってもということでして、

そうした音韻対応も含めて、

まあ、これだけの発音だけを取り上げれば、もう楽だと思ったんですけれども。

やはり、そういう話、われわれは音韻として見ていますから、

ただ、現代漢語の官話、普通話、北京語をきれいにしゃべりたい中国語をしゃべりたいっていうことじゃなくて、

もっと言語の体系としてみたいということもありまして、

かなり色んな例を挙げて話したから、すごく長くなってしまいましたけれども。

そうした言語の歴史に興味がありまして、

こういう話になってまいりましたけれども。

まあ、最後にまとめて、全部これらの子音をやってみますか!

これは、

b ㄅ [p]

p ㄆ [pʰ]

m ㄇ [m]

f ㄈ [f]

d ㄉ [t]

t ㄊ [tʰ]

n ㄋ [n]

l ㄌ [l]

g ㄍ [k]

k ㄎ [kʰ]

h ㄏ [x]

j ㄐ [t͡ɕ]

q ㄑ [t͡ɕʰ]

x ㄒ [ɕ]

zh ㄓ [ʈ͡ʂ]

ch ㄔ [ʈ͡ʂʰ]

sh ㄕ [ʂ]

r ㄖ [ʐ]

z ㄗ [t͡s]

c ㄘ [t͡sʰ]

s ㄙ [s]

ということでしたね!

全部の子音を今、二回ずつ発音しましたけれども。

やはり、全て違う音でしたね!

ということで、今みたいに全部の子音のメカニズム(仕組)を見てまいりましたけれども。

そうすると結構ちゃんと曖昧さがなくなって、

しかも、この音の出し方、舌の位置と息の抜け方、

これらを全部を図示されていますので、すごくよかったと思います。

今、気づいたことがございまして、

漢語の子音には、どうも、破裂音と破擦音が、

まぁ、これは二重調音の方でいいましたけれども。

それとその有気音バージョンがありますよ!本当に無気音と対立がありました。

そして、それに鼻音が入ってきてるとか、鼻の方に行っているとか、

摩擦音系があったとか。ここですね。

これとか、こうした規則的に並んでおりますためにグルーピングができて、

それぞれ調音部位が同じで出し方が異なりました!

IPAのチャートで見ると、

本当に縦が揃っている。

横が揃ってることで言うと、

調音部位が同じとは縦が揃っている所ですけれども、

出し方が異なったその中でという、

そうした対称性が見られることが分かりました。

沢山の子音は並んでおりますけれども。

そして、漢語では、声帯が震える有声と無声というよりかは、

今言ったようなb [p]とp [pʰ]など、

b [b]のように有声になっちゃっているようですが、

それは発音上の問題で区別はありませんでした。

一つだけsh [ʂ]とr [ʐ]だけはありましたけれども、

有声/無声は基本的にはないですから、

むしろ[ʰ] が付いている補助記号、これは有気音(aspirated)にするということでして、

こちらは無気音(plain)と有気音(aspirated)が大事でして、

そして、その違いは何かと言ったら、

時間差の焦らしが聞こえてきたと!

特にj [t͡ɕ]とq [t͡ɕʰ]、ちょっと遅い!時間差がある!

それと音韻学と音声学から見た現代漢語の方言たちは、

また、中古漢語、上古漢語、更には、漢蔵祖語との関わりも面白かったですよね。

まあ、KF-Ars Sinica(系譜でたどる中華文化)らしく言葉の系譜を見てこれて、

それも面白かったと思います。

(御覧下さりまして、ありがとうございました。長編になりましたので二つに分割をいたしました。続編の韻母篇もご期待くださいませ。今後ともよろしくお願い申し上げます。)

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