Anónimo. Maqueta pintada del proyecto de Juan Gómez de Mora para el Palacio de Aranjuez, ca. 1636. Madrid, Patrimonio Nacional.
マリア・バルバラ王妃(Maria Bárbara de Bragança, 1711-1758)が逝去しましたアランフェスの離宮です。乾いた大地に豊かな水源があり美しいです。
いつもありがとうございます。音楽サロンのご要望を頂き、ドメニコ・スカルラッティを取り上げることに致しました。
ドメニコ・スカルラッティはユーモアとウィットに満ち溢れた鍵盤ソナタを約600曲も残したユニークな天才音楽家です。
チャーミングな鍵盤ソナタにスペインやポルトガルの民族音楽(舞踏や歌謡)の要素が多分に含まれ、明るさに憂いが混じり味わいとなり、人間の自然な感情の移ろいが音楽に流れております。
スカルラッティは作曲の定石を大胆に破り、魔法のような斬新な世界を描き、興味が尽きません。天才の型破りなアイディアは伝統様式の研鑽と民族音楽と体験に根拠があることが確かめられます。
スカルラッティの鍵盤ソナタには、ヒューマンな温もり、天才の豊かな発想が凝縮しております。大家たちの楽譜を精査して、実作を体験すると、音楽の感性が啓かれ、人生が豊かになりますね。
豊かな経験と確かな技倆で創造的人生が炸裂した歴史的事実を通じた音楽体験で満たされますよう、楽譜に親しみのない方も、音楽を聴きながらお楽しみになれますように工夫を重ねております。
ホームパーティのようなアットホームな集まりです。お友達とお誘い合わせの上、お気軽にいらして下さいませ。皆さまとお会いできますことを楽しみにしております。ありがとうございました。
詳細版
ドメニコ・スカルラッティはユーモアとウィットに満ち溢れたユニークな音楽家です。1685年生まれで同い年のバッハは秀才、ヘンデルは商才、スカルラッティは天才です。バッハは当時の様式や書法を集大成して、細部にまでこだわり緻密な作を残しました。
ヘンデルは欧州全土で音楽興行をしました。スカルラッティは安定した宮廷生活を送り、作曲というより、即興のアイディアを書き留め、マリア・バルバラ女王に音楽を講義して、明らかに女性らしいモチーフがあり、女王の主題か作曲を師匠として手を入れたようです。
音楽に接するとき、多角的に作曲、演奏、享受された情景が想像できるまで明らかにして、楽譜が音符の羅列ではなく、音楽で表現された本当の意味、人間感情などが見えてきます。スカルラッティはヴァチカンでパレストリーナと同じジュリア礼拝堂楽長まで昇りましたが、ポルトガル宮廷でマリア・バルバラ王女の教師となり、鍵盤ソナタで独創性が炸裂しました。
定量記譜法を確立した伝統でイタリアのナポリ、ヴェネツィア、ローマで訓練された音楽家が、イングランドやフランス王国にも縁があり、西ヨーロッパの音楽要素が取り入れられました。イベリア半島固有の舞踏、ファンダンゴやセギティーリャなどから新鮮な発想を借用しました。鍵盤音楽にオーケストレーションを持ち込み、二声が対話するコンチェルタートを好みました。
スカルラッティの根本発想は、三和音とそれを変形したコードを拍子に合わせて繰り出し、軽快なパルスを生み出し、音楽に流れを与え、即興らしく発想を次から次へと展開します。それ故に前衛音楽らしい強烈な不協和音が来ましても、自然に聞こえてしまい不思議です。ギターをかき鳴らす迫力を短前打音で与え、打楽器らしい混濁した重低音まで用いました。
シンプルな主題を反復しながら、突如とした転調やリズム周期を変える非凡な工夫により、音楽に意外さが与えられ、めりはりがついて、単調が破られ、音楽性が急激に高まります。楽譜は簡潔ですが響きに深みと広がりがあり、根音だけでも、和音が響いているようです。和音の構成音が少しずつ代わりまして、自然な感情の移ろいが絶妙な音楽の流れとなります。
スカルラッティの手法の数々は、後々のベートーヴェンが感情の炸裂でも見られましたり、リストが好んだオクターブを重ねながら、大きなスケールによる音楽の展開も見られます。ドビュッシー、ラヴェル、ストラヴィンスキー、バルトークの和声感覚、ミニマリズムなど、スカルラッティの鍵盤ソナタは、後世の大家たちが用いた斬新な発想や響きが目白押しです。
ユーモアがあり、旋律の構成、拍節の変化、転調の経路、軽重の調和、速度の変化など完璧です。チェンバロではリズムやアクセントが際立ち、モダンピアノでは音色や和声感覚が際立ちます。スカルラッティの鍵盤ソナタには、ヒューマンな温もり、天才の豊かな発想が凝縮しております。大家たちの楽譜を精査して、実作を体験すると、音楽の感性が啓かれ、人生が豊かになります。
Domenico Scarlatti & Maria Bárbara de Bragança
ドメニコ・スカルラッティとマリア・バルバラ王妃の
ポルトガル・スペイン宮廷音楽
2021年7月4日(動画追補)
スカルラッティの鍵盤ソナタを1738年から最晩年の1757年まで時系列に配列したプログラム構成を骨子として関係する様式や作品を(スカルラッティに限らず、原典の写本まで遡り、)数多く引用しながら、音楽表現を明らかにして楽しめますように努めてまいります。
①〈ソナタ ニ長調〉K.23/L.411/P.79(1738年・C・Allegro・Essercizi,23)
②〈ソナタ 変ホ長調〉K.68/L.114/P.7(1742年・3/8・―・Venezia XIV,30)
③〈ソナタ ハ短調〉K.99/L.317/P.135(1749年・3/4・Allegro・Venezia XV,2a・Parma III,18)
④〈ソナタ イ短調〉K.175/L.429/P.136(1752年・2/4・Allegro・Venezia I,28・Parma I,28)
⑤〈ソナタ ホ長調〉K.206/L.257/P.307(1753年・₵・Andante・Venezia III/1・Parma V/1)
⑥〈ソナタ 変ホ長調〉K.252/L.159/P.203(1753年・3/4・Allegro・Venezia IV/17・Parma VI/7)
⑦〈ソナタ 変ホ長調〉K.253/L.320/P.239(1753年・12/8・Allegro・Venezia IV/18・Parma VI/8)
⑧〈ソナタ 嬰ヘ長調〉K.319/L.35/P.303(1753年・6/8・Allegro・Venezia VI/24・Parma VIII/18)
⑨〈ソナタ ロ短調〉K.376/L.34/P.246(1754年・3/4・Allegro・Venezia VIII/19・Parma X/19)
⑩〈ソナタ ト長調〉K.391/L.79/P.364(1754年・3/4・Allegro・Venezia IX/4・Parma XI/2)
⑪〈ソナタ イ長調〉K.429/L.132/P.132(1755年・6/8・Allegro・Venezia X/12・Parma XII/19)
⑫〈ソナタ 嬰ヘ短調〉K.448/L.485/P.261(1755年・3/8・Allegro・Venezia X/31・Parma XII/27)
⑬〈ソナタ ニ長調〉K.490/L.206/P.476(1756年・₵・Cantabile・Venezia XII/7・Parma XIV/7)
⑭〈ソナタ ニ長調〉K.491/L.164/P.484(1756年・3/4・Allegro・Venezia XII/8・Parma XIV/8)
⑮〈ソナタ ニ長調〉K.492/L.14/P.443(1756年・6/8・Presto・Venezia XII/9・Parma XIV/9)
⑯〈ソナタ ホ長調〉K.495/L.426/P.384(1756年・₵・Allegro・Venezia XII/12・Parma XIV/12)
⑰〈ソナタ ホ長調〉K.496/L.372/P.332(1756年・3/4・Allegro・Venezia XII/13・Parma XIV/13)
⑱〈ソナタ ヘ長調〉K.518/L.116/P.390(1757年・₵・Allegro・Venezia XIII/5・Parma XV/5)
⑲〈ソナタ ヘ長調〉K.525/L.188/P.529(1757年・6/8・Allegro・Venezia XIII/12・Parma XV/12)
⑳〈ソナタ 変ロ長調〉K.544/L.497/P.548(1757年・3/4・Cantabile・Parma XV/31)
2019年4月13日
いつもありがとうございます。昨日もお忙しいところ、お集り下さりまして、心より感謝申し上げます。23名の方がたがいらして下さり、おかげさまで温かい集いとなりました。林さんは受付から御茶菓子まで細やかなお心づかいを下さり、羽住さんは音源と楽譜を同期するパソコン操作を進んで助けて下さりましたおかげで完全燃焼できました。
今回も相槌を打って下さりましたり、感嘆の声を出して下さり、盛り上げて下さりまして、皆さまと音楽の感激を共有できております実感が湧きました。残念ながら所用や遠方のためいらっしゃれない方からも、沢山の温かいお言葉かけを賜りまして、今回も皆さまからの温かいご支援やご声援に包みこまれて満たされております。
さて、今回はスカルラッティのソナタ20曲を取り上げました。実はスカルラッティに縁があるナポリ、ヴェネツィア、ローマ、ロンドン、パリ、リスボン、セビリア、マドリッド、エル・エスコリアル、アランフェスをたまたま訪れたことがあり、音楽を聴くと現地の風景がなまなましく蘇り、スカルラッティに親しみが湧きます。彼の音楽を理解するには、彼の師匠や人脈を洗い出したり、作品に刻み込まれた彼が体験した音楽を洞察してゆくことが大切に思われました。
様々な角度から資料や作品を収集して観察して、グーグル検索エンジンのように楽句の形状や構造など類似点と相違点を見いだして、事実を掘り下げてゆき、スカルラッティの鍵盤ソナタに関係する発想や様式がみられる宮廷音楽や民族音楽を引用して要点を明らかにしようとしました。音楽を通じて文化の地域性と時代性を追体験する楽しみとなります。
音楽サロンを構成するとき、初めから終わりまで事実や考察が連なり、皆さまの集中と関心が続きますよう努めました。特に前の要素が次に応用されているようにしました。①~②で当時のナポリやヴェネツィアにおけるソナタ様式の基本発想と形成過程、協奏曲、室内楽、アリアなどと関係を考察して、通奏低音に対する旋律の配置を明確にして、ソナタが大きくは前半と後半、更に四分割でき、転調プランや対称構造などが定まり、起承転結があることを踏まえました。
③~⑧でイベリア半島の要素と結合して、旋法音楽への転換、ギターから発想された大胆な不協和音の炸裂、リズム語法の開拓など、特にスカルラッティ独自のサウンドが和音の変形によるなめらかな転調にあり、撥弦楽器や鍵盤楽器で演奏しやすい低音の順次進行による流れに音程が重ねられた構造を持つことが分かりました。
⑨~⑳はソナタを構成する構造的・和声的な特徴が出そろい、イタリア・スペイン・ポルトガルの民族音楽やフランスの宮廷舞踏に見られる拍感やリズムをモチーフとしながら、彼らしいサウンドや和声感覚はもちろんのこと、中には元のリズムをタイや係留をして作り変えてしまうまで遊んでいました。
フランスの宮廷舞踏はステップの軌跡が舞踏譜(choréographie)で記録されますが、スカルラッティのソナタと照らし合わせると驚いたことにかなり取り入れられており、和声感覚による旋法組織やコード変形、リズムの組み換えを伴うことが分かりました。二部形式のソナタ様式の転調プランなどは最後まで踏襲され、数分の決められた箱に自由な発想が詰められていました。シンプルな様式を踏襲して、音楽性に集中して創造力を注ぎ込めたことが感じられました。
スカルラッティの作曲姿勢を時系列に追跡すると、鍵盤ソナタとして一貫しており、徐々に伝統的な和声や調性から和音の変形や旋法性を帯びてゆき、独自のサウンドを獲得していました。リアルタイムで作曲のアイディアをお話ししたり、興味深い構造を抽出して予めお示ししたり、プレゼンテーションの工夫も重ねてまいりました。
西洋音楽はユークリッドの幾何学やゲージ場の理論のように公理論的に構成でき、定理に対して補題を設定するよう、スカルラッティのソナタに対して補助資料として関係する作品を縦横無尽に引用して構造を解析して、スカルラッティがどこから着想を得て、どう組み立てたかを明確にして、理解が深まりますように努めてまいりました。
スカルラッティの思考様式や作曲過程を作品を通じて原型となるアイディアを見極めながら追体験してゆくことは、私たちが当たり前に使う漢字の本当の意味(字義)や起源(字源)を知るときの感動と同じであり、やはり文化や発想の原型や変遷に触れることは、私たちの創造力や洞察力をかき立ててくれることを実感しております。
スカルラッティは、既存の宮廷舞踏や民族音楽などのリズムや音型を借用しながら、和声進行を変更(再和声化)して、ソナタを作曲しましたが、イベリアの民族音楽、フランスの宮廷舞踏との借用関係を論じた先行研究が少ないため、彼が生きた時代や地域から割り出して、楽譜の音型や和声の類似を見つけ出す、宝探しのような楽しさがあります。
①〈ソナタ ニ長調〉(1738年・K.23/L.411/P.79)はロンドンで出版した《チェンバロ練習曲集(Essercizi per gravicembalo)》(1738年4月21日)で伝わる最初期のソナタで「才気に溢れる芸術の戯れ(lo scherzo ingegnoso dell’Arte)」をよく表現した愉快なソナタでした。ヘンデル(Georg Friedrich Händel, 1685-1759)の〈合奏協奏曲(Concerto grosso)(1739年出版・Opus 6/5,5・HWV 323,5)のオクターブ跳躍する主題が使われ、主題の提示は同じですが、続く細かな楽句は、原型の連打音型ではなく数声が聞こえるように工夫されたり、主題を分解してパラフレーズしたり、左右でモチーフを交換したり、保持音を上下に配置したり、音型を反転させたり、鍵盤ソナタの様式に合わせて、低音が順次進行して転調をして、様々なパターンで緩急や軽重の変化が生まれ、長調と短調の急速な交代もみられました。主題の音型や旋律をどう抽出して、ある動機をどう分解、構築、転調、発展させるかが示されます。
また、ナポリ楽派のデュランテ(Francesco Durante, 1684-1755)の〈鍵盤ソナタ(Sonata per cembalo divise in studii e divertimenti)〉(1732年)では、練習曲(studii)とディヴェルティメント(divertimenti)の組を合わせ、スカルラッティの対配列ソナタの原型でもあり、跳躍音型や分割変奏も共有しており、彼が好んで用いた手法も頻出しておりました。また、レオナルド・レオ(Leonardo Leo, 1694-1744)の〈フルート・ソナタ(Sonata à flauto solo del Sig.r Leonardo Leo)〉(1728-33年・US-NYp JOG 72-29 (vol. 17))は通奏低音に対して協和音程を重ねて分割してシンプルに旋律が構成され、二段譜表のソナタの原型がみられました。アリアは自然倍音に即した管弦楽法や旋律構成が自然で新鮮でした。
②〈ソナタ 変ホ長調〉(1742年・K.68/L.114/P.7)は明らかに管楽器の独奏で分割変奏した音型を有していました。ロンドンでシンプソン(Christopher Simpson, 1606-1669)の《ヴィオール分割変奏(Division Viol)》(初版1659・二版1665年)をオマージュして出版された《フルート分割変奏(Division Flute)》(1706年)の〈ヒル氏の分割変奏(Division by Mr. Hills)〉で旋律的音程とリズム音型が生じることを聴きました。フォルテピアノは、鍵盤を押してから鳴り止むまでの微妙な遅れによる余韻が生まれ、強弱の対比は当時の協奏様式の再現に合いました。特に特徴的な音型が何度も反復されるとき、分割変奏される前の核となる音は順次上行か下行して、通奏低音に対して協和音程を保ちました。大きな音程を埋めるシュライファー音型も楽器奏法に即していました。音楽の構造を楽譜から瞬時に把握するには、分割変奏や非和声音など装飾音をなくす単純化をしますが、文章を要約して構造を見抜くことに似ています。スカルラッティは分割される音の細かさや周期を変え、バスを豊かにして、簡単なモチーフから立派なソナタを作りました。
③〈ソナタ ハ短調〉(1749年・K.99/L.317/P.135)は明らかなスペインの影響が噴き出して、ファンダンゴ(fandango)の拍子で情熱的なリズムがあり、メキシコで発見されたムルシア(Santiago de Murcia, 1673-1739)のファンダンゴ(1732年・Codex Saldívar IV,12)を例示して、ギターをかき鳴らした雑音を模した不協和音や分割変奏などの類似、また、スカルラッティの弟子ソレール神父(Padre Antonio Soler, 1729-1783)のファンダンゴ ニ短調(R. 146)を例示してドリア旋法らしい音階や八分音符6つの連なりなどの類似を確かめました。また、チェンバロではギターらしい音響効果が得られ、ピアノでは空虚五度が響き、調性感を脱しているように聞こえました。
④〈ソナタ イ短調〉(1752年・K.175/L.429/P.136)は特に斬新な不協和音の炸裂が特徴的です。今まではガスパリーニ(Francesco Gasparini, 1668-1727)の《チェンバロの実践的和声(L'armonico pratico al cimbalo)》(1708年)に見られる経過不協和音(mordente・acciaccatura)を和音に取り込んだとするか、カークパトリックはポリコード(和音の合成)としましたが、ギターを掻き鳴らした雑音から自然に発想され、小気味良いパルスに合わせ、徐々に不協和度を高めて耳を鳴らしてから、混濁した音の塊が打ち付けられるトーンクラスターに入り、抜けると明るくなり、話が上手な人のように機知に富んでいました。バルトーク(Béla Bartók, 1881-1945)の〈ピアノソナタ〉(1926年・Sz.80; BB 88)やカウエル(Henry Cowell, 1897-1965)の〈リールの陽気で快活な調子(The Lilt of the Reel.)〉(1928年・Two Pieces)などでも活用されておりました。カークパトリック(Ralph Kirkpatrick, 1911-1984)のチェンバロ(1939年・Musicraft Album-25)、メイエ(Marcelle Meyer, 1897-1958)のピアノ(1954年・Discophiles Français DF-139)で音色の違いを楽しみました。
⑤〈ソナタ ホ長調〉(1753年・K.206/L.257/P.307)はキューバの鬼才作曲家レオ・ブローウェル(Leo Brouwer, 1939-)によるギター編曲(1974年・Erato STU 70876)で聴きますと鄙びた味わいがあり、特にタレガ(Francisco Tárrega, 1852-1909)はアンダルシアの音楽の系統を汲むマグリブの音楽をアルジェで聴いて作曲した〈ムーア人の踊り(Danza mora)〉(1900年)と似た旋律の動きやリズム動機が随所に見られ、正則アラビア語(zamr)やアンダルシア方言(zámra)でトッカータ(tocata)を意味して、グラナダに起源がある二拍子系の舞踏(zambra)を匂わせます。スパニッシュ・フリギアン(ミの旋法)を持ち、空虚五度など調性を確立しない心情の揺れ動きなどが繊細に表現され、調性音楽に必須の長短三度が欠如したドビュッシー(Claude Debussy, 1862-1918)に近い感傷的な響きでした。反進行では長音階と短音階を合成した八音階が見られました。ピアノでは音程が良く聞こえてモダンに響きました。
⑥〈ソナタ 変ホ長調〉(1753年・K.252/L.159/P.203)は爽快な響きを与えてから旋律を引き継いで音楽をつないで係留を用いて拍を壊してゆき響きの塊を作り出したり、トリオ・ソナタのように通奏低音上に二声をもつれ合わせたり、ある音型をずらすなど細工を加えてシンコペーションを多用しておりました。ファンダンゴのリズムや音型を持ちますが、徐々に旋律が凝縮してきて、セロニアス・モンク(Thelonious Monk, 1917-1982)の反発力を利用した流れが感じられます。シンコペーションとアッチャッカトゥーラの反発力が活用され前衛的でした。
⑦〈ソナタ 変ホ長調〉(1753年・K.253/L.320/P.239)はイタリア式ジーグを模した郵便馬車が駆けるようなパルスにトリルと急激な上下行による環境音の模倣により、オーケストラのような音場の広がりを与え、またポストホルンのファンファーレが聞こえ、簡素な低音にも関わらず、遠近があり豊かに響きます。オクターブを重ねただけの低音がドライブ感を帯びてきて、根音だけであるにも関わらず、和音の構成音が響いているような錯覚を生み、響きに深みがあり魔法のようです。上の分散音型にコードが埋め込まれ、三連譜でヘミオラも生まれるからです。コードを分解して、ラインを形成して、旋律に埋め込んだチャーリー・パーカー(Charlie Parker, 1920-1955)の発想と同じです。〈シンフォニア 第1番 ハ長調〉(1710年代・F-Pn Rés. 2634, 21r)やポストホルンの音を聴きました。
⑧〈ソナタ 嬰ヘ長調〉(1753年・K.319/L.35/P.303)はアンダルシアのブレリア(bulería)に合わせて、快活なパルスと流麗なラインで音楽がめまぐるしく展開され、五度圏を一周してしまうほどの激しい転調をしました。しかし、手稿譜では明らかに八音音階(octatonic system)を下降する上に音程を重ねて分散して書かれており、和音の構成要素を取り換えて絶えず変化させた発想が分かり、特に〈ソナタ 変ホ長調〉(1752年・K.193/L.142/P.254)の例など、新リーマン理論(Neo-Riemannian theory)の和音の変形に相当しました。また、低音のアタックはモダンジャズのベースのようでした。別の声部と音型を急激に交換するホケトゥス技法もみらました。スカルラッティのソナタの基本発想が出そろい、次は舞曲のリズムや音型をどう操作して、斬新な音世界を創造しえたか観察することにしました。
⑨〈ソナタ ロ短調〉(1754年・K.376/L.34/P.246)はアンダルシアのセギディーリャ(seguidilla)で一拍目は八分音符に二つの十六分音符、二拍目は八分音符2つ、三拍目は四分音符の主題から分かります。スペイン宮廷での同僚ネブラ(José de Nebra, 1702-1768)の〈トラキアのイフィゲニア(Iphigenia en Tracia)〉(1747年)のセギディーリャ〈彼女は消えて、見ている(Ya se fue, y de mirarla)〉と同じリズムでした。古代ギリシアのエウリピデス(Εὐριπίδης > Euripides)による悲劇〈タウリケのイピゲネイア(Ἰφιγένεια ἐν Ταύροις > Iphigenia in Tauris)〉が、セギディーリャやファンダンゴを盛りだくさんに演出されたサルスエラが流行していました。また、本曲は跳躍音程などが郷愁を誘い味わい深く、和声進行のひねりも少なく、元の踊りに近いと思われました。踊りとカスタネット付きの演奏で楽しみました。300番台のソナタは、スカルラッティが前衛音楽をやりつくした後の新しい実験が見られます。民族音楽が多く採譜され味わいがあります。ミュンスター手稿V,2(D-Ulm Sant Hs 3968)でアランフェスで書かれたと記録されます。現地を訪れたときの思い出も少しだけお話しました。
⑩〈ソナタ ト長調〉(1754年・K.391/L.79/P.364)は美しいメヌエット(menuet)で簡素な美が感じられます。ヴェネツィアのヴィラールト(Adrian Willaert, c.1490-1562)が大聖堂の音響効果を利用して分割合唱(cori spezzati)を始め、ジョヴァンニ・ガブリエーリ(Giovanni Gabrieli, 1554-1612)の音の強度を対比させた〈ピアノとフォルテのソナタ(Sonata pian' e forte)〉(1597年・Sacra Symphonia)をなして、複数声部の応答関係として、コンチェルタート様式が発達しました。後期ルネサンスのマドリガーレ、特にモンテヴェルディ(Claudio Monteverdi, 1567-1643) の〈ほら、波はささやき(Ecco mormorar l'onde)〉(Secondo Libro dei Madrigali・1590年)などは「ほら(ecco)」をエコー(echo)とかけて遊びましたが、昨日は彼の弟子のビアジオ・マリーニ(Biagio Marini, 1594-1663)の〈エコー・ソナタ(Sonata in ecco [sic] con tre violini)〉(1629年・Opus 8/44)、ロッティ(Antonio Lotti, 1667-1740)の〈エコー・ソナタ(Sonata Echo à 4)〉(1717-19年・S-Skma C3-R)、ヴァイス(Sylvius Leopold Weiss, 1687-1750)の〈ソナタ第11番(Air en écho)〉(WeissSW 16,2・GB-Lbl 30387, 75v・A-Wn 18829, 15v-16r)でエコー技法を体験して、スカルラッティのソナタを聴くと特にスコット・ロスは、チェンバロのレジストレーションをリュートに変えて、きれいなこだまを聴かせてくれました。
⑪〈ソナタ イ長調〉(1755年・K.429/L.132/P.132)は水面が揺れているような分散音型とシュライファー音型からヴェネツィアの舟歌(barcallola)と分かり、フォーレ(Gabriel Fauré, 1845-1924)の〈バルカローレ第4番 変イ長調〉(1886年・Opus 44)と照らしました。ミニマル音楽は和音変形による自由自在な転調により実現され、例として、〈ソナタ イ長調〉(1756年・K.457/L.292/P.442)はジーグのリズムですが、半音の上げ下げで和音を歪ませたり、旋法感を与えたり、ジーグのリズムにタイを挟んでシンコペーションを加えて作り変えられて、大バッハやヘンデルのジーグより、断然モダンな響きでした。本曲が転調の過程と和音の変形により、豊かな音風景が描かれました。
⑫〈ソナタ 嬰ヘ短調〉(1755年・K.448/L.485/P.261)は多感様式(Empfindsamer Stil)のトッカータです。父アレッサンドロ(Alessandro Scarlatti, 1660-1725)の〈トッカータ(Toccata per cembalo d'ottava stesa)〉(1723年)やリスボンでの弟子セイシャス(Carlos de Seixas, 1704-1742)の〈鍵盤ソナタ第24番〉などロックのような強烈な作品を聴きました。スカルラッティは豊富なリズム動機でシンコペーションして、ドライブ感が生まれる部分と減七など不安定な和音をぶつけて切迫感を与えるなど随所に細やかな工夫をしました。ベルリン楽派のフリードリヒ大王やエマヌエル・バッハ(Carl Philipp Emanuel Bach, 1714-1788)らにも1724年にスカルラッティとローマで会ったクヴァンツ(Johann Joachim Quantz, 1697-1773)らを介して伝わり、欧州全土の音楽家がネットワークを形成していました。
⑬〈ソナタ ニ長調〉(1756年・K.490/L.206/P.476)はアンダルシアで受難週に歌われるサエタ(Saeta)を模したとされ、声の震えがトリルで模され、シュライファー音型の2オクターブ半の降下も見られ情熱的で行進の太鼓を模した低音も見られました。厚みのある低音が打ち鳴らされ、ナポリの六度が登場したり、パッションが炸裂して、跳躍する付点リズムで受け、最後に彼らしいチャーミングな跳躍が見られました。⑭〈ソナタ ニ長調〉(1756年・K.491/L.164/P.484)はセギディーリャのリズムで左右で重音が鳴り、足音が模されて、ギターらしい分散音型が入り、緩急や軽重が変化するように作られていました。⑮〈ソナタ ニ長調〉(1756年・K.492/L.14/P.443)はポルトガルのファンダンゴ(fandango portugués)で軽快なタップ音が模倣されますが、アンダルシアのブレリア(bulería)の特徴的なリズムも埋め込まれていました。特にシャーリ・ビーロー(Sári Bíró, 1912-1990)の演奏(1944年・Cambria CAMCD-1174)はバルトークを思わせる乾いたタッチでリズムがはっきりして面白かったです。以上の三極はイベリア半島の組曲をなしていました。
⑯〈ソナタ ホ長調〉(1756年・K.495/L.426/P.384)はブーレよりゆっくりで平行和声やいくつかの軽い拍の分割があり、フランス南部のドフィーネ地方(Dauphiné)に由来するガヴォット(Gavotte)の基本リズムがみられました。フランスの宮廷舞踏〈[リュリの]アティスのアントレ(Entrée pour une femme seul dancée par M. Guiot à l’opera d’athis)〉(Pecour 1704,77)やヘンデルの〈鍵盤ソナタ(A Tempo di Gavotti)〉(HWV 365,4・Fitzwilliam Mu. ms. 263, 15)と照らし合わせました。スカルラッティはパルスに合わせて分割したリズムや反進行などを組み込んで楽しんでいました。また、優雅なスカルラッティらしい跳躍も見られて、最後の若干の半音階のひねりが面白かったです。マリア・ティーポ(Maria Tipo, 1931-)の演奏(1987年・EMI 7-49078-1)で聞きました。⑰〈ソナタ ホ長調〉(1756年・K.496/L.372/P.332)は先ほど〈ソナタ ト長調〉(1754年・K.391/L.79/P.364)のメヌエット(menuette)に似ますが、パスピエ(passepied)に近いかもしれません。前のソナタから引き継いで三連符に四分音符2つを伴う主題が現れます。リズムの変化、転調や和音の変形、伴奏の軽重、声部の交換など、機知に飛んだソナタでした。
⑱〈ソナタ ヘ長調〉(1757年・K.518/L.116/P.390)はフランス南部のオーヴェルニュ地方(Auvergne)に由来するブーレ(Bourrée)でチャーミングな特徴的な音型があり、民族音楽の名残として平行和声が付けられます。フランスの宮廷舞踏〈[コラッスの]アシルのブーレ(La Bourée d’Achille)〉(Feuillet 1709,1)、クラヴサストのニコラ・ルベーグ(Nicolas Lebègue, 1631-1702)の〈ブーレ(Bourée)〉(1677年・Les Pièces de Clavessin)、マラン・マレ(Marin Marais, 1656-1728)の〈ブーレ(Bourée paysanne)(1711年・Pièces de viole 3, 48)にも平行和声やリュリ様式に特徴的な下降音型がみられました。スカルラッティは普通のブーレのリズムに係留を用いて叫びのように聞こえる音型まで生んで遊んでいたことが分かりました。チェンバロの音域も拡張され、オクターブの中に内声が動く、ダイナミックな音響も使われていました。後半には急激な上下の開きによる休止も見られ、和音の変形によるドリフトで幻想的な音世界を描き出しました。
⑲〈ソナタ ヘ長調〉(1757年・K.525/L.188/P.529)はアンダルシアのブレリアですが、ジーグの対位法的な動きではなく、平行和声の動きがみられました。スカルラッティは無窮動で反復されるリズムに足音を模した重い和音が打ち鳴らされることにより、リズムが乱れてシンコペートするような錯覚を楽しんで設計されていました。バックハウス(Wilhelm Backhaus, 1884-1969)の100年以上前の演奏(1912年・His Master's Voice 05535)は平行和声を加えて響きを豊かにする工夫がありきびきびとしており、打楽器的なピアノが合いました。
⑳〈ソナタ 変ロ長調〉(1757年・K.544/L.497/P.548)は最晩年の作品でパルマ手稿[第十五巻]だけで伝わります。サラバンド(Sarabande)によるアリア型式で順次下降する低音や重音の旋律など、係留を伴う四声らしい広がりと荘厳な和音による終止など特徴がよくみられました。フランスの宮廷舞踏〈[カンプラの]タンクレードのサラバンド(Sarabande à deux. Dancée par Mr. Blonde et Mlle. Victoire à l’opera de Tancrede)〉(Pecour 1704,127)や大バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750)の〈ゴルトベルク変奏曲(Goldberg-Variationen)〉(1741年・BWV 988)のアリア(Aria)のサラバンドと照らし合わせました。スカルラッティは寂莫とした情感が繊細で気品を漂わせながら、反進行で盛り上がり響きが広がり、フェルマータで突然トリル後に終止して、自由リズムの旋律で郷愁を誘う工夫が施され、人生を回想しているようにすら聴こえ、スカルラッティの独創や天才が感じられました。71歳でも創作意欲が衰えないことは奇蹟ですね。
以上のように今回はスカルラッティがソナタを創造する発想や素材を前後の時代の色んな実例と照らし合わせながら見つけ出してゆきました。スカルラッティは経験が豊かで手に余るアイディアを持ち合わせ、作曲と言うより、余裕を以て即興のように繰り広げたように感じられました。懐の広さと経験の豊かさ、人間的な温かさと優雅さが現れ、音楽展開が息を付かせないほど、目まぐるしく変化しながら、全体の中で調和して、シンプルに構成される能力が感じられ、スカルラッティとマリア・バルバラはかなり機知に富んでいたことを偲ばせます。鍵盤ソナタは即興と作曲と演奏が一つであることを示していました。意外な転調や突飛な音型などをパルスに乗せ、絶妙なタイミングとバランスで繰り出し、スリリングでエキサイティングな響きや揺らぎが音楽に生み出され、スカルラッティの独創性と天才性が光り輝いていました。既存の宮廷舞踏や民族音楽などの要素を独自にブレンドすることにより、化学反応を起こして、新たな表現を獲得されていたところがおもしろいですね。特に大量の関係する音楽の資料や音源などを厳選しましたため、時間の関係で披露できませんでした素敵な音楽が沢山ございますが、また何かの機会にシェアーできましたら幸いです。
音楽サロンのアイディアが頭の中に渦巻いており、資料ファイルに素晴らしい音楽や演奏の資料を集め続けております。ある分野においても、資料を集め尽くして、確証を得るには時間がかかりますが、一つずつ実現できましたら幸いです。
次はルネサンス期の多声音楽からヴィオール合奏への歴史、リュート、ビウエラ、バロック・ギターの素敵な小品たち、ロシア・ピアニズムの系譜、現代音楽の特にセリエリズム、初期ブルースからモダン・ジャズへの歴史についても面白いトピックスと感じております。スカルラッティと同じく小品をたくさん残したマラン・マレのヴィオール曲集を調べ、関係する音楽を引用して註釈を加えながら、リュリからラモーに近い和声の変遷をたどる企画も面白いかもしれませんね。
スカルラッティは毎年春先に20曲ずつ、多数の関係する作品を引用しながら取り上げ、最後は30年ほどかけてカークパトリック番号付きと新発見のソナタを含めまして全約600曲を扱いたく、30年越しの大事業になるかもしれません。今度はカスタネットを用意してパーカッションでリズムを明瞭にできましたらより楽しいかもしれませんね(笑)
昨日の振り返りを書き出しましたら長文になりました。お付き合い下さりまして、ありがとうございました。平成最後の音楽サロンは、素敵なひとときとなりました。15日に30歳になりますが、二十代最後の一仕事になりました。今回も大いに盛り上げて下さり、ありがとうございました。今後とも熱意と愛情を以て、音楽を通して人類の文化を体験してまいり、皆さまと素敵な時間を共有してまいりたく存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
2019年3月20日
音楽を愛する皆さま、いつもありがとうございます。スカルラッティの鍵盤ソナタは輝かしいモダンな響きに満たされ、数年前に作られたような作品ばかりですね。
特に今回取り上げます〈ソナタ 嬰ヘ長調〉K.319/L.35/P.303(1753年)は転調・音階・拍感など、どれも斬新で創意に満ち溢れており、人類の奇跡の作品の一つです。
三拍子系の流麗な旋律が絡み合い、また低弦楽器のアタックを模して、モダンジャズのベースを思わせ、ギター奏法から発想されたヴァンプが生き生きしております。
#6つの嬰ヘ長調で始まり、係留をして気を引き、#7つの嬰ハ長調と♭5つの変ニ長調などを移ろい、臨時記号の嵐で旋法感が強まり、独特の哀愁まで帯びてきます。
後半は八音階を下降して五度圏を一周する史上、最も美しい転調の一つです。常に音階・調性が変わり、ドビュッシー、コルトレーンらしい響きが随所に感じられます。
スカルラッティは18世紀の機能和声を完全に超越しており、新リーマン理論でいう同主変形(P)、平行変形(R)、導音変形(L)を自由に組み合わせて展開されます。
楽譜にどう書かれていたら、実際にどう響くのかを対応づけ、斬新なサウンドを生み出した発想を読み解いておりますが、アイディアが満載で驚嘆と感激の連続です。
スカルラッティの音楽に対する知見の深さと感性の豊かさが余すところなく凝縮したソナタたちを通じて、来月に音楽の楽しみを共有できますことが待ち遠しいです。
桜も咲き始めて、温かくなりましたが、季節の変わり目でお元気にお過ごしくださいませ。ありがとうございました。
2019年4月1日
いつもありがとうございます。ごぶさたしておりました。1985年の4月1日にフランス・ラジオ(Radio France)でカークパトリック番号556として放送された(スコット・ロスが作曲した)〈エイプリル・フール・ソナタ(Sonate « Poisson d’avril »)〉です。
今月12日の音楽サロンに向け、ロンドンの出版譜、ヴェネツィアやパルマ写本など原典に遡り、入念に用意をしております。Heugel版など実用性を重んじて改編された校訂譜は二段譜表の割り方など大きく異なり、原典に作曲者の発想がよく現れております。
楽譜の一小節毎に要点を書き出してゆきましたら、スカルラッティの思考が手に取るように見え、スカルラッティの叫びまで聞こえてくるほどでして、創意を汲み上げられるべく努めております。また、スカルラッティと交友した音楽家との関連にも触れます。
スカルラッティの楽譜はシンプルですが、あらゆるアイディアが見事に鍵盤ソナタに結実しており、豊かな経験を積んだ天才が自由に遊びながら生まれたようです。大家の実作から思考の過程を洞察できますよう、楽しみや味わいが深まりますように致します。
音楽はその瞬間のその感激の連なりで成り立ちますから、スクリーンにプロジェクターで楽譜を投影しながら、その瞬間に感じたことをアドリブでコメントしてゆきますから、大家の実作から得られる感激をどんな方とも共有できますように努めてまいります。
おかげさまで少しずつ仲間が増えてまいりまして嬉しいです。ありがとうございます。新しい元号も発表され、桜も満開になりましたが、皆さまにおかれましても、新年度も楽しくお過ごし下さい。
2019年4月10日
いつもありがとうございます。明後日になりました。スカルラッティがどんな宮廷舞踏や民族音楽に接して創造したかなど、新鮮な観点で大興奮の二時間になりますように努めます。
お友達とお気軽にお誘い合わせの上、いらして下さりますと嬉しいです。お仕事などのご都合で定時にいらっしゃれなくても、途中からでも楽しめますのでお気軽にお越し下さいませ。
九時過ぎに終了予定です。前回から少しばかり打ち上げも始まり、楽しくお話をゆっくりとできます。皆さまにお会いできますことを楽しみにしております。ありがとうございました。
〈ソナタ ホ長調〉(1753年・K.206/L.257/P.307)は味わい深いですね。キューバの作曲家レオ・ブローウェルによるギター演奏です。
2019年4月11日
いつもありがとうございます。明日になりました。会場のアカデミー向丘は東京地下鉄の南北線・東大前駅の改札を出て正面にあるエレベータをご利用下さり出てすぐ右です。お気をつけてお越し下さい。
今回も長い時間をかけてスカルラッティのソナタを観察して、スカルラッティの発想を追体験して、熱意と愛情を以て準備してまいりました。
急ですがご友人とお誘い合わせ下さると嬉しいです。開始時刻に間に合わない方も、途中からでも大歓迎ですので諦めないで下さい😁
ご参加がかなわない方から温かいお言葉かけありがとうございます😊
Georg Friedrich Händel: Concerto Grosso in re maggiore(1739年・Opus6/5・HWV 323)
Domenico Scarlatti: Sinfonia n° 2 in sol maggiore(1720年頃・F-Pn Rés 2634, 7)
Francesco Gasparini: Sonata per l'Elevazione
Nicola Fago: Toccata per cembalo
Giovanni Battista Pergolesi: Suonata per organo in sol maggiore
Francesco Durante: Sonata per cembalo in re maggiore
Fandango nos campos do Ribatejo
Fandango do Varapau