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「漢」の語源と字源をチャレンジャブルに考えたいと、「金印シリーズ」が久しぶりに戻ってまいりました。Glorious Golden Seal

日本人どなたも耳にしたことがある輝かしき金印「漢委奴國王」の続編です。「漢」の語源と字源をチャレンジャブルに考えたいと、「金印シリーズ」が久しぶりに戻ってまいりました!しかも、「漢字/漢語のユニークさの探究」シリーズとのハイブリッド版です。お楽しみくださりましたら幸いです。

2021年12月3日

皆さま、こんにちは!

KF-Ars Sinicaが誕生をした、

デビュー作、金印シリーズ!

ものすごい数の方に御覧を頂いておりまして、

本当に嬉しいですよ!

ありがとうございます。

感謝の気持ちをお伝えしますけれども。

漢字/漢語のユニークさを探究するシリーズも、

もう一段落いたしまして、

今まで「言語と文字のデュアリティ」をモットーとして続けてまいりましたけれども。

丁度、一年前に友人たちと動画を作ろうよということになりまして、

KF-Ars Sinica(系譜でたどる中華文化)のチャンネルができたんですよ!

その中で金印「漢委奴國王(*n̥ˤar-s qoj nˤa [C.q]ʷˤək ɢʷaŋ)」が、

今ここに出ておりますけれども。

この特集から始まったんですよね。

また、もう一度、

言語と文字、漢語と漢字の関わりについて考えてみましたら、

「漢」の語源と字源について、

半年ほど前にですね。

ものすごいことが分かりまして、

漢字、漢語の「漢」は、ものすごく大切ですから、

最新の発見を共有したいと、動画を駆り立てられるようにして作ってしまいました(笑)

ということで、

こちらに行ってみたいと思うんですよ。

古代には玉が出ておりまして、

古代には玉がものすごく愛されていて、

こちらの玉印は、非常に身分の高い人たちの印でして、

また、金印「漢委奴國王」と「廣陵王璽」がございまして、

玉の印は、新疆のホータンなどで取れた、半透明な玉で作られた美しい印たち、

「魏嫽」さんと「淮陽王璽」が、仲良く並んでおりますけれども。

特に玉に興味がいきまして、

こんなものを見つけてしまったんですよ!

「黄」という字が玉を佩いた人の形とお話してまいりましたけれども。

佩玉の図がございまして、

こちらに「珩」や「璧」がありまして、

ちゃんと丸に紐があるんですよね!

「黄」は、玉を佩いた人と考えられるということでしたけれども。

「堇」という字とも、

西周金文から混同が起こっていたとお話ししましたけれども。

字形の探索には、やはり、現物の確認が一番なんですよね。

この古文「𦻋」で見ましたら、

三本、釣り下がった形は、何なんだと思いまして見てみたら、

佩玉の図、そのものでも、

この下の所に三本あったり、

黄色という字にも、三本足に訛った形がありましたよね。

そして、こちらの「𦻍」の「土」の部分は、小篆でもあるし、古文でも、

これは、どうも、こちらの「珩」から、分かれた三本の内の「𧘂(衝)」の真ん中の部分を象っているように見えたりとかでして、

または、こうして玉は、この帯の所から垂らしたりしたときに、このように垂れている姿ですよね。

それでこちらの外の部分は、服で真ん中に玉なんじゃないかなと見えたりでして、

まあ、きちんと字形とそれを象った現物の対応が取れているじゃないかと興奮してまいりましたけれども。

以前にこの「堇」の甲骨金文の形で、U字型の頭の上に乗っかってる!これは何かということで考えていったんですね。

それで前に玉璜(玉珩)ということでして、この形かもしれないとお話した覚えがあるんですけれども。

でも、こちらのようにむしろ下を向いて、使われていたわけですから。

そうじゃないんじゃないかと思いまして、

考え直したんですね!

こちらは時代は少し下りますけれども。

戦国時代の齊の陶器で作られた人形にあるような冠飾、

冠の可能性があると考えたんですね。

もしくは、甲骨文では、おなじみの「口」、飾符、もしくは、羨符とも言いますけれども、

その形ではないかとも思いました。

字形が訛るとは、意符が加わるということもそうですけれども。

文字が象る対象が、再び解釈をされまして、

字型に盛り込まれることもありまして、

意外と複雑な要因で多彩な字形が生まれてきていまして、

時代が経つごとに、もしくは地域の違いもありまして、

それで前にこの「堇」の足の下にある、

これは何だと!?

甲骨金文の字形を丹念に調べましたよね。

そうしましたら、 純粋に文字の考察によって、

「山」じゃないかという結論に至りましたけれども。

今回は言語の考察から、どのように見えるか語りたいということで、

こちらを見てみましょう!

先ほどの画面では、

「堇」の甲骨金文の文字資料が少なすぎたため、

まあ、とにかく甲骨金文を多く集めまして、

特に古い殷や西周の最初、

それでゆっくりと見てみましょうとご用意いたしましたけれども。

甲骨金文の字形を帰納して分かることは、

「堇」は人がいて、頭があって、頭の上に「口」がありますよね。

V字になっちゃっているのが、

時どきこのようにあるんですよ。

もしくは、Uだけでして、

これ、甲骨文は横を刻し忘れることも多々ありますけれども。

「堇」だけでなく、「艱/囏」の方でも見ましたら、

刻し忘れているという部分がありますけれども(笑)

いつものように言語の方を見てみたいということで、

鄭張尚芳さんとBaxter-Sagartさんの上古漢語の再構を挙げておきましたけれども!

先ず、「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]、「艱/囏」*krɯːn, *kˤrə[r]でして、

(音声学において、)[k]と[g]は、無声と有声の関係で同じ調音部位ですから、

諧声系列をなしていましてね。

「艱/囏」*krɯːn, *kˤrə[r]は、「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]を声符とする形声字ですけれども、

しかもですよ!

甲骨文では、むしろ、「喜」*qʰlɯʔ, *qʰ(r)əʔが主流でして、

まあ、[k]と[qʰ]は近い(調音ですから)!

IPA(国際音声記号)で[k]から[q]は、調音部位が、軟口蓋から口蓋垂でして、更に奥に行きますね。

それでしかも有気音ですけれども、

やはり、近い音なんですよね!

そして、最後は[r]か[ʔ]ですけれども、声門閉鎖音ですけれども。

これは語根ではないでしょうから、

まあ、この部分だけを見てみましたら、

本当に前の部分「喜」は、声符として振る舞ってんじゃないかと!

音を示してるんじゃないかと!

「堇」と「喜」が二重の声符でして、こちらを見ましたら、

両方とも揃っちゃってる!

両声字かなと考えられますけれども。

そういうことを考えていけるということでして、

こちらも、かなり後の伝承古文ですけれども、

こちらは、「難」*n̥ʰaːn, *nˤarの方で同じこの声符を持っている。

この「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]を持っているものを見てみましたら、

これは「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]でしょ。

ところが、これ「𩀙」は「喜」*qʰlɯʔ, *qʰ(r)əʔ、これは太鼓の形「壴(鼓)」です。

それでこちらの鳥「隹」は間違いなく、意符(もしくは戦国時代に飾符としても使われました)から、

「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]と「喜」*qʰlɯʔ, *qʰ(r)əʔは交換されているということでして、

「喜」*qʰlɯʔ, *qʰ(r)əʔは声符なんですよね。

ということで、こちらで「喜」*qʰlɯʔ, *qʰ(r)əʔについて見てみましょうとご用意いたしました。

この「喜」は、太鼓の「鼓」の象形「壴(鼓)」の初文を声符としていますけれども。

太鼓の方はちゃんと手「又」で撥「⺊」を持って打っている形「攴」が見えますけれども、

これはどうも、更に「喜」は分析できて、

音の方から行くとですよ!「艮」*kɯːns, *[kˤər-s]が、やはり、音が近いということで声符して振る舞っているじゃないか!

そして、更に「喜」は「壴」と比べましたら、

太鼓「壴」の下に「口」が付いている!

これはおなじみの飾符(羨符)でして、

やはり、字形を区別するためではないかと思いました(六書の「転注」の動画を御覧下さい。)

それとこちらの「壴」と「喜」は、この言葉を書いてるから、

やはり、「口」じゃないかと思いました(即ち、飾符に「口」が多いのは、単なる飾りというより、言葉を書いているからという意味も持ちうるということです。)

また、隷定(楷書化)されたとき、

音を見ると「豆(壴)」の方になっちゃっているんですよね。

鄭張尚芳さんも、Baxter-Sagartさんも、

「壴」*tos, *toʔ-sや「豆」*doːs, *[N.t]ˤo-s, [d]ˤok-sでして、

これを見ると「豆」は、やはり、青銅器を象っていますけれども。

でも、「喜」や「鼓」は違う言葉なんですよね!

なぜなら、音が全然違いますから!

それで字形が混同されてしまい、紛らわしいですけれども。

甲骨金文で見ましたら、太鼓の「鼓」の方は上に房がついているんですよ!

上にピヨン、ピヨン、ピヨンと出ているんですよね!

これ!

ユーモラスで可愛らしい感じ(笑)

「豆」は何もないか、

まあ、一本棒はありましてね。

それで区別されていますよね。

こちらはピョンピョンピョンで出てないです!

ですから、「喜」の声符はこちらの字ですね。

この部品を見比べればいいですから、

そして、「口」が付いてます。

もしくは、この「艮(𥃩)」*kɯːns, *[kˤər-s]!

この字も、こんな形で似ているんですよ!

それを声符として持ってんじゃないかということで戻ってみますよ。

今、見ていったことは、

「喜」*qʰlɯʔ, *qʰ(r)əʔと「艮(𥃩)」*kɯːns, *[kˤər-s]でしたけれども、

「囏(艱)」*krɯːn, *kˤrə[r]は、やはり「喜」*qʰlɯʔ, *qʰ(r)əʔと「艮(𥃩)」*kɯːns, *[kˤər-s]の両方とも政府として持つようにありましたけれども、

見てみましたら、

「囏(艱)」*krɯːn, *kˤrə[r]でして、

「艮(𥃩)」*kɯːns, *[kˤər-s]ですから。

どうも最後に*-s suffixが付いているか、

もしくは、真ん中に infixの有無だけで、

ものすごく良く似ておりますよね。

まあ、この苦しいという言葉「囏(艱)」*krɯːn, *kˤrə[r]とこの「艮(𥃩)」*kɯːns, *[kˤər-s]は語源的には関係はないと思いますけれども。

次は「堇」についてですけれども、

甲骨金文を見てみるんですよ。

先ほどこっちでしたけれども。

更にさかのぼった形。

人の形であるということは分かりますけれども、

どうも先ほどの「艱(囏)」*krɯːn, *kˤrə[r]の字形のバライティにおいても。

まあ、今度は「堇」の方、太鼓「壴(鼓)」ではない方に注目して見てみますけれども。

太鼓「壴(鼓)」以外の所は、

先ずこの形もありますよ。

まあ、ここの甲骨文では、横棒をよく刻み忘れることがありますけれども。

私、最後の方に置いておいたんですけれども、

「女」が付いているのがありまして、

もしくは、「卩」という人が座ってるひざまずいている形、

そして、「人」ですね。

これらの形もありまして、

更にこちらは「呉(吳)」も思わせるような形ですが、

どちらしてもこの人の形「夨」ですよね。

といった、「艱(囏)」*krɯːn, *kˤrə[r]には、字型のバラエティーがありますけれども。

いづれも、やはり、人の形「女」「人」「卩」「夨」をしているということが分かりますね。

それでこちらの部分だけ抜き出しちゃうと、

「堇」と同じ構造を持っているわけですけれども。

どうも、この「堇」の甲骨金文には、

やはり、頭の上に「口」があるものが多くて、

こちらでは、横が突き出ているのもありますね。

少数ではありますけれども。

まあ、この後の時代は、ずっともう楷書でも、

こちらがメジャーになりましたけれども。

今度は気になっちゃったことがあって、

例の足の下に「山」がありますけれども。

これは何だということ!

即ち、この頭の上の「口」と、足の下の「山」、

これら2つは何なんだと、今から考えてみたいと思いますけれども。

実は甲骨文には、「口」や「山」がない形もあるんですね。

私はないところから分類して、

少しずつ増えていくような形で置いておいたんですけれども。

こちらの字形を見ましたら、

これは「黒」を思わせてくれるんですよ。

もうすごくよく似ておりまして、

今度は「黒」を見てみたいと、

こちらに行ってみましょう!

「黒」という字は、今まで字源が分からなかったんですよ!

そういうときには、私は先ずは、

今までの説(先行研究)を色々と探索してみるんですけれども。

こちら、季旭昇:《甲骨文字根研究》(臺北:文史哲出版社,二〇〇四)を見てみましたら、

今までの説が列挙されていまして、

まあ、先ほどの「黄」のように「黒」においても、

三本足に分かれた字がありますけれども。

龍宇純先生が言うには、

「田」のような形が、「黒」という字にありますけれども。

それを金文「鬼」の頭の形と合わせて考えているんですよ。

これは「鬼」(笑)

それで「黑」と「鬼」の甲骨文は、

ものすごく(頭の部分が)異なることから、

私は違うと思ったんですよ。

それでその後に唐蘭先生が言うには、

四つの点を打たれている形があったり、

二つの点もありますけれども。

これは、どうも、墨刑と言いまして、

顔に入れ墨をする刑罰ではないかと考えているということで、

「黒」と「墨」を関係させて考えた説など、

諸説ありまして、それで諸説が列挙されておりますけれども、戻ってみますよ!

だけれども、やはり、この「黒」という字は、分からんということでして、

そこで考えてみなんですよ。

そうしたら、簡単じゃないか!

甲骨文を集めてみたら、

頭に丸を書いているだけです!

前に六書の指示字の特集で出ました指事記号ではないかと思いまして、

実はその時に披露したんですよね。

そちらで御覧いただきたいと思いますけれども。

「黒」は頭がやはり黒い!

髪の毛が黒い!

それでしかも、(頭は)ゴロっとした感じでして、

(字形上で)丸でいいじゃないか!と思ったんです!

まあ、基本的にこうした形のように、

こちらは少しずれています(笑)

漢字は強調したい部分を丸で示すという、ハイライトをよくするんですよ。

ここだよってことでして、

それとあとものすごく強調して書いている、上のこの部分、

先ほどの「鬼」の頭の説では、

頭を象ったという、リーチまで来ていたけれども、

「黑」と「鬼」の甲骨文は、田んぼのようになっていまして、先ほどは四角でしたからね。

だから、頭の部分が異なりますから、

私の指事記号という解釈でしたら、

これらの全部の字型のバラエティの説明がつく上に、

殷代の甲骨文では、頭を丸く囲んだシンプルな形でしたよね。

ですけれども。西周金文になっていきましたら、

横線を入れた形になりまして、

更に西周晩期になると訛って点が打たれたという経緯もすっきり説明できまして、

これも仮借の特集でしましたけれども、

思(恖)は、この頭の部分「囟」が、

泉門、 赤ちゃんの頭蓋骨の上を見た形を象りましたから、

頭との関係性は強いわけですよ。

そして、また、果実の「果」は、

木の上にゴロッとしたものが付いてる。

実がなっていることですけれども。

見てみましたら、同じように人の頭も、

やはり、ゴロッとしたようなものを象るようなとき、

こんな形になったと言えるんですよね。

まあ、後の時代に墨刑だから、顔の入れ墨をしたというように解釈されて、

字形が訛りましたことは否定できませんし、

それで《説文解字》などでは、

「燻す」という字の「熏」と関係づけて、

火で燃やして、煤を集めて、墨を作るというような誤った分析をしていましたけれども。

後はどうなろうとも、字源からすればですよ。

字の形の源ですから、最も古い形、甲骨文からしましたら、

私が言いました頭の所を丸で囲んだ指示記号であると解釈するのが自然なんじゃないかと、

そして、その頭の表現しかたで、どんどん、どんどん、バラエティーが生じたということも、

今お話できたんじゃないかなと、

頭が黒いから、ここだよというメッセージ!あっけにとられるほど、シンプルですけれども。

今まで誰もどうして気づかないんだというぐらい。

でも、頭だよという指示記号で、もう本当に黒を示したエレガントな発想というのは、世界で初めてかと思います。

ちなみに、「黒」*m̥lɯːg, *m̥ˁəkの語源は、

「墨」*mlɯːg, *C.mˁəkでして、まあ、ちょっと分からない子音が(Baxter-Sagartさんたちの再構には)付いていますけれども。

漢蔵祖語*s-ma(ŋ/k)から来ているということでして、

まあ、チベット語 སྣག, snagやビルマ語 မှင်, hmangにも近い形がありますけれども。

「堇」に戻ってみましたら、思ったんですよね!

これじゃあ!「黒」と分からない!

「黒」と「堇」を区別するために、

最初期の甲骨金文ではですが、

頭の上に飾符(羨符)「口」を加えたではないかということなんですよ。

そして、次は、足の下の「山」は、

どうして付いているのかということを考えてみたいということで、

こちらに行ってみたいと思います。

遂に「漢」の本丸が見えてまいりましたけれども。

以前にこの金印のシリーズにおいて、

先ず、「漢」の文字上の分析をしまして、

まあ、意符は「水」ですけれども、

声符は「堇」なのか、「黄」なのかということでして、

近い字形の候補から、「堇」だろうとはしましたけれども。

やはり、この「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]という字の音を見ましたら、「漢」*hnaːns, *n̥ˤar-sでして、

ちょっと、最初のところは違うけれども、

[ɡ]と[n̥]でして、 それで後の所は似ている感じがするということで再構されておりますけれども。

ここで思ったんですよ。

「漢」*hnaːns, *n̥ˤar-sと「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]と、それとこの「堇」の下は「山」じゃないかという話だった!(そして、西周中期から戦国時代にかけて、「火」や「土」に訛ったことを純粋に字形の考察から、文字の観点から確定しましたけれども。)

それで「山」を見ていったらですね。

「漢」*hnaːns, *n̥ˤar-s、「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]、「山」*sreːn, *s-ŋrarですから、

確かに近い子音を持ちますから、

今回これらは、特にここ(ŋrar)とここ([ɡ]rə[r])とここ(n̥ˤar)、ハイライトした部分を比較しましたら、

「漢」*hnaːns, *n̥ˤar-sの声符は、「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]、

「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]の声符は、「堇」の下に書いてあるこの部分が「山」*sreːn, *s-ŋrarであるというのは、この「山」*sreːn, *s-ŋrarも声符として、振る舞っていいんじゃないかと!

「山」*sreːn, *s-ŋrarは声符である音を示していることに思い至ったんですよ!

そうすると、すごいことがありまして、

今、結構「漢」*hnaːns, *n̥ˤar-sと「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]は、音が違うと言いましたね。

だって、無声化されたn [n̥]と g で違うんですよね!

「山」*sreːn, *s-ŋrarのng [ŋ]を挟みまして、「漢」*hnaːns, *n̥ˤar-sの無声化されたn [n̥]、「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]の kの有声化された [g]、

少し離れた子音たちが諧声関係にあるということもエレガントに説明がつくんですよ!

これはもう一度強調したい!

「漢」*hnaːns, *n̥ˤar-sの無声化されたn [n̥]、「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]の kの有声化された [g]の仲人が、「山」*sreːn, *s-ŋrarのng [ŋ]じゃないかということなんですよね。

つまり、ng [ŋ] のこの形は鼻音でしょ!

鼻音は、やはり、鼻の方に空気が行かなきゃいけない!

口に空気が入ってきちゃいけない!

だから、止めなきゃいけないんですね!

(口の)奥の方で鼻の方に(息を)流すわけですよね。

それでその調音は非常に[g]に近いんですよ。

前にこれも(現代漢語の動画で)やりましたけれども。

国際音声記号(IPA)で[g]は、中国語では、今あります[k]の有声化された形で調音は同じでして、

k [k]とng [ŋ]はすごく奥の方で舌がありますから、

口の方に空気が行かないで、鼻の方に空気流したい、[n]は鼻音ですから、近い子音なんですよ。

今度は興味を持ってしまったのは、

この「山」*sreːn, *s-ŋrarの語源ですけれども。

《釋名》「山,產也。產生物也」には、「産」*sŋreːnʔ, *s-ŋrarʔと同じ音なんですよ。

最後に[ʔ]が付いてるだけです。

それで前に形声字の動画で出てきましたけれども、

これは漢蔵祖語*sryalでして、

「山」と語源が異なるんじゃないかと!

「山」*sreːn, *s-ŋrarの語源は、

考えてみたら、

漢蔵祖語「山」「丘」「尾根」*s-gaŋじゃないかと!

チベット語སྒང, sgang /*zɡaŋ/、

ビルマ語ခင်, hkang/kʰɪ̀ɴ/、

そして、彝語*kaŋ¹、

タマン語*ᴬgaŋで有声化されました。

ピュロイク語(蘇龍語)gɹaŋ³³だったんですよ!

似てる!

まあ、他の言語では、皆、ŋですよね。

このrは、確かにnが読み替えられまして、

実際、鄭張尚芳さんの方は n ですね。

まあ、nとŋも読み替えられることはありましたよ。

ですから、不可能ではないかなと思います。

まあ、これは一つの提案ですけれども。

漢語の中にも、漢蔵祖語「山」「丘」「尾根」*s-gaŋから来た言葉、

例えば、「岡/崗」*klaːŋ, *[kˤaŋ]とか、

「京」*kraŋ, *[k]raŋ、

あとは、「鯨/䲔」*ɡraŋ, *[ɡ]raŋなど、

これらは、「盛り上がった」という意味を共通として持っていまして、

「岡/崗」*klaːŋ, *[kˤaŋ]は、土地が盛り上がった所。

「京」*kraŋ, *[k]raŋもそうなんですよ。

そして、「鯨/䲔」*ɡraŋ, *[ɡ]raŋは、水面から盛り上がって、大きい魚でボンと出ているということでして、

まあ、そういうことから、語源から、動物の名前がついたかもしれませんけれども。

このちなみに「鯨(くじら)」は、こちら「畺/疆」*kaŋ, *kaŋを声符として「䲔」も書かれましたけれども。

私が調べたら、《漢書·揚雄傳》。

揚雄さんは《方言》を編纂したとして出てきましたよ!

それでその中《漢書·揚雄傳》「入洞穴,出蒼梧,乘鉅鱗,騎京魚」に「京魚」が出てまいりまして、

それを一文字にして、

「鯨」は、今でもわれわれも使う文字で主流になったんじゃないかということでして(また、《水經注‧沔水一》「漢水又東逕鱉池而為鯨灘。[鯨,大也。]」で「鯨」が「大きい」の意味で比喩として使われ)、

前にKF-Scholaでしましたけれども。

中国語の元素記号みたいですよね。

一文字に圧縮してしまう!

また、Baxter-Sagartさんたちは、

漢蔵祖語「会う」*ŋra-k/ŋからきているんじゃないかと!

それを語源としていますけれども(Baxter-Sagart 2014: 148)。

考えてみましたら、どうも、漢語以外にビルマ語ŋrâとジンポー語nyāくらいしか、

「会う」という言葉がなくて、

漢蔵祖語の再構は、今一つちょっと弱いんですよね(また、語尾のnとŋの対応も同じく想定されています)。

また、別の漢蔵祖語*s-ŋa-k、

s-ŋaの部分がありまして、

これは上古漢語「額」*ŋɡraːɡ, *C.ŋˤrakと関係がするかもしれませんけれども、

「顔」から、「会う」に入ったかもしれないということですが、

それらと「山」とは意味が遠いですよ!

子音は似てるかもしれないけれども。

そして、漢民族の「漢」、漢王朝の「漢」の語源は、

まあ、これは武漢で合流する長江の支流「漢水」、もしくは、「漢江」という河川の上流にある陝西省の「漢中」という地名が語源ですけれども。

(漢王朝を開いた)劉邦さんが、そこの王になったところが始まってるわけですけれども。

それから王朝の名前になった!

それから民族の名前になった!

漢語や漢字にもなったわけですけれども。

更にその「漢水」という、

河川の語源、

この上古漢語の「漢」の語源を漢蔵祖語まで遡りまして、分析をしたところ、

この「水際」ではないかと発見しました!

そして、《説文解字》「漢,漾也」とありますが、

声訓でして、上古漢語「漾」*[ɢ(r)aŋʔ-s]と音が近い上に、

しかも、rを読み替えて、nとŋの対応も見られるんですよ。

しかも、戦国時代の楚文字で前に見ましたけれども(「漢」の字源を探究の最初の動画をご覧下さい)。

この「漢」は「灘」*n̥ʰaːn, *n̥ˤarという字で書かれていましたよね(「隹」は飾符と考えられます)!

それは、*-s suffixがないだけの形でしたけれども。

しかも、生涯の「涯」*ŋreː, *ŋˤrarも、「水際」という意味でして、

それで思い当たったんですよ!

漢蔵祖語*r-ka(ː)mは、もともと「口」「唇」「際」「裾」「堤」「岸」などの意味なんですよ。

漢蔵祖語*s-gramは、「頬」「顔」「顎」「髭」、

漢蔵祖語*r-ka(ː)mが、今言った方ですけれども、

これらは更に同源だろうということでして、

あまりにも、広い範囲に使われている言葉ですから、分けましたよという注釈をSTEDTに加えてありました(チベット語「頬」「岸」འགྲམ, 'gram、ビルマ語「岸」ကမ်း, kam: /káɴ/、クキ=チン語「口」「岸」*kam、ジンポー語「絶壁」「岸」ǹ-gàmなど)。

だから、同源です!これはすごいですよ!

日本語で言うと「漢」の本来の意味は「水辺」「水際」、 特に「水の際」というセンスでして、

「灘(なだ)」、「涯(はて)」と読みますよね。

「岸(きし)」とか、まあ、《水滸伝》の「滸(ほとり)」と関係してきますよね!

実際、同源だろうということでして、

これこそが、当に「漢」の語源、

「漢水」の語源と考えられまして、

更にそこから漢朝(漢王朝)に行って、

漢族(漢民族)に行って、

漢字、漢語などが出てきているということだということで興奮してまいりましたけれども。

実が先ほどの山のところの「崖/厓(がけ)」*ŋreː, *ŋˤrarと音が似ている。

音が完全に一緒なんですよ!

こちらも「厂(がけ)」*hŋaːnʔ, hŋaːns, *ŋ̊ˤarʔ, ŋ̊ˤar(ʔ)-sなんですよ!

本当に崖の形なんですよ!象形していまして、

それで「巘(みね)」*ŋranʔ, *ŋ(r)ar(ʔ)ですけれども、

こちらも、関係があるかもしれなくて、実は一筋縄ではいかないんですよね。

漢蔵祖語の段階で語源が異なりましても、

上古漢語の段階で発音も意味も近くなり、混同されてゆきました事例は、結構あるんですよね。

全く異なる語源ですけれども、

発音や意味が似ていると言葉が混同されてしまう現象は、

漢蔵語族だけではなくて、印欧語族でも、結構よくあるんですよ。

ですから、 もしかしたらですよ。

「山」の語源すら、先ほど提案しました漢藏*s-gaŋではなくて、

特にこちらのs-gramやr-ka(ː)mから、行っているかもしれないです。

むしろ、 こちらは m でしょ!

それでng [ŋ]、

こちらの最後のng [ŋ]の問題もないため、

こちらかもしれないということもありますよ!

本当に語源の探索は、本当に複合的な要因が絡み合っておりまして、

一意的に決定できないということがあるんですよ。

字源もそうでしたけれども。

言語や文字が使われていくうちにどんどん混ざっちゃったり、混同されちゃったり、よくあることなんです!

そして、この辺り、

これも「嵁/磡(がけ)」*kʰuːms, *[kʰˁəm‑s]、

こちらも「𠪚(がけ)」*[hŋram], *N-qʰˤəm、

それで「巖(けわしい)」*ŋraːm, *[ŋ]ˤr[a]mとか、これはもう、こちらも「嶮(けわしい)」*hŋramʔ, *[qʰˤamʔ])でそうだ!

これはこのグループに関しても、こちらに入ってますけれども、

一応、音で分けていますけれども。

それでこちらを入れて、しかも、マティソフ教授はSTEDTでこの二文字はこちらに入れてましたため、入れておきましたけれども、

両者の語源が、もうこれらは「山」に関係している言葉だから、

混ざり混んでることは考えられますよ!

こちらには、《説文》や《爾雅》を引いておきましたけれども。

今、出てきましたこれらの文字というより、

それらが書いていた言葉は同じ系列だということは分かるんですよ。

まあ、やはり、こうした《説文》《爾雅》《釋名》《方言》など、

こうした古い文字の使い方や読み方の記録もですね。

こうした語源や字源を考えてゆくときに、大きな手掛かりとなるんですよね。

これもおなじみですけれども。

また、前に「漢(灘)」の声符は、「堇」なのか、「黃」なのかという候補から、

「堇」と確定しましたけれども。

言語の方、音韻の方から考えても、

明らかに「堇」であることが、ここでも、はっきりしました!

しかも、この「堇」の字源は、

本字は、やはり、玉「王」が付いた玉「瑾」を佩いた人ではないかということも、

前にお話ししましたけれども、

字形が訛ったもう一つの原因は、

こちらに「土」を加えた「墐」が粘土という意味はあるわけですよ!

語源は漢蔵祖語「土」*r-kaじゃないかと突き止めました!

ボド=ガロ語*haʔ、

ナガ語*kaᴮ、

ジンポー語gáなどと関係していますけれども。

しかも、rk でしょ。

gr でしょ。

まあ、これ kの有声化された形ですから

子音の並びが逆になっているんですよね。音位転移(metathesis)を起こしていますね。

また、「黃」*ɡʷaːŋ, *N-kʷˤaŋの字源も、

やはり、玉「璜(こう)」を佩いた人ではないかと、前にお話ししましたけれども、

語源は、マティソフ教授はSTEDTでものすごい数の項目(allofams)で再構をしていましたけれども(#5683 PTB hwa(ː)r ⪤ yar、#694 PTB *hul ⪤ *hwa(ː)l、#5395 PTB *hwa(l/r)、#3609 PTB *hwam、#5518 *hwaŋ、#2271 *hwa(n/t)などがあり、STEDTでも#6713 PTB *(p/b/h)(w/y)a(ː)(r/l/n/t) FIRE / BURN / SHINE / BRIGHT / LIGHT / WHITEにまとめられていますが)、

全部 hwaがあるんですよ! それでその後が違ったから、

私は*hwa(r/l/n/t/m/ŋ)にまとめておきました。

もうバラバラにいっぱいあった!

接尾辞をまとめておきましたけれども。

全て意味も、燃やす、焼く、熱する、熱、光、光る、輝く、輝き、白色、黄色みたいな意味なんですよ!

そして、それらの文字で書かれた言葉が漢語にも存在してありますれども。

「曠」*kʰʷaːŋs, *[k-m̥]ˤaŋ-s, kʷʰˤaŋ-sとか、

「光」*kʷaːŋ, kʷaːŋs、

「榮」*ɢʷreŋ, *[N-qʷ]reŋはよく私が行っていました似たような語源のものは熟語になりやすいと!

「光栄」ですと言いますけれども、

これもそうなんですよ!

「熒」*ɡʷeːŋ, *[N]-qʷˤeŋ、「螢」*ɡʷeːŋ, *m-qʷˤeŋということで、

まあ、黄色も、そうなんですよ。

結局この玉の名前に入ったのは、

どうも黄色か、もしくは輝く玉から、

まあ、この文字もこちらが本字で、「黄」*ɡʷaːŋ, *N-kʷˤaŋの方に使われてしまったから、 意符として玉「王」を付けて、「璜」*ɡʷaːŋ, *[N-kʷˤaŋ]になったんじゃないかと!

こちらの「瑾」*ɡrɯns, *[ɡrər-s]も、こちらの「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]からの仮借で元の字が玉「王」がついて、こちらの「瑾」*ɡrɯns, *[ɡrər-s]として残っているのではないかと考えられますということでして、

こちらの字を見ても、

「瑾」*ɡrɯns, *[ɡrər-s]という字は、初期の頃は玉「王」がついてない形「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]で表れていると同じだということで見てこれましたけれども。

実はこうした事を考えていきました道筋を見せしたいということで、

こちらに行ってみましょう!

前に「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]や「黃」*ɡʷaːŋ, *N-kʷˤaŋの諧声系列を考えながら、

本字はどれかを探り当てて、字源を考えてゆく、舞台裏をお見せしてしまおうと、

お出した覚えがありますけれども。

今回は更にデータを増訂いたしまして、

今までしてまいりましたよう、

網羅的に諧声系列にある漢字で書かれた言葉の語源まで遡りまして、

それぞれ調査をいたしました!

そして、グルーピングしたんですよね。

現段階での結論を集約して書いておきましたけれども。

先ず、この最初の「漢」*hnaːns, *n̥ˤar-sで先ほどお話しましたように漢蔵祖語*s-gram(#262 PTB *s-gram CHEEK / FACE / JAW)や*r-ka(ː)m(#454 PTB *r-ka(ː)m LIP / MOUTH / EDGE / BANK)ということで「口」「唇」「際」「裾」「堤」「岸」などでしたね。

そして、この漢蔵祖語*na-(n/t)(#160 PTB *na-n/t ILL / PAIN / SORE / ACHE / DIFFICULT / EVIL SPIRIT)は、

今度は「難」*n̥ʰaːn, *nˤarとか、これはもともと、「病気」「痛み」「苦しみ」「難しい」という意味なんですよ。

それで「歎」*n̥ʰaːns, *n̥ˤar、「嘆」*n̥ʰaːn, n̥ʰaːns, *n̥ˤar-sも、そういう言葉ですね。

そして、次の漢蔵祖語*kan(#120 PTB *kan DRY (UP))は、「乾く」という意味なんですよ。

まあ、「乾/干」*kaːn, *kˤar、「旱」*ɡaːnʔ, *[ɡ]ˤa[r]ʔ、自体も同じなんですよね。

そして、「艱」*krɯːn, *kˤrə[r]を見てまいりますけれども、

意符として、金文において「火」がついてるのもありまして、

「乾く」という意味もありますよ!

だけれども、やはり、先ほどのこちらの漢蔵祖語「苦しい」*na-n/tもあるから、一時的には決められないです。

二つの漢蔵祖語「苦しい」na-n/tと「乾く」kanはもう入っちゃってんじゃないかと!

この飢饉の「饉」*ɡrɯns, *[ɡ]rə[r]-sも、日照りで飢えるということでして、

まあ、これも「苦しい」の方に入るかもしれないということはありますけれども、

やはり、この音の方(子音の配列qʰˤ, kˤr)から、

こちらに入れておいたんですよ。

次の漢蔵祖語*r-kyaŋ(#2375 PTB *r-kyaŋ SINGLE)はこちらもやはり、

「僅(わずか)」とか(チベット語རྐྱང, rkyang 、ビルマ語ချင်း, hkyang:、ギャロン語rkɯn、カレン語kʰlə́)、現代漢語でも「纔/才」*zlɯː, zlɯːs, *[dz]ˤə, [dzˤə-s]も「のみ」として使うんですよ!

また、これらも語源が一緒じゃないかと!

《説文解字》「僅,材能也。」の段註「材今俗用之纔字也」にちゃんと書いてありまして、つながっているということで特定いたしまして、

次のこちら、 *m-lu(ŋ/m)(#1381 PTB *m-lu(ŋ/m) HEART / ROUND)は「心」という意味なんですよ!

それか、もしくは、クメール語の古い形*kreṅa「恐れ」から入ったんじゃないかという、オーストロアジア語族(モン=クメール語族)の方が入ったんじゃないかと漢藏語族の方に借用された!

「恐れ」という意味でして、

それと「驚/警」*kreŋ, *kreŋという言葉とか、

「敬」*kreŋs, *kreŋ(ʔ)-sとか、

「覲」*ɡrɯns, *[ɡrər-s]とか、君主に会うとか。

勤労の「勤」*ɡɯn, *[ɡ]ərや慇懃の「懃」*ɡɯn, *[ɡ]ər、 また、「謹」*kɯnʔ, *kə[r]ʔ、「兢」*kɯŋ, *k(r)əŋなど、

これらの言葉とつながるんですよ!

これらは、どうも、やはり「心」が入ってるかもしれないということですね(しかも、漢蔵祖語#5889 PTB *s-m-lu(ŋ) MOUNTAIN / CLIMB (a mountain)は、山に登るという意味があります)。

次の漢蔵祖語*r-ka(#2284 PTB *r-ka EARTH / GROUND / SOIL)!

これも言いました! 「土」「粘土」は、「墐,涂也」*ɡrɯn, ɡrɯns, *[ɡ]rə[r]-sとか、「固」*kaːs, *[k]ˤa-sもそうではないかと!

そして、更にこちらの漢蔵祖語*r-lu(ŋ/k)(#1269 PTB *r-lu(ŋ/k) STONE)は、

どうも、「石」という意味ですけれども。

「瑾」は玉でしょ。

玉、石でここからだろうと言いました!

この「儺」*naːl, *nˤar, nˤarʔ、

優雅な振る舞いは、《詩経》「佩玉之儺」に佩玉と出てるんですよ!

「玉」と関係がある可能性がありそうです。 これは面白い!

音としてをこんな感じだから、「難」の辺りに入れようかなと思いましたけれども、

やはり、玉に関係するから、ここに今書いておきました。

「堇(瑾)」は、人が玉を履いている形だったでしょうということで。

本当に結びついてきて、字源とも、元の意味と一致している可能性があるということで面白いですね。

しかも、この「玉」*ŋoɡ, *ŋokは、

ここに来るだろうと全て結びついているんですよ!

こうしたデータと子音の対応と意味の対応を色んな方向から、

漢蔵語族の他の言語たちと結びつけて考えて特定していくと!

結構大変ですよね!

字源をもしくは語源を探るという作業は、色んなデータを集めて、その中から、これかな、ああかなということ、

まあ、最終的には、言語というのは、音と意味ですから!

それだけを頼りに行くわけですよ!

それで漢字の場合は何を象ったのか、どのような仮借をされていったのか。

まあ、これ語源が違うということであれば、

逆の言い方をすれば、これらは仮借をしたということですからね。

本当の所から言えば、最初は玉もしれないと私を言っていて、

それなら、この「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]、この音に近い言葉にどんどんどんどん当てたわけですよね。

それと面白いのが、私で気づいたことがありまして、

漢蔵祖語まで溯っていくと、

先ほど[n]と[g]で諧声系列があるけれども、遠いなと言いましたが、

でも、[n]と[l]は行きますからね。行きやすいですから。ここ [l]がきてますし!

それとあとは[n]もあって、「難しい」ところで来てるんですよ。

だから、この「難」*n̥ʰaːn, *nˤarという字は、

この「堇」*ɡrɯn, *[ɡ]rə[r]の音を持っていますからね。《説文解字》「難,鳥也。从鳥堇聲。」にそう書いてありますから、

ですから、「難」*n̥ʰaːn, *nˤarという、[n] を考えると「漢」*hnaːns, *n̥ˤar-sは [n] にいくのが納得できます(また、「隹」は戦国時代に意符もしくは飾符として加えられましたが、[g], [k] 系ではなく[n]系で少し遠いことを示している可能性もあります)。

それで漢蔵祖語の中でも[n]ですから、こちらは[k]ですけれども、これらは音が近いから、

皆、後で漢字をばんばんと仮借をして当てて行っちゃったんだから、そりゃそうだって言われそうだけれども。

語源として溯って行くと、 [l], [n], [k], [g]があるというのはすごいことですね。

こちらの漢蔵祖語*hwa(r/l/n/t/m/ŋ)(#6713 PTB *(p/b/h)(w/y)a(ː)(r/l/n/t) FIRE / BURN / SHINE / BRIGHT / LIGHT / WHITE)を見てゆきましたら、

「璜」*ɡʷaːŋ, *[N-kʷˤaŋ]も、「黃」*ɡʷaːŋ, *N-kʷˤaŋから言ったんじゃないかと言いましたけれども、

どうも、私は最初はここ(漢蔵祖語「石/玉」*r-lu(ŋ/k))に入れておいたんですよ。

というのは、「瑾」*ɡrɯns, *[ɡrər-s]でして、それで「璜」*ɡʷaːŋ, *[N-kʷˤaŋ]を比べるわけですよ!

「璜」*ɡʷaːŋ, *[N-kʷˤaŋ]で何か似ているという、

こちらも、後で意味が分化してゆきまして、

こちらは美しい玉に意味が分かれて行っちゃったから、違う声符を当てて、固定したって可能性は否定できないですから、

最終的に言えば、これが語源である可能性はあるんじゃないかという事は言っておきますけども。

「曠」*kʰʷaːŋs, *[k-m̥]ˤaŋ-s, kʷʰˤaŋ-sで「明るい」でしょ!

「光」*kʷaːŋ, kʷaːŋsと関係あるじゃないかと!

ちなみにこの「璜」*ɡʷaːŋ, *[N-kʷˤaŋ]が、石/玉に関係あるじゃないのかという、理由のもう一つは、

やはり、こういう語源を特定していくためには、関連する言葉があるわけですよ。

声符が全然違う!全然違うから、二の字形をしていても、

音を見れば、この「圭」*kʷeː, *[k]ʷˤeの唇音化[ʷ]と喉頭音[ˤ]されたマークが、

これらが全部一緒です!

これで最後の母音は、[aŋ]でも、[e]でも、もっと分析すれば -ng [-ŋ]の sufixの可能性がありますから、

そうすれば完全にこれと頃が取れるわけだから。

この「圭」*kʷeː, *[k]ʷˤeは玉ですから。とんがった玉ですから、

「璜」*ɡʷaːŋ, *[N-kʷˤaŋ]は半分の形、U字形の玉などいうふうに特化したけれども、

もともと石とか、玉という語源*r-lu(ŋ/k)から入ってる可能性はあるんじゃないかということは考えられるということ、面白いですよ!

本当に字源を特定するときには、こうした関連するこれも玉ですから。

そうした言葉と関係させていきましょうと、

「玉」は貴重だから。貴重の「貴」*kluds, *kuj-sも行くわけですよねという、同じ語源からの意味の派生、

それと接辞(affix)による形態論(morphologia)なども、考慮をして考えてゆけるじゃないかということでお話しました。

そして、この 「黃」*ɡʷaːŋ, *N-kʷˤaŋと同じ字が入ってる、同じ諧声系列の中には、「廣」*kʷaːŋʔ, *kʷˤaŋʔいう系列があるわけですね。

これは違う語源だと!

漢蔵祖語*g(r/l)aːy(#3574 PTB *g(r/l)aːy  SCATTER / SOW / DISPERSED WIDELY / WIDE / STAR)ということで、

これはやはり、「広い」「広がる」「散らばる」とか、

あとは「横」も「広さ」という意味で「橫」*ɡʷraːŋ, *C.ɡʷˤraŋでして、

「簧」*ɡʷaːŋ, *[N-kʷˤaŋ]が、楽器の舌で(リード)ですね。

こういう形で「堇」と「黃」を声符に持つ諧声系列の文字たちと、

それが書いている言葉と、更にその語源をサーヴェイしてまいりましたけれども。

戻ってみましょう!

そうした事を踏まえまして、

こちらの「堇」「黃」、何を象ったのか、字源の観点からいけば、

やはり、「堇(瑾)」「黃(璜)」は、 玉を佩いたり、佩玉したり、

頭のこの飾りは、 飾符の「口」か冠飾の冠など、

(「口」ではなく、突き出ちゃっていますから、)正装をした姿じゃないかと考えられまして、

初期の金文では、 実際に「瑾」*ɡrɯns, *[ɡrər-s]でも使われていますし、

そして、「謹」*kɯnʔ, *kə[r]ʔで使われていますし、

「覲」*ɡrɯns, *[ɡrər-s]でも使われている。

「勤」*ɡɯn, *[ɡ]ərでも使われている。

これらは仮借ですけれども。

元の字は、佩玉に関係があるだろうと思われます。

やはり、「黃」も、どうも「璜」からじゃないかと考えられました。

一般として、やはり、象りやすい形、

示しやすい形によって、

象形や指示によって、字形が生まれて、

それで仮借で発音が近い言葉に当ててゆかれて、

仮借字や形声字ができたんですよね。

この中では、やはり、佩玉した姿は、

やはり、一番、絵になりやすいですという形で、

今までの考察がまとめてゆかれましたけれども。

更にこちらの「漢」にゆきましたら、

「漢」という文字は、声符「堇」と意符「水」ですけれども、

更に声符「堇」を分析しましたら、

先ず、「黒」と混同しないよう、

頭の上に「口」が飾符で加えられて訛っている。

そして、音を更に書きたいということで、足の下の「山」が加えられたのではないかと音が近いからです。

そして、「漢」という言葉は、

漢王朝は「漢水」という河川の名前や「漢中」という地名から来ておりますけれども。

更に漢蔵祖語*s-gram, r-ka(ː)mまで遡りましたら、

「水際」が語源ではないかということでした。

特に「際」の部分、山の際もあって、「崖」もあったからということでして、

水の場合は、「水際」「水辺」「岸」「畔」「涯」とか、

そうした形になってますけれども。

言語と文字のデュアリティとして、

上古漢語の段階で同じ音でも、

漢蔵祖語の段階で語源が異なりました言葉が多いですけれども、

意味が近いとか、字形が近いことによって、混じり合うこともあったと!

そして、今はもう分からないくらい、もう混ざり込んでいておりましたけれども。

それらを私が解きほぐしながら、考えていったんですよね。

色んな資料を駆使して、

言語資料を文字資料、

そして、字源の探索、文字学にも、

音韻学や言語学など、上古漢語や漢蔵祖語の知見が、極めて有効で強力な分析をする手法となることは強調しておきたいと!

それは、言語を文字で書いてるんですから、

言語と文字のデュアリティになりまして、

実は漢字/漢語のユニークさの探究のシリーズは続いてるんじゃないかと思っておりまして、

それどころか、輝かしき金印「漢委奴國王」シリーズと合流しまして、

脈々と続いていることが分かります。

そうした形で今回も「漢」の語源と字源について、

色々と新しい観点から、新しい知見を提案で来たのではないかと思います。

新しい発想から、新しい探究を今後ともしてまいりたいと思いますので、

何とぞ、応援して下さりましたら幸いです。

今回もご覧くださいまして、

ありがとうございました。

失礼を致します。

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