モーツァルトは飛び跳ねているような変奏曲 Les neuf variations « Lison dormait », KV 264/315d(1776年)についてお話ししました。
ナジェージダ・ゴルボフスカヤの素敵な演奏を聴くことができ、盛り上がってまいりました。
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2021年2月13日
皆さま、こんにちは!今日はモーツァルト(のシリーズ)が、またでましたけれども、何をやろうかといったら、もうLison dormaitとこの変奏曲をやりましょうとなってしまいましてね。
何故なら、モーツァルトの音楽は、もうクリスタルの輝きのようなピカンとくる素晴らしさ、野原を駆け巡るような自由さ、
様々な輝き、煌き、閃き、そうした楽しさが溢れていまして、
この曲は変奏曲(variés, variationsと)とここに書いてありますが、これは元々オペラのアリアを変奏をしてゆこうとモーツァルトが書きましたが、
この曲は1778年にパリに行ったときに書いたらしいと、このオペラが上映されていたとされてきましたが、
最近の研究では、もうちょっと後にザルツブルクか、ウィーン時代まで行くんじゃないかという説も出てきていますから、
まあ、成立年は意外と分からないところもありますが、また、楽譜自体が自筆譜が伝わらず、結局、出版譜、当時モーツァルトが生きていた時代にウィーンのアルタリアから出ましたが、
同じ年にマンハイムとミュンヘンで何故か出版譜が出ている不思議なことがありまして、そちらの方のタイトル(ページを)出しておきました。
それでこの曲ですが、ちょっといつものケッヘルカタログで見ますと、1778年にパリで書いたらしいとか、第1版は1776年らしいとありますが、もう自筆譜はないということですが、
実はこの当時のコピー(手写譜マニュスクリプト)は残っていたりはしていますけれども、
それでこうした資料で色々なここには元となった旋律(Lison dormait)が、ここにも書いてくれていたりしますが、
ささっと行きますけれども。今回この曲を選んだ理由が、私はロシア・ピアニズムという、
まあ、ロシア帝国、この人はナジェージダ・ゴルボフスカヤ(Надежда Голубовская)と書いてありますが、
キリル文字で!この人はリャプノフという、有名な作曲家の弟子でして、レニングラード音楽院で教えました。
結局、帝政ロシアの最後に生まれて、ソ連の時代に非常に活躍した。教授として教えてたということでして、
そうした非常に素晴らしいピアニストですね。私はロシア・ピアニズムという、ロシア帝国末期に生まれた素晴らしいソ連時代のピアニストが沢山おりまして、沢山音源を集めて聴いて、誰が誰に習ってなどピアニストの系譜に興味がありまして、
もうこの人にも非常に興味ありまして、このレコードもなかなか珍しいんですが、これでラジオでゴルボフスカヤが弾いた、ここ(Вариации На Тему « Lison Dormait »)に書いてあります変奏曲。
テーマとヴァリエーション、このレコードで出たと、なかなかジャケットも美しいと思うんですよ。
それでこのナジェージダ・ゴルボフスカヤ(Надежда Голубовская)というピアニストは、ロシア語で書かれたこうした記事も見つけてきたりして、
この人の経歴が全部書いてありますが、これでこんな感じな方で、こうして教えていて、これを見ると、レニングラード音楽のクラスで教えているとロシア語で書いてあるんですけれども、こういった資料もありまして、
ロシアピアニズムもなかなか面白いということで、これもまたシリーズ化できると思うんですけれども、
まあ、今回はモーツァルトとオーバーラッピングするということで聴いていきたいと思います。
そして、ここに先ほど申し上げた1786年に出版されたウィーンのアルタリアと同じ年ですが、
実少し異版といい、違う部分があり、この第2変奏と第3変奏が、逆に出版されていて面白いんですけれども、
基本的に先に言いますと、こちらが3→2と行きますが、この右手に出てくる旋律が、今度左手に交換されて、また、つまり今ここにある1→3に行く方が自然で、実際に演奏もそうされてまして、Theme→ Var 1→ Var 3→ Var 2と行きますが、
この楽譜を見ますと、それでは、先ずモーツァルトが変奏曲を書きたいと思ったとき、
もしくは何かの良い旋律を見つけて、その旋律を変奏してみようと、モーツァルトは非常に鍵盤楽器(Klavier)の名手でして、様々なその旋律を変奏して弾くことが、皆さん前でそうした名人芸を見せたり、趣味がいい変奏を繰り広げ、音楽家の能力を皆に伝えられまして、そうして変奏などをしましたが、
まあ、大体15曲ぐらい伝えられていて、今その中でこれを選びましたが、
そもそも、私が思ったのがモーツァルトがかじゃあこの曲、このアリアを何故変奏してみようと思ったのかですね。
やはり、変奏に向く素材と変奏が難しいという素材があり、
これは非常に向いていて、どうしてこの旋律にしたのかと言いますと、これを見ますと、
最初は旋律的にここで始まりますけど、それでここでブロックみたいに和音的になる部分が、まあ、二つの音を出せないから、歌えないですが、きちんとと和音的になっています。
ここは旋律らしく、ここは和音、ブロックになり、そしてここがいいですね。まあ、基本的にこの曲は、ハ長調ですか。これはアウフタクトといって(Gが)出ていますが、
ここから始まりますが、ハ長調から初めてCの音から始まり、属調、ドミナント、五度上に行き、結局ここからはハ長調から見れば、ト長調はソ(G)の音が鳴っておりますが、
そこから一つずつ上がるんですよね。ここ見ますと、これは沢山書いてあるから、ちょっと見えますけれども、ソ、ラ、シ、ド、レ、ミ、ファーでいくわけですけれども、
それで最初にまた上のソまで行きますが、少しずつ一段ずつ上りまして、順次上行と言い、少しずつ上がり、なかなかこのブロックの和音も付き、素敵で非常に見通しが効いていて、
それでここからドミナントの上をずっといきますべ。ここ(♮)で臨時記号(♯)がキャンセルされてますよね。それで結局ここから、また進んでいきますが、
そうした形で大体この作品は大きく見ると、ここで分けられ、1,2で分けられ、3の部分があり、4の部分が丁度あり、
それで最後の所は、もうすごいここをドから見て、ここはファの音ですから、サブドミナントと言い、四度上です。それでドミナントで五度上、それでトニックといき、主音に戻る非常に強進行という強い(和声)進行です。
非常にもう解決感が強い、もうなかなか気持ちいい移り変わりです。そうして、和声的に非常に安定してる旋律だから、これを用いて、変奏をしやすいですね。非常に低音も安定しているから、上がもう遊んでも、下の土台がしっかりして、モーツァルトがこれを選んだということですよね。
まあ、実際に聴きながら、もういってみましょうか!もういきましょう!先ずアナウンスから始まると思います。ロシア語でラジオのアナウンスをカットせずに聴いてみましょう。
Исполняет пианистка Надежда Голубовская. Запись 1954 года из фонда радио(ピアニストのナジェジーダ・ゴルボフスカヤによる演奏です。1954年にラジオ放送協会が録音しました!)
トリルがかわいらしい!すごいここがしっかりしています!
うん
(カデンツが)しっかりしていますね!
上がります一つずつ。
ねえ、チャーミングですよね。
うん、これがブロック和音。
下行してますね。おおなかなかいい!
(第一変奏)ここ所で右ところに対して左が付いてきます。(左手の二度目はシャープが付きます。また付点と休符のタメでフェルマータが優雅です。)
うん、左の下降の仕方も滑らか、うんここの左のところなんかは係留してるんですよ。だから、拍感が(薄らぎます。)
ここしっかりしていますね。おお!高いところまでいく!
沈静化して、(最後は主題を思わせる低音です。)
こちらで(第二(三)変奏で)右と左を逆に入れ替えました。
それで下行しています。
それで(シュライファー音型の始まる音が)上がって上がって一つずつ、左に上がって、(右が)二声らしくなってますね。
右と左(が交互にきて会話しています。)
また一緒になって、つながって、また下がって、
一緒になって、
(第三(二)変奏)ここもモーツァルトらしい!
これでデクレッシェンドして(遠くに行く感じ)
高音に消え入る(ピアニッシモの)美しさ、おお(前打音による高音の輝き、)高音の所の自由さ!
ここがすごいのは、拍がずれているんですよ!つまり、拍からずれて、モーツァルトが遊んでる!
ここで結局もう本当に低音のリズムから少し出ていきました。
(第四変奏)ここはアルベルティ・バスと言い、もう加速してますね。上が(チャーミングな音を載せてきて、)ここですごいバスが(強進行のカデンツを強調しています。)
一つずつ上がりますが、下のところで
と思ったら、こうして解決を遅らせたまま、そのままずっと、ここ(でドミナント上のトリルで解決を保留して、)
ここで下が三度と五度でね。
ここが来ています。ここで(主調に)戻ってきました。
また、この部分はすごい音が激しく濃いです。
そうすると、今度は(アインガングみたいに)旋律的になって、
おお!ここはスタッカート、右と左を逆にして、左の方が、左といっても、かなり左の方ですが、ものすごく高音で三度のパッセージが美しい、ここ(エピソード)で(戻ります。)
(第五変奏)ここで短調に行きました!ここでシンコペーションになってますね。(伴奏が)すごい強い感じします。フラットが3つですから、これはハ短調。
(2/4の裏拍が高い音に跳躍して強調され、)一つずつ上がりますね。ここのところも、ずっと音がソが鳴っていますね。
それですごいここの(テヌート)
ここ半音進行みたい。
ここが、すごい軽くされ、抒情性が高められておりますね。
(第七変奏)これはもう弦楽器が(細かいパートの交代してホケトゥスのように)パンパンパンとなるみたいにここがオクターブの跳躍運動。
(オクターブの跳躍運動による順次上行)ここね。
この左がいいですよね。流れ。
ここ増強されております。低音がやはり流れがいいから、強く見せてきました。(C音が意識されて終止に向かいます。)
(第七変奏)その低音から続いて、逆に右と左を逆に(オクターブの跳躍運動を)載せていましたよね。
それで右のほうは二声らしく、二つの旋律に聞こえて、今度ここはやはり二声でいき内声が美しいです。
アルベルティ・バスでタカタカタカ、ここすごい速度感がある。
(第八変奏)と思ったら、ゆっくりしたアダージョ
タリラーン、導音というんですよね。
なかなかおもしろいですよ。(それでかわいらしい。)
この細かい装飾(連打のリズムが三連符に代わります。)
その真珠の珠がヴェルヴェットの上を転がるような味わいある音(jeu perlé)が聞こえましたね。
フランスの古いピアノ奏法の伝統ですが、この転がる感じが、美しいでしょう!
ここのところは、ニュアンスがありましたね。デリケートですね。スラーとこのタイと結び付けました!
おお!なかなか、jeu perlé、美しい!
おお!上がっています。この下がり方が思わせぶりです。
(付点リズムでシンコペーションを生み出す、思わせぶりな下行と)左手が縫うようにね。
すごい三度の美しいパッセージ、これは難しいんですよ。弾くのが。
なかなかきれいにクリスタルみたいな三度が美しいです!
高いところでタタタタ(と連打音型)、おおこのタタタを受けて流れ出してきました。
今度左手でこの三度のパッセージ、これ難しいですよなかなか
これは下と上でV字で上がって、下がっていく、この(バスが下降して上声が上行する)強い感じ、ウーンとここまで来て、
受けましたね。着地しました!
(アーティキュレーションを示す鼻歌♪)
(装飾音を示す鼻歌♪)、いいですねぇ~
美しいここの三度のパッセージ
おお、jeu perlé、いきましたね。
この(連打音型のエレガンス)
うーん美しい滑らか!
お!ここの動き!
お!着地して戻ってきた!美しいから聞き惚れてしまいました(笑)
(第九変奏)これはすごい拍子が変わり、すごい活動的になりました。
ここで減音程、減七が出てくるんですよね!
美しいこの左の三度と五度のパッセージ!
ここで上がっていって、
今、少し弾き間違えた!
それでここのところで、おおいいですね。前打音!
ここはどんどん管弦楽みたいに下がドゥルルルルルとなり、
管弦楽みたいになったら、ピアノコンチェルトみたいにカデンツァ!
ううん、ここ、ここはファンタジアみたいにフリーリズム!
うん、いいですね。下が強い、低くドゥアーンときました。
おおこの(駆け上がる)パッセージも(気持ちいい)、右と左が一緒に上がっているようですね。
これは難しいですね。美しいよくやってますね。
(チャーミングなトリル)
最初に戻りましたね。
ここシンコペーション!
うーん、美しいアルペジオ!
グレイスフル(優雅)!チャーミングでしたね~
それでアナウンスが入るはずです。
В исполнении пианистки Надежды Голубовской прозвучали вариации Моцарта на тему французской песни. Запись 1954 года из фонда радио.(ピアニストのナジェージダ・ゴルボフスカヤが、モーツァルトのフランスの歌による変奏曲を演奏しました。1954年にラジオ放送協会が録音しました!)
いい感じでですね。曲全体を通してみますと、もう最初の主題材から、物語みたいになっていましたね。
一つ一つの変奏同士の関係性、右と左の入れ替え方や、まあ、ここでも言えば、モーツァルトらしさ、この(鼻歌♪)
この何と言いますか、上がっていった時にこの高音に消え入るようなデクレッシェンド!
また、そこからこう戻ってくる遠近感もあり、すごいですね!
ここで私聞き惚れて過ぎましたが、係留音でつないでいて、
もう、小節線をまたいで繋いで、かなり拍感が薄くなるんですよ。そのために滑らかにしていると上の旋律が、スラーで、もうすごい数の音が繋がっておりますが、
もう、こういうところが、モーツァルトの細かいところですよね。この上の音旋律に対して、あまりバスが聞こえると滑らかさがこないということで、こうした拍感を揺らがせる、薄くするために係留音(suspended note)を使って、
サスペンドして、これもすごい面白かったです!
だから。結局この拍感の操作は、モーツァルトはどの作品においても、特にまあピアノは打楽器みたいですから、
やはり左のこの音が、強く拍を感じさせますが、それを揺らがせる、薄くする作戦をして方法を使っていまして、
また、(鼻歌♪)という煌めき、こうした私は、ゴルボフスカヤを選んだのは、この水晶のような煌き、高い音から低い音までの純粋さ、高い音の水晶のような輝きが、やはり、モーツァルトらしいという、これですごく美しかったですから、
そうして感じており、更にこのトリルなど、回想するように聴こえたんですよね。それはどうしてかと言いますとね。このところに来て、このドミナントの音で五度上でずーっと保っているんですよね。
それでこれを早く解決してくれというのを遅らせることにより、相手の注意を引きつける手法ですよね。そして、その間に美しい三度があり、やられたな!という感じがして(笑)
それでこっちでも下の左右逆転させてしていますが、そうした本当にモーツァルトは工夫、創意工夫に溢れていましたり、
それで途中でトゥルルルルルンと上がる、シュライファー音型と言いますが、これもすごく滑らかに加速していく、このシュライファーがトゥルルルルルンと上がるとき同じように
音符で書いてありますが、やはり、少し最初がゆっくりでトゥルルルルルンと上がっていきまして、
結局この上がってる(鼻歌♪)
という所も、結局上がるごとに少しやはり拍、テンポ、強さなどのニュアンスが、自然に変化するよう弾かなければならず、そうでないとモーツァルトが飛んでいる感じ、
モーツァルトがもう遊んでる、その低音の拍の箱やリズムに束縛されない、小節線を越えだ自由さという、天真爛漫さが、やはりモーツァルトの真骨頂ではないかと!
そうしたことを感じさせてくれたと思うんですよ。
ということで今回、この変奏曲を楽しんでまいりましたが、
すごくモーツァルトらしさに溢れていて、自由さ、優雅さ、チャーミングさ、 ウィットとユーモアに富んでいまして、もう本当にgracefulでした(笑)
今回もありがとうございました。もう本当にモーツァルトの音の輝き、楽しめたと思います!