モーツァルトの超絶技巧のオペラ Ascanio in Alba アリア Dal tuo gentil sembiante, KV 111!
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2021年5月18日
皆さま、こんにちは!
モーツァルトのシリーズ出ておりますけれども。
前回に引き続いて、またその次のオペラをやってみようかなと思って 持って参ったんですけども、
こちらはアルバのアスカニオ(Ascanio in Alba)と書いてありますけど、
Festa Teatrale、これは劇場の祭典ということですね!
それでこれは元々、フェルディナンド大公(1754-1806)は、マリア・テレジアの子供なんですよね。
それでやっぱりウイーンと関係して、ハプスブルク家と関係して、
それがエステ家のモデナのベアトリーチェ王女(Principessa Maria Beatrice d'Este, 1750-1829)と結婚したということで、
そのお祝いに書かれた劇場セレナータというんですよね。これは基本的にこのジャンルとして書かれたんですよ!
ですから、モーツァルトが15歳の時の作品で、前回のポント王のミドリダーテ(Mitridate, re di Ponto)から次の年!
またイタリアで演奏するために書いてるんですけど、
それでこちらに関しては、面白い資料が残っているので、見てみたいと思うんですよ。
こちらがモーツァルトのお父さんが、(ザルツブルクから、)ボローニャにいたパッラヴィチーニ伯爵( Giovanni Luca Graf Pallavicini-Centurioni, 1697-1773)という、
非常にお世話になった人に報告をしている手紙(1771年7月19日)でして、
それでここに書いてあるんですよね。
このミラノの劇場の当局から手紙をもらったということで、
その内容によると、息子が、私の息子が、1773年の謝肉祭用のオペラ(ルチオ・シラ Lucio Silla)を書くことに同意したということで報告してるんですけど、
この次のこの辺りで書いてあることを見てみますと、
すごいことに、ここにアドルフ・ハッセ(Johann Adolph Hasse, 1699-1783)が出てきて、
その人がオペラを書いて、その次に演奏されるモーツァルトがセレナータを書いたということで、
まあ一般的にオペラと言ってますけれども、もう少しそのオペラに演奏されるということで、小規模な作品ではあるんですけど、
それでここにウィーンからきた頼りによると、
この月の半ばに終わるんじゃないかなということで書いてあって、
その名前が書いてある!
「アルバのアスカニオ」ということで、本当に今から我々が聞いていこうとする、
このオペラに関しての一次史料でありました。
これは1771年9月21日にザルツブルクからボローニャに送った手紙でした!
そしてミラノから、今度はちょうど書いてる間、モーツァルトが(ザルツブルクにいるお姉さんに宛てた)追伸のような形で、
これモーツァルトの字なんですよね!
かなりこれは読みにくい(笑)
ですけれども、ここを赤にしたのは、ここにizt fehlen nur 2 Arienと書いてありますけれども、
本当に2つのアリアについて書いてますよ!
ここに書いてありますよね!
ここによると、あと二つ残っていると!
セレナータで書こうとしているものが、
それでもうちょっとで終わるんだということで、
モーツァルトがこの作品を書いている時の状況が、全部ザルツブルグにいる家族にミラノから送った手紙で分かるということで面白い資料でした!
これでいつものケッヘルカタログに行ってみましょう!
こういった形で書いてあるんですけど、
ミラノで1771年6月23日ということで、
アルバのアスカニオAscanio in Alba、Serenata teatraleということで、
今回、聴いていこうとするアリアはありました!
Dal tuo gentil sembiante(あなたの優しいかんばせから)を聴いてみたいと思うんですよ!
こちらなんですけど、
これも非常にすっきりした形で書いてありまして、
それでこれが歌の部分ですね。
それで四声体でしょう。ここに弦楽四重奏みたいになっている。
それにオーボエとホルンが付いているという形で、
非常にコンパクトでありますから、
まあ、行ってみましょうか!もうこれは聴きながら、色々といきたいと思うんですよね。
本当にこの当時モーツァルトはよく、ボローニャで会っていたりしたミスヴェリチェックといますけれども、
もうこの人と作品もすごいんだけれども、
やっぱりモーツァルトの作品もかなり似てる!
典型的なナポリのスカルラッティ、アレッサンドロ・スカルラッティがよく好んでやりました、
ダ・カーポ・アリアと言いますけど、
最初の部分があって、中間の部分、ゆったりした部分があり、また最後に戻ってるんだけど、
そこでは、ものすごい変奏と超絶技巧で歌うという、
そういうことで三部形式で、最初の部分が、また戻ってきていきますから、
そこでは、更にバージョンアップ(笑)、難しくなっているということで聴いてみたいと思います!
じゃあ、行きますね!
ここに二個の♭だから変ロ長調!
おお、(オーケストラが)入ってきた!
ここはいい!ここ(第7小節)のオーボエとホルンがいいんですよ!
すごいここは(スピッカートで)律動的!はっきりしている!
この(第11小節)真ん中の所(第2ヴァイオリン)がオルゲルプンクト(保持低音)が鳴っていますよ!
いいですね!
ちょっとフォルテとピアノできましたよ!
ここ!フォルテ!バーン!
もう一回来た!
ううん! (第24小節で歌の入り方が完全五度上から来ます。)Dal tuo gentil sembiante | risplende un'alma grande:(あなたの優しいかんばせから、偉大な魂がきらめき、)
ね!いいでしょ! (第30小節でrisplendeの強調において、)
やっぱりパーンと完全五度上がってくるのが良かった! (第33小節 偉大 grande)
おお!細かい!
おお!
(第39小節でヘ長調になり、オーケストラの間奏)
e quel chiaror che spande | quasi adorar ti fa.(広がるそのきらめきは、あなたを恋焦がせる)
ね!ここ(第42小節)でやっぱりadorar などがすごい(強調されますね)!ここの部分です!
ここ(第44小節で同音)で入ってきて、この歌が入ってきた。Dal tuo gentil sembiante | risplende un'alma grande:(あなたの優しいかんばせから、偉大な魂がきらめき、)
ここは線的でもう細かい!
おお!パーンと上がった!
(第55小節)一つずつどんどん少しずつ上がっていますね。
e quel chiaror che spande | quasi adorar ti fa.(広がるそのきらめきは、あなたを恋焦がせる)
(細かいメリスマが)おお、いい!adorar!
ここは一つ一つの音がはっきりしている!(第63小節でスタッカートに歌われています。)
やっぱり管楽器と一緒にバーン!
(第69小節)やっぱり管楽器の鳴り方がすごい!
ここは静か!コンチェルタートの対比技法!
Se mai divieni amante | felice la donzella(もしあなたが愛するものとなれば、乙女を幸せにする)
少し変わった!今の音が良かった!
(第81小節)ちょっと短調ぽい!ト短調だったかな!?
一つずつ上がる(順次上行)!
(第87小節で)ハ短調を通過したかな。
おお!ここ(第88小節)で瞬間的に転調した!
(第89小節)おお!変ロ長調に戻った!
Dal tuo gentil sembiante | risplende un'alma grande:(あなたの優しいかんばせから、偉大な魂がきらめき、)
おお!(装飾を)少し変えた!
ちょっと変えた!入りが変わった!
装飾がすごいんですよ!
うん!(歌の細かい句に対して、オーケストラがズンズン来るのが気持ちいいです!)
grande(の細かい動きが)すごかったですよ!
(第108小節)変ホ長調に少し変わった!転調した!e quel chiaror che spande | quasi adorar ti fa.(広がるそのきらめきは、あなたを恋焦がせる)
(第113小節)この(五度上から入り、同音で続けてゆく)入り方がナポリ風ですよ!Dal tuo gentil sembiante | risplende un'alma grande:(あなたの優しいかんばせから、偉大な魂がきらめき、)
(sembianteから細かくなり解放され気持ちいいです)ね!
sembianteすごかったですよ!
パンと瞬間的に上がりました!e quel chiaror che spande | quasi adorar ti fa.(広がるそのきらめきは、あなたを恋焦がせる)
おお!少し上がってきているかな!
(オーケストラが下から)ガンと来るフォルテとピアノ(で感覚を狭めてゆき、クライマックスに至り、)
(第130小節)adorarもモーツァルト節!
細かくなった!
ここで全体がtuttiで鳴っています!
うゎーん!(オーケストラでクライマックス!)
(adorarを引き延ばした)少しカデンツァ!
(オーケストラが入ってきます!)
少しずつ間隔が狭まってきたんですよね!良かったです!
今の所の盛り上げが、クライマックスまで行くところが非常に見事だと思います。
一旦これで前半部分が休止!
(第151小節 変ホ長調)
(ダカーポ・アリアの)中間部分!Se mai divieni amante | felice la donzella(もしあなたが愛するものとなれば、乙女を幸せにする)
チャーミング!おお~いい~ここ(導音で字ワンと来ます)!
変ホ長調になっていますね!♭が3つになって!
ああ~同じ音が入るのにla donzellaの語りかけが良かった! (第158小節で下からズンズンオーケストラが来て、歌詞に合わせて内に秘めた情熱を表現しています。)
同じbellaがこれと韻を踏んでいたから、(第163小節で歌の盛り上がりがヴァイオリンに受け継がれます。)
(第165小節)ちょっとト短調ぽい!
(ヴァイオリン1が細かくなり、ヴァイオリン2がリズムを奏でるという典型的なモーツァルトの手法でオーケストラが下から)ズンズン来ている!
同じこの部分bellaで付点音符が良かったですね!
ここでまた小さなアインガング!
(第170小節 急に転調してテンポも戻ります。)おお、早くなった!戻ったでしょ!調も元の変ロ長調になった!
Dal tuo gentil sembiante | risplende un'alma grande:(あなたの優しいかんばせから、偉大な魂がきらめき、)
おお、(細かい装飾を)変えた!risplende un'alma grande:(偉大な魂がきらめき、)
おお!ここ!risplende!
うぁ~お!risplende!
(分割変奏して)ちょっと変えた!
(オーケストラの間奏)
e quel chiaror che spande | quasi adorar ti fa.(広がるそのきらめきは、あなたを恋焦がせる)
おお!ここはすごい(突然の下降)!
adorar!すごいですよ!これ!
うぉ!細かくディミニュション(分割変奏してから、ものすごく長いgrandeの細かい句)!Dal tuo gentil sembiante | risplende un'alma grande:(あなたの優しいかんばせから、偉大な魂がきらめき、)
うぉ~ん!grande!
risplende un'alma grande:(偉大な魂がきらめき、)
e quel chiaror che spande | quasi adorar ti fa.(広がるそのきらめきは、あなたを恋焦がせる)
うぉ~ん!ここいいですね!
細かくなった!adorar!(オーケストラが通奏低音からズンズンと煽ります。)
おお!また違うように(跳躍)した!
(第215小節からオーケストラの)間奏!
(第219小節)静かになったでしょ!(音量の変化による)対比技法!
Se mai divieni amante | felice la donzella(もしあなたが愛するものとなれば、乙女を幸せにする)
もう少し変わった!(短調に急になりました。)
che a fiamma così bella | allor s'accenderà.(これほど美しい炎として、そのとき彼女は燃え立つ)
ね!ここね!(accenderàがじわじわとめらめらと感情が盛り上がるように表現されています。)
(第280小節)ここのアタックがいいね!ターン!
今度は(元の調に戻り)ヴィオラとチェロに引き継がれました! (ミスリヴェチェクやモーツァルトらしいオーケストラの盛り上げです。)
これを挟んでまた間奏を入れて、
ううん!ここも来ましたね!装飾音!Dal tuo gentil sembiante | risplende un'alma grande:(あなたの優しいかんばせから、偉大な魂がきらめき、)
おお!risplendeがすご~い!
跳躍に変えた!
おお!e quel chiaror che spande | quasi adorar ti fa.(広がるそのきらめきは、あなたを恋焦がせる)
(オーケストラの間奏)
少し装飾を加えました!Dal tuo gentil sembiante | risplende un'alma grande:(あなたの優しいかんばせから、偉大な魂がきらめき、)
おお!ここはかなり変えた!
(弦楽パートが)バーンとアタックして、ここは盛り上がります!
risplende un'alma grande:(偉大な魂がきらめき、) meが少し上下をしています。)
裏拍から入った!e quel chiaror che spande | quasi adorar ti fa.(広がるそのきらめきは、あなたを恋焦がせる)
ガーン、ガーン(とオーケストラがアタックしてきます!)
おお!細かくなった!
ここ、(激しい跳躍に)変えた!
うわぁ~上がって、下がって~二段下がる!
(オーケストラの間奏)
(adorarで弦楽パートが細かくなりクライマックスを生み出します!)
カデンツァに入ってきましたね!
(印象的なフレーズを繰り返しています!)
うぉ~すごい(高いところまで駆け上がり、長いトリルでオーケストラが入ってくるのを促しています)!
すごかったですよ!カデンツァ!
それで微妙に変えるところがいいですよね!
少しリズムがずれているところが強烈でした(笑)
そういった形でもう本当にこのアリアは構造としては単純だし、
そんなに転調も、ものすごくしないけれども、
この細かい装飾とオーケストレーションの使い方が、非常にミスリヴェチェクに近いと!
これでこういった華やかなアリアは、本当に似てるかなぁと思いました!
当時のイタリアでよく流行ってた!
だけれども、モーツァルトはやっぱり、時どき、「モーツァルト節」と叫びましたけれども、
そういった彼らしさとかありました!
まあ、最後、トゥルルルルーンと盛り上げるところが、あれはよくモーツァルトらしさと言うんですけど、
まあ、ミスリヴェチェクの方が近いかな!
ということで、当時のほかの人たちが書いたナポリ楽派が書いたアリアを見たり聞いてみたり、
まあ、ヨハン・クリスチャン・バッハなども、結構こういった形で当時イタリアで流行ってた音楽だなと思いましたけれども、
だけど、すごくシンプルの中に変化があって面白かったんじゃないかなと思います。
そういった形でモーツァルトが非常に典型的なナポリ楽派が好んだダカーポ・アリアであるにも変わらず、
結構長い曲なのに飽きさせない工夫が、随所にちりばめられてて、面白かったんじゃないかな!
特にリズム語法と、これは歌手の技量がすごい良かったですけれども、
細かい装飾、これがすごくアクセントとして利いていたじゃないかなと思って楽しめました!
いつもご覧くださいまして、ありがとうございます。
今後とも何とぞ宜しくお願いします。ありがとうございました。